リボンの騎士 ザ ミュージカル
     についての駄文


世間では概ね評判がいいと思われる『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』。
個人的には結構駄目だったのでございました。

わざわざ波風立てんでも〜という気もしないでもないですが、
私ごときがここで吠えても、別にどーってことないから…小波も立つまい(笑)…書き留めておこうと思います。


出演してるタレントさんたちについてはなんの知識も興味もないので、置いといて。
(喧嘩を売ってるわけじゃなく、殆ど知らないし調べてもいないから書けない)

今回、私の関心ごとは‘脚本・演出&監修が宝塚の人’ってこと。

これを書いてる時点では宝塚の舞台を見たことがないので、よくわからないのですが
リボンの騎士は宝塚のムードを反映してるらしいし、あちこちで宝塚で上演してくれたらって
声が聞こえるから、きっと期待できるものに違いない!と思い込んでおりました。

今まで私が見たリボンの舞台化(2002&2003年版・その前のスターキャスト版)は
失礼を承知で言っちゃうと、脚本の人って一体誰よ?って方たちだったのです。
が、今度は何やら大御所のかたらしいし。。。本で躓くことはないと思ってたんですよね。
ところが。
駄目なのは脚本でした。
思ってもみなかっただけにかなりビックリしたなー。



*今回のリボンは、こんなお話(...だったと思う。舞台は2回しか見てないので 若干、人によって印象違うかも。。。)
こんなにツラツラと書いて大丈夫か〜?
ちとヤバイかもしれないですが(><)なんかあったら下げます。



◆天上界
生まれる前の存在たち(プログラムに寄れば「天使」になってますけど)が
待ちくたびれちゃった!と不満を言ってると、その中の一人が「神様から盗んできた」と魂を見せます。
仲間の一人を騙して飲ませてしまったところに、神様が!
「その子にはもう魂を飲ませたところだったのに。
 これで男の子か女の子かわからなくなってしまった」
というわけで、2つの魂を飲んだ子がサファイアになり、
また他の存在たちにも
「この子が女の子になり幸せを掴む日まで共に地上を彷徨え」
と命じます。
魂を盗んで飲ませた首謀者の子が大臣(ジュラルミンにほぼ相当しますが、名前は無し)として
止めようとした子が王子(フランツですよ、勿論)として
もう一人、「男になるのは厭!」と言った子は魔女として地上に送り出されます。
「ここに魂の物語が始まる…」

◆シルバーランド王宮・庭
ドレス姿のサファイア、王妃と庭で王女の時間を楽しんでいますが、鐘の音が鳴り王子に戻る時間に。
王妃はサファイアの運命を呪い、王を責めますが、王もまた国民と娘の幸せの間で苦悩していることを打ち明けます。
2人が去ったあと、大臣とその家臣ナイロン登場。
「サファイアには秘密がある。それを暴いて息子を王位に即ける」と陰謀を話します。

◆復活祭―宮殿の廊下
淑女たちが着飾って町の広場に踊りに行く、とサファイアに言います。
後で一緒に王子さまも踊ってくださいと申し込みますが彼女たちの本音は
‘お忍びで来る隣国のフランツ王子と踊る’ことのようです。
サファイアは男として育てられた自分の運命を受け入れてはいますが、本音は女の子になりたい
と、涙します。
そこへ王妃が現れ「それなら女の子として踊りに行きなさい」と亜麻色の髪のカツラとドレスを与え送り出すのでした。

◆復活祭―町の広場

淑女たちに追われているフランツ。
ばったりサファイア…ではなく亜麻色の髪の娘と出会います。
一目で恋に落ちる2人。
しかし嫉妬に駆られた淑女たちに追われ2人はバラバラに。
逃げ切ったサファイアは王子としてフランツの前に姿を現します。

*

◆宮殿の廊下
大臣とナイロン、毒を使ってサファイアを暗殺する計画を企てます。

◆宮殿―武術大会
4人の剣士たちの試合。
フランツVSサファイアの試合のはずが、フランツの手から逸れた剣が国王の頬を掠め
倒れる国王。そのまま崩御されます。
犯人として捕らえられるフランツ。

◆牢獄
一人たたずむフランツに‘逃がそう’と声をかけるサファイア。
フランツが激しく拒絶すると、亜麻色の髪の乙女が登場して、救い出します。
フランツは自分を犯人に仕立てたのはサファイアだと思っており、
その上、助けを申し出た‘彼’に対して‘二重の屈辱を受けた’と憎んでいることを
‘彼女’に告げます。
「でも、たとえシルバーランドを攻めることになっても、あなたのために城は焼かない。
 あなた以外の女性は愛さない」
と誓い去っていくフランツ。

