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第12回NHK「わたしの尾瀬」写真展
撮影者 写真コンテスト入賞者
期日 2008年1月4日(金)〜1月9日(水)
ギャラリー 高崎シティギャラリー
場所 高崎駅西口下車徒歩約10分
展示作品 コンテスト入賞作品、これまでの入賞作品、審査員の作品
「わたしの尾瀬」写真展 ごあいさつ  厳しい環境の中で、長い年月をかけて自然みずからが創り上げた「奇跡の世界」が尾瀬です。清楚で気品にあふれた湿原の植物、折々の季節や天気に応じて千変万化する光と影。この魅惑的な自然からの贈り物は、同時に、繊細で傷つきやすい宝物でもあります。「この貴重な湿原の魅力を多くの人に知ってもらうことで、美しい姿をいつまでも残したい。このまま後世に伝えたい」。この思いは、コンテストに作品を寄せていただいたすべての方々、写真展の開催にご支援をいただいた方々、そして主催者の共通の願いです。
 平成19年8月30日、日光国立公園から独立して全国で29番目の国立公園となる「尾瀬国立公園」が誕生しました。そしてこの記念すべき今回のNHK「わたしの尾瀬」フォトコンテストには、全国18都道府県の237人の方から725点の作品の応募がありました。どの作品を見ても、魅力あふれる尾瀬を表現したものばかりでした。写真展では、その中から51点の作品を選び、展示しています。
 尾瀬を訪れたことのある方も、まだその機会のない方も、ひとりでも多くの方に、この写真展で、尾瀬のすばらしさと大切さを実感していただき、そのことを通じて尾瀬の自然保護に少しでもお役に立てれば、これ以上の喜びはありません。

                         NHK「わたしの尾瀬」実行委員会
                                  NHK前橋放送局
                                  NHK福島放送局
                                  NHK新潟放送局
                                  財団法人 尾瀬保護財団
観覧日 2008年1月5日(土)
会場の様子
会場の様子 (1) 会場の様子 (2)
金賞 「夕映え」 高庭伸太郎氏 銀賞 「星降る夜に」 有馬雅美氏
銀賞 「春の息吹」 町田満氏 入選 「初夏の謳歌」 平居久美子氏
写真展を拝見して  今回は、風景では私の知人である有馬さんが銀賞に、内山さんと平居さんが入選にそれぞれ入賞されていた。それぞれ尾瀬が見せる表情をそれぞれの視点から捉えており、素敵な作品である。特に、有馬氏の作品は燧ヶ岳山頂から撮った星空の写真であり、とても真似ができない。
 その他、一瞬の光や気象条件を捉えた作品が多く、見応えがあった。
備考 併催 第9回尾瀬フォーラム

第9回尾瀬フォーラム
項目 内容
日時 2008年1月5日(土) 14:15〜16:20
挨拶 尾瀬保護財団事務局長 遠藤 一誠 氏
  • 昨年8月30日に尾瀬国立公園が誕生した。釧路湿原国立公園の誕生以来、20年ぶりのことである。
  • 12月23日に尾瀬国立公園記念式典が都内で開催され、660人が参加した。
  • 今日は、今井隆一氏の講演をお願いしている。その後、意見交換会があるので、じっくり意見を交換して欲しい。
  • そして、ますます尾瀬を好きになってもらいたい。


環境省関東地方環境事務所 統括自然保護企画官 関根 達郎 氏
  • 21世紀になって最初の国立公園が誕生した。会津駒ヶ岳、田代山などを含めて、37200ヘクタールの面積がある。
  • 尾瀬は本州最大の高層湿原を持つ。
  • ゴミの持ち帰り運動も尾瀬から始まった。
  • 片品村、檜枝岐村に事務所を開設した。
講演 「第3の目と尾瀬」 〜初めて一眼レフに挑戦される方にも〜
   講師  写真家 今井隆一 氏

