*ななつのちかい*
(黎深・絳攸)
【4】
「『仕置き』だと言っただろう、絳攸?」
「……っ」
眉根を寄せて俯いてしまった絳攸に、黎深は少々もったいぶりながら告げる。
「だが……。そうだな、お前がどうしてもというのなら、そろそろやめてやっても構わない」
「っ、本当ですかっ!!」
途端、パッと顔を上げた絳攸を見て、黎深はくすりと微笑んだ。
パタパタと扇であおぎながら一つ一つ条件を上げていく。
「一つ、私にウソをつかないこと」
「はい!」
「一つ、私に隠し事をしないこと」
「はい!」
「一つ、他人の言に惑わされぬこと」
「はい!」
「一つ、私に内緒で兄上と会わぬこと」
「はい!」
「一つ、藍家の小僧と親しくし過ぎぬこと」
「はい!」
「一つ、迷子になったらすぐに道を聞くこと」
「はい!」
「一つ、毎日饅頭作って持ってくること」
「はい! ――……って、え゛?」
いくつか妙な項目が紛れていた気がするのは、気のせいだろうか。うっかりすべてに返事をしてしまったが――。
そんなことを考えて渋面を作った絳攸を横目にくすくすと笑った黎深は、ゆったりと立ち上がると優雅に衣を翻して扉へと向かう。
「しかと聞いたぞ、絳攸。今のことを守らなかったら、その時は――分かっているだろうな? このくらいの『仕置き』では済まぬぞ」
覚悟しておけよ、と告げて室を出ていった黎深を見送って、絳攸はがっくりと項垂れた。
「……来年から"えいぷりるふぅる"はナシだ……」
END.
【←3】
以前UPした「えいぷりるふぅる」の後日談でした〜。

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