◆夜の暗闇
「王子を殺すはずが間違って王を殺してしまった。
これでは息子を即位させることは出来ない!
息子が王になるなら悪魔に魂を売ってもいい。。。」嘆く大臣。
ヘケート登場。
『永遠の時を生きる魔女』がお前を願いを叶えてやる
と、あらゆる秘密が明らかになる薬を差し出します。

◆宮殿の廊下
ナイロンの前にリボンの騎士が現れ、王を殺した真犯人は大臣だと聞き出します。

◆宮殿(戴冠式の後の祝典)
戴冠式を終え、王冠を戴いたサファイアは、大臣の罪を暴こうと詰め寄りますが
一足遅く、ナイロンによって薬の入った杯を飲んだ王妃がサファイアが女だという秘密を告白してしまいます。

◆牢獄
牢番の一人は大臣からサファイアと王妃を夜明けまでに殺すよう指示されている。
サファイアと王妃が到着。
食べものを欲しいというサファイア、代わりに指輪をねだる牢番。
しかしこの程度では食べものは手に入らないと牢番たちは去り、残される2人。
王妃は許しを乞い、すべてが憎いと言うサファイアを諭します。
「憎しみからは何も生まれません。
 憎しみを忘れて、許しあい助け合って生きていくのです」
そこへ牢番の一人が食事を持って登場。
一旦は与えようとした食事を取り上げてしまいます。
「秘密を守るために人を殺したことなどない。
 そんなことをしたら生きる資格を失ってしまう」という王妃に、毒殺しようとしたことを打ち明ける牢番。
彼はサファイアたちを殺さねば、自分や自分の弟妹の命が危ないと言いつつも、2人を逃がします。

*

◆ゴールドランド陣営
王の突然の交代によりシルバーランド内が混乱している隙に攻め込もうとしているフランツ。
援軍も駆けつけ、勝利を確信する一方で想いを馳せるのは亜麻色の髪の乙女のことなのでした。

◆宮殿
重税に喘ぐ国民はシルバーランドから逃げ出しています。
国に人を集めるために国王になった息子に結婚を勧める大臣。
ナイロンに言いつけお妃探しのスカウトを呼びます。

◆嵐(っていうか吹雪?)

彷徨うサファイアと王妃。王妃が倒れてしまう。
救いを求めるサファイアの前に現れるヘケート。
「王妃を助ける代わりに女の魂が欲しい」と取引を申し出ます。
ヘケートは永遠の命を持っているため、愛した男性から取り残されてしまっていたのでした。
サファイアの魂を得て愛する人に愛され、一緒に生き一緒に死ぬ、それが望みなのです。
女の魂を渡せば自分が男になると知り、サファイアは一度は断ります。
しかし、死を目前にした王妃を見捨てることができず、結局取引に応じます。

◆田舎(っていうか嵐が去った後ぽいです)

倒れているサファイアと王妃。
男になった自分気づき、その姿を見せたくないと、王妃のもとから去ろうとすると
「お妃さま募集中!」の声が。
お城に入れるかもしれない!!と一度去るサファイア。
そこへスカウトがやってきて、サファイア、村娘の服装で再登場。
お城に誘われた後に目を覚ます王妃。

◆宮殿
花嫁候補発見の知らせに喜ぶ大臣の前にナイロンがゴールドランドの侵略を知らせます。
が、大臣は意に介さず、息子の結婚を優先。
息子と共に花嫁候補に会います。
花嫁候補=サファイアは大臣に切りかかりますが息子に邪魔され正体を明かします。
「男になって帰ってきた!王位を返せ!!」
と詰め寄るサファイア。
衛兵を呼ぶ大臣に誰も残ってないと告げるナイロン。

そこへ軍を率いるフランツが登場。
「シルバーランドはゴールドランドに併合された」と宣言します。
思わず声をかけたサファイアを見咎め、「死んでもいないし、女でもない」という‘彼’に
決闘を申し入れます。
「名誉のためにどちらかが息絶えるまで戦う」というフランツ。
サファイアは決意を持って剣を抜きます。

ヘケート登場
「フランツが勝ったら、人間に、亜麻色の髪の娘になろう。
 人間の愛が得られる。私の願いがかなう」
とフランツの勝利を願います。
サファイアもまた一つの願いを持っていました。
「私の願いは叶えられる!」
サファイアはフランツの剣に飛び込みます。
「何故!?」
それぞれに思うヘケートとフランツ。

