V - eye
エディが思いつきでAVを斬る!語る!

GRANDアバックに行ってみた

(2004.12.12)


   AV機器販売専門店の老舗「AVAC」がこのほど新宿に
   新店舗「GRANDアバック」をオープン、早速上陸してきた。
   映像機器の映像をいくつか見てきたのでレポートする。


     ― 三菱リアプロを発見 ―

三菱
型番未定

(来春発売予定)

三菱が来春に国内投入を予告しているリアプロTV。インチサイズはおそらく62型。価格は個人的予想だと定価ベースで70万円程度になると思われる
 

 私は少し前からリアプロTVに注目するようになった。
 (「リアプロTVが赤丸急上昇中」
 その理由は「コストパフォーマンスの高さ」である。
 というか、大型の薄型テレビは高すぎる。
 プラズマの50型が約60万円、液晶だと45型が70万円程度。
 車を買うような値段だ。いくら薄型テレビブームだとは言っても、
 この値段を払って購入している人はやっぱり「お金持ち」と言える。
 
 その中で、プラズマの半値あるいはその近くという安さで大画面を
 GETできるリアプロTVの存在は誰もが注目するだろう。
 「リアプロ」の昔を知っている人は「リアプロ」と聞いただけで
 拒否反応を示す人もいるが、最近のリアプロの中には昔のイメージを
 覆すような大変魅力的な製品も登場している。
 
 リアプロは既に海外では売れに売れているが、日本でも火がつきそうな予感だ。
 今年に入りエプソンが「Living Station」を発売、三洋も先日「LP-55WR1」を発売。
 日本ビクターも北米でリアプロを発売(記事)、国内投入の時期を伺っている。
 そして三菱も、先日の発表会でリアプロを参考展示、「今年度中に発売する」と
 明言した。三菱は1990年頃のリアプロのリーディングメーカーだっただけに、
 その出来栄えには個人的に期待をしていた。
 
 がしかし、実機を見てがっかりした。まず明るさが足りない。
 真正面で見ても明るさは十分とは言えず、視野角特性も悪い。
 さらにはスクリーン表面についた「テカテカ」フィルターが
 映り込みを起こしていて、更なるコントラストの低下を招いている。
 これでは昔のリアプロと状況は何も変わらない。
 
 画質に厳しいと言われる日本のリアプロ市場が立ち上がるためには、
 やはり日本ビクターのD−ILAリアプロの登場を待つしかないだろう。
 展示会で見た同社のリアプロは、プラズマと遜色ない高輝度・高画質・デザイン
 で、感動した。現在は北米のみで発売されているが、徐々に生産台数を
 増やしてきており、やはり日本でも発売か?と期待をしてしまう。

    ― 三菱DLP と ソニー新シネザ ―

三菱
LVP−HC900J

(定価 367,500円)

1024×576画素パネルを使ったDLPプロジェクタ。
 

 三菱が今秋発売した低価格DLPプロジェクター。
 DLP方式は黒が沈む、動画ボケがないなどの利点を持つ反面、
 単板式ではカラーブレイキングが発生する、階調表現が苦手などの欠点も
 ある方式だが、それでもDLPが欲しい!という層はいるので
 20万円台でGETできる本機の登場は嬉しいところだろう。
 
 画質は、カラーブレイキングが目に付く。本機は5倍速カラーホイールで
 DLP方式としては最高水準の回転速度なのだが、私には目について仕方がない。
 特に映画では、画面と字幕を交互に見るので視線移動が増え、
 その度に虹色が見えていたのでは疲れてしまう。
 私にとっては、残念ながら画質云々を語る以前の問題だ。
 
ソニー
VPL−HS50

(売価 300,000円程度)

ソニー製720Pパネルを搭載した液晶プロジェクタ。
 

 低価格プロジェクター市場が急成長を見せているここ2年ほどの間、
 実力者でありながらソニーだけは蚊帳の外といった雰囲気があった。
 それはレンズシフト機能がなかったことと、売れ筋の20万円台の商品が
 なかったことなどが理由に挙げられるだろう。
 
