04.4.25 デルアリ大会

 話は、少しさかのぼるが、昨年11月のIMPホール大会で、福田ユタカ選手が、80年代なジャケットと帽子を着用していたことは、このサイトでも注目して、観戦記に書いた。そのジャケットと帽子は、各方面で物議をかもしたらしいが、大阪プロレスFC会報によると、ユタカ選手が、お世話になったFさん(会報では実名)に、「これを着てくれ」と、プレゼントされたものらしい。「着てくれ」と言われたら何でも着るのか、と、インタビュアーにツッこまれていたが、それが元で、冗談から駒というか、アイドル路線が定着したのだから、人生とは夢のようなものだ。だからおもしろい(by由紀さおり)。
 そのジャケットは、いつしか「幻のアイドルガウン」と呼ばれるようになったが、村浜選手が、無理矢理着せられそうになって、いやがって逃亡したり、QUALLT選手が、奪って身につけて、「大王“アイドル”QUALLT」として登場したりと、それを着た者は、「ハッとしてGOOD」で入場して、80年代アイドルとして試合をしなければならないという、呪いのアイテムになりつつある。私は、一度でいいからアイドルユタカを見てみたい、と思いながら、今まで見られずに来たが、大阪プロ公式サイトで、「次週、アイドルガウンに新たな危機が!?」と書かれていた、その「次週」、冨宅さんが、ユタカ選手と対戦するのだった。これは行かなければ。急いで、高速バスとフェリーの切符を買った。

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 私は、土曜夜にデルアリで行なわれる「サタデーナイトストーリー」か、大会場の「大阪プロレス物語」しか行ったことがなかったので、日・祝日の昼にデルアリで行なわれる「ホリデーパラダイス」に行くのは、これがはじめてだ。早朝、高速バスで松山を出発し、正午すぎに梅田に着いて、地下鉄でデルアリに行った。着いたらすぐ開場だった。慌てて当日券を買い、整理券をもらう。一人だったので、すんなり、もぐりこむ場所を見つけて座り、敷物をしいて、席を確保しておいてから、隣のモスバーガーで昼食をとる。最近、ずいぶんデルアリ慣れしてきた自分を感じる。
 試合開始時、入場式があったが、冨宅さんや、岸和田愚連隊は参加していない。えべっさんの挨拶があり、先週のホリパラで「僕達が、遠い星から来た宇宙人だということがバレてしまいました。今日は、悪のデルフィン軍団を壊滅するために闘います!」と、悲壮な決意を表明した。写真ではわかりづらいが、村浜選手の肩が、妙に張っているのが気になる。もう、下に着ているのか(何を?)。早すぎないか。他のメンバーは誰も着てないのに。
 第一試合は、QUALLT選手、Gamma選手、的場選手の、3WAYマッチだった。QUALLT選手は、コスチュームがパンパンで、元気ではちきれそうだなあと、間近で見るといつも思う。QUALLT選手のお腹を見ていると、駄菓子屋にある、ゴムで包んだようかんの玉(つまようじで突くと、つるっと皮がむけるやつ)を連想する。愚連隊なのに、お笑いもやるところがおもしろい。この試合では、Gamma選手と的場選手を二人まとめてフォールしたが、Gamma選手が的場選手の上に乗っていたので、Gamma選手の勝利になった。
 第二試合は、ビリーケン・キッド選手と、ブラックバファロー選手の試合。バファロー選手は、いつものように、場外で反則をくりかえす。最近、ずいぶん場外乱闘慣れしてきた自分を感じる。バファロー選手は、観客の、「ビリー頑張れ!!」の声が気に入らないらしく、「ビリー頑張れえ〜〜」と、憎憎しげに言いながら、観客の靴袋を奪って、ビリー選手を殴打。はずみで靴が、袋からこぼれて、リング上に片方だけ残っていた。ビリー選手が、一瞬の隙をついて、丸めこんで勝った。

