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「さて、どなたから相手になっていただけますか?」
「ケケケッおいらに相手させてくれよぅ」
「良いだろう、我々を手こずらせるんじゃないぞ」

リーダーなのか剣士風の男が許可を出します。
どうやら、第一ラウンドの相手はこの小男のようです
 
 

BSD物語3周年記念小説

一夏の戦記 vol.2
 

「まてまて、そんな面白そうなことに我々を呼ばないとは水くさいぞ」
「そうですわ〜 ティナさん独り占めだなんてずるいですわ〜」
「貴女達っ!」

思わず声が裏返ります。本来ならサーバ稼働監視の為常時待機しているはずのレイナ……それにレイナの裏側のもう一つの人格『ミレイ』までもがFWの外側にでてきています

(サーバ全台落としているからやることないんですぅ。それに此方に来ているのはエイリアスですし〜)
(……まぁ、そういうことなら良いでしょう。くれぐれも相手に気取られたり抜かれたりしないように)
(まかせろ。先に私から行くぞ)

そう、わたしに小声でささやくと、ミレイは構える風もなく前へ歩きでました。どうやら一対一の勝負になりそうです

「おやぁ? 獲物が増えたぞ〜?」
「おしゃべりな者ほど弱いと言うがな」
「なんだってー! ボクチンの実力見せてやる!」

小男は2〜3歩バックステップを踏みながらぶかぶかの袖口に両手を入れると何かを投げてきました……あれはナイフ!?

「これで私が倒せるとでも?」

ミレイは余裕で飛来するナイフ2本を受け止めると小男へ向かって投げ返しました。

「芸が無いな。これで終わりか?」

「ケケケッ今のはホンの小手調べ、次でお前をずたずたにしてやるぅぅぅ!」

再び小男は袖口に手を隠すと今度は僅かにタイミングをずらせながら5本投げてきました

「ふん、一度に多数の飛び道具を投げる……暗器とかいう技か」

パン!

破裂音はほぼ一瞬、しかし、飛来するナイフ全てはその一瞬で全てへし折られました。

「これがシングルアクションのリボルバーの銃でのみなせる技ファストドロゥだ。冥土の土産にするがいい」

「なっ……!」

そう、ミレイは一瞬にして飛来するナイフ全てを打ち落としたのです。その彼女の左手には西部劇にでてくるようなリボルバーの銃が握られていました。

「私の出番はこれで終わりだな。まったくつまらないヤツだった。」

「礼は言いませんよ」

「勝手にしろ」

「おい、どこへ行く!?」

振り返り、屋敷へ歩き出したミレイの背へ剣士が慌てたように声を掛けます

「私が撃った弾は6発、ナイフを打ち落としたのは5発、残り1発はどこへ行ったと思う?」

「まっ・・・・・・まさかっ!!」

そう、ミレイはナイフを打ち落とすと同時に小男の額をも打ち抜き勝敗を付けていたのでした。

(続く)