 本機はソニー製としては初のレンズシフト機構を搭載。
 さらには「アドバンストアイリス機構」による最大6000:1の
 ハイコントラストを実現するなど力のこもった製品となっている。
 ただ価格だけは少し高めの設定が維持された。
 
 さてその画質であるが、黒の沈み方が抜きん出ている。
 三洋、松下、エプソンの液晶モデルとの比較だが、本機の黒が
 最も沈んでいた。黒が沈めば全てよしというわけでもないだろうが、
 「恋に落ちたシェイクスピア」の夜の闇のシーンが最もリアルに
 再生できていたと感じた。「黒浮き」を気にしなくてよいレベルと
 言っても過言ではないかもしれない。
 三洋・松下・エプソンよりもちょっと上を望むユーザーを獲得するだろう。

     ― QUALIA005 ―

ソニー
KDX−46Q005

(定価 1,102,500円)

世界初LEDバックライト搭載、フルHD解像度の液晶テレビ。「QUALIA」ブランドを冠した
 

 従来の液晶テレビに使用されているバックライトは「冷陰極管」というもの
 であったが、それに代えてRGBのLEDを並べたモデル。
 LEDの色純度が高いため、結果として色再現域が拡大、
 冷陰極管方式と比べて150%の広さにまで向上したという。
 
 いずれLEDをバックライトに用いるようになる、とは耳にしていたが、
 製品レベルでここまで早く市場に出てくるとは予想していなかった。
 本機はQUALIAブランドではあるが、今までの専用窓口のみで
 受注し生産するという方式ではなく、量販店にも並べるということだから、
 量産可能なレベルにまで落とし込んでいることになる。すごい。
 
 さてその画質。展示会では見たことがあったが、いずれもソニーが
 用意した派手な映像ソースのみで、確かに鮮烈な色再現は確認できたが、
 通常はそんな派手な映像ばかり見るわけではないので、普通の放送を
 見たらどうなのかと思っていた。GRANDアバックでBSデジタルを見た。
 あざとさのない画質だった。ニュース、バラエティなどを見ても、
 特に人工的な派手さは感じない。つまり、普通のソースは自然に、
 強烈な色を含むソースはその色を十分に再現する設計がなされている
 ということだ。懐の深さを備えたディスプレイだと言えるだろう。
 
 画質は好感を持ったが、このお値段。。。それに550Wという消費電力は
 プラズマ以上ではないか。新開発の折り畳みリモコンと新GUIも
 正直馴染めなかった。リモコンは畳んだ状態だとボタンが少なく、
 開くと一気にボタンが現れ、しかも「凸」のように出っ張りがないボタンで
 押しにくい。GUIは確かにカッコイイが、操作のしやすさという点では
 やや疑問符が。長く使ったら馴染んでくるのかどうか。

     ― GRANDアバック ―

 GRANDアバックの話を全くしていなかった。
 新宿のヒルトンホテルの地下1階という場所だが、
 新宿駅からは結構歩いた。新宿ってゴチャゴチャしてて
 あまり好きではない(田舎者)ので、次は地下鉄の駅から行こうか。
 ホテルが高級ホテルなので、普段着で行くと一瞬場違いな感じが
 して戸惑った。地下への入口を見つけてホッとした。
 
 アバックの他店舗と比べて、本格的なシアタールームがあるのが異なる。
 他店舗はあくまで「ハードを選ぶための視聴ルーム」だが、
 GRANDアバックにあるのは「シアタールーム」なのだ。
 2種類ある部屋を見ていると、ハードにかける予算はそこそこに、
 部屋にかける予算を増やして雰囲気作りを重視するのも一考だと思う。
 
 デジタル機器が増え、昔に比べれば質の高いAV機器が安価に入手できる
 ようになった昨今、心安らぐ贅沢な時間を過ごすための場所として
 ホームシアターを捉え、バランスよく予算を使うことを考えてもよいと思う。
 ホームシアター文化が根付くためにGRANDアバックが果たす役割は大きい。