第65回 松っちゃんって (04.5.26)

 98年頃から、B,zがテレビに出演したり、PVが放映されたりしたら、録画して、以前はビデオだったそれを、DVD−RWに落として、「マイ・フェイバリット・B,zスペシャル」と名づけ、一人で楽しんできたのだが、職場の女の子達が見たいというので、持って行くと、職場のデッキ(使うなよ)では再生できなかった。以前、友達に貸したときも、友達のデッキでは見ることができなかった。DVD−RWが再生できると書いてあるデッキなのにダメだ。わけがわからない。DVDとかには、よく、「録画した映像は、個人で楽しむ以外の利用は禁止」と書いてあるが、本当に、私一人で楽しむことしかできないのだ。しかたなく、我が家で、DVDから、またビデオにダビングして、職場の女の子達にあげることにした。もくじを作って持って行き、「ダビングしてほしいのにマルをつけて」と言って渡すと、見事なまでに、松本ソロ以外のタイトル全てにマルがついていた。悲しかった。
 うちの弟が、「B,zの松本って、志村けんに似とるね」と暴言を吐いたときは、私が全力で否定したが、今日、職場の女の子にも言われた。同じ系と言えば言えるが、そんなに似てないと思うのだが。以前、雨上がり宮迫が、「湘南の喫茶店のマスターにおりそうですよね」と言っていたのはうなずける。年中アロハとか着て、海辺で白い壁の喫茶店をやっていそうな顔だ。髪がパサパサな茶色で、色が黒かったりするのだ。そして、そんな喫茶店は、常連がすごく仲がよかったりするのだ。出張で遠くへ行ったら、マスターへもおみやげを買ってきたりしそうだ。「マスター、これ、おみやげ、『萩の月』(笑)」「おっ、サンキュー!いいね〜、オレ、こういうの好きよ、なんか『日本の心』ってカンジ?」とか。
 
 土曜、北朝鮮に拉致された方々の子ども達が帰国、というニュースを見た。先日上京したとき、友達の家に泊めてもらって、「ブラックワイドショー」のDVDを見せてもらったが、それに、北朝鮮事情通の教授が、いろんな北朝鮮グッズを披露するコーナーがあった。それで、北朝鮮のブラジャーがあったが、戦前?と思うようなシロモノだった。ガサガサの茶色い布で、何の飾りもついていない。帰国した子ども達の中でも、女の子は、日本の下着売り場に行ったら、さぞ驚いて喜ぶだろう。その様子を想像すると、こちらも嬉しくなり、早く、蓮池さんと地村さんが、娘を下着売り場に連れて行ってくれることを願っている。
 下着の話が続いて、はしたないが許していただきたい。二週間くらい前の「トリビア」で、タイ(?うろおぼえ)語で「勉強する」は「ブラジャー」と言う、というのがあった。そのときにタモリが、しみじみと、「ブラジャーって、カワイイよね〜。女性はいいねえ、選ぶとき、楽しいだろうね」と言っていた。隣のビビる大木は、よく理解できない顔をしていたが、さすがはタモリと言わざるを得ない。私も、あれは本当にカワイイと思う。構造上、形にあまり変化がつけられないのが、かえっていいのだろう、形が完成されている。その形が、刺繍の入れどころ、レースのつけどころ、リボンやモチーフの飾りどころ、全て心得ている感じだ。
 上で、北朝鮮のブラジャーを、戦前みたいと書いたが、もちろん本当の戦前は、日本女性もブラジャーなんかつけていなかった。うちの母が育った村では、戦後十年たっても、誰も、ブラジャーなんかつけていなかった。その頃は、お嫁入りすると、お嫁入り道具を、親戚や近所の人に公開する、というならわしがあって、ありえないことだが、箪笥の中身まで見せていたそうだ。うちの母が中学生の頃、近所に、大きな町からお嫁さんが来たのを見に行って、箪笥の中を見せてもらったら、ブラジャーが入っていて、はじめてそんなものを見た母は、帽子かと思ったそうだ。

 日曜、台所の排水管がつまって、水が流れなくなってしまった。月曜に直してもらうまで、とても困った。食器洗い機があってよかった。食器洗い機の排水ホースを、バケツにつっこんで、そこに水を捨てるようにした。それで、使う水の量が、目に見えてわかったのだが、「洗い」のとき、バケツ一杯分くらいしか使わない。「ゆすぎ」のときはもう少し多いが、その少なさにびっくりした。手洗いしたら、バケツ一杯の水で洗えるのは、お皿三枚ぐらいだろう。店頭のディスプレイのように、中が見えたらおもしろいのにと、いつも思う。食器洗い機が我が家に来たとき、中が見えないのでがっかりした。来た初日、はじめてスイッチを入れたときは、家族全員、食器洗い機の周りに集まり、別に何が見えるわけでもないのに、熱心に見ていた。猫も来て、ちょこんと座って、食器洗い機が音を立てるのをながめていた。

 月曜、母は仕事が休みで家にいたのだが、母の高校時代の友人が、電話をかけてきたそうだ。その人と母とは、四十年来のつきあいだが、家に電話をかけてくるのは、このときがはじめてだったのだ。その、はじめての電話で、「もう、サッちゃん、聞いてえや、私はもう、腹が立って、腹が立って、誰かに聞いてもらいとうて」と言って、何を言ってきたかというと、「拉致被害者の家族ムカツク」ということだったそうだ。

 昨日、庭の植木鉢の、小さなグミの木の実が、色づいているのを見つけた。もうすぐ食べられそうで、とても楽しみだ。去年の七月の日記(「なりもん」)を参照していただければ幸いだが、たくさんもらったグミの枝を、何本もさし木にしたうちの、一本だけが根づいて、実がなったのだ。とても嬉しい。ブルーベリーも、去年は三粒しかならなかったが、今年は十粒くらいは食べられそうだ。

 今日、「広島で、パラグライダーの女性、高圧線に宙づり」というニュースを見た。先月だったか、やはり広島の宮島で、ロープウェーが停止してしまい、乗客が宙づりに、というニュースを見たような気がする。ロープウェーのそういう事故は、ときどきあるが、「乗客が宙づりに」と、よくテレビで言っている。それを見るたびに思うのだが、ロープウェーというものは、正常に動いていても、「宙づり」じゃないのか。

