1.はじまりは・・・

 ベルリン水槽を立ち上げて、初めての初夏を迎える頃、止まることを知らないクーラーの騒音と排熱に、このまま真夏を迎えたらどうなってしまうのだろう・・・と昨年の猛暑を思い出し、ゾーッとする私がいました。何も知らない家族ですが、このままでは大変なことになることは想像できました。(T^T)
「これは何とかしなくては!!」 これが、サンプ小屋設置の発端だったと記憶しています。


2.家族に不評な機器は外へ 〜家族の理解を得るために〜
 リビングに置いてあるサンゴ水槽への家族の不評は、クーラー,スキマーのない時に比べて、テレビのボリュームが+10大きくなったことで明らかでした。隣にあるディスカス水槽と水草水槽に比べても、騒音はもちろんのことクーラーの排熱が致命的、サンゴ・魚が超綺麗なら騒音・排熱を天秤に掛けて、家族への理解を求められたのですが、このころのサンゴ・魚ときたら・・・(T^T)

 まずは、クーラーの騒音・排熱を防ぐ方法から考えてみました。
一つの方法として、クーラーの排熱口にエアーダクトを付けて、パイプを長く伸ばして排熱をクーラーから遠ざける方法です。しかし、この方法は、排熱はクーラーから離れた所から排出されますが、クーラーと同じリビング内、室温が上がるこに変わりがないので、根本的な解決なりません。エアーダクトの出口を壁に穴を開けて?外にできれば・・・、パイプがリビング内を這い回るのもどうかと・・・それでも騒音対策にはならないので、不採用となりました。このためクーラー自体を外に出すしかないと考えました。
 外に出す方法として、
「床下に置く方法」「庭先に置く方法」を考えました。

・「床下に置く方法」
 この方法は、床下にクーラーを入れる案です。この案だと室内用のクーラーを設置できます。しかし、床下に設置するには、リビングのフローリングに穴を開ける必要があります。嫁さんに話すことすらできないので即不採用。(T_T)

・「庭先に置く方法」
 この方法は、
「壁に穴を開ける方法」「窓に専用器具で隙間を開ける方法」を考えました。
「窓に専用器具で隙間を開ける方法」は、窓のロックが掛けられないことや、シャッターを閉められないこと等、セキュリティ面で不安があってやめました。このため、「壁に穴を開ける方法」でやることにしました。

 クーラーの騒音・排熱の問題は、クーラーを外へ出すことで対策できると思います。もう一つ騒音を出している機器が、スキマーです。こいつも何とかしないと、さらにメインポンプ,スキマー用ポンプの音も気になるし・・・と考えたら、
「サンプ水槽も含めて水槽の下にある物は全部外へ出してしまえ」となった訳です。


3.サンプ小屋の発案
 器機を外に出すのは良いのですが、雨風を凌ぐモノがないといけません。そこで考えたのが物置です。木材を使って小屋を作ることも考えましたが、自分で作る自信ないし、業者に頼めば高くつきそうなので、既製品の方が安いかなと思って、物置にしました。
早速ネットで、すでにサンプ小屋を持っている人はいないか調べてましたが、見つかりませんでした。このため自分ですべて考える必要がありました。まずは物置の市場調査を行いました。それと並行してサンプ小屋に入れる機器の大きさを調べて、サンプ小屋の大きさを決める必要が有りました。
サンプ小屋に入れる機器・器具はこれだけ。
 ・サンプ水槽
 ・プロテインスキマー
 ・カルシウムリアクター
 ・メインポンプ
 ・スキマー用ポンプ
 ・自動給水(エキスパートマリン+RGダッシュ)
 ・オートワッサー
 ・CO2ボンベ



4.サンプ小屋の設置
<サンプ小屋(物置)のサイズ決定>
 まずは、調べた機器の大きさを元に機器の設置図を書いて、どのように配置したらサンプ小屋に収まるか試行錯誤しました。と言うのも、水槽近くの庭にサンプ小屋を置ける場所は、限られていて大きなサンプ小屋を置ける状態ではありませんでした。庭の真中に置く訳にもいきませんから・・・(^^)
 問題は、幅です。90cmに収まれば問題なし、110cmが限界でこれ以上だと、サンプ小屋の左横を人が通れなくなって、メンテナンス性が悪くなります。何とか90cmに入る図面ができましたが、余裕を考えると100cm欲しいところです。この図面通りに配置するとなると、サンプ水槽も作り直しです。また、横に器機を並べられない分、縦に置くことになりますから、サンプ水槽の上に台を作って、その上に器機を置くことになります。物置の高さは幾らでも高い物を選べますから・・・。
そして決めたサンプ小屋が、イナバ物置(MGW−07C)です。間口1020mm,奥行710mm,高さ1625mmです。間口1020mmなので幅1050mmくらいあります。


