*春のかぜ 弥生のそら*
(10万HIT企画その8)


※源氏物語パロディーです。パロディーのため、本来の源氏物語とはかなりかけ離れたストーリーとなっておりますのでご注意ください。
なお、登場人物のキャスティングは次の通りです。


光源氏(身分・容姿・頭脳、すべてを兼ね備えた貴公子)…黎深

藤壺の宮(源氏の初恋の人。父(帝)の愛人)…悠舜

紫の上(幼子。黎深に引き取られる)…絳攸

惟光(源氏の従者)…管飛翔




【1】

すがすがしい空気。
あたり一面を埋め尽くす桜色。
うららかな春の風に舞う花びらが、いかにも風流だった。


そんな北山の地に、一台の牛車が停まった。
都から遠く離れた閑静なこの場所には似つかわしくないほど、立派な牛車である。
「着いたぜ、黎深」
牛車の前を歩いていた従者がそう言うと、そこから一人の青年が降り立った。それはそれは、世にも美しい青年であった。
青年はいとも優雅に扇を開くと、従者を振り向いて問うた。
「ここか? 飛翔」
「ああ。ご所望の、山深い寺だ。でもここの坊さんは結構徳が高くて有名らしいぜ。よかったな」
飛翔と呼ばれた従者は、とても従者とは思えないような口をきいていたが、それに対して主人が怒ることはないらしい。
牛車を降りた青年――黎深は、桜の木々の中にひっそりと佇む寺社を見て、ふん、と鼻を鳴らした。そんな仕草さえサマになる彼は、きらきらと輝くような端麗な容姿から、世間では"光る君(きみ)"と呼ばれている。
「とりあえず僧都に挨拶しにいくか」
いくぞ飛翔、と言った黎深は、返事も聞かずにすたすたと歩き出した。

【2→】
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