04.2.15 ステラホール大会

 前日の、2月14日から上阪することにしていた。前日は、デルフィンアリーナで、大阪プロレスを見ることにした。冨宅さんが出場してくれればいいなあと思ったが、たまには、冨宅さんの出ない試合を、心穏やかに見たいとも思った。結局、14日のデルアリにも、15日のステラにも、冨宅さんの出場はなく、珍しく、冨宅さんがらみでない上阪になった。もしかしたら、はじめてかもしれない。

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 14日は、また、梅田まで高速バスで行った。遊んでくださる方がいたおかげで、冨宅さんがらみでなくても、楽しい上阪になった。
 デルアリでは、Tさんのおかげで、中央の前の方に座れた。試合前、いよいよ来週にせまったJ−CUPに出場する選手達の挨拶があった。ビリーケン・キッド選手とタイガースマスク選手の挨拶で、この王者チームのタッグ名が、「虎ビリー」になったことが発表された。どこかで聞いたような名前だが、気のせいだ。タイガース選手は、「何でもないようなことが幸せだったと思うような試合をしたい」と言っていた。全く関係ないが、昔、「ロード」を、第13章まで全部聞くと、呪われる、という噂を聞いたことがあるが、呪われるか呪われないかはともかくとして、そんなことをしたら、友達がいなくなりそうだ。

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 今日のえべっさんは、くいしんぼう仮面とのタッグで、デルフィン・ペロ組と対戦。ペッキーちゃんも可愛い動きで、時にはちょっぴり手を出したりしながら、ペロをサポートする。えべっさんは、「くいしんぼうとは、もうケンカはしない」と、何度も宣言しながら、このところ、毎回ケンカしているらしかったが、そのたびに仲直りして、今日も絶妙なコンビネーションだ(写真は、ダブル「しっかり持っとけよー!!」)。くいしんぼうは、ペロにスリーパーを決められ、落ちてしまう(写真参照)が、観客の声援で復活する。
 試合こそ敗れたものの、えべっさんは、くいしんぼうと、来週の大阪名物世界一決定戦での善戦を誓いあい、丸くおさまって帰るはずが、くいしんぼうが怒りだし、えべっさんに鼻水をかけるという殺人攻撃に出る。その行動の謎が、そこで流れた映像で明らかになった。事務所で電話番をしていたえべっさんが、かかってきた電話を無視したり、出ても、「この電話は現在使われておりません」とすっとぼけたり、鳴り続ける電話に、「おまえナメてんのか」と、意味不明な激ギレをしたりしていると、くいしんぼうへのテレビ出演依頼の電話がかかってくる。それが「超高級寿司店めぐりグルメ旅」的なものだったため、その依頼を横取りする様子が、隠しカメラ(?)におさめられていたのだ。
 怒って鼻水をかけ続けるくいしんぼうだが、えべっさんは、ようやく非を認めて謝り、「おわびに、おまえにおみやげがあるんや。的場、持って来い」と、的場選手に、おみやげの寿司折りを持って来させる。その寿司折りが、また、「サザエさん」で、波平さんが酔っぱらったときにぶら下げて帰るような、絵に描いたような見事なみやげ包みで、えべっさんも、誇らしげに、「見てみい、これ!どんなに千鳥足になっても、水平を保つ、このバランス!!ほら、食べてくれ」と、くいしんぼうに手渡す。くいしんぼうが、(多分)目を輝かせながら、開けてみると、中には、ガリがぎっしり詰まっていた。
 それでキレたくいしんぼうと、逆ギレしたえべっさんが、理由はわからないが、二人がかりで、ガリを的場選手の目になすりつけ、「ガリが!ガリが目に!!」と悶え苦しむ的場選手をよそに、つかみあいのケンカをはじめる。「ポカポカ」という擬音が聞こえてくるような、雲のようなモクモクの中から星が飛んでくるような、マンガのような殴りあいのあと、理由はわからないが、突然の和解。「なぜなら、ぼくらは心の友だから!!」(えべっさん談)。

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 えべっさんの試合の後、リング調整と、散乱したガリの掃除のため、休憩。冨宅さんが載っているだろうという予想のもとに、新しい「月刊大阪プロレス」を買う。岸和田愚連隊の、ゴア・ブラックバファロー・QUALLTの三選手も物販にいた。スタッフの方に、QUALLT選手のTシャツを売りつけられかけるが、買わなかった。冨宅さんを椅子で殴ったりしなければ、買ってもいいと思っていたのだから、悪いことはするもんじゃない。
 今日は、岸和田愚連隊の(膝の具合がおもわしくなくて欠場していたゴア選手を除く)三選手が、全員シングルマッチで、MA−G−MA選手は、セミで、ミラクルマンと対戦。MA−G−MA選手は、いつも以上に暴れており、何度も、ミラクルマンのマスクを剥ごうとした。おそらく、リングがガリ臭かったので怒っていたのだろう。物販にいた愚連隊の三選手も、積極的に乱入しまくり、我々は場外乱闘から逃げまどった。
 メインは、ビリーケン・キッド・タイガースマスク組と、Gamma・ツバサ組の試合。王者チームは、苦戦したが勝利をおさめ、ビリー選手は、試合後にマイクを握ると、「ビリー先生!!!」という声援に応えて、タッグ選手権への抱負を語り、「ザ☆虎ビリー」の「虎」は、カタカナがいいか漢字がいいか、観客の要望を聞いた。試合前にはなかった「ザ」が、試合後に加わって、ますますどこかで聞いた名前に近づいたので、いっそのこと、「虎毘利威」と、全部漢字にしてほしい。二人は、試合終了後、出口で観客を見送り、ファンサービスに努めていた。J−CUPトーナメントとK−1トーナメントをひかえている村浜選手は、今日は出ていなかった。