第64回 どけどけ!! (04.5.17)

 一昨日の土曜日は、私の家から松山空港に行く途中にある「アイテムえひめ」で、闘龍門の試合があったので、行こうかと思ったが、お金もないのでやめてしまった。
 何年か前、アイテムえひめで闘龍門を見て、そのときは、まだ、アンソニー・W・森はデビューしていなかったが、今回の闘龍門は、「アンソニー・W・森 凱旋興行」と銘打たれていた。アンソニーは松山出身なのだ。ロンドンじゃなかったのか。三、四年前、愛媛新聞に、「松山出身 森さん情熱修行」というタイトルで、闘龍門のことが載っていて、「森さんは愛媛大学を三月に卒業した練習生。『銀行員志望だったが、大学二年の時には、プロレスラーと決めていた。もう後戻りできない。頑張ります』」と、コメントつきで紹介されている。この「森さん」が、アンソニーと同一人物なら、アンソニーは、私の大学の後輩というわけで、そういう意味でも応援に行かなければと思ったが、行かなかった。すまん、アンソニー。

 昨日は、私の家から電車で一駅のところにある「梅津寺(ばいしんじ)パーク」という、松山市民なら誰でも子どもの頃に一度は行ったことのある、しょぼい遊園地に、「いつもここから」が来て、入園料(200円)だけで公演が見られるというので、行こうかと思ったが、雨だったのでめんどうになってやめてしまった。本当に、出不精なので困る。治さなければと思うが、一向に治らない。休日など、家から、文字通り一歩も出ないこともある。
 私は、なぜか、「いつもここから」の公演は「小雨決行」、と、ポスターに書いてあったと思いこんでいて、「大雨だから、やってないかもしれない」などと、一人で考えていたのだが、「雨天決行」の間違いだった。小雨か大雨かの判断を誰がするのか、考えてみればわかりそうなものだ。「いつもここから」が来るということは、私の職場でも話題になっていて、「行こうかな」と言っている子も多かったのだが、今日聞いてみたら、やはり雨のため、誰も行っていなかった。恐ろしいほど客がいなかったのではないかと心配になってきた。それこそ「悲しいとき」だ。

 悲しいとき〜。言いにくい選手の名前を必死にコールしている宮田リングアナを見たとき〜。(「ジャグジット・シ〜ン〜〜!!」)
 悲しいとき〜。好きな選手の名前が、雑誌やネットに出ていたら、五回に三回は字が間違っているとき〜。(「冨宅飛駆」「富家飛駈」)
 悲しいとき〜。試合を見ていたら、後ろの席のカップルの、男の方が、「冨宅って、昔新日にいたんだぜ」などと、途方もなく間違った知識を、得意げに彼女に吹き込んでいるのが聞こえたとき〜。
 悲しいとき〜。カリスマと崇める格闘家のフィギュアが発売されたら、野口五郎かよとツッコみたくなるほど似てないとき〜。
 悲しいとき〜。「最前列五万円、パンフ・記念品つき」というチケットを無理して買ったら、その「記念品」が、明らかな売れ残りグッズだったとき〜。そして、上記のフィギュアも含まれていたとき〜。

 全く関係ないが、弟が、昨日、ペットショップで、「ナガクビガメ」を見た、と言っていた。あんなものを飼う人の気が知れない。私も、一度、水族館で見たことがあるが、こんな気持ちの悪い生き物がいるのかと思った。ご存じない方のために説明すると、首が長い亀だ(まんまだ)。首が、胴体(甲羅の部分)より長いくらいなので、甲羅に首を収納することはできないんじゃないかと思う。亀に蛇がくっついた感じだ。蛇のように鱗に覆われてなく、ぬるぬる、ぶよぶよした感じなので、一層気持ち悪い。古代の中国で、「北の神様」とされていた「玄武」(よく、古墳の石室の壁の、北側に描いてあったりする)は、亀と蛇を足したような姿だというので、こんな感じなのかもしれない。
 気持ち悪い、悪くないというのは、人それぞれだが、チンパンジーも蛇を怖がるように、本能的なものがあるのかもしれない。私は、蛇は怖くないが、カエルが怖くてたまらない。子どもの頃は平気だったのだが。その生き物を知ったばかりの頃は、平気だったのに、見慣れるほど、気持ち悪くなってくる、というのが不思議だ。ちなみに、私の中での、そういう生き物は、以下の通りだ。
 1位 カエル  2位 ミミズ 3位 森山直太郎

 どけどけ!どけどけ!轢き殺されてえのか!!どけどけ!!
 PRIDEグランプリとか武士道とか、いっぱいあって、どの大会で勝った奴が一番すごいのかわかんねえんだこの野郎!!
 この野郎!!K−1もそうだ!!
 どけどけ!どけどけ!轢き殺されてえのか!!どけどけ!!
 「最強!!○ゲイラ参戦!!!」とか煽ってんじゃねえぞこの野郎!!
 煽ってんじゃねえぞ!!どうせホジェリオの方だろう!!
 どけどけ!どけどけ!轢き殺されてえのか!!どけどけ!!
 くりぃむしちゅーの有田!「男祭り」での高田総裁とか、ピンポイントなモノマネをゴールデンでやってんじゃねえぞこの野郎!!
 ゴールデンでやってんじゃねえぞこの野郎!!
 家族皆で見てんのに、笑ってるの私だけじゃねえかこの野郎!!!この野郎!!私、一人ぼっちじゃねえか!!!

