『逆襲のウサギ〜激闘編〜』
シナリオセンター研修科 課題作品
課題:復讐
人 物
ウサギ(20)村一番の戦士
マスター・カニ(530298472)武闘家
ダーク亀(3)悪い亀
テイル姫(17)ウサギのフィアンセ
○惑星ノヴァ・荒野
目つきの悪い亀たちを従えた眼帯の亀・ダーク亀(3)が蝶の姿をしたテイル姫(17)を人質に取り、ウサギ(20)と対峙している。
テイル姫「(訴えるように)ウサギ様!」
ウサギ「(歯軋り)おのれ卑怯なりダーク亀!テイル姫を放せ!」
ダーク亀「ばカメ。悪役が卑怯なのは業界の常識。野郎共、いてまえ〜」
一斉にウサギに襲い掛かる亀たち。
剣で応戦するウサギ、意外にも強く、群がる亀たちを次々となぎ倒していく。
ダーク亀「(イライラ)ええい、ウサギ一匹に何を手こずっているのだ!」
テイル姫、隙を見てダーク亀の足を思い切り踏みつける。
ダーク「あいて!」
ダーク亀が動揺している隙にその懐から脱出し、ウサギに駆け寄る姫。
テイル姫「ウサギ様〜!」
ウサギ「(気付いて)姫〜!駄目だ〜!」
瞬間、姫の胸を銃弾が貫く。倒れる姫。その後ろで、硝煙の上がるピストルを構えて冷笑しているダーク亀。
ダーク亀「ふっ、馬鹿な蝶々め。大事な人質だったが、まあよいわ」
姫に駆け寄り、抱き起こすウサギ。
ウサギ「姫、姫ぇぇ!しっかりしろ〜!」
テイル姫「(弱々しく)ウサギ様、私はもう駄目。でも、最後に一つだけ教えて。どうしてこういう時、敵は見ているだけで襲ってこないの……?」
こと切れる姫。ウサギの悲痛な声が響く。
ウサギ「わからない、俺にはわからないよ〜」
ウサギ、顔を上げてダーク亀を睨み、
ウサギ「おのれ許すまじ、ダーク亀!」
突然、ウサギの視界が霞んでいく。
ウサギ「(首を振り)うう、何だ?この眠気は……昨夜は七時間も寝たのに」
ダーク亀「はーっはっは!これぞウサギジンクス!昔ウサギと亀が競争した時、馬鹿なウサギが昼寝をしていて亀に負けたことがあったろう!それ以来、ウサギ一族には亀と戦うと猛烈な眠気に襲われるというジンクスがあるのだ!」
ウサギ「うう、説明台詞長すぎ……」
ダーク亀「ふっ。では終りにしてやる。これでも食らえ!」
口からプラズマ火球を吐くダーク亀。
ウサギ、辛うじて避けるが、爆風に煽られて近くの崖から転落する。
満足げなダーク亀の表情。
ダーク亀「ふっ。もはや生きてはいまい。ホントに死んでたら少々盛り上がりに欠けるが。まあ仕方ない。20枚だし」
○崖の下
倒れて呻いているウサギ。
ウサギ「くそ……まだ12枚残ってるぞ……」
十本足の怪しい影がウサギに近づく。
○クラブハウス・中
木造平屋建ての簡素な一軒家の中。
ベッドに寝かされていたウサギ、ガバッと起きる。
ウサギ「こ……ここは?」
カニの声「お目覚めかニ」
部屋の奥から、カニの姿をしたマスター・カニ(530298472)が出てくる。
ウサギ「(驚きの表情)おお!あなたは全宇宙、とまではいかないまでも2,3の島宇宙でならその名を轟かせたことがないでもないという武闘家のマスター・カニ!」
カニ「うむ。いかにも私は全宇宙、とまではいかないまでも以下同文じゃ」
ウサギ「やはり……しかし、なぜあなたのようなお方がこんな場所に?」
カニ「まあいいじゃないかニ。残りの枚数もアレだし」
ウサギ「そうですね」
カニ「お主こそ、一体何があったのだ?」
悔しそうに拳を握り締めるウサギ。
○ウサギ村(回想)
進撃するダーク亀の軍勢と、その攻撃で焼き出されていく村ウサギたち。
ウサギの声「平和だった我が村を、ある日突然ダーク亀の軍団が襲いました」
ダーク亀「ぐははは!愚かなウサギどもよ!我々を馬鹿にした報いを受けるがよい!」
ウサギの声「奴は、かつて自分の先祖がウサギに馬鹿にされた歴史を絵本で知り、報復に出たのです。だが、ウサギと亀の対立などもやは過去のこと。あの有名な歌の歌詞も、内容が差別的だとして『歩みののろい』から『あゆみ浜崎』に変更されているくらいです」
○クラブハウス・中
語り続けるウサギ。
ウサギ「その後奴は宮殿から我がフィアンセ、テイル姫をさらい、村一番の戦士(自称)であるこの私に挑戦状を叩きつけてきました。(涙ぐみ)私は全力で奴と戦いましたが、姫を救うことはできなかった……」