 パワーポイントによる映像を映し、ときおりジョークを交えながらスライド講演会が進んでいった。    
  • 私が写真家になるきっかけというべきものは、尾瀬で撮った写真がアサヒカメラに入選したことである。これは日が暮れる寸前の写真である。
  • 宮内庁でも11年間写真を撮っていた。その後、秋山庄太郎氏に師事し、スポーツ写真なども撮った。それが、このフィギュアスケートの写真である。
  • そして、尾瀬に通うようになり、古い手帳を調べてみると、尾瀬には450泊、回数では200回も出かけていた。
  • 風景写真を撮ろうとすると、どうしても横位置の写真が多くなる。縦位置の写真も心がけて撮るようにしたい。水平線の位置は、4分の1、5分の1くらいのところが良いだろう。真ん中にすると、2分割されてしまってあまり良くない。
  • 撮影の時間帯は、朝食前が良い。朝食を抜いても、大したことはない。
  • 他の人が撮らない写真を撮ろうと思い、ヘリコプターをチャーターして、上空からの写真を撮った。
  • 光は順光よりも、逆光、半逆光の方が良い。
  • フィルムは、4×5インチのもの、ブローニー(幅が6cmで撒かれているもの)、35mmサイズのものがある。ベルビアのISO50なら間違いない。
  • デジタルカメラを選ぶなら、ニコンならD40,D80等、キャノンなら40D等、ソニーならアルファ700等が良いだろう。
  • 尾瀬は山なので、荷物を少なくしたい。最近はズームレンズも良いので、28〜300mmを1本持って行けばそれで済ませることができる。
  • ミズバショウを逆光で撮るとき、そのままでは暗くなってしまうので、ストロボをハンカチで覆って少し光を弱くして撮影したりする。そうすると不自然な感じにならない。
  • 構図はS字曲線、対角線、大小の比較などがある。
  • 雨が降れば、水滴の写真などを写す。
  • 小さな花は、マクロレンズを使って撮影すると、背景がぼけてきれいな写真になる。
    「寸光」 斎藤 俊典 「湿原での出会い」 浅賀 よう子
    「チョウがたくさん自然たっぷり」 齋藤 修吾 「星降る夜に」 有馬 雅美
  • 私だけが話をしているばかりではつまらないので、今回の写真コンテストに入賞した人に壇上に上がってもらい、話を聞きたいと思う。
  • まず、この写真はシラカバに光が入るのを待って撮影した。
    →だれでも撮れるような写真に見えるが、こんな風にきれいに撮るのはなかなか難しい。
  • この写真は鳥の動きのあるところを撮影した。一眼レフを持って12〜13年だ。カメラはEOS Kiss デジタルNである。
  • 次の写真は、小学5年生が珍しい花に蝶がたくさん留まっているところを見つけて撮影した。お父さんのカメラを借りて撮った。
  • 最後の写真は、ペルセイウス流星群の日に、燧ヶ岳の頂上で撮影したものである。季節を外して撮ったり、時間帯も他の人が撮らないようなときにも撮ったりする。
  • 二分法という論理学の学術用語がある。例えば、小泉内閣のとき、郵政民営化は、賛成か反対かを問うた。しかし、80%はグレーゾーンである。
  • 尾瀬について言えば、環境保全と観光振興とは対立するものである。しかし、尾瀬を守ることも大事だが、観光により尾瀬に入ってもらうことも大事である。
  • こうした対立を超えて、尾瀬を育んでいってほしい。
  • 私は、写真を通じて、尾瀬の羅針盤として、尾瀬と共に生きていきたい。
私の提言 参加者から、次のような質問や提言があった。
 回答者として並んでいたのは、環境省関東地方環境事務所 統括自然保護企画官 関根達郎氏、尾瀬山小屋組合長 白石光孝氏、財団法人尾瀬保護財団事務局長 遠藤一誠氏であった。
  • 尾瀬の休憩所で、携帯電話についてはAUは使えるが、DOCOMOは使えなかったりする。使えるなら全部使えるように、使えないなら全部使えないようにして欲しい。
    →大清水と鳩待峠に基地局がある。平成14年に議論したときには、三平峠と山ノ鼻も検討した。しかし、結果として稜線内はやらないことになった。位置によっては、携帯電話が使えたり使えなかったりすることがある。
