U−STYLE 04.12.7 ホール

 今年最後の上京だった。1日に、羽田に第二ターミナルがオープンしたことは、松山市駅の前でも、ANAの人が、キーホルダーをくばってPRしていたので知っていた。私の乗る飛行機はJALなので、関係ないが、せっかくなので行ってみた。元のターミナルの前から、第二ターミナル行きの無料バスに乗ったが、バスの前に、黒い車が、ぴったりつけて止まっていて、出られない。バスがクラクションを鳴らしても、車の運転手は無視している。やがて、ターミナルから、一目でヤ○ザとわかる男性達が出て来て、その車に乗って去って行った。そんな光景ははじめて見たので、ちょっと感動した。

 第二ターミナルは、とても広くてキレイだった。 入っているショップもレストランも、元のターミナルよりはるかに素敵だ。ますます、JALの利用者は置いてきぼりにされそうだ。その、JALの利用者の中でも、ありえないほど辺鄙な場所に飛行機を止められる、四国便の利用者はどうすればいいのか。何が悲しくて、飛行機に乗るのに、いつもバスに乗らないといけないのか。「第二ターミナルがオープンしたから、バスに乗らずにすむかも!」と期待していたのだが、今回も、キッチリバスで運ばれた。
 吹き抜けの天井から、なんか幕みたいなものが下がっている。あとで、持ち帰った「ビッグバードプレス」を読むと、ソレは、日本画家の千住博氏が作ったオブジェらしかった。展望台に、牛のオブジェがあったが、ソレもそうらしかった。展望台に座って外をながめると、冬の日に、海がキラキラ光っていた。変な形の船が、沖を通って行った。

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 今月の初め、愛媛新聞に、「今月の美術展」的記事が載っているのを見つけて、グッとくる「展」を、いくつかチェックしておいた。一か月前、パンクラスに来たときにパンを買った羽田のパン屋さんで、サンドイッチを買い、上野へ向かう。
 いい天気で、寒くなかったので、絶対に上野公園でサンドイッチを食べようと決めて行ったのだが、強風だったのであきらめた。それでも、何とか挑戦しようと、美術館の前庭でサンドイッチを出しかけたが、ノラ猫が、ニャアニャアいいながらよってきたので、やめた。サンドイッチのハムでもやろうかと思ったが、マヨネーズやマスタードがついているので、猫の体によくないだろう。国立科学博物館に行く。入り口近くの道で、モデルさんが撮影をしていて、田舎者な私は興奮した。科博のラウンジでサンドイッチを食べ、常設展を見、特別展の「翡翠展」を見た。

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 それから両国に行った。昔、相撲が好きだったので、両国に来るだけで興奮する。パンクラスに行きはじめたばかりの頃、大雪が降った後楽園ホール大会のとき、用もないのに、両国に行ってみたことがある。初場所中で、お相撲さんとすれ違った。大きかった(幼児の感想だ)。
 両国駅の構内に、力士の優勝額が二枚、置かれていたが、知らない力士だった。他の額は、どこに保管しているのだろう。本人にあげるのだろうか。昨年、パンクラス10周年記念大会で国技館に来たとき、天井近くにかけてある額を見たが、間近で見ると予想以上に、本当に大きい。本人も、もらっても迷惑かもしれない。ソーラーシステムのように屋根に載せるか、リビングの床にでも敷いて、その上で生活するしかないだろう。この額は、カラー写真ではなく、白黒写真に彩色したものだということを、皆様ご存じだろうか。駅の出口に、お相撲さんががっぷり四つに組みあっている、小さな石像があって、可愛らしい。皆が撫でて行くのだろう、石像のお尻のところだけ、テッカテカに光っている。