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 休憩前の第三試合が、冨宅さんと、ユタカ選手の試合だった。試合前、映像が流れた。冨宅さんが、デルアリのすみっこのベンチで雑誌を読んでいると、「幻のアイドルガウン」を抱えた的場選手が通りかかった。先週、QUALLT選手にガウンを奪われたことを悔やむ的場選手は、「これからは気をつけて、もう、絶対、盗られたりしないぞ」と、自分に言い聞かせていたが、先輩選手に呼ばれて、慌てて走って行く。ベンチにガウンを置きながら、冨宅さんに、「これ、見ててください」と頼むと、冨宅さんは快く了承した。
 冨宅さんは、そのガウンを、チラチラ見ていたが、やがて、取り上げて広げて見、
「それにしても、こんなん、よう着るなあ・・おれやったら、金貰っても着たないな」
と、つぶやいた。するとそこに、えべっさんが通りかかり、ガウンを抱えた冨宅さんを見て、
えべっさん「あっ・・」
冨宅さん「えっ・・」
えべ「冨宅さん、それは・・」
冨「いや、あの・・」
えべ「・・冨宅さん、そうだったんですか!」
冨「いやいや、違う、これは、的場選手に・・」
えべ「言わないでください、わかります、UWF出身者として、やりたくてもやりたいと言えないその気持ち」
冨「いやいやいや、違う違う」
えべ「わかりました、全て僕に任せて下さい!社長!!社長ぉぉ〜〜!!」
と、叫びながら走り去るえべっさん。後に残された冨宅さんは、呆然としていたが、
「・・鈴木さんに何て言おう・・」
と、つぶやいた。
 映像が終わると、チカコ&ユタカのアイドルユニットが入場してきた。アイドルユタカをはじめて見られて嬉しかった。いまだに大阪プロレスのチケットやポスターに印刷されている、昔の、短髪のユタカ選手の写真、そろそろ更新してあげればどうか。ほぼ別人なんだが。白鳥智香子さんは、キレイでとても細かった。
 リングアナの方が、「パンクラス・アイドルミッション所属」と、知らない間にできた新部門の名を読み上げ、アイドルタカク選手の入場を告げると、「ハッとしてGOOD」が流れ、そこには、悪夢のような光景が。リングアナの方は、「こんなの、P,s LABの生徒達には絶対見せられない」とも言っていたが、全くその通りだ。几帳面な冨宅さんらしく、アイドルガウンを脱ぐと、ちゃんとハンガーにかけていた(写真参照)。
 私も今の今まで忘れていたが、冨宅さんが、大阪プロレスに初参戦したとき、相手はこのユタカ選手だったのだが、そのとき(昨年9月15日)に比べて、この、あまりの絵ヅラの違いは何だろう。冨宅さんのコスチュームは、一体誰が作ったのだろう。大阪プロでアイドル路線を言う際、いつも、「80年代風」と言っているので、ここでも便宜上そう言っているが、これは、決して80年代風ではないような気がする。80年代風というのは、タッキー&翼のような、「ちょい古めアイドル路線」ではないのか。何かが根本的に間違っている気がするが、この場に身を置いていると、そんなことはどうでもよくなるのが不思議だ。
 冨宅さんが、ユタカ選手を攻めたてると、ユタカ選手は、マイクを取り、
「冨宅さん、ちっともアイドルじゃないじゃないですか!お客さんは、そんな冨宅さんが見たいんじゃない!!」
と訴えた。が、その後も冨宅さんは、アイドル的な動きを取り入れながらも、ユタカ選手を蹴りまくったので、ユタカ選手は場外に逃げ、「もう無理、もう無理」と、弱音を吐く。チカコが叱咤激励しても駄目で、逆にチカコに頼るので、白鳥智香子VS冨宅飛駈という、夢の顔合わせが実現したが、チカコを振り払った冨宅さんの手が、胸に触れたとか触れないとか、極めて低次元な争いになる。
 ユタカ選手は、冨宅さんの、アイドルにとっては命である顔を攻め、「顔はやめてぇぇ〜〜!!」という、女性ファン(私)の悲鳴が、デルアリに響いた。最後は、客の女の子をナンパしたユタカ選手にキレたチカコが、ユタカ選手にスイングDDTを決め、冨宅さんが、「アイドル片エビ固め」で勝った。
 ユタカ選手は、チカコに謝り、「もう、酒もタバコもやらない。ナンパも控えめにする」と誓う。そして、客に向かって、
「これからも、僕達の、偽りの愛を見守ってください」と言った。偽りなのかよ。そんなもん見守りたくないよ。冨宅さんは、試合後、
「UWFに入門して、苦節、いや、屈折15年、ようやくアイドルになれたと思ったのに、おまえら、結局それか」
と、捨て台詞を吐いて帰ってしまったが、それも道理だ。

