POP SAURUS TOUR 初日

静岡エコパスタジアム
 2001年7月14日

 

今回の公演はチケットに泣かされ、チケットに笑った。一緒に行くはずだった友人にドタキャンされ、
パートナーを探したが見つからず、結局貴重な1枚が無駄になってしまった。
しかし当日になってアリーナ12列の席を譲ってくれる人が現れた、しかも無料で。(@_@)
どうやら神様は私を見放してはいなかった様だ。

2時ごろ静岡の愛野駅着。駅員さんが一生懸命アナウンスをしている
「ミスターチルドレンのコンサートにお越しのお客さま・・・」この日の静岡の気温37度??と、とにかく暑い!暑い!暑い!スタジアムはすぐそこに見えるのに、一向に着かず…ひたすら歩く事20分、周りをゆっくり見て歩く余裕など無いほどしんどかった。静岡の暑さを甘く見ていた私、夏場の必需品日傘を忘れてしまった。(>_<)
炎のごとく照りつける太陽から逃げるように会場に到着、目の前に円形状のエコパスタジアムが待ち構えている。
思ったよりシンプルで地味な印象だ。吸い寄せられるように近づくと、既にリハの音が響いていた。


今日初めて会った地元の女の子と合流して5時半開場。
荷物チェックをして会場内へ入る、さすがワールドカップサッカー場だけあって広い。
中に進むと「おー!」と歓声が漏れる。スクリーンが両側に二つ、そしてステージには巨大な恐竜の骨が見事に構えていた。瞬間にこれは何か仕掛けがあると感じた、期待できそうだ。


6時丁度に席についたがまだ空は明るい、しかも蒸し暑い。7月ってこんなに暑かったっけ?!
うちわで仰ぎながらライブが始まるのを待つ。この緊張感、次第に高まる鼓動、期待感、
この開演前の時間がとても心地よくなんとも言えないくらい好きである。


6時20分、
スクリーンの映像でライブが始まった
ミスチルの歴史を年代ごと追っていくようなアルバムジャケットや、彼らの映像が次々に映し出される。
BGMはなんの曲だったのか、テクノ系の壮大な音楽だった。深海のジャケットの椅子、ボレロのひまわり、
そして開場の熱気が最高潮に達していった頃、まずキーボードの浦さん、
そして珍しく桜井さんが最初にステージに登場した。ものすごい歓声、絶叫、何度見てもこの瞬間は最高である。
そして、2001年野外ライブPOP SAURUSがスタートした!


青いジャケットに黒いパンツ姿の桜井さん、ギターを持って登場。
まず
「花」のアカペラバージョンでスタート、いきなり激しい曲を持ってこない所が新鮮でまた良い。
桜井さんのどの調子がとても良さそうだ、エコパスタジアムに桜井さんの澄んだ力強い歌声がこだまする。
まるでこの広く青い空に投げかける様に、魂の叫びが届く。


続いて
I’ll be」の前奏、99年武道館で聴いた時とは少し違って聞こえたのは野外の空気のせいか。
「ラララ」が始まると歓声が一段と高まる、そしてお決まりのラララの大合唱。今回のライブで誰もが口を揃えて言うのが、
“桜井さん本当に幸せそうに笑うよね”あんなにとろけそうに、子供のように笑顔を見せる彼を今まで見たことが無い。


短いMCをはさんで、初期の頃のシングル曲
「君がいた夏」「LOVE」「星になれたら」3連発。
深海の頃からファンになった私にとって、初期の頃の曲は生で聞いた事がなかったのでとても嬉しく新鮮であった。
そしてこれらは桜井さんが10代〜20代前半に書いた詩であり、その詩の初々しさに、
歌っている彼自身がメチャクチャ照れくさそうに歌っているのが印象的だった。
聞いているこちらも恥ずかしくなるような歌詞であるからして、さすがに30男が口にすると笑えてしまう(笑)。


ここで
MCが入ったが内容は良く覚えていない。
確かこの会場にちなんで、ワールドカップ関係の事を言っていた気がする。
そして「夕暮れにピッタリの曲をやります」といって
「車の中でかくれてキスしよう」のイントロ、これも初めて聞いた曲。
田原さんのギターソロと夕暮れの空が会場を包み込み、桜井さんのボーカルが静かに、そして優しく
心の中に溶けてゆく。その余韻を残して
「抱きしめたい」へ。
これは何度聞いても心地良い、永遠の究極のラブソングである。
「もしも君が寂しい時にはいつも僕がそばにいるから」
愛する人からこんなセリフを言われたいと、誰もが思ってしまうだろう。
それぞれの人がそれぞれの思い出と重ね合わせて涙するものもいる。
まるで自分の為に歌ってくれているかのように、その世界に酔いしれる。


