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耳栓型ヘッドホンを試す
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(2005.4.3) |
iPodに代表される、デジタルオーディオプレイヤーが賑わっている。 HDDタイプだけでなく、iPodShuffleの投入でメモリー型にも飛び火した。 ソニーやケンウッドなど、国内メーカーも続々と参入、市場は活気づいている。 私も先日、遂に「iAUDIO M3」を購入、波に乗ったばかりだ。 この波に“便乗”した商品も次々と出てきている。 小型スピーカー、キャリングケース、車載用FMトランスミッターなどがあるが、 最も恩恵を受けているのはヘッドホンではないだろうか。 iPodに付属するヘッドホンがあまり音質が良くないという風評が広まり、 ユーザーは安価で音質が良いヘッドホンを探すようになった。 最近特に人気なのが「耳栓型ヘッドホン」である。 1cm以下の小さなドライバを使用し、耳栓のように耳の穴に突っ込んで使う。 外の音が聞こえにくくなって音楽に集中できるし、音漏れも少ないという。 私はずっと耳掛け型の「HP-AL300」を使用してきた。 音質が良く、コードが巻き取れるので邪魔にならず、重宝してきた。 が、外の音は聞こえてくるし、混み合った電車では音漏れに配慮して ボリュームを控え目にして聴いている。耳栓型のメリットは気になる。 そこで今回は、耳栓型ヘッドホンって、遮音性とか音質とか使用感とか、 実際どうなのよ?!ということで、ビクターとソニーの耳栓型ヘッドホンを 買って試してみる。(2つ買うなんて、オトナ!)
ソフトなゴム系素材「エストラマー」をボディに採用し、 耳に優しくしっかりフィットするという装着感を売りにした “グミホン”シリーズの最上級モデルだ。 耳の穴に突っ込む耳栓型では装着感が重要だと思いチョイスした。 ドライバは世界最小の8.5mm。しかし高磁力ネオジウムマグネットを使用し 高音質を確保したという。コードは50cm、1mの延長コードが付属する。 イアーピースはS/M/Lの3種類が付属。(デフォルトはSだった) 一聴して驚いたのが低音再生能力の高さ。 iAUDIOのBASS調整は0〜10まであり、 今まで8程度にしていたのを下げて下げて1〜2程度にしてちょうどよくなった。 ドライバが1cmにも満たないので、はっきり言ってナメていた。 低音再生能力は、駆動する空間の体積と密接な関係がある。 部屋が狭ければ小口径のスピーカーでも十分だが、 部屋が広くなると力不足で、大きなウーハーが必要になる。 ドライバと鼓膜の間の空間の体積はごくわずかなわけで、 ドライバが小さくても十分に低音が出るわけだ。 高音が引っ込み気味だったので、高音をブーストした。 イコライジング後では、ほぼフラットな特性になったと思う。 音質だが、やはり低音が良く出る。すごい。高音も特に問題なし。 装着した瞬間に、スッと外界の音が遮断される。 確かに耳栓のようだ。電車内でも、聴こえる騒音は大幅に小さくなる。 当然音楽にも集中できる。音量も小さくて済むので耳にも優しい。 イアーピースはSでちょうど良かった。 装着感も良く、耳が痛くなることはなかった。 気になったのは、コードが服に当たったり、擦れたりする音が「ゴソゴソ」と 聞こえてくることだ。まあそりゃそうだ、耳の穴にガッチリ装着しているので、 そのような接触音もダイレクトに聞こえてきてしまうわけだ。 歩いていると気になるが、当然止まっている電車内では気にならない。
ドライバは直径9mm。イアーピースはビクターと同じくS/M/Lの 3種類が付属するが、デフォルトはMが付けられている。 この製品には実は「EX51SP」と「EX51LP」とがあり、 前者は0.5mのショートコードでリモコン装着専用、後者は1.2mコードだ。 ビクターのように延長コードが付属した方が融通は効く。 実際の音は、ビクターと同じ傾向だ。ビクターに合わせてイコライジングした 設定でそのまま聴ける。つまりは低音がよく出て、高音が引っ込み気味ということ。 ただしソニーの方が低音が1段良く出る。BASS設定値は0〜1がちょうどいい。 曲によっては0以下にしたいと思うような時もあった。 イアーピースはやはりSが良かった。 装着感はビクターと大差なく、耳が痛くなることはなかった。 耳の穴に入る部分はどちらもシリコン製であり、違いは感じられなかった。 コードが何かに当たったり擦れたりする音が聞こえてくることについては、 ソニーの方が耳に付きにくかった。コードが柔らかいからだろうか。 ただしその分絡まりやすくなっている。
今回は耳栓型ヘッドホンの傾向を掴む意味で、2モデルを買って使用してみたが、 言えることは、 1.密閉性が高く、外の音が聞こえにくくなる。また音漏れも少ない 2.低音再生能力が高い 3.装着感はよい。痛くならない。 4.コードが何かに当たったり擦れたりする音が聞こえてくる という点だろうか。1.については、密閉性の高さゆえ、ボーッと歩いていると 自転車や車の接近に気づかない恐れがあるくらいだ。使う人は気をつけよう。 2.については、大型密閉ヘッドホンの次に高いと感じるくらいだ。 従来のインナーイアーヘッドホンや、耳掛けタイプよりも上。 3.は、耳に入る部分は柔らかいシリコン製なので、硬いものが肉体に 接触する部分がないためだろう。 4.は耳栓型の唯一の欠点だろうか。コードがプラプラしないように気をつけたり、 コードが柔らかいものを選ぶことである程度解消できる。 しばらく耳栓型ヘッドホンを使った後、久しぶりにHP-AL300で聴いてみた。 やはり低音の出が断然違う。基本的にはオープンエアのAL300と、 完璧な密閉型の耳栓型では、音が鼓膜へダイレクトに届く後者が有利。 今後は通勤で耳栓型を使用することに決定した。 ただ、オープンエア型の開放感というか、軽快さは良い。 それから、やはり巻き取り式の良さも再認識させられた。 近所を散歩する時とかにはAL300を使おうかな。 そして、ビクター「HP-FX55」、ソニー「MDR-EX51」のどっちを これから使っていくんだい?ということについてだが、 私はMDR-EX51で行きます。 音質・装着感は大差なく、ソニーのコードの柔らかさが良かった。 そして何より、デザインが「iAUDIO M3」とバッチリ合い過ぎ! ということで、主にはデザインが決め手である。 |