SAEKI祭り 03.12.28 ディファ大会

 前回の上京は、11月の、大阪プロレス後楽園ホール大会だったが、そのときと同じ、水道橋のホテルに泊まった。友達と会い、またラクーアにご飯を食べに行く。前回と同じ、「ムーミンベーカリー&カフェ」に入り、前回食べそこねて悔しかった「ムーミンパパのクロックムッシュ」に、リベンジを果たす。前回も行ったアジア雑貨のお店を、またのぞく。陶器のブタの貯金箱を買ってしまう。今までの人生で、五本の指に入るほどの、役に立たない買い物であることは間違いない。「貯金すりゃいいじゃん」とお思いの方もおられよう。しかし、そのブタはミニチュアで、五円玉より小さいので、背中に穴はあいているが、お金は入らないのだ。
 新橋からゆりかもめに乗って、有明に行く。時期が時期だけに、混むことを覚悟していたが、がらがらだった。新橋へ帰るゆりかもめは、日曜の昼をお台場ですごしたカップルや家族づれで満員だったが、その幸福そうな雰囲気に対し、有明に向かうゆりかもめは、私や、週刊プロレスを手にした男子がまばらに座る、嫌な空気だ。それでも、はじめて見る男色ディーノへの期待に胸をふくらませながら、車窓から見えるシオサイトやフジテレビのイルミネーションを楽しむ。

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 今日のDEEPは、ファン感謝イベント、SAEKI祭りだ。第一試合で、DEEPの佐伯代表がついにリングに上がり、一宮章一選手とタッグを組んで、代表権を賭け、ゴージャス松野・大久保一樹組と対戦した。今日の一宮選手は、田村潔司のパクリで、リングに上がるなり、深々と四方におじぎした。佐伯代表は、「難波金融伝・ミナミの帝王」のテーマ曲(歌:竹内力)を歌いながら入場してきた。
 佐伯代表は、この日のために減量したそうだが、どこがどう変化したのかさだかでない。万一に備え、ドクターも待機する中、四人がリングに立つだけでおなかいっぱいだ。親にもらった体に、脂肪や整形という余計な何かをつけ加えた三人に対して、大久保選手だけが普通で、何だか気の毒だった。
 ゴージャス松野は、佐伯代表をかかえ上げたが、重みでおしつぶされ、そのままフォールされた。三本勝負で、三本目を一宮選手が取り、佐伯代表の代表権は守られた。試合後、号泣する(嘘)一宮選手に、佐伯代表は、「おまえ、男だ!!」とねぎらいの言葉をかけた。ゴージャスが代表にならなくて本当によかった。
 U−FILE CAMP.com提供の、三対一のハンディキャップマッチもあれば、しなしさとこ選手と若林次郎選手の、エキシビションながら男女の対決、“ランバー”ソムデート吉沢選手と太刀光選手の、ムエタイVS相撲、鬼木貴典・石井淳組VS橋本友彦・池本誠知組の、敗者髪切りマッチなど、思いつく限りの多様なプロレスが行なわれ、行なわれなかったのは、有刺鉄線デスマッチか、「あつあつ中華あんかけ対決」(山崎邦正VSモリマン)くらいだった。塩崎けいじレフェリーと、PRIDEの野口大輔レフェリーによる、最強レフェリー対決もあった。「落ちた」「落ちてない」「ギブアップした」「してない」をめぐって、不透明な決着となったが、レフェリーの最強を決めるなら、パンクラスの広戸レフェリーにもぜひ参戦してほしかった。

