2009年5月4日、自転車でフードの買い出しに行った帰り、国道沿いのある所で子猫の鳴き声が響いているのに気が付きました。

近づいていくと、何も入っていない空の買い物カゴと、散らばったわずかなドライフード、空になった黄色のコップが転がっていました。

鳴いている子がここにいない・・・車通りの多い場所なので、心臓がドキドキしながら、耳をすまして、一生懸命に探しました。

鳴き声はその後ろにある植木の奥から聞こえてきました。

とにかく手を精一杯に伸ばして、おいで!おいで!と叫ぶと、手に温かいものが当たりました。

一瞬にぐっと掴んで、引っ張ってみると、出てきたのはガタガタと震えた小さな子猫でした。

ファー!と言い子猫は怖がっていましたが、明らかに人に慣れていました。

周りに兄弟の姿はありませんでした。

転がっていた買い物カゴと鉄のフタを拾い、着ていたジャンパーでカゴを覆い、

自転車の前上にのせ、慎重に慎重に歩いて帰りました。

もし、バランスを崩して自転車が倒れたらどうしよう・・暴れて飛び出してしまったら車に引かれてしまう・・

そんな気持ちでカゴのフタを片手で押えて、片手で自転車を引いていました。


無事に帰ってすぐに、子猫にミルクとごはんをあげました。

声を出しながら、お腹がふっくらと膨れるまで食べ続けました。

何日もの間、あの植木の中に隠れていたのでしょう。必至に食べていました。




子猫が落ち着くのを待ってから、病院に連れて行き、検査とワクチンの接種を済ませました。

幸い、体調はいいようです。

病院から帰ると、またごはんを食べて、すぐに寝てしまいました。

とても疲れているようです。

下の写真は、保護した場所に転がっていたカゴと、水の干からびたコップ、カゴの中に入っていたタオルです。

タオルの下には犬用のジャーキーの空袋とカゴの周りには段ボールが巻かれていました。

カゴのフタは鉄を加工したもので、カゴのサイズに合わせてカットし溶接した後、

しっかりと針金で固定されていました。

また、買い物カゴの側面に書いてあるスーパーの名前が白いペンキで塗りつぶされていました。




この子を捨てるために、いったいどんな気持ちでこれだけの準備をしたのでしょうか。

怒りが込み上げてきます。

生まれてくる命に責任を持てないなら、なぜ手術をしないのでしょうか。

この子を保護しても根本的な解決にはつながりません。

たまたま私が保護したこの子は、不幸な動物たちの氷山の一角でしかありません。

しかし、一匹一匹がかけがえのない命であり、この世に無駄な命などひとつもないのです。

また、命を捨てるということは、動物愛護管理法に違反します。


子猫は今も震え、唸りながら眠っています。



この子が無事に育ち、去勢手術を終えてから里親さんを募集したいと思います。