04.11.7 東京ベイNKホール大会

 このサイトの日記を読んでくださっている方はご存じだと思うが、この試合の前、私はぐずりまくって、周囲に迷惑をかけていた。蒸し返すのもアレだが、時系列的にもう一度書く。

1.「旗揚げの聖地」NKホールが、近く取り壊されることに決まった
2.「さようなら、ありがとうNKホール」というコンセプトのビッグマッチが催されることになった
3.八周年記念横浜文体大会の、冨宅さんと鈴木選手の試合(旗揚げルール)のように、記念マッチがあるのではと期待をした
4.その期待が裏切られた
5.旗揚げメンバーの中では、柳澤選手が出場することになった
6.試合前の会見で、魔界倶楽部が乱入して、ビッシビシやっていた
 
 私が、何番の時点で激怒して、「NKホールには行かない」「同じ日に後楽園ホールである大阪プロレスに行く」と言い出したのか、当ててほしい。モロバレだが。2番だ(何でだよ)。
 柳澤選手のことは嫌いではないが、当時の不快感が数年ぶりに蘇ってきた。書けないが、柳澤選手がパンクラスを辞めるときに、私の耳に入った不愉快な話は、おそらく、皆様が想像しているようなものではない。パンクラスは、筋を通してくれる団体だと信じていたのに、こんなことがまかり通るのかと驚いた。今の自分に、こんなに怒るエネルギーが残っていたことに、一番驚いたが。

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 それでも、文句を言いながら、前日から上京していた。NKにも行くことにした。ファンとは弱いものだ。
 四月に、桂スタジオに行ったときに買った、「期間限定・モノレール+山手線フリーきっぷ」が、今月も、週末限定で発売されていた。それなのでそれを使って、目白まで行く。目白に泊まるのははじめてだが、落ちついた街で気に入った。何よりいいのは、駅の出口が一つしかないので、迷いにくいことだ。駅の近くに学習院大学を発見した私は、興奮し、用ありげな顔で入ってみた。道行く学生さんは、皆かしこそうに見えた。一回りして出たが、入るときとは違う門から出てしまったのに、しばらくそれに気づかず、駅が見つからなくて泣きそうになった。
 それから池袋に行き、東急ハンズでカレンダーを買った。友達と、JR池袋駅のフクロウの石像「いけふくろう」の前で待ち合わせをしていたので、駅に帰ろうとしたら、駅が見つからなくて泣きそうになった。何とか帰りついて、友達(國奥ファン&元・義生ファン)と合流し、ロフトでクリスマスの飾りを買ったり、夕ご飯を食べたりした。そのあと、また友達(菊田ファン)と夜食を食べた。夕ご飯も夜食も、友達がおごってくれた。このサイトの日記で、二言目には「金がない」と書いているからだろうか。ゴメンナサイ。ありがとう。

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 試合当日は、ぽかぽかと暖かな小春日和で、遠くの景色にかすみがかかっていた。友達(元・鈴木ファン)と合流し、丸ビルでお昼を食べる。丸ビルは、本当にキレイで、CONRANでクリスマスの飾りを買ったが、窓から東京駅のれんがの建物が見えた。そのあと、フランフランでクリスマスの飾りを買ったが、出ると、外でモデルさんが撮影をしていて、田舎者の私は興奮した。
 皇居を散策したのち、友達と別れてNKに向かう。NKに行くのは久しぶりだ。以前は、舞浜駅からのアクセスが、客を来させたくないのかと思うほど悪く、よくタクシーを使ったものだ。試合終了時間が、隣のネズミ帝国の閉園時間と重なることも多く、NKの前からバスに乗ったら、大渋滞に巻き込まれて全く動かず、「急ぐ方は、降りて歩いてください」的アナウンスがなされたりした。客に向かってそんなことを言うからには、当然運賃は返してもらえるものと思っていたが、返してもらえず、激怒しながら、舞浜駅まで歩いた。思ったよりは遠くなかったが。

 東京駅の、京葉線のホームが、また、客を乗らせたくないのかと思うほど遠い。平気な顔で、「あと500m」とか書いてある。私の地元の路面電車だったら、間に二駅は造るだろう。しかしその、京葉線のホームも、舞浜までの距離も、昔は、もっと遠く感じたものだ。慣れていなかったせいだろう。
 「ディ○ニーリゾートライン」ができて、舞浜からNKまでのアクセスが便利になったことは、去年、某レフェリーの結婚式二次会に出席するため、シェラ○ン東京ベイに来たので知っている。これができたために、舞浜の駅前から、すでにネズミ帝国ムード満載で、リゾートラインの駅も、その周辺も、大のおとなが正気で建築したとは思えないほどファンタジックだ。電車の窓や、吊革までネズミの形をしていて、車内に必ず一人は、大人なのにネズミ耳を頭につけたまま乗っている観光客がいるが、違和感がない。私もプチ浮かれて、「シンデレラ」のパスネットを買った。

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 NKホールは、たくさんのファンでにぎわっていた。昨年末の両国に行っていないので、ビッグマッチは久しぶりだ。後楽園ホールもいいが、やはり大会場は独特な雰囲気で、イイ感じだ。久しぶりに入場式も行われ、近藤選手が挨拶していた。

 第一試合では、クァク・ユン・ソブという韓国人選手が初参戦し、今は亡き(死んでないよ)金宗王の流れをくむ選手かと期待したが、負けてしまった。思えば金宗王こそは、早すぎた韓流ブームだったのだろう(違うよ)。第二試合は、北岡選手の、赤と黒に染めわけられたバッテンマークの髪型、井上克也選手の小さな乳首など、試合以外で見所満載だった。第三試合では、郷野選手が頑張っていた。試合後、勝った郷野選手はマイクを握り、さすがに聞かせどころを心得たマイクアピールだったが、本人も言っていた通り、まさか、第三試合で、マイクも三番目になるとは誰も予想しなかっただろう。この日はこの後もマイクが多かった。

