TOYOHA  KOOZAN
         豊羽鉱山     1/1   
           北海道札幌市南区定山渓元山     Photo : 2008.09





 豊羽鉱山というのはそれほどメジャー鉱山ではないが2009年時点で採掘を続けている鹿児島の菱刈金山を除き日本では一番最後まで営業採掘していたレアメタルの金属鉱山である。閉山は2006年3月だからまだ3年しか経っていない。訪問した時も写真で分かるように閉山整理中だった。採掘鉱石はメインがインジウム。これが最大の目的だった。ハイテク時代の現代、TVやパソコン、ケータイ、ゲーム機、カーナビ、その他ビジュアル方面で大活躍の液晶画面。この液晶パネル製造に欠かすことの出来ない透明電極をインジウムから作る。インジウムという元素はスズとカドミウムに挟まれた原子番号49の金属元素で非常にやわらかい。ナトリウムのようにナイフでも切れる金属である。融点は約156度と非常に熱に弱い。そんな物質を世界で取り合いしているのがIT時代の現代である。
 ここ豊羽鉱山はそのインジウム鉱石の世界でも名だたる一大産地であった。それも札幌市内からたったの20〜30キロ離れた温泉街のすぐ近所だ。
 切羽深度は最大地下600m。当然海水面下だ。もう一つここの鉱山では厄介なことがあった。地熱だ。最深部では岩の温度が100℃を越えた。人間も耐えられないが火薬が危ない!そこへ持ってきて中国産のインジウムが安く世界を席巻する事態に。
そんなこんなで掘っても掘っても採算がとれなくなり鉱量の減少もあったが遂に2006年3月閉山となる。
 スタートは1914年久原鉱業(現新日鉱ホールデイングス)により開発着手。その後幾多の変遷の中休業、再開を繰り返しながら最後まで同社が探鉱・採掘を続けた。


                               


 札幌市内中心部から国道230号線を定山渓温泉方向に向けて走っているところ。天気もまあまあだし快適なドライブだ。目的地はどうやらR写真正面のポコッと突き出た山の向こう側のようだ。


 やってきました定山渓に。でも温泉に入る予定はナッシング。そのまま道々95号、京極定山渓線に入る。


 だいぶん近づいてきました。なんとなく何かありそうな山ですね。  内地にはない名前ですね。筆者の世代だとどうしても白土三平のカムイ伝を思いだします。


 遂にやって来ました。豊羽鉱山。数年前に閉山が決まりあるいはひょっとして跡地整理中かな?とも思いましたが矢張りピンポ〜ンでした。結構作業員が右往左往しています。  閉山とは言ってもやはり立入禁止、なので早速事務所に声かけに。”すみませ〜ん、お忙しいところ恐れ入りますが・・・・・”続きは下に・・・・・


 鉱山事務所です。


 豊羽鉱山事務所の玄関。さっきのつづき・・・
”・・・恐れ入りますが〜〜”ときちんと説明すると普通に”ああ、いいですよ。事故だけ気をつけてくださいよ”と親切におっしゃっていただいたので少し中を歩くことに。最も許可を得たと云ってもそんなに奥までは行っていない。そこは常識の範囲内でとどめています。


 なんとなく火事場から運んできたような石ですがこれがインジウムやスズ、亜鉛、銅、鉛、金、銀などが含まれている鉱石かと思うと神々しく見えます。事務所の玄関横に展示(元はきちんと展示されていたのだろう)と言うよりも”邪魔だから一時そこ置いておけ”式に置いてあるようだった。閉山作業中なのでしようがないですね。(もし要らないのなら私がいただきますが・・・。んなわけないか。 <笑>)


・L写真:労組の事務所。
・R写真:玄関横にあった施設だが何のものか分からない。


 下の写真、黄色い〇印の部分。
どうやらこれは選鉱所だったようです。鉱山もトラックレスマインの現代では昔のような山の斜面の神殿のような工場ではないんですね。


 事務所の裏から撮影。黄○は選鉱所、赤○は二つとも坑口。
 手前は解体作業中。


 上の写真、左の赤丸の部分。手前の川は白井川か大江の沢だろう。鉱口と橋が少しずれているし川との間がほとんどスペースがないがどうやって鉱石を運んだんだろう?あるいはこの坑口は通気用か人や物資専用なのか?ダクトが入っているところを見ると水処理と坑内管理用に口を塞がないでおいているのかも。


 上の写真、右の赤丸の部分。こちらの坑口は完全に塞がれている。坑内管理の必要がないのだろう。


 事務所裏の階段ですが冬は凍るせいか階段にスチームを入れてますね。北海道ならではの光景です。


 道々95号線が敷地内を走ってる格好になってます。


 ここは上の写真(豊羽鉱山入り口の案内看板)のすぐ脇にあったたぶん沈殿池の跡だと思う。L写真の頑丈そうな基礎は何のものだろう。かなりの重量物用に見受けられる。


 L写真のUPがR写真ですが怖い〜!!なんとまあ〜あんな高い所で・・・。下から鉄塔の麓まで登るだけでも密林?の中をグネグネと行くのにおまけにあんな上まで登って作業?!辛い〜!
 送電線はすでに撤去してないので鉄塔の解体をしてるんでしょうね。冬になる前にやってしまおうということでしょうか。それにこの頃はまだスクラップ相場もよかったし。


こっちも上に同じ。


 送電線と碍子がないとすっきりしたもんですね。後は解体待ちでしょうか。


 これはおそらく沈殿池(だった)箇所ではないだろうか。広さといい車道より若干低い位置関係といいそんな気がするが。キャタピラー社の大型ユンボがバリバリ働いていましたよ。


 何のパイプでしょうか。沈殿池(だと思うが)の近くだったので送泥管でしょうか?どこから3209m?  木の間をよく見ると何か奥に鉄柵みたいなものがありますよ。なんでしょう?


 帰り道、鉱山の近くで何か工事をしていた工場らしきものがあったがこれも鉱山の関係建築物だろうか?看板らしきものは何も無かったが。





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>おしまい<