南海貴志川線見学

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 5月3日、鉄道研究部では南海のなかでも異色のローカル線である貴志川線を見学に行きました。貴志川線は、和歌山〜貴志間14.3kmの路線です。他の南海線とは接続していないので、支線という名前ではありません。全線単線で、昼間は途中2駅で行き違いを行ないます。

 貴志川線は日中は和歌山〜貴志の列車が2本で、ラッシュ時には和歌山検車区の支区のある伊太祁曽止まりの列車が追加運転されます。この日は和歌山9時43分発の貴志行列車を利用しました。

貴志川線の車輌 貴志川線はJR和歌山駅の9番線から発着します。改札はありますが、券売機はなく、和歌山から乗車の人はJR和歌山駅に入るときの券売機で、そのほかのJR線からの乗り継ぎ客は乗車券を駅員に見せて購入します。逆に貴志川線内の駅から乗ってきた場合は、無人駅の場合は整理券と運賃を、有人駅の場合は切符を渡し、それぞれ「精算済券」を受け取ります。これがないとJR和歌山駅の改札を出ることができません。

 貴志川線の車輌は、戦前形式である1201形の引退以後は貴志川線専用に改造された2270系のみが使用されています。6本が在籍しており、昼間の運用本数は3本です。

 2270系はワンマン運転用に改造されています。また、貴志川線の架線電圧は直流600Vですが、この形式は直流600V/1500Vの両方に対応できる複電圧車となっています。そのため、南海線内を自力回送することもできます。

貴志駅舎 貴志川線の終点、貴志駅の駅舎です。貴志はホーム1面1線に架線の張られていない線が1線あるだけの終着駅にしてはさみしい駅です。しかし、一応有人駅です。券売機は旧型の物が2台置いてありますが、自動改札はありません。貴志川線は、貴志と伊太祁曽と和歌山以外は全て無人駅なので、置く必要がないからです。当然ながらスルッと関西カードも使用できません。

貴志駅奥の工事車両 貴志駅の奥には工事車両が止まっていました。この車輌が止まっている方の線路には架線が張られていません。

貴志駅駅名表 貴志駅の駅名表です。昔からある感じの駅名表で、かなりシンプルなものです。貴志川線には1999年に開業した交通センター前駅を除いて年代物の駅が多いです。

貴志に列車が到着 帰りの列車が貴志駅に到着します。線路わきに柵が無かったり、畑や田んぼが結構あったりと、貴志周辺は結構のんびりとしています。

 貴志川線ではワンマン運転用のミラーが各駅に設置されています。また1993年にATS(自動列車停止装置)やCTC(列車集中制御装置)が導入されるまでは、タブレットを使用していました。

 写真中央にある貴志駅のポイントは違いますが、貴志川線のポイントの多くはスプリングポイントが使用されています。伊太祁曽でも検車区支区へのポイントを除いてスプリングポイントになっています。ちなみにスプリングポイントとは、開閉方向が一定で、閉じている方向からやってきた車輌は、自分の車輪でレールを押しのけて通過するといった形式のポイントです。

2270系の車内(運転台方) 運転台前はこの様になっています。無人駅では、中央にある運賃箱に整理券と運賃、または乗車券のみを入れて降車します。運賃箱の上の窓は簡単に横に開くようになっていて、定期券の確認などの時に運転士が使用します。また上部には路線バスについてるような運賃表があります。

 無人駅では、進行方向側の先頭車の一番前の片開き扉からのみ降りることができます。反対に、無人駅での乗車は進行方向側先頭車の、連結面側の両開き扉のみで、整理券の出る機械が置いてあります。1両に片開き扉と両開き扉が混在するのは、ワンマン運転に対応するため、運賃箱を置いたりと運転台にできるだけドアが近い方が都合がいいからです。

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