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 第四試合では、柳澤選手が、魔界倶楽部のセコンド陣と登場し、メガトンの野地選手と対戦した。魔界が乗り込んできたからには、何か一悶着あるかと思っていたら、何もなかった。セコンドは二人までだとレフェリーに言われると、星野総裁と長井選手はあっさり引き下がって、通路の奥で見守っていた。暴れろとは言わないが、何かもっと、盛り上げようがあったと思うのだが。それが何かと聞かれると、私にはわからないので、長井選手あたりに考えてほしい。
 柳澤選手の、総合の試合を見るのは、本当に久しぶりだ。勝てそうで勝てない、もどかしい試合ぶりは、あいかわらずで、懐かしく、逆に嬉しくなった。五周年記念大会の、ガイ・メッツァー戦を思い起こさせた。あの頃私達は、強い相手でも、そんなでもない相手でも、同じような試合をすると、柳澤選手のことを思っていたものだ。しかし、誰が相手でも同じような試合ができるということは、ある意味最強ではないのか。今なら、ヒョードルやノゲイラ相手でも、同じような試合ができるかもしれない。それで、ノゲイラが焦れて反則でもすれば、勝ちが転がりこんでくるかもしれない。
 そんなことはどうでもいいが、これほど長く総合から離れていて、昔と同じような試合ができるのは、すごいと思った。

 第五試合では、菊田選手が、アイスマン選手と対戦していた。アイスマン選手は、八月に新日のリングで、冨宅さんがKO負けした相手で、私は、冨宅さんの敵討ちを、菊田選手に期待していたが、そんな目線でこの試合を見ていたのは、NKホール広しといえども2、3人くらいだったろう。

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 休憩明けには、鈴木選手の挨拶があった。「この、赤と黒のバッテンマークを沈没させるのも、世界で最高の舞台にするのも、君達の肩にかかっていると期待している」というものだった。一歩引いた感じの鈴木選手の言葉は、何だか、じんとした。

 第六試合では、ネイサン・マーコート選手と三崎選手の、ミドル級タイトルマッチ、第七試合では、高阪選手とロン・ウォーターマン選手の、スーパーヘビー級タイトルマッチがあった。あとで雑誌を読むと、高阪選手は、「ブーイングがあるかと思ったが、あれだけ声援を受けて」とコメントしていたが、本当に大声援だった。リングスとパンクラスの確執を知るファンも少なくなっただろうし、知っているファンも、よほど執念深くない限り、どうでもよくなっているだろう。時の流れとは、残酷だが、素晴らしいものだ。
 アイスマンの試合のとき、「氷マン!」(「氷男」にしろよ)と叫んだ客がいたが、ウォーターマンの試合のときには、「水マン!」という声は飛ばず、残念だった。ウォーターマン選手は、スゴイ迫力だったが、高阪選手は、予想以上に強かった。さすが世界のTKだ。「世界のTK」は、小室哲也や、神田川俊郎のことだと思っている、世間の人々に知らしめたい。そしてTKは、予想をはるかに超える規模で、ガッツ石松に似ていた。似ているとは聞いていたし、それなりの心構えもしていたが、これほどとは思わなかった。高阪選手のセコンドには、高橋選手がついていた。高阪選手が勝って、嬉しかった。

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 メインは、近藤選手と、エバンゲリスタ・サイボーグ選手の試合。サイボーグ選手は、イレズミだらけで怖かった(小学二年生の感想だ)。近藤選手は、一本は取れなかったが、確実に勝ってくれた。近藤選手は、試合後、マイクを握り、「パンクラスは、ここというところで負けることで、歴史を作ってきました。これからは、勝つパンクラスで歴史を作りたい」と言った。
 それを聞いて嬉しかった。この日の近藤選手は、オレンジ色の不動心Tシャツで入場して来、私は、「オレンジ似合わね〜」と思っていたのだが、それは、船木さんが旗揚げのとき、オレンジ色のガウンで入場したから、そうしたのだと知って、涙が出た。一瞬でも「オレンジ似合わね〜」などと思った私は、たとえ本当に似合ってなかったとしても、切腹ものだ。
 ごめんなさい近藤。ありがとう近藤。パンクラスに入ってくれて、本当にありがとう近藤。「近藤」と名前の書かれた体操着の短パンをはいて、上半身裸でふすまの前で写真を撮って、パンクラスに送って、入団テストを受けてくれてありがとう(そんなことまで言わなくていいよ)。

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 試合が終わると、外はすっかり暗く、ヒルトンやシェラトンのクリスマスイルミネーションが美しかった。リゾートラインの駅から、ネズミ帝国の花火が上がるのが見えた。ネズミ帝国に興味のない私は、もう多分二度と、ここに来ることはないだろう。そう思うと寂しかった。
 試合前には、いろいろ文句を言っていたが、行ってよかった。終わってみれば、魔界倶楽部だとか、元リングスだとか、もう何も関係なかった。すぎさった何もかもが、涙が出るほどいとおしかった。さようなら、ありがとう、NKホール。

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☆☆おまけ☆☆

 目白のホテルの、私の泊まった部屋のベッドサイドの、ライトや目覚ましのスイッチがあるところ。
 こう書かれていると、押したくてたまらなかったが、必死に我慢して、押さなかった。
 <押すとどうなるか予想>
1.建物が自爆する
2.封印されていた魔物が解放され、人類を破滅の淵に追いやる
3.来年の「よさこいソーラン祭り」の日程が変更になる


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