sira taki  koozan
白 滝 鉱 山 1/1
高知県土佐郡大川村朝谷       訪問年:2009年


 白滝鉱山というのは高知県と愛媛県の県境近く、かつて水不足で有名になった早明浦ダム湖の北方向10キロぐらいの山の中にある。
 元々江戸時代の初頭にこの地域に銅などの鉱床があるということは地元では知られており当時の土佐藩が1699年、近くを流れる大北川沿いに本川銅山(大北川のこと)を発見開坑したというのが始まりである。しかし貧鉱だったため数年で閉坑。その後長く注目されず幕末近く1815年から明治維新頃にかけて藩主や家老等が何度か採掘を試みたがいずれも失敗。後明治から大正にかけて幾人かの資産家(ほんの一時ではあるが住友家も加担した)が鉱業権の取得、譲渡を繰り返したがいずれもうまくいかなかったようである。
 最終的に1913年(T2)愛媛県の資産家、宇都宮氏に経営権が移り「宇宝合名会社」を設立、鉱山経営に入り積極的に発電所や機械化など近代化を進めこの付近の大北川、白滝、朝谷、樅の木など諸鉱山をまとめて”白滝鉱山”と名乗った。
 この頃それまでの鉱石や物資運搬手段を人力に頼って白滝から徒歩で野地峰峠を越えて今の法皇湖に降り銅山川沿いに北上し富郷町豊坂辺りからまた北へ山越え寒川町に入って三島に着く、というまことに大変な工程を経ていた。そのため人夫も重労働だし事故も耐えなかったし鉱山経営にしても人件費や輸送の効率が悪く改善が急務の課題であったため1916年遂に架空索道を建設。白滝から三島まで延々20数キロの索道で鉱石や物資を運ぶことになる。
 1919年久原鉱業(現日鉱ホールデイングス)に経営権が渡る。以後大正、昭和にかけて政府(軍部)の軍備拡張政策での(金属)物資増産の大号令により終戦まで積極的に採掘する。一時は鉱山人口2000人以上にまで達し関連施設はもちろん学校、病院、売店、映画館、居酒屋などなど山の中に一大ニュータウンを築いていた。そんな白滝鉱山も1972年ついに閉山となる。現在は青少年の野外活動センター”自然王国・白滝の里”として跡地が再利用されている。


 別子の筏津抗から高知側に行き大田尾越(峠)を越えたあたりでなかなか粋な場所に遭遇。
・L写真:舗装道路がないとまさに深山幽谷状態。
・R写真:極々普通の滝ですが角ばった岩が上から落下したような・・・。でも上を見るとそんな箇所が何処にも・・・。(でもきっとあるんでしょうね。) 


 大北川右岸沿いの県道6号線を南下中、白滝鉱山、朝谷方面に行くにはこの橋を渡る。R写真の”木星館”の看板の上に「白滝鉱山」の看板が見えるだろうか。ちょっとアングルが悪いですね。


 上の写真の橋を渡って朝谷川に沿った山道を登っていくとすぐにこのような廃屋が右手に見える。当日は道路工事をやっていて近くでゆっくり見れなかったが道路より一段下がった場所にはっきりと残っていた。ちなみにこの建物は鉱山時代の従業員用の銭湯(第二浴場)である。


 もうちょっと上に登ると左手に(この写真は振り向いて撮った)こんな遺構が。なんだろう?屋根の上に銭湯にあったような小屋根が。何のためのものかよく分からないが蒸気の喚起用か?でも浴場にしては少し小さいように思うが。でなければ売店か鉱山事務所?単なる倉庫かな?住宅ではないと思うが。


 山道突き当たりにありました。旧選鉱所跡が。案内看板には”朝谷山腹工”とあるがちょっと意味が?どうやら元の経営企業が管理しているのではないみたいである。赤い屋根の建物がまさに旧選鉱所の一部であろう。かつてはバックの山の斜面の上部に向かって選鉱所がうなりを上げていたのであろう。しかし実にきれいに元にもどしている。周囲には温室栽培らしき?ビニールハウスがいくつかある。


 近づいてみた。旧選鉱所の躯体自体はほとんど残っていないようである。山の中に入ればまだ分からないが。ほとんどの場合いコンクリートの基礎自体は残っている場合が多い。


 操業当時のトロッコが一台、申し訳程度に唯一展示されている。


 トロッコのシャーシーは木製だったんですね。知らなかった。泉尾鋳鋼所というのはひょっとして大阪・大正区の会社?


 赤い屋根の管理棟近くにプレハブ棟があり中をちょっとのぞくとこれは何でしょう。と言うよりも鉱山マニアなら一目瞭然ではないでしょうか。九分九厘、試錘サンプルでしょうね。中身の正体は見ていませんが。


 全部ズリ山です。見事に大規模でした。


 鉱山の跡地利用で”自然王国、白滝の里”という若者の野外活動センターが作られている。


 よくある坑道を利用した地震観測所ですね。ここの坑口名が分からないが”大川抗”でしょうか?ちょっと安直すぎ?


 ・L写真:鉱山の守り神、大山祗神社なんでしょうね。
 ・R写真:その手前に広がっている広場です。奥に何か道が通ってますがどこへ行く道か分かりません。案外、野地峰越え方向に行くのかも。


 「自然王国、白滝の里」から山の上の方向に向かって少し行くと道路の左手に見えてくる。鋭角に逆方向なのでちょっと分かりにくい。ただ周辺があんまり慰霊碑の場所にしては雑然としていて”こんなんでいいんかい?”と突っ込みをいれたくなりそう。


 ”白滝鉱山鉱友会”とある。なんでも年に一回かつての仲間たちが集まってYYGGするらしい。
  
 M  A ♪ P 


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