<サンプ小屋の問題と対応を検討>
・高温対策
 物置の大きさが決まったところで、一つ問題がありました。それは夏の高温対策です。夏の猛暑の間炎天下に置かれる物置ですから、室温は相当高温になることが考えられます。その対策として、考えたのが換気扇の設置です。配管・配線のために物置の裏面に穴を開けることは考えていましたから、換気扇の穴もついでに開けて付ければ高温対策になると考えました。
 また、換気扇を24時間回りっぱなしにすると耐久性が心配なので、温度センサーを付けて、室温が27℃以上になったら、換気扇が回るようにしました。この温度センサーは、アクア機器で水槽の水温が指定値以上になったら、ファンを回すための用途で売られていたものを流用しました。後でわかったのですが、温度センサー付きの換気扇もあるようです。

 以下の記述は、実際にサンプ小屋を設置した後のことを、参考になればと載せています。
<2003/8/3の奮闘日誌から>
 サンプ小屋の室温が気になってので、計ってみました。

時刻 外気温 サンプ小屋の気温
11:00 30.2℃ 31.6℃
13:00 31.5℃ 34.5℃
14:00 32.3℃ 34.9℃
17:00 29.5℃ 30.8℃
19:00 28.8℃ 29.3℃

 換気扇は、朝から回りっぱなしで換気しています。外気温との差は、Max3℃以内。この程度であれば問題ないでしょう。

・低温対策
 サンプ水槽を外に出す訳ですから、真冬は外の気温の低下と共に、水温も下がって相当数のヒーターを入れないと水温が維持できないような気がしました。
<2004/1/24の日誌から> こちら千葉でも、明け方近くになると氷点下の日もありましたが、サンプ水槽の中には、500W(300W+200W)のヒーターを入っているだけですが、最低水温以下になった日がないので、このヒーター容量で今のところ足りていると言う事でしょう。 サンプ小屋の防寒対策は、換気扇の穴を閉じたくらいで、他は夏場と変わりないです。メイン水槽とサンプ小屋をつなぐ配管も、劣化防止にエアコン用のビニールテープで巻いているだけです。これを断熱材で巻いたり、サンプ水槽を発泡スチロール等で保温対策をすれば、もっとヒーターの点いている時間が短くなるのでしょう。
 サンプ小屋の室温は、昼間で20〜28℃(天気による)、メタハラが消えるAM1時で16〜18℃、翌朝の最低室温のメモリをみると、11〜12℃です。この時の外の最低気温は、−2℃でした。サンプ小屋は、結構保温能力があると言うことでしょうか?サンプ小屋の中には、熱を出すポンプ4台(メイン:130W,スキマー:247W,リアクター:115W,殺菌灯:25W)と殺菌灯:36Wとサンプ水槽がありますから・・・。

・錆対策
 海水を溢した時の錆び付きも心配でした。これは、サンプ小屋の底に防水用のシートを敷くことで何とかなりそうです。また、サンプ水槽へ蓋をして、蒸発した水がサンプ小屋内に充満しないようにしました。これでも、数年経ったら小屋ごと交換になるでしょうか。?

<家の壁に穴開け(依頼)>
 サンプ小屋を設置するためには、家の壁に穴を開ける必要があります。それには最大の難関がありました。それは嫁さんの説得です。「だめ!と言ってもどうせやるんでしょ」と、諦めにもとれる言葉に喜んで良いのか。嫁の了解が取れたと開き直って、私の頭の中は、どうやって穴を開けるかを既に考えていました。(穴は開けてしまえば、ちょっとの間嫁の小言を我慢すれば良いかな)。ホルソーの歯を買えば電気ドリルはあるので、自分で作業できそうに思えましたが、失敗した時に、リビングの壁が穴だらけになるのもな・・・と、ふと鬼の顔でグーの拳を振り上げた嫁の姿が浮かびました。(×_×)
 考えた末、我家のエアコン取り付け時に、壁に穴を開けていた電気屋さんを思い出して、エアコンを購入した電気屋さんへ依頼してみようと考えました。ダメ元で、電気屋さんへ向かいました。さすがに「穴だけを開けたことはない」とのことで、事情を話すと気持ち良くOKしてくれました。これで、サンプ小屋を購入することができます。\(^O^)/