駆けつける王妃。
「サファイア!私の娘!!」
という王妃の言葉に驚くフランツ。

瀕死のサファイアは亜麻色の髪の乙女が自分だったと明かします。
今まで言えないことばかりで辛かったけれど、告白できて幸せだと告げこときれてしまいます。

大臣を除くすべての人々がサファイアを慕い、復活を願います。
ヘケートは愛されるよりも愛する愛が大切だとわかり、サファイアに魂を返しました。

神様登場
「魂の物語は終わった」というわけで、サファイアが息を吹き返します。
見る見るうちに回復していくサファイア、ヘケートが魂を返してくれたと気付きます。

神様はヘケートに新しい魂を差し出します。
ヘケートは受け取り、2人は去ります。

「魔女が魂を返した。。。ということは女の子なのね」という王妃の言葉に頷くサファイア。
「どんな罰も受けます」と改心した大臣を赦し、償いの旅に出る事を勧めます(って結局国外追放なのかなー)
息子&ナイロンも大臣に従うことに。。。

一人わけがわからないフランツ。
女なのか男なのか、今だけで又変わるのか、とサファイアに問いかけます。
一生女のままですというサファイアにプロポーズするフランツ。
2つの国が一つになり、幸せな未来が続いている。。。

というところでお話は終わり。

この後、神様独唱で創造主たる御大に感謝するイメージシーンと
これから生まれてくるものたちへの問いかけがあって
レビュー?歌?シーンに移って行きます。




今までに比べれば確かによく出来てるんですよ〜!
要チェックポイントの復活祭のダンス場面も少ない人数でよく見せてたし…

サファイアとフランツのダンスはアレですけど…
最近思うに、日本人のDNAにダンスは入ってないんだなー!
男性が手を差し出してホールド、流れるように踊りだして、台詞または歌っていう
ディズニー映画やオペレッタなら(勿論ミュージカルでも!)当然な展開が、
日本で製作の舞台でまともに見られたことってあるんでしょうか?無い気がする。。。
これはどーだ!?てのがあったらぜひ教えて欲しい〜。

要チェック第2ポイントの武術大会も選手4人で頑張ってたし(も少し賑やかしが欲しいけど)
毎回最大の難関だなーと思う王様暗殺シーンも暗転使って、一応無理ない場面になってましたし。

毎回、私が「必要だ!」と叫んでるサファイアとフランツの二重唱はないけど、ヘケートと大臣の二重唱は
色っぽくて迫力あってかっちょいーし!
覚えやすいメロディーラインで綺麗な曲も多いし(今一ハモリ度が少ないのが難ですが)
登場&名乗りの歌だけじゃないあたり、ちゃんとミュージカルになってる!
衣装も、趣味かと言われると微妙ですが、サファイアの一部のを除けば比較的よかったし!
百歩譲れば、キャラが今一立ってないのも、出演者さんたちの性格(てのも変?)上仕方がない気がするし。
思いっきり悪人役とか、プラスチックみたいな役ってアイドルさんたちだから、きっと難しいんですよね。

だからそーいうのは別に良いよ。
歌とか装置とか雰囲気で結構楽しめると思うよ。
でもどーしても物語が変なのが気なるんだってば!

そもそも地上に生まれる前の存在たちの内輪もめ→1人に男女2つの魂っていうのは、まあいいさ。
でも。その一緒にいたモノたちが神様に魂をもらって(貰ってたよね!?)地上に落とされるにあたり、
なぜ、首謀者が大臣なのよ〜?
奴の所為なんだから、責任取って彼女(=彼?)を幸せにしろ、というほうが自然ではないかい?
(大臣役の子だったら十分格好良いフランツをやってくれそうだったよね!?)

更に、何度考えても、「魔女」は神様の守備範囲の外なのでは?
1回目に見たときに、これがどーしてもひっかかってね〜。
なんか、あーあ、やってくれたよって感じで一瞬でシラけちゃったんですわ(^^;)
でもってヘケートも魂貰ったはずなのになー。更に欲しいの???
ああ?魔女の魂って人間の魂と違うのか。
未来永劫果てしなく続く魔女の魂って何よ、神様と同格なわけ???
ヘケートはホント変な設定なんですよ。
人間の愛が欲しいっていうのは別に悪くないんだ〜。
(フランツに惚れてるわけじゃないのはイマイチ不満だけど)

いっそ、ヘケートがサファイアに男の魂あげる役なら良いのに。
その罰で地上に降ろしてもらえないなのが、魔王に唆されて仮の…魂モドキを手に入れて
地上でサファイアの魂を狙うとかはどうだろう?
もちろん魔王にとってはヘケートはただの道具だったりして、葛藤があったりして
(今回の興行では魔王の客演を望むのは無理っぽいけどね)
地上におけるサファイアの半身みたいな感じになるかな〜?
チンクみたいに味方になってくれるわけじゃないから、サファイアは通常よりもっと大変ぽいですが
フランツとの恋を支えにがんばっていただくとか。
個人的には、ちと書いてみたい気がする(また無謀なこと言ってます・笑)