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 セミは、ツバサ選手・タイガースマスク選手組対、MA−G−MA選手・ゴア選手の、岸和田愚連隊組。QUALLT選手とバファロー選手が、休憩時間が終わっても、物販の机に座っていたので、イヤな予感はしたが、ものすごく積極的に乱入しまくっていた。
 メインは、デルフィン選手・ペロ・くいしんぼう仮面・的場選手の、デルフィン軍団と、「えびす戦隊ミラクルレンジャー」の試合。ミラクルレンジャーの面々は、「デカレンジャー」のテーマ曲に乗って入場してきた。Gammaブルー、村ブラック、えびすイエロー、最後にミラクルレッドが入場して来る際、観客の子どもを一人連れて来て、その子を、デルフィン軍団のところへ連れて行った。そして、口々に、「おのれ!その子を放せ!!」「子どもにまで手を出すとは!!」と叫び、連れ戻すと、「大丈夫か、坊や」といたわった。入念に台詞を言いふくめられていた子どもは、「ありがとう、ミラクルレンジャー」と言ったので、客が沸いた。
「さあ、坊や。ここは危険だ、早く逃げなさい」と、ミラクルレンジャーは、子どもを逃がし、「おまえらが連れて来たんやないかい」という、デルフィン選手のボヤキ型ツッコミには耳も貸さず、悪のデルフィン軍団の壊滅を誓った。手始めに、ペッキーを拉致して、無理矢理マスクをかぶせ、「ピンクペッキー」として、ミラクルレンジャーの一員にする。
 人が多すぎて、締め技の数珠つなぎになったとき、リングの端から端まで届いていたこと、えびすイエローが、「カレーを食べて元気いっぱいでごわす」と、その選手達を返そうとするが、どうしても返らず、シクシクと泣きだしてしまったこと、選手全員が入り乱れたとき、村ブラックが、魔が差したのか、一瞬、本気の蹴りを出していたことが印象に残っている。
 最後は、デルフイン選手やペロ、くいしんぼう仮面を追い落とし、的場選手だけをリングに残して、正義の味方とはとても思えない、四人がかりの攻撃を加えた。えびすイエローのアナルクラッシャー(カンチョー)から、ミラクルレッドのミラクルミサイルが決まった。
 デルフィン軍団が、納得いかないような表情で、しぶしぶ帰っていき、ミラクルレンジャーが、リングを占拠したが、えびすイエローは、「これが第一話で、最終回」だという。そんなことはもったいないので、またやってほしい。えびすイエローも、そう思っているのか、「次回までには、もっと、レッドを喋れるようにしておきたい」と言っていた。ミラクルレッドは、今一つ反応の薄い客に、「もっと盛り上がらんかい」などと言っていたが、あれやこれや喋った後に最後の締めを任され、「もう何も喋ることないわ」と、また、素で困っていた。
 ホリパラには、はじめて行ったが、すごく楽しかった。冨宅さんに秘められた無限の可能性が垣間見えた日だった。しかし、「スベったらどうしよう」と思うと、幸いそれは杞憂に終わったが、普通の試合より疲れた。 


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