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 休憩明け、佐伯代表と上山龍紀選手のトークショーがあり、それがすむと、豪華な賞品が当たるビンゴ大会があった。ビンゴはパンフレットについていたが、私はパンフを買わなかったので参加できず、友達とまったりしていた。上山選手が、まるでスタッフのように進行を手伝っていた。賞品には、DEEPに出場した選手のサイン色紙がたくさんあったが、どれが誰のサインだかわからず、司会の人も、「誰のサインかというお問い合わせには応じられません」と、当然のように言い放っていた。それでいいのか。
 ビンゴが終わりに近づいた頃、キングダムの入江選手がリングに乱入してきた。私は、この大会前、入江選手の顔がどうしても思い出せず、友達に顔の特徴を聞いたが、誰に聞いても、「頭髪がナニだ」ということしか教えてもらえず、結局わからずじまいで来た。入江選手は、「佐伯のなんでだろう音頭」という歌を歌った。「修斗の選手を使って人気が出たけど、みんな武士道に行っちゃうのなんでだろう〜」などと歌う入江選手の後ろで、マスクをかぶった若手選手が、試合のチラシをまいたり、歌にあわせて踊ったりしていたが、あからさまにやる気がなく、マスクをかぶっているのに恥ずかしそうだった。チラシも、早くまき終えたいという気持ちからか、まとめて放るので、束になったチラシが、私の膝を直撃して痛かった。そのチラシには、大晦日に行なわれるイベントのことが書いてあったが、「PRIDE男祭り」に対抗してか、「入江のおなべ祭り」と書いてあった。世の中には、いろんな祭りがあるものだ。

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 ビンゴが終わると、「色男対男色」と銘打たれた、門馬秀貴選手と、男色ディーノ選手の試合。この大会では、さまざまな方面から選手が集められているためか、その選手をはじめて見る客にもよくわかるよう、試合前の映像が充実している。ディーノ選手の映像がはじまると、カメラは、控え室に入っていく。そこで若い男の子といちゃついていたディーノ選手は、不快そうに、「何よ、出て行きなさいよ」と言ったが、思い直したらしく、「待ちなさい、フィルムにおさめるのもいいわね」と言うと、いやがる男の子を押し倒し、服を脱がせ、乳首のあたりを舐めながら、「門馬!!あんたもこうなる運命よーーー!!!」と叫んだ。
 衝撃映像に場内が騒然とする中、入場してきたディーノ選手は、獲物を探す獣の目で会場を見渡し、好みの男性ファンを見つけると、襲いかかって唇を奪う。「男色ディーノは本物です!お気をつけください!!お気をつけください!!」とリングアナが絶叫し、男性ファンは逃げまどい、会場は、ちょっとした地獄絵図と化した。
 パンクラスネオブラッドトーナメント優勝者が、ヨゴレになるだけならまだしも、U−FILEハンディキャップマッチの「公開処刑」どころではない「公開○○○○」の危険さえはらむ中、門馬選手は嫌そうな顔で入場してきた。ディーノ選手は、ロープを上げて、門馬選手を迎え入れようとしたが、門馬選手は、遠回りして反対側から入った。
 門馬選手は、何度もペースをつかみかけるが、そのたびに股間をつかまれて悶絶する。ディーノ選手は、最初グローブをつけていたが、「せっかくの股間の感触がわからない」という理由ではずしてしまう。挙句の果てには、タイツを脱いで、Tバックパンツの前に門馬選手の顔を押しつける、タイツの中へ門馬選手の頭を押しこんでのパイルドライバーなど、殺人技の数々を繰り出した。私は目が悪いのでよく見えなかったが、タイツを脱いだとき、「○○○が○○○ていた」と友達が言っていたが、友達の見間違いであることを、門馬選手のために祈りたい。
 門馬選手のタイツを脱がせようとしたディーノ選手が反則負けになり、門馬選手の操は守られた。近くに座っていた、DDTファンらしい人が、「えーっ」と、不満の声をもらしていたので、おそらく、DDTでは、タイツを脱がせたくらいでは反則にはならないのだろう。ディーノ選手は、脱兎のごとく逃げ出した門馬選手を追いかけて、入場口に消えていった。