 江戸東京博物館に行き、「水木しげる展」を見た。原画もたくさんあった。こういう有名な人の原画を見ると、世の中には、天才というものがいるのだなと、しみじみ感じる。鬼太郎の家とか、妖怪アイテム(人魂の天ぷらとか)を再現した模型もあった。ショップには、水木しげるが今までの人生を描いた絵巻物があって、かなり欲しかったが、高くて買えなかった。京極夏彦は買ったらしい。この「展」は、荒俣宏が監修しているのだが、水木しげる・荒俣宏・京極夏彦は、「日本妖怪協会」的な会を結成していて、そこが出している機関誌「怪」が、なぜか、私の職場の読書クラブの本棚にあったので、借りて読んだことがある。読書クラブの本は、林真理子とか、さくらももことか、タレント本とかが多いのだが、何でそんな本が一冊だけまぎれこんでいたのか、それこそ怪だ。私以外には誰も借りてなさそうだった。かなりおもしろかったが、語りはじめるとキリがないのでやめる。いつになったら後楽園ホールの話になるのかイライラしている読者の方も多かろう。すみません。もうすぐです。あらかじめお断り申し上げますが、試合の話は少ないです。
 江戸東京博物館で、友達(149ちゃん)と合流し、二人して興奮しながら、ショップを荒らす。149ちゃんは、江戸の古地図に興奮していたが、私は、目玉おやじキャンディー・「目玉おやじ汁」・目玉おやじマグカップを買った(写真参照・職場の更衣室にて撮影)。目玉おやじキャンディーは、目玉に棒のついたキャンディーで、おみやげに配ったので私は食べていないが、目玉にやさしいブルーベリー味と書いてあった。「目玉おやじ汁」は、一人で飲むのがイヤな名前なので、職場の女の子と一緒に飲んだが、普通のゆずジュースだった。ちなみに「ねずみ男汁」もあったが、汚そうなので買わなかった。

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 149ちゃんと後楽園ホールに行った。ラクーアのイルミネーションがキレイだった。関係者受付でチケットをもらうと、メインのクロスバウトに出場する四人の顔が印刷されていて、冨宅さんの写真入りのチケットははじめてだったので、私は嬉しくてキーキーいった。パンフレットの表紙も、田村選手と冨宅さんだった。物販に、田村選手のフィギュアがあった。思ったより大きかった。六年くらい前に出た、船木さんの、天を指さしているフィギュアと同じ系だ。大きいだけあって、高かったので買えなかったが、ここで買うと、抽選で、「田村選手とのお食事会」に参加できるらしい。当たった人は嬉しいだろうが、「桜庭選手とのお食事会」とか、「高山選手とのお食事会」とかに比べて、こちら(ファン)から、積極的に盛り上げないといけないのか、逆に静かにした方がいいのか、高度な判断の要求される食事会になりそうだ。いつかは冨宅さんのフィギュアも発売されて、抽選で「冨宅さんとのお食事会」が当たればいいのだが、そんなことになったら、フィギュアを買いまくって、処置に困って正月に親戚に配ったりしてしまいそうだ。

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 忙しい師走の平日とあって、お客さんはあまり多くなかったが、熱心な田村信者の皆様が集まっていた。U−STYLEを見るのは、昨年の六月以来だが、おもしろかった。三島選手は、ダウンジャケットに帽子、マスク、メガネという、挙動不審ないでたちで入場してきた。メガネ等はすぐはずしたが、コールされるときもマスクはつけたままだったので、そのまま闘うのかと思ったが、はずしてしまった。残念だ。
 相手の、クラフターM選手は、はじめて見るのだが、強かった。マスクのモチーフがサソリだということに、途中で気づいた。頬の両側に垂れているピラピラは、サソリのハサミだったのだが、それと気づくまで、私と149ちゃんは、エル・サムライ選手のマスクのピラピラみたいな物だと思い、「エム・サムライ」と呼ぶことに決定していた(一部嘘)。エルとエムだと、エムの方が小さいはずだが、体は、クラフターM選手の方が大きそうだ。名前と体格が逆になっているのは、相撲で、大錦と小錦がいたとき、小錦の方が大きかったのと同じだ(全然違うよ)。
 ここまで書いて、クラフターM選手とサムライ選手と、本当はどちらが大きいのか調べようとしたが、クラフターM選手のデータが全て「不明」のため、わからなかった。「リングネーム以外全て謎のベールにつつまれ、関係者やスタッフでさえ誰も知らない」(パンフより)そうだ。嘘をつくな。そんなだったら、ファイトマネーの源泉徴収表が作れないだろう(ムキになるなよ。子どもじゃないんだから)。三島選手が押されていて、ドキドキしたが、最後には、三島選手がフェースロックで勝った。

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 大久保一樹選手と対戦した中村大介選手は、「西部警察」のテーマ曲で入場して来、私と149ちゃんを興奮のるつぼにおとしいれた。クラフターM選手のコスチュームがサソリだと気づいたときも嬉しかったが、アレクサンダー大塚選手の吊りパンの背中が、イニシャル(AO)の形になっていると気づいたときも嬉しかった。U−STYLEや、DEEPに出場している選手は、私は、冨宅さんがミッションに移籍してから名前をおぼえた人がほとんどなのだが、アレク選手のように、昔から見ている人が出ていると、少し嬉しいものだ。私は、昔から、アレク選手が、エンセン井上とごっちゃになるという、重病をわずらっている。アレク選手は、伊藤博之選手に勝った。