Dance Dance Dance」イントロクイズを見ているようだ、ファンの反応は早い。「ぎゃ〜!!!」と悲鳴がとどろく。
この曲の良さは、のりの良さはモチロンなんと言っても桜井さんのライブパフォーマンスである。
ミスチルの人気の理由の大半は桜井さんであるのは誰もが認める事だが、そのステージで魅せるセクシーさ、
自然とかもし出すあのオーラは凄いものがある。どこかのラジオであるパーソナリテイが言っていたが、
「桜井さんは家で鏡を見ながら研究しているんじゃないか??と思えるくらいカッコよい!」やけに納得してしまった。
徐々にテンションが上がっていく、右へ左へ腰をくねらしながら踊り客席を挑発する桜井さん。
ここで
花火が上がる、少し熱かった。
続いて始まったのはRound About」、知らない人が多いのか、意外だったのか「??」といった反応、
私にとっては大好きな曲だったのでとても嬉しかったが。個人的にこれは初期の頃の名曲の一つだと考える、
若さゆえの苦悩や迷いが表現されていて切なくも力強い作品である。

今回の野外ライブでは
スクリーンがとても重要な役割を果たしている。
始まる前の遊び心のきいた映像も、まるで彼らの代わりにメッセージを投げかけてくれるような映像と演出、
深海ツアーの時を彷彿させる素晴らしいものであった。そうして
「シーラカンス」のイントロが流れはじめた。
深海のこの重苦しさが野外に合わなくて嫌いだという人もいるが、私はこの頃のミスチルが好きでたまらない。
この暗さがなんとも言えず心地よいのだ。
暗闇の中から這い上がるように、体の奥底から搾り出しながら歌う、彼の姿は果てしなく美しい、私の心に染み渡る。
そして
「手紙」へ。すっかり暗くなったエコパの夜空にイノセントボイスが響き渡る。またしてもやられてしまったようだ。


このエコパスタジアムはサッカー競技場のわりに音響が信じられないくらい良い、東京ドームとは明らかに違う。
頭のてっぺんから足のつま先まで、迫力のある重低音がずっしりとガンガン響き渡る。本当に感動してしまった。
スクリーンには例の深海の映像が・・・、ああまた深海の世界へ引きずり込まれて行く。
突然めまいを起こしそうになった、この感覚は何なのだ??
宇宙のどこかに迷い込んだような、第3世界の中に入ったような・・・
これは音響の良さだけではない、彼の歌の上手さだけではない、では一体何なのか?
そんな事を考えている内に静かに手紙は終わった。

今回のライブではアレンジが随分変わっていて、はじめ何の曲かわからない物もあった。
「マシンガンをぶっ放せ」「ニシエヒガシヘ」そして「光の射すほうへ」の3曲は特にそうであった。
原曲よりもリズムが前面に押し出され、かなり
ノリの良いアレンジになっていた。
そして私を踊り狂わせるのには十分なくらいカッコよく、興奮は最高潮に達していた。
すでに理性の糸は切れ、記憶に無いくらい私は壊れていた。
体が自然に動く、会場も一体になってきているのを感じる。


しっとりした曲もいいけれど、やはりライブといえば激しい曲が盛り上がる、物言えぬ快感に襲われる。
ライブも後半戦に入りいよいよ、と言うか遂に
SAKUちゃんのエロゼスチャーが始まった。
今回はまたさらに磨きがかかり、かなり危ない大人の魅力をここぞとばかりに見せ付ける。
最前列の皆さんは完璧に悩殺された事でしょう、あれを目の前でやられた日には…(^_^;)
桜井さま、あなたのセクシーさは罪です。
昔の爽やかな彼を想像して、初めてライブを見た人はショックを受けるだろうなあ(笑)。


今回の野外ライブは席が良い席ということも手伝ってか、かなり満足のいくものだった。
以前のふと感じる物足りなさ、不完全燃焼の気持ち悪さは全く無く、シングルとアルバムの曲のバランス、
選曲の良さ、内容も濃いものだった。彼らがこのツアーに注いだ精力の大きさを全身で感じ取れる。
そして彼らも10年のベテラン、見せるところ聴かせるところ、しっかり「つぼ」を心得ていると感心してしまった。
楽しませる術を知っているのだ、その一つとして静と動の交差する絶妙なバランスにある。
シーラカンスで始まった心の闇は光の射す方へ解き放たれ、再び深海へ。暗い海の底でさまよい、
迷いながら次の扉へと進んで行く。しかし久しぶりに聞いた
「深海」を歌う桜井さんは、狂おしいほど妖艶だ。
これほど人を惹きつける魅力のある人は他に見つからない。


