*ワガママな悪夢*
(キリリク50000)


【6】

ギロッと養い親と"ゴロツキ"から睨まれた絳攸は、瓶子を手に困った顔を見せた。
だが戸惑っている風な絳攸に悠舜が助け舟を出そうかと思っていた矢先、その目の前にスッと長い腕が伸びる。
「――もっと静かに飲めないのか、黎深、飛翔。子供が困っているだろう。第一これは子供の大会優勝の祝杯ではなかったのか。貴様らのくだらん口喧嘩を聞きながらではせっかくの良い酒もまずくなる」
口の部分だけ仮面を開いて酒を飲んでいた奇人は、そう言いつつ絳攸から取り上げた瓶子から自分と飛翔の盃に酒を注ぐ。
一方、文仲は我関せずといった風情でゆっくりと酒を舐めていた。相変わらず辛気臭そうな顔で、飲んでも赤くならず青白くなっていくのが一層幽霊っぽい。
「お、わりぃな鳳珠」
「黎深も機嫌を直せ。お前にも注いでやる」
「…………ふんっ」
そっぽを向きつつその酒に口をつけた黎深を見て、悠舜と絳攸はくすりと笑いあった。だがその途端、再び鋭い声が掛かる。
「絳攸! 来なさい!!」
「は、はいぃぃっ!」
慌てて黎深の膝へと飛んでいった絳攸と、それに微笑んだ黎深の姿に、悠舜はくすくすと笑った。今度は声に出さず、心の中でひっそりと呟く。
(黎深は大事なものを見せびらかしたい性分のくせに、独占欲も強いんですよねぇ……。本当に、絳攸殿は苦労しそうです)
絳攸にとって悪夢のような宴は、その夜半まで続いたという。

END.
【←5】
50000Hitの松本様からのリクは「吏部親子で絳攸女装ネタ」だったのですが、なんだか悪夢の国試組勢ぞろい、みたいな感じに(苦笑)。リクありがとうございました!

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