*秋の夜長に*
(黎深・絳攸)
【4】
黎深はとある悪戯を思いついた。
「そうだ絳攸。久々に琵琶でも弾いてやろうか」
「び、わ……、ですか……?」
「ああ。このところ弾いていなかったからな。たまにはいいだろう」
(わざとゆっくりな子守唄でも弾いてやろう)
黎深は子供の時分から、小さい弟を寝かしつけるために毎日子守唄がわりの琵琶を弾いていた。そういった曲は得意中の得意だ。ただでさえ眠そうな絳攸は、音楽など聴いたらすぐさま眠ってしまうだろう。それとも意地でも眠らないよう頑張るか。
そう思いながら、黎深は愛用の琵琶を組んだ足の上に乗せた。
一曲も弾き終わらないうちに絳攸はあっけなく陥落した。こてん、と黎深の肩に頭を乗せ、すぅすぅと寝息を立て始める。
(……なんだ、ずいぶんと簡単に寝たな。つまらない)
黎深はくすっと笑って琵琶を横に置くと、組んでいた足を戻した。と、その動きで揺れたのか、絳攸の頭がカクンと下がる。そのまま膝枕をするような格好になって黎深は僅かに瞠目したが、一向に起きる気配のない養い子の寝顔に、微笑む。
(――まぁ、たまにはいいだろう)
起きたときが見物だな、と呟きながら、黎深は絳攸の寝顔を肴に盃を傾けた。
END.
【←3】
黎深様の琵琶を聞きつつ、絳攸の寝顔を見ながらお酒飲めたら最高でしょうね!(笑)

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