竹取物語


06

翁いはく、「思ひのごとくも、のたまふものかな。
翁が言うことには、「私の予想どおりのことを、おっしゃることだなあ。
のたまふ(「言ふ」の尊敬語)

そもそもいかやうなる心ざしあらん人にか、あはむとおぼす
一体どのような愛情のある人と結婚しょうとお思いになるのか。
「いかやうなる」は形容動詞「いかやうなり」の連体形
「心ざし」はここでは男のかぐや姫に対する愛情、
「か」の結びは「おぼす」=「思ふ」の尊敬語
「あふ」は結婚するの意、
「む」は意志

かばかり心ざしおろかならぬ人々にこそあるめれ」
(この五人の公達たちは)このように熱心に通ってくるほど(あなたに対する)愛情がいいかげんでない(並々でない)人々であるようだ。」

かぐや姫のいはく、「なにばかりの深きをか見んと言はむ
(それに対して)かぐや姫が(翁に)言うことには「(求婚者たちの)どれほどの愛情の深さを見よう(判断しよう)と言うだろうか。

いささかの事なり。人の心ざし等しかるなり。
いえ、そんなことを見よう(判断しよう)とは言わない。ほんの少しのことです。この五人の人達の愛情は同じ程度であるようです。

いかでか、中に劣り優りは知らむ。
どうして(その五人の)中で愛情の優劣がわかるでしょうか。いや、わかりません。

五人の中に、ゆかしきものを見せ給へらんに、御心ざしまさりたりとて仕うまつらんと、そのおはすらん人々に申し給へ」と言ふ。
この五人の中で、私が見たいものを見せなさるような(人)に、私への愛情が優っているとして、お仕え申し上げよう(結婚し申し上げよう)と、そのいらっしゃっている人々に申し上げなされ。」と言う。
見せ給へらんに=
「見せ」(サ行下二段活用「見す」の連用形)+
「給へ」(ハ行四段活用「給ふ」の已然形、五人の公達に対する尊敬を 表す補助動詞)+
「ら」(完了の助動詞「り」の未然形、存続の意にはならない)+
「む」(婉曲の助動詞「む」の連体 形)+
(「人」の省略がある)+「に」(対象を表す格助詞)
仕うまつら「仕ふ」の謙譲語(結婚し申し上げよう)
おはす「来」の尊敬語

「よき事なり」と承けつ。
「それは結構なことだ」と翁は承知した。

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