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 佐々木恭介選手と、滑川康仁選手の試合のとき、美濃輪選手が、滑川選手のセコンドで入場して来、ビックリした。しかも坊主だった(そんなことはどうでもいい)。カメラマンは、試合そっちのけで美濃輪選手の写真を撮っていた。いつかは、ぜひU−STYLEにも出てほしい。美濃輪選手は、試合中、「三分経過です」とか言っていた(当たり前だろう)。
 佐々木選手は愛媛出身なので、頑張ってほしかった。佐々木選手の頭髪には、横に溝が入っていた。鈴木選手といい、溝が流行っているのだろうか。佐々木選手の溝は、左右から入った溝が一直線につながってなく、不規則でガタガタしている。わざとなのかもしれないが、それが気になった。149ちゃんと話しあった結果、それは、ふるさと愛媛のみかんの段々畑を表現しているのだろうということになった。佐々木選手は滑川選手に負けてしまい、残念だった。

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 メインが、冨宅さん&田村選手対、上山龍紀選手&池本誠知選手の、クロスバウトだ。はじめてのクロスバウトで、最初のうちはお互い様子見な感じだったが、新鮮でおもしろかった。控えている選手は、コーナーについた紐をつかんでいて、普通のプロレスのようにカットに入ったりはしない。私は、最初のうち、「紐をつかんでいなければいけない」ということを全く理解しておらず、クッションの紐をほどいて鉄柱を露出させ、反則しようとしているのかと、本気で心配していた。紐を、もっと長く、1mくらいにして、紐をつかんだまま、カットに入れるか入れないか、ギリギリ微妙な感じにしてみたらどうだろうか(してどうするんだよ)。
 上山選手も池本選手も、昨年末、DEEPのSAEKI祭りで見たのが印象に残っている。池本選手は、SAEKI祭りでは、「イケメン」というだけの扱いだったため、そんな印象しかなかったのだが、なかなか強かった。この試合の模様の載った週刊ゴングでは、最初から最後まで、「池山」と誤植されていたが。昔のヤクルトの選手か。
 若手が頑張って、田村選手も、三つのロストポイントを取られてしまうが、そこから、田村選手の、鬼神のようなキックの逆襲がはじまって、私も149ちゃんも大興奮した。昨年のU−STYLEでは、田村選手に蹴られていたのが冨宅さんだったので、田村選手のキックをこんなに頼もしく感じるのははじめてだ。田村選手がポイントを連取し、冨宅さんも動きが良くて、上山選手からポイントを取ったのだが、そこからアンクルを取られ、タップしてしまった。冨宅さんは、田村選手の肩を借りて帰って行き、私は心配で泣きそうになった。

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 試合後、私の泊まっているホテルのある目白のファミレスで、149ちゃんとご飯を食べた。今はもうパンクラスでは見ることのできなくなった、ショートタイツとレガース、ニーパットのかっこよさを、しみじみ語りあっているうち、二人で、「日本レガース委員会」(ジャパン・レガース・アソシエーション=JLA)を発足させようと決めた。委員会の活動として何をするか、別に決めていないが、小さなことからこつこつと、レガースの復興をはかっていきたい。

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 翌日は、八時半の飛行機で帰り、十一時から仕事に出た。ホテルを出るとき、目白のみずほ銀行の向こうに、朝日が昇っていた。「冨宅さんが怪我していませんように」と、とりあえず祈ったほど、美しい朝日だった。
 羽田から直の出勤になる。わざわざ第二ターミナルまで行って、「空弁」を買った。おむすびがあまりにおいしそうだったので、お昼ご飯にと思ったのだが、「これください」と言ってから、それが二つで九百円もする、超高級おむすびだと気づいた。後悔したが、遅かった。職場の食堂で食べたが、別に普通だった。今年最後の上京は、ほろ苦いものだった。

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☆☆おまけ☆☆

 東京メトロ・後楽園駅にて。

 母さん、私のあの帽子、どうしたでせうね?
 ええ、U−STYLE後楽園ホール大会に行つた帰り、線路に落としたあの麦稈帽子ですよ
 母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
 私はあのとき、ずいぶんくやしかつた、だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
 母さん、あのとき向ふから若い駅員が来ましたつけね。
 紺の制帽と制服を着た。
 そして拾はうとしてずいぶん骨折つてくれましたつけね。  


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