第63回 5月3日は憲法記念日だよ (04.5.5)

 建国記念日じゃないよ。
 5月3日は、私が大阪に行くのによく利用する「さんふらわあ」で、大阪プロレスの「船上プロレス」があったので、クルージングとプロレスを同時に楽しむ、お金持ち気分が味わえると思うとそそられたが、冨宅さんが出ないので行かなかった。

 長かった大型連休も今日で終わりだ。明日から仕事に行くのがイヤでたまらない。
 一ヶ月ほど前に録画した、「さんまのからくりTV」SPのビデオを、ようやく見た。ボビーとホイスの試合では、グラバカの面々がセコンドについているだけではなく、リングアナが宮田さんだったり、レフェリーが梅木君だったりしたので嬉しかった。ボビーが、素人なのに意外に頑張って、1R持ちこたえ、ホイスを流血させたりしたので、興奮するのはわかるが、応援に駆けつけたさんまちゃん達が、席から立ち上がりっぱなしだった。さんまちゃんの番組で、さんまちゃんのすることだから、許されるのだろうが、総合の試合で、前の客に立たれるほど腹の立つことはない。

 連休は、母の実家に泊まりに行った。天然の藤が、とてもキレイに咲いていた。
 母の実家がある村や、その近辺は、5月3日に春祭りがある。春祭りに行くのは久しぶりだ。神社は、母の実家から1kmくらい離れているが、見渡す限り田んぼで、建物が何もないので、村人が、神社に集まって行く様子がよく見える。我々は、あとからゆっくり行った。「にわか芝居」というものがあった。青年団の人や、保存会の人がやる短い喜劇で、落語的サゲというのか、語呂合わせのオチがつく(お地蔵さんが、金のお椀を叩いて、「かなわん、かなわん」と言うたぐい)。「おれおれ詐欺」のような、時事ネタを取り入れたものもあるが、基本的に、昔から伝わっているネタだ。その一つで、「身代わり地蔵」というのがあって、お地蔵さんを作れと依頼されたのに、納期に間に合わなかった石屋が、お地蔵さんに化けてごまかそうとしていると、水をかけられて洗われたりして、ヒドイ目に遭う、という古典だ。おばあさんに扮した青年が、「どうか、神経痛を治してつかあさい」と、お地蔵さん(石屋)の脚を撫でまわし、ついでに股間を触って、「おお、死んだじいさんを思い出すのう」などと言っていたが、そんな、アドリブの下ネタで、周囲より一際ウケて大笑いしているのは、私や、私の身内だ。
 その後、「継ぎ獅子」という伝統芸能があって、もちまきがあって終わった。「継ぎ獅子」というのは、大人の肩の上に大人が乗り、その上に、獅子頭をかぶった子どもが乗って、いろいろな芸を披露するものだ。この神社では、大人二人に子ども一人の「三継ぎ」だが、よそでは、大人三人の上に子どもが乗る、「四継ぎ」をするところもあるらしい。そんなの、怖くて見ていられない。昔、ここで継ぎ獅子を見たとき、体勢が崩れて、上の子どもが落ちたことがある。でも、周囲にたくさん人がいて、支えてくれるので大丈夫だ。今年はじめて気がついたが、どうも、獅子にはオスとメスがあるらしく、向かって左の獅子は、日本刀を抜いたりするが、右の獅子は、手鏡を見ながら、櫛でたてがみをとかすまねをしたりする。右の方がメスらしい。

 関係ないが、日本刀といえば、今日の「トリビア」で、「日本刀とピストルと、勝負したらどちらが強いか」というのをやっていて、日本刀に向かって銃を撃つと、弾が二つに割れてしまい、日本刀には刃こぼれ一つなかったのには、日本刀好きとして、本当に感動してしまった。昔、「椿自動車」という中古車屋のローカルCMが、深夜にあって、アニメで、西部劇なのだが、なぜか江戸時代の浪人が出て来て、悪者の撃つ銃の弾を、日本刀ではじき返していた。あのCMは、あながち嘘ではなかったことがわかった(嘘だよ)。
 全く関係ないが、ホッチキスに充填する、細い金属でできた、「コ」の字型のアレのことを、皆様何とお呼びでしょうか。私は、「針」と言ったり「芯」と言ったりするが、まれに「たま」と言う人がいる。銃に充填する弾からの連想かと思う。それはまあ、いいのだが、私の知っている人で、一人だけ、「虫」と言っていた人がいた。大学の先生なのだが、理由はさっぱりわからない。

 昨日も今日も、昼間は、テレビで野球を見ていた。昨日の広島阪神戦は、NHKだったので、最後まで放送してくれたが、今日は民放だったので、途中で終わってしまった。デーゲームにもかかわらず、「試合の途中ですが、ナイター中継を終了させていただきます」と、テロップが出た。テレビスタッフも連休ボケしているのか。
 連休ボケといえば、昨日の夜、巨人横浜戦を見ていると、ヒーローインタビューに、佐々木投手と、古木選手が呼ばれ、佐々木投手ほどインタビュー慣れしていない古木選手は、舞い上がって噛みまくり、挙句の果てには、5月4日であるにもかかわらず、「子どもの日に打てて、こんな嬉しいことはありません」と叫んでいた。今日が何の日かなどという、細かいことを気にしているようでは、プロ野球選手として大成しないのだろう。数年前、誰だったかは忘れたが、ある選手が、12月1日の契約更改に大遅刻して、その理由が、「今日は11月31日だと思っていた」だったのを思い出した。
 今日の阪神戦では、広島の黒田投手が頑張っていた。黒田投手は本当にイイ。黒田投手の昔のアダ名が、「黒チン」だというネタを仕入れた私は、ついでに、横山選手のことも、「横チン」と呼んでいる。「チン」というのは、「ちゃん」というニュアンスだろうが、あまり、他人の前では言わない方がいいかとも思う。

第62回 帰ってきたOSAKAスタイル part3 (04.4.27)