「僕の心の奥深く、深海で君の影ゆれる」「シーラカンスこれから君はどこへ行くんだい?」
私たちはこれから何を目指せばいいんだろう、そしてどこへ行けば?
 試行錯誤している間に聞きなれたイントロが流れる
Tomorrow Never Knows」そうだ明日があるじゃないか、
明るい未来へと進んで行こうじゃないか。「果てしない闇の向こうに、夢を描こう」
「心のまま僕は行くのさ、誰も知る事の無い明日へ」こんなクサイ詩の中にも限りなく力強い説得力が潜んでいる。


そしてスクリーンにはステンドグラスの映像が
Hallelujah」である。
なんだかんだ言ってもこのドラマチックなイントロが流れるとつい涙腺が緩んでしまう。
いつも、いつもこの曲を歌う時の桜井さんは特別心を込めて歌う、まるで誰かのために、いやきっと愛する人のために。
その想いが痛いほど伝わってくるのだ。時には声を詰まらせて涙ぐんでいるように見える瞬間も。
「いつの日か年老いていっても この視力が衰えていっても君だけは見える」
「もしかして地球が止まっても 人類が滅亡に向かってもこの思いは続く」そんなに愛されている人がうらやましく思える。
でも今だけは自分の物、いただきです(笑)。

いつの間にかスタジアム全体がハレルヤの大合唱.
私も歌う、皆も歌う、桜井さんもメンバーも歌う、これぞライブの醍醐味、会場全体が一体となる瞬間である。
クリスチャンでもないのにいつしか私は両手を高く上げ、祈りのポーズ。気がつくと自分の世界に酔っている私がいた。


ふと気がつくと、何故か桜井さんは違う歌詞を歌っている「負けないように枯れないように」そう、
「花」である。
私たちがハレルヤを合唱しながらステージでは花を歌う…、誰もが驚いた新しい演出である。
少し戸惑いながらも一生懸命ハレルヤを歌う観客、してやったりと言った表情で楽しそうに笑うメンバー達、
そして花の詩に合わせるように恐竜の口が開き真っ赤な花が現れる。何か仕掛けがあると思ったらこういう事だったのだ。
スクリーンにも赤いバラが次々と咲き乱れ、大興奮の中エンディングを迎えた
「どんな時も心に永久なる花を咲かそうよ」というメッセージを私たちの心に託して。
どのくらいの時間が過ぎただろうか、アンコールの拍手が鳴りやまぬ中、再び彼らがステージに現れた。
メンバーは3度目の衣装変え(お色直し?)。桜井さんの真っ赤なシャツがやけにまぶしい
「思いっきり出し切ってください!」の掛け声の後にいきなり
「Everybody goes」が始まる。
待っていましたとばかりに熱狂し踊り狂う人たち、これは彼らの曲の中で一番盛り上がると言うもので、
お決まりのように必ずぶちかましてくる。演奏している彼らも本当に気持ち良さそうだ。
このあたりで3度目の花火が盛大に上がった!

照明の美しさに気をとられていると、ここが野外だという事を忘れそうだ。
気がつくと辺りはスッカリ暗くなり、8時を回っていた。あと何曲やってくれるんだろう?
盛り上がりながらも、段々終りに近づいている寂しさを感じる。次のイントロを聞いて会場すごい大歓声、
いつも、いつもアンコールの時、皆で大合唱すると言う
Innocent World」である。
そしてなんと桜井さんはマイクを会場の私たちの方に向けたのである。これにはさすがに驚いた.
そして1番すべてを私たちに歌わせてくれたのだ。それをステージから見ている桜井さんの幸せそうな顔ったら、
(笑)すっかりお父さんって感じ。精神的に安定していると人にもやさしくなれるものです。
昔に比べて角が取れたと言うか、優しくなったのではないでしょうか桜井様。

私は個人的に、苦悩に満ち満ちている彼方の姿がセクシーで好きなんですけど。
でも今回のこの演出はファンにとって素晴らしいプレゼントであっただろうと思う。
一生懸命歌う姿をいつも見ていたのか?客の反応を次のライブに反映するなんて事やる人達だったのか?
私は密かに否定的な思いがあったので実は少し驚いた。かなりの人が感動して泣いておりましたよ、
気がついてくれたでしょうか?ミスチルと言うものはそれ程影響力があるのです、
その人の考え方や生き方さえも変えてしまうほど。その重さに改めて気がつきました。

