『前略』
セブルス・スネイプさま
羊皮紙三巻きに渡る御手紙をありがとうございました。
我がバーティー・ボッツ社に於きましては、速達のフクロウ便を確かに受け取ったこと、ご報告申し上げます。
貴方からのご要望については、お客様苦情係のA.A.アダムスが回答させていただきます。
簡潔に申し上げれば、我が社は「生きてる魚」キャンディーを販売中止する予定はございません。
昨年発売した同製品は、“胃酸の中で泳ぎ回りながら溶けていくその動きが何とも言えず気持ちが悪い”と、
お買い上げされた皆様からの多数のお褒めのお便りを頂いております。
貴方は御学友である方から『騙されて呑まされた挙げ句、ピラニアと偽ってからかわれた』ということで、大変お怒りであり、
『斯くもふざけた菓子を世にのさばらせておくわけにはいかない』とのお話ですが、これには一個人としてご同情いたします。
しかしながら、我々製菓会社としてはこう申し上げるほかございません。
――魔法使いとは、冗談を愛する人々である――
ニーズがあるところに商品は存在します。
でなければ、我が社の百味ビーンズがこれほど長きに渡って、一貫してお客様の支持を得ることがあったでしょうか?
ただ、一つ希望となるお話を追記するとすれば、我が社は売れないものは作らないということです。
売り上げが落ちれば、ご指摘の菓子も製造中止になることになります。
どうかその日をお待ちください。
ちなみに、「生きてる魚」キャンディーはご好評につき、シリーズ発売されることが先頃の会議で決定しております。
「生きてる小鳥」「生きてるもぐら」「生きてるサラマンダー」など、独創的な商品が次々と登場する予定です。
あしからずご了承ください。
どうぞ、これからもバーティー・ボッツ社の製品を宜しくお願いいたします。
バーティー・ボッツ社 製品販売部 お客様苦情係 係長代理 A・A・アダムス
追伸
『あの×××しか頭にない×××で××××なJ・P』さまに、「お買い上げありがとうございました」とお伝えくださいまし。