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 翌日は、梅田ステラホールでパンクラスだ。この日はいい天気で、春のようにあたたかく、日中楽しく遊び、あやうくパンクラスに行くのを忘れそうだった。冨宅さんの出場がないと、かくも気が抜けているというのか、心穏やかだが張り合いはない。
 パンクラスに行くのは、何気に、およそ半年ぶりになるし、ステラはもっと久しぶりだが、行ってみると全く違和感を感じないあたり、やはり長年なじんできたからだろう。私は、パンクラスは好きだが、総合格闘技には別に興味はないので、「PRIDE」を主戦場にしている選手などは、ほとんど、「名前聞いたことある」という程度だ。ノゲイラ兄とノゲイラ弟の見分けがつかないのはともかくとして、シウバとノゲイラの見分けもつかないので、試合前、のんきにサイン会をしている近藤選手を見て、「こんな日に、近藤らしいなあ」とつぶやいていた方もおられたが、私にはその意味が理解できなかった。近藤選手が、大晦日に「シウバ選手と闘いたい」と言ったことぐらいは知っているが、この日、横浜で行なわれる「PRIDE武士道」で、美濃輪選手がシウバ選手と対戦することなんか、全く知らなかったからだ。

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 物販には、渋谷選手や大石選手も来ていたが、冨宅さんがいたので私は嬉しかった。入場のときにもらった千円のグッズ商品券を使って、冨宅さんから、ミッションのニットキャップを買う。冨宅さんが物販にいることは珍しく、昔は、いなければいけない場(欠場選手によるファンクラブ限定写真撮影会等)にさえ、いないことも多かったものだが、この日の冨宅さんは、積極的に働いておられ、私を感動させた。
 船木さんも来場して、「MADNESS」Tシャツ等の物販に立ちあっておられ、さらに私を感動させた。勇気を出して写真を頼むと、船木さんは、握手で撮ろうと自ら手をさし出してくださり、撮り終えると、私の目を見ながら、握手の手に、もう一度力をこめてくださるという、現役時代からは考えられないサービスぶり。そして、写真を撮られ慣れた者だけが見せる余裕の笑顔(写真参照)。私は、何度となく、船木さんと一緒に写真を撮らせてもらっているが、船木さん的に写真が失敗だった(目を閉じて写っていたりとか)ということは、全くと言っていいほどない。稲垣さんと一緒に撮らせてもらった写真の四割で、稲垣さんの目が半開きになっていることを考えると、これは驚異的なことだ。

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 試合前には、選手の入場式があり、近藤選手の挨拶があった。近藤選手は、「PRIDE武士道」に出場している郷野選手のことに触れ、「今日は、仲間が遠くで闘っている。今年は、いろいろな方面で、パンクラスの強さをアピールしていきたい」と言った。それで無事に挨拶は終わるかと思われたが、案の定、と言うのも失礼だが、最後で噛んでしまった。相変わらず、「そんなところで噛むのなら、芸人なんてやめちまえ」というところで噛む近藤選手を見ていると、「全国区になっても、近藤は近藤のままだ」と、安らぎが心にわいてくる。
 デビュー以来快進撃を続けている前田吉朗選手が、この日のメインだった。いくら前田選手でも、メインはまだ早いのではないかと思ったし、例によってよく知らないが、相手は強い外人っぽい(外人なのは確実だが)ということで、不安だった。この日が「前田祭り」になるか、興行全体が大失敗に終わるかという期待と不安は、セミまで終わって、ますます大きくなってきたが、不安はすぐに消し飛んだ。前田選手は倒されない。2ラウンド目がはじまってすぐ、25秒で、前田選手は、ソッカ選手を倒して殴りまくって勝利。私にとっては、久しぶりに、パンクラスで味わった爽快感だった。結果的に、前田選手をメインに持ってきて大正解だったということだろう。
 大阪道場の方々がリングに駆けよって、前田選手を祝福した。前田選手は、マイクを握ると、「皆さん、明けましておめでとうございます」と、もう二月ではあるが、今年初の大阪大会にやってきた観客に挨拶。この日デビューした藤本選手達と一緒に、「稲垣組ここにあり、と皆に知らしめたい」という意味のことを言っていたように思う。私も興奮していたのでよくおぼえていない。パンクラスの選手の方々の、引退してからの道はさまざまだが、稲垣さんが引退しても、このような、最高の形で名前を聞けることは、本当に嬉しいことだと思う。

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 ☆おまけ☆

 「月刊大阪プロレス」の裏表紙の見返しに書いていただいたサイン。
 左上  大阪プロレス・大王QUALLT選手
 左下  パンクラスミッション・冨宅飛駈選手
 右下  パンクラス・近藤有己選手
 寄せ書き風にしてもらうつもりはなかったのだが、最初にサインをしたQUALLT選手が、遠慮がちに小さく書いたため、結果的にこうなった。


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