 昨日の朝、大阪から帰ってきた。そのまま仕事に行くのは少々疲れた。
 日曜は、大阪プロレスの試合が終わってから、なんばパークスに行った。SHALAで、絵はがきを見たが、新しいものがあまりなかったので、何も買わなかった。写真は、パークスガーデンのつつじで、日が暮れてから撮ったので、写真が暗くて申し訳ない。パークスガーデンに出ると、なんばの街並みや、電車通りが見下ろせ、暮れた空に、スイスホテルが黒々と立っている。春の、日が暮れて、夜になる直前の空が、トルコブルーというのか、独特の、時が止まったような青で、大好きだ。
 犬のショップがあるのを見つけた。去年からあったのかもしれないが、はじめて気づいた。犬の服やアクセサリー、キャリーバッグ、その他グッズいろいろ、あと、デリがある。松山には、こんな店はないので、犬用のデリをはじめて見た。犬の体にいいケーキ、ブラウニー、関西風おでん、ちらしずしなどがあった。バースデーケーキの予約も受け付けていた。これには本当に驚いた。
 「そろそろ、私も若作りをやめようか、年相応のファッション誌を立ち読み(買えないので)してみよう」と思い、VERYか何かを読んでみたとき、東京の白金の、犬と一緒に入れるカフェで、犬のバースディパーティーを開いている若奥様達が載っていて、これは世界が違うと思ったことがあるが、そんな感じだ。ちなみに、「年相応の雑誌」には、「幼稚園のお迎え服」とか、「PTAの会のときの好感度服」とかばかりで、私には何の役にも立たなかった。
 うちの猫に、何かケーキでも買って帰りたかったが、猫の「デリめし」はなかったのであきらめた。うちの猫は、異常なほど、あんこが好きだ。特にこしあんが好きで、つぶあんや、白あんは好まない。スーパーのおまんじゅうと、老舗の和菓子屋さんの生菓子とだったら、確実に、高い方を喜ぶ。別に、飼い主のひいき目ではなく、冷静に見て、うちの猫は、よその猫とはちょっと違い、本当に可愛くて、驚くほど頭が良く、品がいい。動く映像をお見せできないのが残念だ。
 特にアクシデントもなく、無事、大阪南港から帰りのフェリーに乗ったが、最後に、やらかしてしまった。疲れていたので、早々と、二等船室の四人部屋のベッドに入り、カーテンを引き、寝る体勢に入っていたところ、船が神戸に寄港して、人が乗ってきた。と、部屋に男性客が入って来たので、「女性専用ルームのはずやのに、おかしいなあ、この人、部屋を間違えとるんやないやろか」と思っていたところ、女性係員の方が、私のベッドにやってきて、遠慮がちに、「あの、お客様?恐れ入りますが、切符を見せていただけますか」。そう、私が部屋を間違えていたのだ。逃げるように部屋を出たが、こんなに恥ずかしいことはなかった。

 全く関係ないが、以前の日記で、「白い巨塔」の原作を買おうか迷っている、ということを書いたが、買うことを決意して、職場でそう言ったところ、「もうちょっと待ったら、ドラマ見て本買うた人が、古本屋に売るんやないん」と、賢明なアドバイスをいただいたので、古本屋に行ったところ、一巻を見つけたので買った。一巻を読み終える頃、古本屋で二巻をさがしたが、見つからず、我慢できずに、二巻は新品を買ってしまった。やはり、60年代の作品なので、先月まで放送していた「巨塔」とは、ずいぶんイメージが違う。先週見た古い映画の方が、やはり原作のイメージに近い。前回書きそびれたが、その古い映画は、時間の制約からか、全編描ききれておらず、こともあろうに、財前が、金の力で教授戦に勝ったのち、医療過誤裁判を起こされるが一審で勝ち、医師としての良心に従って裁判で証言した里見先生が大学を追われるところで終わっている。里見先生が、やりきれない表情で大学の建物を見上げるところで、「完」と、でかい文字が出るのだが、「金の力は強い!以上!!」という感じで、非常に後味が悪かった。
 本を読んでいても、「アメージング・グレース」が、頭の中で鳴り響き、部屋で一人のときなど、知らず知らず、「ア〜メ〜ジン〜グレース〜♪ハニャフェ〜〜ハニャハニャ〜〜♪」と、うろ覚えにも程がある鼻歌を歌っている。うろ覚えと言えば、最近の「セシール」のCMでは、昔あった、フランス語か何かのセリフが復活したが、あれが、「セシ〜ル〜。イヨンセフォンコンフィヨンセソメモン」と聞こえる。別に、だからどうだとかいうわけではないのだが。

 大阪に行く前日、ありったけの勇気をふりしぼって、徒歩三分の、近所の歯医者に行った。右上の歯茎が、一昨年の夏頃から少し腫れていて、一昨年の年末、同じ歯医者で診てもらい、薬をもらい、「これで治らなければ、切開しなくては」と言われたのが怖くてたまらず、それっきり行っていなかった。腫れは薬でおさまったものの、完全に治ったわけではなく、肩がこったり、疲れたりすると腫れてくる。今回も、とりあえず薬をもらったが、いよいよ切らなくてはいけないかもしれない。
 以前、痛みに弱い体質だということを書いたが、本当に、あきれるほど弱い。精神的なものだろうが、出血にも弱い。16日に、職場で健康診断があり、午後から行こうと思って、お昼を食べに食堂に行くと、皆は、午前中にすませていて、「ご飯食べる前やったら、血糖値はかってくれるよ」とアドバイスしてくれたので、血液検査だけ、先にすませておくことにした。
 数年前、微熱が続いて、日赤病院に検査に行ったとき、血液検査で血をとったところ、血を見て気分が悪くなってしまった。そのあと、レントゲンを撮ることになっていたが、冷汗が出て、レントゲン室までたどりつけず、途中の外来の椅子で横になっていたことがあるので、今回も少し不安だったが、まあ大丈夫だろうと思って血をとってもらうと、また気分が悪くなってきた。フラフラしながら食堂に戻ると、皆が心配してくれた。血を見ると、気持ちが悪くなることを説明して、休んでいると、皆、私があまりにも青い顔をしているので、一番聞きたいことを、聞かずに辛抱していたらしいのだが、ついに、一人の女の子が、我慢しきれずに、
「でも、何で、プロレスは大丈夫なん?」
と聞いた。それは、自分でもわからない、本当に不思議だ。

第61回 牡丹と薔薇はどちらが綺麗 (04.4.23)

