南海和歌山港線(和歌山港〜水軒間)廃線跡

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 2004年3月12日、鉄道研究部は2002年の5月26日に廃止になった南海電鉄和歌山港線の和歌山港〜水軒間の廃線跡を見学に行きました。

和歌山港1番線奥の車止めの後には…… 南海和歌山港駅は島式ホーム1面2線のこぢんまりとした駅で、水軒への線路は以前、1番線にのみ繋がっていました。現在では途中で線路は分断され、新しく車止めが設置されています。

 線路は一部分が取り外されていますが、路盤はしっかりと残っています。左にカーブしていく奥に、いまだに設置されている線路を確認することが出来ます。

和歌山港の駅名版(屋根吊り下げバージョン)和歌山港の駅名版(地上設置バージョン) 水軒駅が無くなったため、和歌山港駅の駅名版から水軒駅の文字はなくなりました。しかしその方法は適当なもので、上から白いシールで覆うだけといったものです。そのため、水軒の文字を透けて見ることが出来ます。

荒れ放題の線路跡 和歌山港〜水軒間は1日2往復しか列車が通らず、1日の平均乗客数は7人前後といった超閑散路線であったため、列車が通っていた頃から整備状態は非常に悪かったのですが、廃線になった後はまさに荒れ放題といった状況で、悲惨というほかありません。架線は早々と取り去られてしまった模様です。

 線路の一部分は歩道になったり工場への出入り口になったため、路盤から丸ごと跡形も無く撤去されていますが、大部分が写真のような悲惨な状況のままで放置されています。歩道はそれほど広くない部分もあるので、早い整備が望まれます。

廃止の原因となった踏み切りのその後 ここは和歌山港〜水軒間唯一の踏切があった場所で、廃止の直接の原因となった場所でもあります。

 このあたりは交通量が非常に多いため、踏み切りの部分で道幅が狭くなることにより渋滞が多発していました。また踏み切りの横というのがネックとなり、線路に沿って走っている臨港道路との交差点に信号機を設置できずにいました。

 廃止になって交差点付近の臨港道路は拡張され立派な信号機も設置されましたが、ご覧の通り肝心の交差側の道路はほとんど改良されていません。臨港道路側の歩道の形状を見る限りこの部分も拡張工事をすることが想定されているようですが、廃止から2年近く経つにもかかわらずいまだ手付かずです。

和歌山港方より水軒駅跡を臨む 水軒駅構内の現在の様子です。水軒は当初は貨物駅として設計されたため側線が2本ありポイントも数箇所設置されていましたが、現在ではノーズ部分やトングレールの部分などが取り去られた無残な姿で放置されています。トングレールの残っているものでも転轍機はさすがに動きません。

 現役のうちから既に荒れ加減ではありましたが、駅間の線路同様水軒駅の跡も酷い様子です。雑草が生い茂り、レールを固定する犬釘などもところどころに放置されていて、ここに駅があったということを想像するのは難しいとさえ思われます。

かつてホームのあった場所・・・ ホームは廃止後すぐに取り去られたようで、2年もたった現在では影も形もありません。駅のさらに奥にあったなんばから70kmのキロポストはまだ存在していましたが、一部では南海電鉄の駅で一番設備が整っていたと噂されたトイレは撤去されています。

 ホームの階段を下りた後に続いていた、線路と小道を仕切る柵はまだ残っていましたが、ここも例にもれず雑草が茂っていて、とても歩ける状況ではありません。

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