03.4.12 後楽園ホール大会

 この二日ぐらい前から風邪をひいてしまい、熱が出てきたらしかった。JALの第一便で上京したが、ホテルにチェックインできる時間まで、空港のロビーで休んでいこうと思い、座っていたらいつの間にか眠っていた。それは別にいいのだが、ヨダレが垂れていたので恥ずかしかった。
 最近の常宿にしている新宿のCホテルから、水道橋に行こうとしたが、新宿から水道橋に行くのははじめてだった。以前は品川のPホテルを常宿にしていて、品川から山手線で秋葉原に行き、総武線に乗り換えていたので、今度もそうしようと思い、新宿から、十四駅先の秋葉原まで行って総武線に乗り換えたら、一時間もかかってしまった。新宿でも総武線に乗れるということなど知るよしもなかった。

 何気に一年ぶりの後楽園ホールだが、なぜか大会場よりも落ち着く。北側の最前列で、宮田リングアナの後ろだったが、目が悪いのに眼鏡を忘れたので、選手の顔など見えにくい。クリス・ライトルが入場してきたとき、「大石君、また坊主にしたのか」と思った。試合自体見えていないと言っても過言ではないが、山宮選手の試合を久しぶりに見られて嬉しかった。佐々木選手はアルメイダに勝てるかと思ったが、届かず、残念だった。

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 翌日の13日は、船木さんの自主制作映画の上映会に行った。上映会は、築地の、聖路加ガーデンの一角にある建物で行われたが、聖路加ガーデンというのがありえないほど広く、友達と一緒じゃなかったら、確実に迷子になっていた。前日は小雨がぱらついたが、この日は天気がよく、隅田川(推定)が、名残の桜とともに光を浴びていた。上映は、一時からと、二時半からの二回だったが、我々は二時半からの回だった。選手の方々も見に来られていた。
 映画は、1999年に、船木さんが脚本を書いたが、そのまま、尾崎社長の社長室の棚の上に置きっぱなしになっていたらしい。それがようやく日の目を見たのだ。菊田選手が、なんか怪しい社長、謙吾選手がプロレスラー、三崎選手がホームレス役で出演している。ノストラダムスの大予言にインスピレーションを得たと船木さんがおっしゃったが、明日地球が滅亡するとしたら、今日どうすごすか、ひいては、限られた人生をどう生きるかというようなテーマだった(と思うが、間違っていたらすみません)。
 選手の方々の演技が、お話にならないほどひどいこともなかったので救われた。三崎選手はホームレス役であるが、映画の中ではずっと、「コ○○」と言っているので、最初から最後までピーが入っていた。以前、何かのアンケートで、冨宅さんが、「生まれ変わったら何になりたいか」という質問に、「ホームレス」と答えていたが、「ホームレスなら生まれ変わらなくてもなれるのに」と、私の友達はつぶやいていた。
 エンディングで、「明日地球が滅亡するとしたら、今日どうすごすか」という質問に、出演者の方々が答えていたが、出演しておられた船木さんの美しい奥様は、「愛する人とすごしたい」とおっしゃっていて、そんな公開でノロケられても、こちらはどうリアクションしていいかわからなかった。ちなみに、明日地球が滅亡するとしたら、私なら、怖すぎて愛なんかどうでもいい(パニック映画で言えば、「どうせ皆死ぬのよーー!!」とか叫びだして自暴自棄になり、映画が始まってから12、3分くらいで死ぬタイプ)。

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 そのあと、建物の一階にあるイタリア料理店で、船木さんと橋選手の、一か月遅れのお誕生会。持田コミッショナー、安田拡了さん、上映会に来ておられた選手の方々、梅木レフェリーも来られ、にぎやかな会になった。運営してくださったnarukiさん、安武朗さん、TEAM FUNAKIの方々にお礼申し上げたい。こういうイベントは久しぶりで、大変に楽しかった。
 船木さんは、現役の頃ほど近寄りがたい感じではないが、オーラはそのままだ。ファンの方々が用意してきたプレゼントを、船木さんや橋選手に渡す時間もちゃんと作っていただけたし、一緒に写真を撮る時間も確保していただけた。最後にはじゃんけん大会があり、貴重な賞品が多数出品され、
橋選手からはタイトルマッチの認定証まで出され、これは私の友達が獲得したが、私はじゃんけんに弱く(じゃんけんに弱いというのも意味不明だが)、何ももらえなかった。
 オフレコの話が多く聞け、もらい泣きするほど感動したが、書けないことがほとんどだ。これだけは、今の時期だから、私を含めた冨宅さんファンの皆様に、伝えておきたくて書くが、船木さんが、私におっしゃってくださった。
「冨宅は大丈夫ですよ」
と。
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 翌日の14日は新宿の東急ハンズに行き、それから、新宿東映パラスに、船木さん出演の映画「人斬り銀次」を見に行った。こういった映画は愛媛では上映されにくく、丁度上映期間に当たっていたのでよかった。東急ハンズに三時間もいて、上映時間が迫ってからあわててパラスをさがしたが、見つかるわけもなく、折り良く交番を見つけたので、おまわりさんに聞いて行った。「聞いてもわからない」ということも多い私だが、必死だったせいかうまくパラスにたどりつき、見ることができた。
 「人斬り銀次」は、夏八木勲・竹内力主演の映画で、船木さんは「土蜘蛛」という役名で出演している。これも、もしかしてこれから見る方がおられたらいけないので、あまり書けないが、現実と幻想、過去と現在の入り混じる映画だった。船木さんは、旧日本兵の制服が非常にお似合いだった。映画館で映画を見るのは、同じく船木さん出演の「五条霊戦記」以来だった。「五条」もそうだったが、これも好きな感じの映画で、とてもおもしろかった。夏八木勲になついてついてくるホームレスの韓国人青年が、捨てられた子犬のようで大変いじらしかった。風邪のせいで咳がひどく、他のお客さんに迷惑がかかるので、飴ばかりなめていた。ふだんキャンディーなど食べることがないので、この三日間で、一生分の飴をなめた気がする。

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 次の日曜日の20日、某パンクラス関係者の方の結婚式があり、二次会に行こうか行くまいか迷ったあげく、行かないことにしていたのだが、お誕生会で飲んだときの勢いで、行くことにしてしまった。四月は無職だったせいもあり、友達が泊めてくれるというので、一週間東京に居続けようかと計画し、上野の博物館や池袋の水族館にも行き放題だと思うと、夢のようにうれしくなり、親に電話すると叱られた。「お友達に迷惑かけたらいかんやろ」というのだが、その通りで、風邪も治らないことでもあり、すごすご帰り、週末にまた上京した。
 二次会も大変楽しかった。ビンゴゲームがあり、アメリカ製の、歌うニジマスの置物が当たった。数年前にちょっとはやったので、ハンズ等で見た方もおられるかと思うが、本物そっくりの、ゴムみたいな素材でできたニジマスが、電源を入れると、生きてるみたいにピチピチ跳ねながらアメリカの歌を歌う。以前からほしかったのだが、自分で買うほどじゃない、と思っていた。景品というものは、すべからくそういうものだ。あまりにうれしかったので、さっそく箱から出して遊ぼうとしたら友達に止められ、それでも誰かに自慢したかったので、たまたま一番近くにいた菊田選手に見せびらかした。そのときの菊田選手の当惑した表情が忘れられない。


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