ホープ、頑張れ!


半年前のホープ(2008年夏)



年の瀬も押し迫る頃、真冬の雪の降る寒い晩にホープと出会いました。

スーパーの駐車場の片隅で、痩せた体を小さく丸めて眠っていました。

首輪も付けず、捨てられた可能性が高いと思い、まずは3日ほど様子をみることにしました。

ホープの事についてスーパーの方に尋ねると、険しい顔をして、

お客さんについてまわるから危ない・・・、子供になにかあったら・・・、保健所の方に来てもらおうと思っている・・・、という事でした。

今にも保健所に電話をかけそうな勢いでした。

今すぐホープを保護しなければ!と思いましたが、いざ近づいてみると、人を警戒して逃げていってしまいました。

しかしその後ろ姿はあまりに小さく、よろよろでした。

私たちの力だけでは難しいと思い、たまたま近くを通られた犬好きな方に協力を頂いて、

無事、保護することができました。

保険所や警察、市役所への届け出もなく、迷い犬のポスターもたくさん貼りましたが、

飼い主は見つかりませんでした。

保護当時、ホープは十分にごはんを食べておらず、骨が浮き出ている感じがしました。

今までどこで生きてきたのか、なぜここにいたのか、私たちには分かりません。

しかし、保護してから数日間、一日中寝続けるホープの様子を見て、

本当に久し振りに、なんの心配もなく体を休めることができているという事がよく分かりました。

当時すでに高齢だったのに、ホープはすぐに心を開いてくれました。

ホープという名前は、未来に希望をもって欲しいという願いと、

保護した場所のスーパー(○ープ)の名前を一文字だけ変えてつけました。

色々と呼びかけたものの、なかなか里親さんとご縁がなく、現在はさらに高齢になりました。

そして今、ホープは鼻の癌と戦っています。

病院で頂いた薬と、ホープのためのごはん、マッサージなどでホ−プの看病をしています。

現在ホープの状態は、残念ながらあまりよくありません。

一日、一日が勝負です。

半年前のホープとは顔も体もすっかり変わってしまいましたが、

どれだけ症状が重くなってもホープからは“生きたい”という気持ちがいつも伝わってきます。

動物はどんな時でも、最後の瞬間まで生きようとすること、それはこの活動を始めてから動物たちに教えてもらいました。

どんなに重い病気を持っても、どんなに体が不自由になって歩けなくなっても、懸命に生きようとする命に、

人が手を加え、命を閉ざすことはいけません。

辛くても、死と向き合う事に逃げてはいけないと私たちは思っています。


今、ホープは人生の中で最も大きな峠を迎えています。

私達が動揺しないように、ホープが少しでも安心できるように、奇跡を信じて最後の最後まで頑張ります。

みなさんどうか、ホープを温かく見守っていてください。

お願い致します。



2009年4月6日






2009年4月9日午後8時40分、ホープは息を引き取りました。

症状がどんなに悪くなっても、ホープは大好きな散歩をとても楽しみにしていました。

今日もいつものように、一日中横にしていた体を起して、扉の前で待っていました。

ヨロヨロと歩くホープを支えるように、ゆっくりと歩いて、たくさん草の生えているところまで行きました。

草の香りを嗅ぎながら、数分が経ったとき、ホープがふーっと大きな息を吐きました。

とても大きな呼吸でした。

そして支えていた腕の上へホープの体がゆっくりと倒れました。

 

大好きな散歩の帰り道をホープは歩いて帰ることができませんでした。

ホープを抱えて帰り、毛布の上でホープは静かに息を引き取りました。

苦しい声をあげることなく、とても静かな最期でした。優しい目をしていました。


ホープを看取ったとき、ホープにごめんね、と言いました。

ホープが元気なうちに里親さんを見つけてあげることができませんでした。

今は、してあげられなかった事ばかりが頭に残っています。

幸せいっぱいの温かい家族に囲まれて、ホープは生きたかったに違いありません。


 

でもホープは応援してくださる方々に、たくさんの優しさを頂きました。

ご支援頂いたおいしいごはんを食べて、夜は温かい毛布に包まって眠りました。

最後は病気で苦しんでいた顔とは全く違い、

穏やかで、私たちも見たことのない子供のような優しい目をしていました。

応援してくださった皆様の気持ちに包まれてるようでした。



ほんの数時間前の出来事に、まだ頭の整理がつかないまま

“ご報告しなくては・・”と思い書いています。

まだ、うまく言葉が見つかりません・・・




ホープ、よく頑張ったね。

ホープが残した想いは、必ず今生きている子達に返すからね。



応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。