shanshanがビーズにはまったときのこと
これってひみつのお花モチーフだよな〜と指輪を作ったのが事の始まり。
皆様ご存知の通り、すみっちょ一同はリボン関連のものに異常に執着するのでございます(^^;)

出来た指輪は当然はめますよねぇ…で、眺めてたら妄想入ってしまったんですわ(笑)





ひみつのお花の指輪おはなし

*
 「サファイア、ただいま!!」
「お帰りなさい!」


 城下の視察から帰ってきた旦那様をサファイアはいそいそと迎えました。

 「予定より遅かったのね、何かあったの?」
サファイアの心配そうな様子に‘とんでもない’とフランツは首を振ります。
「みんな、僕に直接お祝いが言えるチャンスだって、なかなか放してくれなかったんだ。
 今度は是非君にも来て欲しいって。
 民にあんなに喜んでもらえるなんて結婚して良かったよ」

 真面目な顔で話すフランツに悪戯っぽく笑いかけるサファイア。
「フランツは喜んでないの?(^^*)」
まだまだお転婆が抜けないお妃さまをぎゅっと抱き寄せて‘こらこら’と目で叱ります。
‘怒られちゃった’と肩を竦めるサファイアに苦笑しながら、フランツは何やら取り出しました。

 「お土産だよ」
一掴みの白い花びらのお花です。
「道端に咲いてたんだ。踏まれると可哀相だから摘んできちゃった。
 可愛いだろ?」
「これ、あのときのお花と一緒…ね?」
ほんのりと上気した顔でサファイアに問いかけられますが、ピンと来ない様子のフランツ。
なんだっけ?と考えかけますが
「...着替えたらお食事にしましょう。時間とっくに過ぎてるから」
サファイアの言葉に遮られてしまいました。

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 大切な思い出なのに…。

 
食後、用事があるからと一人自室に籠もるサファイア。
花瓶に挿した白いお花を眺めながら初めてフランツと出会った日を思い返していました。

 
 …お船の上でのダンスパーティ。
王子の姿のままで無理矢理ダンスさせられて‘女の子だろ’って言われて吃驚したの。
思いっきり暴れて男だって証明したつもりだったのに、別れ際に『ひみつ』ってこのお花を手渡されて…。
フランツにはどうでもいいことだった?

 あの後亜麻色の髪の女の子として会っちゃったんだっけ。
そっちのほうが大事だから?
ずいぶん前だから忘れちゃったの?
フランツのバカ!!!


 思いっきり深い溜息を吐いてしまいます。

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 途方にくれたフランツは政務にも身が入りません。

 …あんな道端の花に一体どんな思い出があるって言うんだ?
チンクがいてくれたらなぁ。何か教えてくれそうなのに。
あの時…あの時って一体いつなんだ?

「あー。もう!!!駄目だ!!」

ダンっと立ち上がると
「殿下!?」
驚く側近たちに‘すぐ戻る!’とだけ言い残して出て行きました。

 「サファイア!!
「?フランツ?」
急に現れたフランツに吃驚するサファイア。
「お仕事は?どうしちゃったの?何?」
問いかけても答えは無く、馬に乗せられてしまいます。
「フランツ!黙っていなくなったら心配するわ」
「すぐ戻る!」

フランツは前に乗ると‘飛ばすからしっかり捕まっておいで!’とだけ言いました。

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 「ねえ、戻ってお仕事しないとみんなに迷惑がかかっちゃう。
 どこに行くの?
 何するの?
 ねぇ、聞いてる?フランツったら!!」

時々舌を噛みそうになりながら何度も尋ねますが、しがみついてる背中からは
何の反応もありません。
‘なんなのよ、もう…’

 諦めてマントに顔を埋めてしまった頃にようやく馬の脚が止まりました。
お花がたくさん咲いた丘の上です。
「こんな素敵な場所があるなんて知らなかった」
辺りをきょろきょろと見回すサファイア。

 フランツは手近にあった白い花を1輪摘み取ると跪きました。
「フランツ?」
「サファイア姫、忘れた僕が悪いのは認める。
 せめてヒントだけでも教えてもらえませんか?」

差し出された花を受け取って口を開きかけるサファイア、微笑んで一言。
「だーめ!」
‘これでも駄目なのか!’がっかりするやら腹立たしいやらフランツは恨みがましい目です。
「だって‘ひみつ’だもの」
嬉しそうに白いお花を手で包み込むサファイアになんとなく見覚えがあるフランツ。
「…秘密?」
「そうよ、ひ・み・つ・なの」
口許は笑っていますが大きな緑の目は真剣でした。
初めて会ったときから印象的な目だと思ったんだよ…そう、初めて会ったあの船の上で…。
「ああ!そうか!!」
「やっと思い出した?」
にっこり笑ったサファイアをぎゅっと抱きしめて
「もう絶対に忘れないよ!」
と誓うフランツでした。

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 お城へ戻った二人には当然大目玉が待っていました。

 政務を放り出しただけでなく揃って行方不明だなんて!
皆でそこら中探し回った。
護衛をつけてもらわないと困る。せめて行き先ぐらい…
という言葉に、ごめんなさい!と素直に謝る二人。
でも
「一体どちらへ行かれたのです?」
どんなに追求されても‘秘密!’とくすくす笑うのみでしたが。


 後日、フランツはサファイアに一つの贈り物を。
白いお花をイメージしたその指輪には‘二人の秘密の思い出に’と刻んでありました。


<おしまい>

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甘々ですね〜!最初はもうちょっとすっきりするはずだったんですが。
思い付きから展開をいろいろ考えてたときまでのメモが残ってるのでついでに公開しちゃいます。
じ、自虐的?(^^;;)創作ノートなんて立派なものを想像しちゃいけませんが、
頭の中身がこぼれてるので、面白いと思ってくださる方もいらっしゃるかな〜なんてね♪
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