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  茨城県大子町(だいごまち)栃原  栃原金山  撮影:2009.12   (1/1) 
主な採掘金属 : 金 (Au)
経営企業    : 「金山沢鉱山」→「大子鉱山(株)栃原鉱業所」→’87年に「東洋金属鉱業株式会社」と改名、閉山。

栃原金山は他の茨城県内の金山と同様約400年以上昔の佐竹藩時代に発見・採掘を始めた金鉱山である。それを近代に入り昭和のかかりに再度採掘し始めたのが「金山沢鉱山」である。それまでの長い期間のことはよくわからないが恐らく小規模に断続的には続いていたのだろう。「金山沢鉱山」は1943年のいわゆる「金山整備令」により閉山を余儀なくされるがその後1982年に冒頭の「大子鉱山(株)栃原鉱業所」が試掘したところ有望鉱床発見。1987年には営業採掘はじめるために社名を「東洋金属鉱業株式会社」と改名。しかしまもなく金相場が低迷し採算割れしだしたので1999年一旦採掘を停止、休業している。その後は観光化に方向転換したり金粉入りのミネラルウオーターを販売したりしたがどれも軌道に乗らず事実上失敗。現在に至る。ちなみに金の品位はそれ程悪くなく、トン当たり/約30グラムあったらしい。相場さえ悪くなければ充分に採算の取れたラインである。何事も継続が一番難しいということか・・・


県道32号線を久慈川から西進すると10キロぐらいでここに着く。右側に”東洋金属鉱業株式会社”と”栃原金山”の看板がある。


「栃原下」のバス停と「栃原金山」の看板。同所。


左:端を渡ってすぐに別サイトで見覚えのある”栃原金山”のアーチがある。最も骨組みだけで肝心のものがないが。金山観光を
   やめてしまったのもいつだったか不明。この様子だと相当時間がたっている模様。本丸にはここから5〜6分。

右:橋を渡ってすぐ左側の元事務所。前は広い駐車場。


左:事務所の内部、バッテリー充電機が見える。手前は家庭用冷蔵庫か、鉱山専用充電器と家庭用冷蔵庫が同居してるなんて観光坑道でしか見れない光景ですね。
:砂金取りをしていたようだ。いわゆるバンニング、別名”わんがけ”ともいう。砂金入りの砂をお椀ですくいユッサユッサと前後左右にゆすり比重の重い金だけを底のほうに沈ませて最後に取る、ということだ。結構コツが要るが分かってしまえば面白い。小生も最初の頃はなかなか取れなかったがすぐにこつが分かり最近ではチャンスがあれば500〜600円投資でやっている。最も時間制限ありなんで(当然だが。だいたい30分ぐらいか)あんまりゆっくりは出来ない。でも子供連れには結構overしても見て見ぬふりのようだ。そりゃそうだよね。〓子連れは強い?!〓  


左:坑口に行く途中こんなあばら家が2、3箇所ある。
:選鉱所にしては若干小さめだがそうなのだろうか?あるいは観光用に何かを転用したのだろうか?


選鉱手順や粗鉱移動状況などを親切に案内板に書いて示しているのだがいかんせん「鉱山」と言うものの人気具合がいまいちなのでここも観光化、失敗だった。惜しいことである。閉山そのものは仕方のないことだが保存・観光化をもうちょっと何とか続けられるようにならないものだろうか。


上の建物の隣にあった粗鉱貯鉱場。文字通り山のようにあったがこれを精錬すれば金が取れるんでしょうね。それともこれは観光用ダミー?個人レベルでの金精錬方法はないのだろうか。あればみんな殺到するかな・・・全国でゴールド・ラッシュが起こったりして(笑笑)。  


左:右側の道路が坑口側、左側の道路は山の上のほうに行く道路。何もなかったが。
中:
右側道路の途中にあったホッパーらしき装置
:ホッパー側から見た選鉱所。


左:左側道路を行くとすぐにこんな祠ではないなんと言うのか道祖神でもない・・・よく分からないものがある。横
   には「昭和19年6月」と刻印。

:これはまた別のもの。  


左:右から「紀念碑」。言べんの「記」ではなく糸編の「紀」だ。
金砂村大字上利倉ー金山稼業ノ形跡ヲ存スルモ其ノ・・・久慈川沿岸ノ産金熱・・・?分かりません。


栃原坑口です。やっと着きました。ここが観光用にバッテリー・トロッコで中まで入れた坑口です。右側の案内板は読めなかったですね。


左:はっきりくっきりと「東洋金属鉱業(株) 栃原坑」の看板が確認できる。脇には地元警察の警官が定期的
   に巡回しているのかパトロール・カードが貼ってあった。

:坑道内部の様子。トロッコ軌道とすぐ奥からは壁も岩肌のままである。水は溜まってはいるが大して流れ
   てはいないようだった。


もっと上のほうに行くと何か珍しい物でもあるかなと思いずんずん登って行ったんですが今回は何にもnothingでした。ザンネンです。  


栃原坑口から選鉱所にトロッコで鉱石を輸送するための軌道コース。道路の脇の上を2〜300m走っている。


鉱石はトロッコのままでは選鉱所には行っていないようだ。。ここでベルコンにバトンタッチして選鉱所まで搬送しているようだ。ではこの積み出し口は何だろう?坑内のビン(漏斗)みたいなやつ。確実に積み込みをストップできるように重いレールを取っ手代わりに溶接しているし。


左:こちらは観光用だろうか、なんとなくそんな感じがするが。内部だけ改装したのかもしれない。
:ウィルフレーテーブルのことだと思う。写真下の平らなやつ。これも比重差を利用した構造の機械で簡単。平らな板(プレート)に金入りの泥を流し板を揺すると一方に金が寄ると言う理屈。


左:これは”ネコ流し”のようですね。ネーミングのルーツはよく分かりませんが命名はかなり昔からのようです。理屈は簡単。早い話
   が滑り台の上から金の混ざった泥水を流し箇所箇所に小さなダムを設けてそこに比重の重い金がひっかかる、ということ。佐渡
   金山なんかではダムの変わりにサラシ木綿を敷いてそこに金粒を木綿の抵抗で引っ掛ける、というものだった。選鉱作業という
   のは殆ど全部比重の違いを利用したものばかり。よくあるシックナー(鉱山でよく見るコンクリート製の大きくて丸い施設、中心に
   攪拌用のモーターの付いているものもある)などもそう。
中:
右写真の説明。
:写真真ん中の機械のこと。ボールミルという。クラッシャーの一種。鋼球(鉄球)を入れた円筒形のドラムの中に砕いた鉱石をい
   れドラムを回転させてより細かく微粉末状にする機械。


左:各種機械の設備された建屋の外観。前には沈殿池らしき池もある。
:裏をぐるっと回るとちょっと高台になっていて鉱石を投入するようなポケットがある。枯葉でいっぱいだが形状からしてそうだろう。
   トロッコ軌道は見られなかったが・・・


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