ヘケートの永遠の命もそーですが、時間軸が変なのも気になるんですけど〜。
出演者さんたちに合わせちゃったのかなー。
大臣、あんなおっきい(んだよね?)息子がいるけど、サファイアと同じ時に天界から降りてきてるんじゃないのかな?
とか、
まあ、細かいつつきどころが多々(王妃とサファイアの牢獄シーンも微妙っていうかクドイっていうか)見えちゃったりして
おかしい!こんなはずじゃないよ!!!?と何度首を傾げたことか!!!
(期待した自分が悪いんだけどさ)

そーして何よりビックリだったのが
サファイアが自分で死を選んじゃうんですよ。

初回見たとき思わず、‘安!!’と口に出してしまいました(…笑えん)

あれって何故フランツの剣に自ら倒れるの?
男になってしまってフランツとの恋が叶わないから?

ここで思い出さなきゃいけないのは。
リボンの騎士にはどーしてもついて回るジェンダーの問題というのがありますよ。
サファイアは2つの魂の所為で両性を軽々と!行き来しちゃうんです。
そこが単純すぎて、子供のころは変だと思ったけど。体でわかるじゃん〜ってね。
今思えば画期的展開だ。
体に関係なくジェンダーって生まれるみたいじゃない?

男でも女でも、サファイアはそのときの最善を果たしてる…から、男になったから悲しいとかはない。。。と思う
一応神様の力の所為で女性性が強いようになってるから、男を選べって強要されるのは厭みたいだけど
(御大じゃないから実際のところはわかんないけど)
男になったら、絶対「めざせ王位奪還」ですよ〜!
フランツとも良い友達でいましょう!とケロッと言ってくれないと。
そこへチンクが出てきて‘それじゃホントのハッピーエンドじゃないよ〜’と女の子に戻してくれるっていうメタな展開はどうだ?(笑)
あ、チンクは今回出ないからダメか(爆)
冗談はおいといて。

なんていうのかな〜。
手塚作品っていうおっきな括りでは語れないけど、少なくともリボンの騎士に関しては、結構、命が大事にされてるし、
みんな前向きに生きてますよね〜。
(少女クラブ版のヘケートは)サファイアの女のハートを持ったときにフランツへの恋に破れて崖から身を投げちゃうけど)
恋が叶わないから(男なんだから男性に対する恋心が残ってるのも変)って
自殺しちゃうサファイアは見たくなかったなー。
これが事故とか!誰かの身代わりとか!なら許すけど、自殺だもんなー。

死にネタって、ものがたりを盛り上げてまとめるのにとっても便利なんだけどさ。
その分類型的っていうかねー、ありがちっていうかねー、安っぽいっていう印象は拭えないんだよね。
勿論、上手に使ってくれれば問題は無いんだけど
リボンの騎士で、サファイアで、そりゃあないだろ?(溜息)

女が良い!って何度も繰り返して(ます、劇中で)も、男の目線での女性のあり方って感じな気がする。
サファイアは王位も恋も手に入れるから、かっちょいーんですよ。
あの添えモンのような王子(あ、フランツ君です!)にも実は意義があるのだ!
どう考えても彼の隣りでおとなしくお妃さまでいないだろーなってね。

男か死のどっちかを選ぶ女ってさ、いかにもオンナコドモが喜びそう(差別語として使っておりまする)と
大人と言われる男性が思ってそうな展開っていうかねー。後ろ向きって言うかねー。
男にとって都合のいい女っていうかねー!
今度の舞台は所詮男の作ったもんってこと?

荷宮和子氏が宝塚とリボンの騎士は相容れないところがあると言ってたのは、こーいうとこじゃないとは思うんだけど。
微妙に通じるものがある?そーでもない?

以上の理由から、私には今回のリボンの舞台のお話は無かったことにして欲しい〜くらいダメです。
(今後この企画が続いたら、これが宮崎駿のハウルみたいにデフォルトはこっちだーと思われそうで、それはすごく厭だ。
 せめてみんな原作1回は読んでよね・涙)

ああ、でも。
その昔、私の歌の先生が音大講師で、学生さんたちとオペラの練習をしてたときのはなし。
あまりにも不自然な立ち位置やらなにやらだったので
「(演出の先生に)これは変なんじゃないでしょうか?」
と聞いたら
「良いのよ、○○(うちの先生)くん。お芝居なんだから!楽しく見られれば」
と押し切られてしまったそうな。

というわけで。
難しいこと考えずに、多数のお客様が楽しかったと思えばそれで良いんだろーね、うん。




あ!そーいえば!!
今回の舞台って男性が男性のために作った、と思えば思い切り納得できるのか。
そーいうことなんだ!??

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