 ずっと、お花の話題が続いているので、一応「花つながり」を意識して、「牡丹と薔薇」完結編を見ながら、これを書いている。元は昼メロだから、もちろん見たことはないが、職場の食堂でお昼を一緒にする人達の中で話題になっていたので、見ると、すごかった。「真珠夫人」の「たわしコロッケ」に続く、あの「財布ステーキ」(値札つき)は、どんな方向性のギャグなんだろう。最近、こういう、古いドラマっぽい、大時代なものがはやるのだろうか。「昔のドラマの方がおもしろかった」という声はよく聞くが、「昔っぽいドラマの方がおもしろい」ということではないと思うのだが。
 この前の日曜の昼、昔の「白い巨塔」の映画(白黒)があったので見た。先月までやっていた「巨塔」で、石坂浩二が演じた東教授を、初代黄門様こと東野英治郎が演じていたりして、「黄門だ、黄門だ」と思うとおもしろかった。主人公の財前は、四十歳そこそこという設定なのだが、昔の四十歳に比べれば、今の四十歳の、何と若いことか。里見助教授は、先月の「巨塔」では、江口洋介が演じていたが、この古い映画では、田村高広が演じていた。それを、母に言うと、なぜだか勝ち誇ったように、「そりゃあ、江口とは重みが違わいね」と言っていた。年配の人は、よくこういうことを言う。

 一昨日の水曜日の「トリビア」で、「中学生が、教科書の写真や絵に書く落書きで、最も多いのは」というテーマを調べていて、一位は「吹き出し」(セリフを書き加える)で、これは私的には意外だった。一位は、もっと単純なもの(鼻毛とか)だと思ったのだが、最近の中学生はあなどれない。例として出される落書きが、どれも死ぬほどおもしろく、笑いすぎて涙が流れた。正確なことはよくおぼえていないが、十位は、「額に肉マーク」だったような気がする。それは、私もよく、森鴎外や芥川龍之介の写真に書いていたが、最近の中学生も、キン肉マンを知っているのか。私の母世代になると、これを知らず、テレビを見ながら、「これ、何なん」と不思議がっていた。関係ないが、テリーマンは、どうして額に「米」マークなんだ。漢字なんだけど。
 先週の「トリビア」では、「ファーブルは、鳥を殺してストレス解消していた」というのがあり、平松伸二先生が、銃をぶっぱなすファーブルの絵を描いておられた。平松先生といえば、パンクラスファンとして有名だが、数年前、パンクラス後援会の忘年会でご一緒させていただき、大感激した私は、小さい頃、「ブラック・エンジェルズ」のファンだったことを告白した。平松先生は、穏やかで優しい方で、私が、小さい頃、自転車のスポークを拾ってきて、台所の砥石で、長時間研いでとがらせ、魚などを突き刺して、「地獄に落ちろ〜」と、「ブラック・エンジェルズ」ごっこをして遊んでいた、と言うと、すっかり引いてしまわれ、「君、怖い人だね」とおっしゃった。それでも、そんな私を差別することなく、数日後、サインとイラストを入れた「ブラック・エンジェルズ」や「ドーベルマン刑事」の単行本を送ってくださり、私を大感動させた。その本は、今でも宝物にしている。

 今週は、格闘家の出演するバラエティー番組をよく見たような気がする。日曜の「からくりテレビ」では、先々週のスペシャルで実現した、外語学院の黒人ボビー(素人)対ホイス・グレイシーの試合の、その後の模様が流された。先々週のスペシャルは、私は録画したが、まだ見ていない。ボビーのセコンドに、グラバカの三崎選手がついていたことだけは確認できた。
 火曜は、「黄金筋肉」の、「バトル相撲」を見た。その「バトル相撲」にも、水曜の「ヘキサゴン・K−1戦士大会」にも、ボブ・サップが出ていた。昨年頃は、「またサップがテレビに出てる、練習してないんじゃないか」等の批判も聞こえてきたが、もはや、サップの出ているテレビ風景は当たり前になり、見ても何とも思わなくなった。角田や武蔵を見ても何とも思わないのと同じだ。
 「バトル相撲」を見たのは、成瀬が出ていたからだ。新日本プロレス長浜大会に、冨宅さんを見に行って、長井と成瀬の繰り広げる、「長井・成瀬劇場」を目撃して以来、気になって仕方がない。新日のすみっこの方で続いているこの劇場に、異常に注目しているのが週刊ゴングで、企画として、「長井・成瀬劇場 ねこたま編」というものまでやっていた。長井を更正させて、魔界倶楽部から足を洗わせるため、成瀬が長井を接待する、という企画で、可愛い猫で長井の心を癒そうと、二人でねこたまに行き、ソフトクリームを食べたり、猫と遊んだりしていた。こういうくだらない企画が、また、異常に私のツボに入るので、最近では、この劇場の続き見たさにゴングを買ってしまったりする。

 週刊プロレスと週刊ゴングと、両方買うことは財政的に苦しいので、冨宅さんの試合が載っていれば、冨宅さんの扱いの大きい方を買うのだが、それのないときは、グッとくる記事の多い方を買う。先月、ゴングに、有名選手のデビュー当時のコスチュームを紹介する企画があり、近藤選手が出ていたので買った。近藤選手のデビュー当時は、今のようにスパッツ全盛期ではなく、皆ショートタイツだったのだが、近藤選手のコメントによると、「今考えたら、ありえない格好」だというので、意外だった。当時は、ショートタイツにレガース、というのが本当にかっこよく、近藤選手がはじめて、一分丈のタイツをはいたとき、私や私の友達は、似合わないと思ったのだが。コメントによると、今考えれば、とにかく、パンツが小さすぎると感じるらしく、「あの格好で、リング上で股開いたりして、恥ずかしい」と言っていた。パンクラスは、特に、他団体(全日とか、全日とか)に比べて、パンツが小さかったので、そう言われれば、確かにそうなのだが、それが当たり前だったので、当時は何も感じなかった。ビーチバレーでも、海に入らないのだから、水着でやる必要はないのに、水着が当たり前になっているから、特に何も感じない。ただ、ビーチバレーの場合は、確信犯で、「テレビ映り」を考慮しているらしく、女子選手のパンツの横の幅は、7cm以下と決まっているらしい。どんな競技だよ。
 近藤選手のように、「今考えれば、ありえない、恥ずかしい」と感じるのは、私の場合、高校時代のブルマだ。小学生でも、ショートパンツが当たり前になっている今、あれは、本当にありえない。よく、運動場の金網の外に、近所の怪しいオヤジが来て、体育の授業を見ていたりしたが、そりゃ見るだろう。それでも、私が高校生だった頃は、それが当たり前だったので、ブルマ姿で、校内はもちろん、学校周辺をマラソンしたりしても、何とも感じなかった。おおらかなのか、危険なのか、よくわからない時代だった。私の大学時代の学友の友達は、病気で留年してしまい、高校を、五年かけて卒業したらしいのだが、一番つらかったのは、「二十歳なのに、ブルマはかないといけないこと」だったらしい。それは、当時としてもキツい、本当に、心から同情する。