ウサギ、突然ガッとマスター・カニの肩(?)を掴み、懇願する。
ウサギ「マスター・カニ!どうか私を弟子にして下さい!ウサギジンクスを克服し、ダーク亀を倒し、姫の仇を討つために!」
カニ「お約束の展開じゃな。ではマスターとして一言忠告しておくが、あまり回想シーンには頼らんほうがいいぞ」
ウサギ「(頭をかき)すんません」
○修行・モンタージュ
天井から吊るされた鉄球(亀の顔が描いてある)を避ける訓練をするウサギ。時々眠ってしまい鉄球を食らう。
カニの声「寝る子は育つと言う。寝すぎる子は起こせとも言う。特に意味はないが」
× × ×
すっぽん料理をむさぼり食うウサギ。
カニの声「スタミナをつけんとな。美容にもいいぞ。特に意味はないが」
× × ×
女子高の陸上部員と一緒に走るウサギ。見守るマスター・カニ、目がヤバい。
カニの声「やっぱ女子高はええのう」
○タカアシ谷・崖の上
轟然と流れ落ちる巨大な滝の前で向かい合っているウサギとマスター・カニ。
カニ「いちいち柱を立てるのが面倒なので修行は全てモンタージュで処理しちゃったが、実はここからが本当の修行なのじゃ!」
ウサギ「場所の選び方でなんとなくわかります!マスター・カニ!」
カニ「うむ。ではお主には、我が自己流の最高奥義を授けよう。覚悟はよいか?」
ウサギ「はい!マスター・カニ!」
カニ、ウサギに向かって大きく構え、
カニ「見よ!自己流奥義、カニ味噌食い放題券!あたたたたたた」
凄まじい拳打の連続が、ウサギの周囲に炸裂し、岩という岩を砕いていく。
ウサギ「(感動)おおマスター!マスターの腕が!マスターの腕が十本に見えます!」
カニ「そりゃそうじゃ。元々十本なんだから」
ウサギ「そうですね」
○惑星シブーヤ・ハチ公前
巨大な犬の像が立っている。その前で対峙しているウサギとダーク亀。
ダーク亀「生きていたとはな。悪運の強い奴ウサギめ」
ウサギ「姫の仇、いまこそ打つ!でやあああ」
剣を交える両雄。ウサギの勢いに、ダーク亀が次第に押されていく。
遂に、ダーク亀を追い詰めるウサギ。止めを刺そうとしたその時、ウサギジンクスがウサギを襲う。
ウサギ「ううっまた眠気がっ……やはりジンクスを克服することはできないのか?」
ダーク亀「ふははは!24時間レッスンOKとは言え、夜更かしはしないことだな!」
一歩一歩、ウサギに迫る亀。
ウサギ「うう……無念……」
薄れていくウサギの意識。
○夢の中
暗闇の中に、声が響く。
テイル姫の声「ウサギ様……ウサギ様……」
ハッと目覚めるウサギ。目の前に浮かび上がるテイル姫の姿。
ウサギ「ひ……姫……」
テイル姫「負けないで、ウサギ様。あなたが負けたら、ヒロインなのにファーストシーンしか出番がなかった私が報われないじゃない。大体可憐で美しくて聡明で勇気があって、ヒロインにはこれ以上ないくらいベストキャスティングの私よりも、潮臭くて眼がイッちゃってて足が十本もあるくせに横歩きしか出来ないあの老いぼれたカニのほうが出番が多いってどういうこと?」
ウサギ「あの僕、そろそろ行かないと残りの枚数が」
と、慌てて立ち去ろうとするが、姫に耳をつかまれる。
テイル「だーめ。今日は帰さないわよ」
ウサギ「(悲鳴)枚数が!枚数がぁぁ!」
○惑星シブーヤ・ハチ公前
妙に必死の形相で起き上がるウサギ。
ウサギ「はぁ、はぁ、激しすぎるよ姫……」
ダーク亀「?」
ウサギ「ええい、気を取り直して、決着をつけるべし亀!」
ダーク亀「おのれウサギめ、この上なく安直な手段で復活しおって」
剣を捨て、構えをとるウサギ。
ウサギ「最後だ、亀!受けてみろ!自己流奥義、必殺カニ味噌食い放題拳!!あたたた」
避ける間もない連続攻撃がダーク亀を襲う。
ダーク亀「うぉぉ、ウサギの足は四本のはず、四本のはずぅぅぅ」
倒れるダーク亀。
○惑星シブーヤ・109高地の頂上
夕陽を見つめているウサギ。隣にマスター・カニ。
ウサギ「仇討ちを果したというのに、なぜこんなに虚しいのでしょう、マスター」
カニ「うむ、それはこのシナリオが2ページも枚数オーバーしてるからじゃ」
ウサギ「すんません」
頭をかくウサギ。
(終)
BACK