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 セミファイナルで、冨宅さんは、石川雄規選手とタッグを組んで、滑川康仁・伊藤博之組と対戦した。元藤原組対元リングスという、一昔前ならありえない対戦だ。
 以前、大阪プロレスの観戦記で、「ペッキーちゃんが去ったすぐあとのリングに冨宅さんが登場したとき、違和感を感じた」と書いたが、ディーノ選手が去ったすぐあとのリングに冨宅さんが登場しても、何の違和感も感じなくなった自分が恐ろしい。それどころか、ビンゴ大会が長すぎたために途切れかけた観客の集中力をリングに戻してくれて、ディーノ選手に感謝すらしていたので、慣れとは恐ろしいものだ。「人間は、首を絞められることにも慣れることができる」というのは、ネイティブアメリカンのことわざだが。
 冨宅さんは、タッグマッチははじめてではないかと思われ、もちろん私は見るのははじめてだ。冨宅さんがリングサイドに控えている姿は、とても新鮮だった。冨宅さんのプロレス的な動きも、大阪プロレスで見るのとはまた違って、新鮮だった。技をかけた相手がロープエスケープした際の、離れぎわの蹴り一発、場外に落ちた相手への、ロープを使ったフェイントなど。冨宅さんは、日々新しいことに挑戦しているんだなあと思った。最後は、冨宅さんが滑川選手を押さえている間に、石川選手が、伊藤選手を仕留めた。

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 メインは、スペル・デルフィン・えべっさん組VS三島☆ド根性ノ助・須田匡昇組の、夢の対決。三島選手も須田選手も、タイガーマスクで登場、特に須田選手は、三沢タイガーだった。デルフィン選手とえべっさんは、大阪で昼の試合を終えて駆けつけたそうで、頭が下がる。私は、席が、花道のすぐ横だったので、はじめて、えべっさんにお賽銭をあげて、笹で頭をなでてもらう。来年はいいことがありそうだ。デルフィン選手の入場のときには、握手してもらった。デルフィン選手の手は冷たかった。手が冷たい人は心が温かいというからなあ(この考え方が、すでに初老)。
 試合は、よほど入念なネタ合わせがされたのか、大阪プロレスでおなじみのネタが満載で、とても楽しかった。(写真は「志村!!後ろ後ろ!!」)最後は、えべっさんが三島選手を仕留めたが、えべっさんは、試合後、マイクで、「三島選手、須田選手、ぼくらのスタイルにつきあっていただいて、ありがとうございました。総合ルールだったら、20秒で負ける自信があります」と、心温まるコメントを残した。
 最後は、DEEP恒例の、リングに全選手が集まっての記念撮影。撮影中、ディーノ選手は、カメラに写らない後ろの方で、小柄で可愛い感じの、U−FILEの田村和宏選手に、わいせつ行為をはたらいていた。田村選手は必死に抵抗していたが、ベルトまではずされ、撮影を終えた他の選手が気づいて止めに入ったので救われた。ディーノ選手は、脱兎のごとく逃げ出した田村選手を追いかけて、入場口に消えていった。

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 翌日は、広尾道場の大掃除の日で、ジム生の有志の方々が集まるということを、道場に通っている友達から聞いていた私は、松山空港で買った「瀬戸内限定コアラのマーチ」などを持って、陣中見舞いに行った。お菓子をさし入れたら、六本木ヒルズに行こうと思っていたが、コアラのマーチごときで帰らせてもらえるはずもなかった。「(掃除をせずに帰るのは)プラマイで言ったらマイナスだ」と、K選手に言われた私は、掃除に加わることにした。今考えれば、ジム生でもない私が掃除をせずに帰ったところで、マイナスになるはずはないのだが、高橋選手が着古した藤田和之Tシャツを着て、三時まで道場のぞうきんがけなどし、四時五十分の飛行機で帰った。大掃除で発見された、パンクラス旗揚げ三周年記念パーティーで配られたロゴ入りのベストを、捨てるというのでもらって帰った。この上京までに、自宅の換気扇や風呂場の大掃除もすませており、すがすがしい年の暮れだった。


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