第60回 飛ぶ夢を全く見ない (04.4.13)

 一昨日、埼玉県越谷市であった冨宅さんの試合を見に行って、昨日、松山に帰ってきた。東京の桜は、葉桜になっていたが、八重桜がきれいだった。写真は、水道橋の八重桜で、後ろの窓は東京ドームホテル。バッグを道端に置いて、撮影に夢中になっていると、知らないおじいさんが、「そんなことしてたら、バッグひったくられちゃうよ」と注意してくれた。ひったくられなくてよかった。飛行機の切符や携帯までなくなってしまったら、山手線で財布をすられた弟よりも悲惨なことになってしまう。

 昨日は、友達と、西麻布にある、パンクラスコミッショナー・持田さんの経営するイタリアンレストランでお昼を食べ、それから六本木ヒルズに行った。その途中、道端で、横浜の佐々木投手を目撃した。私は、常にボーッとしていて、あさっての方向を見ているせいか、有名人と遭遇して、一緒にいる友達は皆気づいているのに、私だけが見ていないことが多く、今回、生まれてはじめて、「街中で有名人を見る」という体験をした。家に帰ってから、そのことを母に報告すると、「何で佐々木が道端におるん」と言っていたが、佐々木だって道ぐらい歩くだろう。道ぐらい歩かせてやれよという気もする。佐々木投手は、とてもかっこよかった。私は横浜ファンではないのに、今度から、佐々木投手に思い入れを持って見てしまいそうな気がする。一昨年の夏、松山で、プロ野球オールスターゲームが開催されたとき、うちの母は、東京から呼んだ講師の先生を見送りに松山空港に行って、空港で、清原、高橋由伸など、巨人の選手を目撃した。うちの家族は、全員、巨人が嫌いで、母は特に清原が嫌いだったのだが、その一件以来、「清原からはオーラが出ていた」と主張し、オールスターゲームの売店で、清原のうちわを買っていた。子が子なら親も親だ。

 六本木ヒルズは、とても広くてきれいだった。回転扉事件以来、「六本木ヒルズに行く」と私が言うと、友達や家族は、十人いたら十人とも、「はさまったらいかんよ」と注意してくれたが、今は回転扉は全て閉鎖されているので大丈夫だ。私も、回転扉は苦手で、タイミングがあわなくて入れなかったり、出られなかったりして、いつもヒヤヒヤする。二月に天王寺動物園に行ったことを以前に書いたが、古い動物園や遊園地の出口も、よく、回転式になっている。鉄の棒が櫛の歯のようになっているのを、押して回る奴だ。あれは、回っているとき、檻に入ったような感じがして、好きなのだが、天王寺動物園で、子どもをはさみそうになった。子どもがふざけているのに気づかなかったためだが、まろぱぱさんが止めてくれなかったら、加害者になるところだった。
 ついでにテレビ朝日に行き、「ロンドンハーツ」の、素人カップルが温泉に入って秘密をぶっちゃけるコーナー「カミングアウト温泉」にちなんだ、「カミングアウト温泉に行ってきましたまんじゅう」などという、くだらないものをおみやげに買う。おみやげといえば、羽田空港で、友達に、東京限定のキティちゃんを買おうと思ったのだが、見つけられなかった。理由はわからないが、北海道限定のキティちゃんが、鬼のようにたくさんあった。ラベンダーキティ、クリオネキティ、キタキツネキティ、うさぎキティ、えぞしかキティなどはいいが、まりもキティ、じゃがいもキティ、ホタテキティ、イカキティ、カニキティ、ウニキティなどもある。ウニキティは、キティちゃんの頭部が、バフンウニのような、真っ黒なブツブツになっている。大仏か。友達には、クリオネキティが、天使のようで可愛かったので買い、自分用には、「東京限定・ハチ公カトちゃん」を買った。
 職場へのおみやげは、「東京ばな奈」にした。月並みすぎるほど月並みだが、「あれが好き」という人は、意外に多い。昔、羽田のカウンターで手荷物を預けるとき、「シュークリームなどの、壊れやすいものは入っていませんか」と聞かれたことが忘れられない。そのカウンターの正面に、「ヒロタ」の店があったとは言え、何でシュークリームなんだよ。今でこそ、自分で適当に判断しているが、昔、まだ飛行機に慣れなかった頃は、「機内持ち込みできる荷物は、お一人様一個まで」という注意を、まともに信じ、大阪で買ったサボテンの鉢植えを、伊丹空港のカウンターで預けようとして、空港職員の方に、「これは持って入ってください」と、柔らかな笑顔で断られたこともある。

 飛行機に乗るのは好きだが、乗っている最中、ふと、この足の下は、何もない空だということに気づいてしまうと、怖くなるので、考えないことにしている。私の家から、松山空港はさほど遠くなく、よく、夕方など、薄暮の空を、翼の灯を点滅させながら、飛行機が飛び立つのが小さく見える。自分が飛行機に乗っているときは、「自分の乗っているコレも、地上から見たら、あんなに小さく見えている」ということが、どうにも信じられない。
 飛行機で上京するときは、東京に行ってからのことで頭がいっぱいなので、あまり意識しないが、飛行機で松山に帰ると、時間と空間の感覚に、妙な違和感がある。船やバスで、海面や地上を這って移動したときにはない感覚だ。東京から帰った夜、ベッドに入るとき、その日のお昼は、確かに六本木にいたのに、それが昨日のことのような気がする。昨日のことは、一昨日のことのような気がする。東京から松山の距離を、一時間と少しで一気に飛びこえてきても、体は距離を感じているのかなあと思う。不思議だ。

第59回 本気と書いてマジと読む (04.4.5)