     携帯電話は、負傷者の対応に十分に役に立つという意見と、それほどでもないと言う意見がある。静かな尾瀬に着信音が聞こえるのはふさわしくないという意見もある。尾瀬ビジョンの中で、「みんなの尾瀬をみんなで守る」と規定されているので、議論をして方向性を決めていきたい。
  • ナデックボの道と温泉小屋道が廃止されるという話を聞いた。燧ヶ岳登山道の2つもなくなってしまうのは非常に残念である。是非とも、存続をお願いしたい。
    →登山道は、ずっと使っているとみず道になってきて、荒れてくる。2つの登山道は使用を禁止する方向で検討していた。温泉小屋道は、危険もあるので、やはり今年度から使用禁止にする。ナデックボ道については、長蔵氏から開いた歴史のある道であり、残して欲しいという声も出たので、検討した結果残そうということになった。
  • 尾瀬の写真展のとき、尾瀬のゴミで一番多いのは梅干しの種だという話が出た。実際にベンチの回りを調べてみたら、梅干しの種がやはり多かった。梅干しの種は山小屋のおにぎりから出ることが多いと思われるが、包み紙にゴミを出すなとも書いていないし、山小屋でもPRもしていなかった。
    →これから山小屋組合で話をして、おにぎりを渡すときに種を捨てないように話をしてもらうか、小屋に看板を立てるかして対応したい。
  • 尾瀬国立公園の独立に当たって、小寺前群馬県知事の功績は大きい。そこでこれをたたえる何かをしたらどうか。
    →平成8年に運動を始め、尾瀬国立公園期成同盟を作った。小寺氏は当初から参加していて、貢献度は高い。ただ、いろいろな人の努力によって、尾瀬国立公園ができたと考えている。検討はしてみたいと考えている。
  • 温暖化に関連して、尾瀬の環境の変化はあるか。
    →温暖化に直接関連するか分からないが、野生の鹿が増えている。影響が目立ってきたところでは、ニッコウキスゲが食べられて、あまり見られなくなったところもある。かなりの数の鹿が生息しているので、周辺地域で捕獲しようと考えている。
     戸倉山林でも二酸化炭素の量を調査している。
     昭和25年、昭和52年、平成6年に、総合学術調査を実施している。生態学的、生物学的な研究をし、湿原が二酸化炭素を閉じこめる研究も行っている。第4次の調査をすれば良いが、まだ行っていない。雪が少なくなったとか、ヤチヤナギが多くなったとか言われているが、温暖化の影響かどうか分からない。
  • 11月に尾瀬ヶ原を歩いたが、奇異に感じたのは木道が高架式になっていたことだ。高架式の木道は、転落したときの危険性もあり、景観上も良くない。
    →木道の高架が良いとは思っていない。ヨシッポリ田代では、平成11年と16年に熊による人身事故が起きている。高架になったところでは、熊が下を通るようになった。水が出ると水没してしまうところもあり、こうしたところを高架にしている。普通の木道では1メートル当たり10万円かかるが、高架にするともっとかかる。高架にするかどうかは、必要性に応じて行っている。
  • 尾瀬国立公園が誕生したが、尾瀬と環境の似ている鬼怒沼湿原が入っていなかった。鬼怒沼湿原も含めることを検討して欲しい。
    →難しい判断であった。確かに自然環境としては似ていると思う。ただ、アクセスルートとしては、奥鬼怒温泉郷を起点としている。そのため、利用は栃木県からとなっている。このため、今回は奥鬼怒温泉郷を含めなかった。
  • 大清水から三平峠の道は車道であるが、元の登山道は廃道になっている。これを復活するつもりはあるか。
    →この登山道は旧会津街道で歴史のある道である。資源的にも興味深い。平成15,16年度に「はるかな尾瀬歩道整備事業」で測量調査を行ってきた。その際に、シャトルバスを車道に走らせたらどうかと言う話も出た。平成16年度にこうした点についてアンケート調査を行った。旧道復活については、賛成が6割、反対が1割、シャトルバス運行については、賛成が5〜6割、反対が3割ほどであった。旧道復活について、設計調査を行ったがかなりの費用がかかることが分かり、現在は頓挫している。

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