Epilogue『CURTAIN CALL』




アイレットシティー、焼肉屋。
「今日はセリスの奢りで豪華な食事、だったよな?」
「そうだけど?」
不機嫌なフレッドと割と上機嫌なミリートが居る。
「で、何で焼肉の食い放題なんだ?」
「豪華じゃないの」
カルビを独占状態で食べながらセリス、イリュージョンアイズが言った。


「豪華と言えば豪華だが・・・なんつーか、華がないっていうのか?」
「いいじゃないの、女の子が2人居ればそれだけで華やかだって」
2人とも相当飲んでいるのかこの部屋は酒の匂いで充満している。
しかし2人とも酔っているようには見えない。
ちなみにフレッドは一度酒を飲んで下戸だという事が分かっているので酒は飲まない。



「しかし以外よね〜」
唐突にミリートが言った。
「何が?」
「あの機体との勝負よ、アストレーアだっけ?」
驚異的な速度で酒をあおった後、セリスが言った。
「引き分けだったもんね〜」
遂に潰れてきたのか、ミリートの声が間延びしたものに変わっている。
その上机に突っ伏して、笑顔でフレッドの方を向いているのだから決定的だ。
「でもあのままだったら負けてたでしょ」
そしてそれ以上に飲んでいるのに全く酔わないセリスが冷静に言う。
本人曰く「これでも酔っているつもり」なのだそうだ。
「で、輸送機が潰されて〜、それで体勢崩れて引き分けだもんね〜」
心底楽しそうにミリートが言った。
「うっさいな〜、まだ勝負はついてなかっただろうが」
「ホント、運がいいよね〜」
「人の話を聞けよ・・・」


それから1時間後、会計をして店を出る、途中で眠ってしまったミリートはフレッドが背負うことになる。
「フゥ・・・こいつ家まで送っていくんだよな・・・」
「送り狼はダメよ」
「な、何を・・・」
「隠さない隠さない」
セリスも心底楽しそうに笑う、多少は酔っているのかもしれないがいつもこの位饒舌だったような気もする。
「だから違うって言って・・・」
ふと正面に人だかりができていた。
「ん〜?」



「お…おいアイシャ、俺が悪かった…だから泣くな、な、な。」
ふと聞き覚えのある声がしたような気がした。
「お〜お〜・・・女の子泣かしちゃってまぁ・・・」
セリスはちょっとだけ真面目な表情で楽しそうに言った。
「…あ〜、もう仕方ねぇ!!」
男が泣いている女を連れて走り出した。

合点がいった。
その声は昼間輸送機の上で戦ったジェネアと言う男の声だったのだ。

走り出そうとすると唐突に腕を捕まれた。
「どうするの?決闘でも申し込むわけ?」
限りなく本気モードに近い顔だった。
「それ以外に何かあるのか?」
少々びびっているが要点だけ話す
「・・・はい、ここで問題です」
溜息1つしてセリスが言った。


「泣いている女の子が居ます、それを連れて走り出す男が居ます」
それがさっきの2人なのは明確だった。
「それを追うやたらと背が高くて女を背負った男」
軽いからすっかり忘れていたが、背中にはミリートを乗せていた。
「さて、後者が前者に決闘だ、とか言ったらどうなると思う?」
「わけがわからんな」
フレッドは正直に言う。
「じゃあ例えばミリートを私に預けたとしたら?」
「その場合は・・・」
はっとなる。
「多分聞いた人は適当な言葉を補完して聞くわね、『その娘を賭けて』とか」
思わず頭を抱える。
「あの泣いてた子、多分15〜6よ」
セリスがしてやったりという表情と声で言った。
「ロリコンになるつもり?」


すっかり失念していた。
「・・・そうだな」
2人は反対方向に歩き出す。
「さ、次の店行こうか」
「えっ?」
「当然でしょ?今度はあなたの奢りでね」
どこをどうすると『当然』なのか分からないが。

「俺は酒が飲めない・・・」
「飲める身体にしてあげるから」
背中から気持ちの良さそうな寝息が聞こえてくる。
自分も寝てればよかったと思いつつ、結局酒場に連れて行かれて・・・



フレッドは結局2日酔いで3日間寝込むことになったのでした。


‐了‐

後書き

はい、後書きです。

昨日ぼ〜っと神牙さんから貰ったエピローグ読んでたらこんなのもありかも〜って書いちゃいました(^^)
AC戦に始まり酒に終わる。

これが仕事の日の連中の一日だっ、て感じですが・・・
飲めないのを無理矢理飲ますのはやりすぎかもしれん。

でも光景が思い浮かんでしまうのさ(^^)


で、俺に対しての突っ込み、
「何で焼き肉なんだよっ!」


しかし我ながら適当すぎ・・・



戻る