 一昨日、友達と、松山城のお堀にお花見に行った。満開だが、少しつぼみもあって、今が一番いい。昨日は、叔母と従妹が遊びに来る予定になっていたが、なかなか来なかったので、近所を散策した。公園を二つ回り、海まで足を伸ばし、狭い湾を隔てた隣町に行く渡し舟をながめた。足元に波が打ち寄せる音しか聞こえず、のどかで、ずっと海と舟を見ていたかったが、この渡し舟は、不定期で、客が来たら乗せるという体制なので、あまり見ていて客だと思われては困るので、早々に立ち去った(写真は、近所の桃畑)。

 私が散歩から帰ると、叔母と従妹も来ていて、夕方からのセンバツの決勝を、皆で見た。愛媛代表の済美高校が、決勝に残っていたからだが、正直、ここまで来るとは思わなかった。済美は、つい二年前まで女子高だったが、少子化の折から共学になり、野球部は創部二年で、今回初出場を果たした。古豪の松山商業のように、根強いファンが多いわけでもないので、大会前は、地元の松山も今ひとつ盛り上がりに欠けた。まだ、21世紀枠で出場した八幡浜高校の方が、地元は盛り上がっていたらしい。八幡浜高校は一回戦で負けたが、あかぬけない応援ぶりが好感を持たれたのか、「最優秀応援賞」を獲得して、よかったと思った。済美高校も、準々決勝で、東北高校に逆転サヨナラ勝ちした頃から、大変なことになってきた。ちなみにうちの母は、東北高校のダルビッシュ投手のことを、ガルベスと言う。それは昔巨人にいた外人なのだが。

 昨日の決勝では、六点を取ったものの、一点差まで追いつかれ、九回の裏になると、怖くて見ていられなくなった。なので、逃避して、巨人阪神戦を見ていたが、全員気もそぞろで、プロ野球なんか頭に入らず、それなのに、誰かが教育テレビに戻すと、「やめてやーー」と半ギレするという、異様な雰囲気になっていた。ニュース速報が入り、済美高校が優勝したことがわかると、皆安心して、高校野球中継に戻ったのだった。赤の他人が、よその子のやっている野球を見るだけでこんなに緊張するのだから、選手の親兄弟の気持ちはどんなだろう。うちの母は、よせばいいのに、今日、「たまたま近くまで行った」などと言い訳をしながら、母校に凱旋してきた済美高校ナインを見に行ったらしい。私も、松山商業が夏の甲子園で優勝したとき、NHK松山に来たのを見に行ったことがあるが、子が子なら親も親だ。
 優勝は、本当におめでたいことだが、済美高校の校歌には度肝を抜かれた。創立百周年記念で新しく作ったらしいが、「『やればできる』は魔法の合言葉」ときた。「今 済美(ここ)にいるから出会えたね」だと。「さいび」と書いて「ここ」と読むか。「あの娘」と書いて「あのこ」「あの女性」と書いて「あのひと」と読むようなものか。松山商業の校歌とはずいぶん違う。こちらの方は物堅く、「石鎚(せきてつ)の山 伊予の海 金亀城頭 春深く」と、漢字ばかりだ。ということを、友達と話していて、自分達が、自分の高校の校歌は全く忘れていることに気づいて愕然とした。

 あまり関係ないが、ヤンキースの松井選手だが、今頃になって、国民的ヒーローに、改めてしみじみと言うのも何だが、ちょっとありえないほどブサイクだ。選手という、ある分野に秀でて輝いている人は、七割増しでかっこよく見えるので、顔が十人並み、あるいは平均点少し切るくらいでも、十分かっこよく見えるはずだが、ヤンキースの選手なのに、ちゃんとブサイクに見える松井は、ある意味すごいと思う。それでも、最近、あの顔だから、逆にいいのだという気がしてきた。ベッカムのような顔だったら、かっこよすぎて、見る側に温かい親しみがわかず、老若男女、幅広い人気は獲得できず、週刊誌にはヤッカミ半分でいろいろ書かれ、今ほど多くのCMに出演することはなかったかもしれない。松井選手のブサイク度は、高校時代がピークで、それから徐々にマシになってきた。高校時代は、また、あの、クリーム色の星陵高校のユニフォームが、気持ち悪いほど似合わず、明徳義塾戦で、五打席連続敬遠されても、あの気持ち悪さでは仕方ないと思わせた。亡くなった祖母は、いくら教えても、松井選手の名前がおぼえられず、「あの、顔のブツブツの子」と言っていた。そのネタを書いて、週刊ベースボールの作文欄に採用されたことも、今となっては懐かしい思い出だ。その作文には、編集部がイラストをつけていたが、よほど私の作文が幼稚だったのだろう、祖母はともかく、私は、少女のように描かれていた。もう大人だったのに。

 今日は、「HEY×3 ミュージックチャンプスペシャル」に、B,zの松本さんが出演するのを見た。お茶のお稽古を休んで、DVDに録画しようと、七時から待ちかまえていたが、松本さんが出演したのは九時半だった。松本さんは、スタジオには来ておらず、横浜からの中継だったので、ダウンタウンとのカラミはあまりなく、異様にテンションの低い松本さんに、浜ちゃんが「機嫌悪いんですか」と聞いた程度だった。がっかりだ。がっかりと言えば、私は、この出演のことをメルマガで知ったが、よく読んでいなかったため、B,zとして出演すると信じて、職場でそう言ってしまった。よく読んでみれば、B,zではなく、TMGだったので、稲葉の出演はないわけで、そう訂正したところ、職場の女の子は意気消沈してしまった。ぬか喜びさせてしまって、本当に悪いことをしてしまった。て言うか、「ぬか喜び」という言葉自体、松本さんに失礼なので、怒っていいところかもしれないんだが。

第58回 食堂危機一髪 (04.4.1)