もう一つ新しい試みがあった。メンバー紹介をスクリーンを通して映像と文字で表現した、これも面白い演出だった。
少しの間をおいて突然Jenがステージ前方に出てきた。
え、もう終りかと思いきや、「Mr childrenの曲の中には捨て曲はありません」と桜井さんのコメントとともに始まったのは
「独り言」これはまたレアな曲を選択しましたなあ。
イントロがやけに
「1999、夏、沖縄」に似ていたので私は勘違いしてしまいました。
どちらかと言うとそれを期待していたんだけど…。

これがまた別バージョン、Jenさんのハーモニカで桜井さんが歌うと言う面白い組み合わせで、これは大いに盛り上がった。そして、そして遂に新曲が!!!
「優しい詩」初お披露目です。メチャクチャ爽やかで明るい曲、
これは昔からのファンにも受けそうな感じです。スクリーンに映し出される歌詞を追うのに忙しい事、
曲をかみ締める間もなくあっという間に終わってしまった。

そして遂にエンディング。スクリーンにはボレロのひまわり畑が映し出され、メンバー全員がそれをじっと見つめる。
私たちもその姿をじっと見つめる。最後にステージの前に全員出てきていつもより丁寧に挨拶をするメンバー達。
一人ずつ去っていくのを見ているとなんて悲しい、そして最後の最後に残ったのは以外にも桜井さんだった。
改めて深々とお辞儀をする彼。3万人の拍手につつまれながらMr.Childrenは去っていった。

規制退場をアナウンスするスタッフの声を聞いて現実に引き戻される。全ては終わってしまった。

いつもの事ながらあっという間の2時間半であった。この余韻と脱力感は言いようの無い快感がある。
しかし脱水症状のため頭がふらふらしている、アリーナ内だけドリンク禁止令は辛いものがある・・・。(-_-;)

そして愛野駅へとまたあの道のりを歩いていく、人、人、人!交通機関が電車しかないため愛野駅は大混雑、
交通整理のお兄さんの言う事など皆な無視して収集がつかない状態。
いつも感じることなのだけど、終わった後皆の会話を聞いているとほとんどの人がミスチルと関係のない話を
しているのは何故???皆な感動とかしなかったのかしら?(笑)

 

今回のライブのテーマは「花」と言う事なのだろうか?
POP SAURUS」の名前の由来は良くは分らないが、キーワードはやはり花ということらしい。
年代を追うように、ミスチルの歴史をたどっていくかのような曲の構成。
花で始まり初々しいほど爽やかな初期の頃の作品〜盛り上がりを見せる中期の油ののった作品
〜後期へ入り大きく変化を見せる深海からの作品〜そして活動休止の時期を経て力強く一段と大きくなって
私たちの前に戻ってきたミスチル。進むべき方向を見つけたような、暗闇の中からトンネルを抜け現れた彼らの作品は、
どれも輝いていて眩しいほどに生き生きとしていた。

彼らはこれからどこへ向かって進んでゆくのだろう。
私たちには知る術は無いが、どんな未来が来ようとも、きっとついて行くだろう、まだ見ぬ明日へ。

嘘も偽りも無い、今日は本当の意味で
良いコンサートだった。

前回のQの時に比べると時間は長めで曲数も多い、構成がドラマのようになっていて中身も濃くとても良いライブだったと思う。MCはかなり少なかったけれど、そんな事全く気にならないほど「内容自体」が良かったのだ。
前から気になっていたアンコールの回数もさっぱりとした終り方も、今回は不思議なくらい気にならなかった。
これほど後味の良い満足感のあるコンサートは最近珍しい。
曲がいくら良くても歌が上手くても、すべてを通して満足できなければいいコンサートとは呼べない。

 

下手な小細工無しに、音楽で勝負して彼らは勝ったのだ。
素晴らしかった、Mr. Children !!

 



<静岡エコパスタジアム ライブ 曲目リスト> 2001/07/14


花 〜弾き語りバージョン〜  

I‘ll be
ラララ
君がいた夏
LOVE
星になれたら
車の中でかくれてキスしよう
抱きしめたい
Dance Dance Dance
Round about
シーラカンス
手紙
マシンガンをぶっ放せ
ニシエヒガシエ
光の射す方へ
深海
Tomorrow Never Knows
Hallelujah
花〜memento mori〜
<アンコール>
everybody goes
Inoccent World
独り言
優しい歌      以上、全23曲
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