 今日から、はや四月だ。一〜三月のすぎるのが早いことを言うのに、「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る」と言うが、亡くなった祖母は、「三月は提げて走る」と言っていた。その方が実感が出ているので好きだ。
 今日は、仕事のあと、母と、道後で落ち合った。道後は温泉が有名だが、公園もあり、中世の武家屋敷が復元されていたりする。県が管理する公園では、飲酒したり、火を使ったりすることは普通禁止だが、ここはなぜか、全てが無礼講だ。花見の場所は予約制で、それでお金を取るのも、公共の公園としてどうなのかと思うが、たくさんの人が、すでにできあがって、赤い顔で、七輪で焼肉をしていた。桜がとてもきれいだった。桜は本当にいい。うかれるのもわかる気がする。
 11日には上京する予定だが、東京の方が桜は早いので、もう散ってしまっているだろう。去年も早かったが、今年も桜が早くて困ったものだ。一昨年の春だったか、パンクラスを見に上京して、半蔵門のホテルに泊まったとき、イギリス大使館や、千鳥が渕が近くにあって、桜が本当にきれいだったことが忘れられない。夜、一人で、桜に誘われてふらついた。私はなぜか、「イギリス大使館の庭には、桜を見たい人は誰でも入れてもらえる」と思い込んで、門まで行ったが、当然開けてもらえなかった。この、テロ警戒時代に、何でそんなことを思い込んでいたのかは不明だ。

 先日、職場の、使われていない机の引き出しを整理していて、自衛隊オリジナルマウスパッドを見つけた。二頭身のカワイイキャラクター(男の子と女の子)が戦車に乗って、大砲をぶっぱなしているイラストが描いてある。喜んで職場で使っていたのだが、職場の女の子に聞くと、以前に仕事で関わった自衛隊の方が、自衛隊オリジナルグッズを持ってきて配ってくれたが、興味がないので使っていないとのこと。私が、非常に興味を示して見たがるので、皆、机の中で眠っていたグッズを探し出してくれた。マウスパッド、クリアホルダー、携帯ストラップ、シールが発見された。自衛隊がこんなものを作っているとは驚きだった。マウスパッドやシール、携帯ストラップに使われているキャラクターは、「ピクルス王子」と「パセリちゃん」というらしい(クリアホルダーだけキャラクターが違い、イラストでなくCGで、「まもるくん」「みらいちゃん」という)。ピクルス王子は、何で、王子なのに自衛隊に入隊しているのかは不明だ。各自、防衛庁のホームページにアクセスして確かめてほしいが、これらのグッズは少し古いものなので、今は使われていないかもしれない。
 警視庁の「ピーポくん」にしてもそうだが、こういう「ゆるキャラ」(byみうらじゅん)が大好きだ。警視庁や防衛庁のような、堅いところが出しているほどおもしろい。一般庶民に少しでも親しみを持ってもらおうという意図で出されるのだろうが、カワイイはずのキャラクターも、そんなにカワイくないし、意図が空回りしている悲しいところ、それと、長い会議を経てキャラクターが決まり、折衝の末予算が配分され、グッズ一つ作るにもたくさんの書類、そういう状況を想像するのが好きだ。シールの台紙の裏には、「部隊見学へどうぞ ぜひ、おいでください。部隊見学についてのお問い合わせは、最寄りの自衛隊地方連絡部または、部隊の広報窓口まで。 防衛庁長官官房広報課 ピクルス係」と書いてある。せっかく、希望に燃えて必死に勉強して防衛庁にまで入って、「ピクルス係」なんて係に配属された人はたまるまい。ぜひおいでくださいと言われても、「最寄りの部隊」なんて、部隊が最寄っている地方に住んでいる人はなかなか大変だろうな。

 私の働いている銀行のイメージキャラクターが、カリメロだということは以前に書いたが、銀行内で「カリメロ」と聞くだけでツボに入ってしまうのも、銀行という堅いイメージと、カリメロとのギャップだ。以前、某支店に、カリメロとプリシラの着ぐるみを貸し出したとき、着ぐるみの返却方法についての電話が、その支店の、中年の男性からかかって来、だいたい、銀行内で、いい年をした大人同士がカリメロの話をしているだけでもおかしいのに、その男性が、普通に、「プリシラとカリメラのことなんやけど」と言う。カリメラ!笑いをこらえていると、「はい」と応える声も裏返ってしまった。
 銀行では、お昼を外食することは禁止されているし、お金もないので、私はいつも、お弁当を作って持って行っている。節約のために、お茶も家でわかして、ペットボトルに入れて持って行く生活だ。そのペットは、ドラッグストアで、安くなっているお茶を買うのだが、「後で、自分でわかしたお茶をつめる」ということまで考えて選ぶところがとても悲しい。自分でわかしたお茶をつめているということを、聞かれれば隠しはしないが、あまりにも、一目見てバレバレなのも恥ずかしいので、ペットのお茶も、爽健美茶のように、帯状にラベルが巻いてあるものよりも、十六茶のように、ラベルが全体を覆っている方が良い。中身の色がちょっと違うのを隠してくれるし、お茶っ葉が混入しても見えないからだ。自分でお茶をわかすときも、紅茶をごく薄くいれたり、ウーロン茶にしてみたりと、少しでも元のお茶色に近づける努力をしている夜、ふと、「私、何やりよるんやろう」という疑問にかられたりもするが、お茶でも毎日買えば、一ヶ月で、大阪プロレスデルアリ大会のチケット代くらいはかかるのだから、これは大きいと思う。
 お茶の話が長くなったが、言いたかったのはお弁当のことで、社員食堂があるのだが、持込OKなので、そこで食べる。食堂のメニューというのが、明らかにオヤジ向きで、量は多いが、「ラーメン+おにぎり」というような、炭水化物+炭水化物みたいな、栄養のバランスもへったくれもないものばかりだ。それはいい、値段が高いのもいいとしても、食中毒が多いのが困りものだ。慣れている人は、注文したものを受け取ると、まずニオイをかいで、「これは大丈夫そうじゃ」「これはやめとこ」と、自分の身は自分で守る努力をしている。先日、役員の方に出した冷奴が、異臭を放っていたときは、さすがに大きな問題になったらしいが、そのときに厨房にあった豆腐が回収され、全て捨てられたのかと思いきや、とりあえず火を通して、翌日の定食の麻婆豆腐になっていたところからすると、反省の色は見えない。この分では、頭取が食中毒にでもならない限り、改まるまい。銀行も、何かと大変な時代の波にさらされている昨今、こんなところで、毎日スリルは味わいたくないものだ。
 


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