<サンプ小屋の購入>
 そして次の休日。近くのホームセンターに行ってみると、幸運なことに物置の特価セール期間中でした。ネットで調べた価格を大きく下回る価格で即購入を決めました。もし、サンプ小屋をやめても普通の物置として使えますから。

<アクア機器の設置方法の打合せ>
 その週の平日、ナチュラルへサンプ小屋へ入れる機器・器具の打合せに行きました。私の作った図面と必要機器一覧を
金井さんに見てもらって打合せです。その様子は、2003/6/4の奮闘日誌を見て下さい。機器は、すべてナチュラルへ頼んで、「サンプ水槽」,「カルシウムリアクターを乗せる台」,「スキマーを乗せる台」を作ってもらうことにしました。

<家の壁に穴あけ>
 次の土曜日。この日は電気屋さんが来て壁に穴を開ける日です。当然嫁は留守。q(^-^q)
その前に穴を開ける位置を決めておく必要が有ります。このために水槽下のOF管のパイプ位置と物置の穴の位置、サンプ水槽の高さを図面に書いて、壁のどの位置に穴を開けるのかシミュレーションしておきました。そして、決まった壁の位置に印しを付けました。後は、電気屋さんに穴を開けてもらうだけです。穴2個と写真のパーツ及び、出張費を含めて8000円(3000円×2穴+出張費)でした。

 ←電気屋さんに開けてもらった配管・配線用の穴です。もう後戻りできません。(>_<)

 次の日は、物置を組み立てる予定なので、その準備をする必要がありました。ホームセンターに行って、物置の土台となるブロックとその下に敷く砂利を購入、それと物置の壁に穴を開けるホルソーと鉄鋼用の鋸と電動ドリル用の歯を買いました。

<サンプ小屋の土台作り>
 翌朝には、物置が配達されてきました。まずは、設置場所に砂利を敷いて踏み固めます。サンプ水槽を右側に置くので、地面が柔らかいと、次第にサンプ小屋が右に傾く恐れがあるので、砂利を敷いてしっかりかためます。次に物置を乗せるブロックを置いて、その上に物置の底を置きます。ここで土台に傾きがいように水平器を使って調整します。買った物置は組み立て終わってからも、調整できるタイプだったので、おおよその調整で済みました。

<配管・配線,換気扇用の穴あけ>
 続いての作業は、サンプ小屋の壁への穴開け作業です。まずは、書いておいた図面に従って、配管・配線用の穴を開ける位置を決めます。そして、鉄鋼用のドリルで中心に穴を開けて、次に電動ドリルの歯を鉄鋼用のホルソーに変えて、一気にぶち抜きました。簡単に穴が2個開きました。 
 続いて換気扇ようの穴です。20cm四方の穴を開けるのに、鉄鋼用の鋸を使うしかありませんでした。なので、まず鋸が入る程の穴をドリルで数個つながるように開けて、その穴に鋸を通しました。後は切るだけ・・・のつもりが、もの凄い時間と体力を使いました。
 サンプ小屋の裏の壁に、配管・配線用と換気扇用の穴が開いたところで、再びサンプ小屋の組み立てに戻りました。後の組み立ては簡単でした。組み立ての最後に、水平器を使って物置の水平を調整するネジで水平に調整して、サンプ小屋の組み立ては終了しました。

<換気扇の取り付け>
 先程開けた穴に、換気扇を取り付けます。穴がゆるかったらネジで止めようと思っていましたが、ピッタリ収まったのでネジ止めの必要はなさそうでした。隙間から雨水が入らないように、シリコンボンドで防水加工しました。

 ←シリコンボンドで防水した換気扇の外側

<電源ケーブルの引き込み>
 サンプ小屋の中は、電源を必要とする電気機器がありますから、リビングから延長ケーブルを使って、サンプ小屋にコンセントを設置しました。この場合、子ブレーカの容量を考慮して、3系統の子ブレーカから電源を取るようにしました。特にメインポンプの電源は、ポンプとクーラーだけで使うようにして、他の電気機器は接続しないようにしました。スキマーとリアクターも別系統、換気扇,ライト,電磁弁も別系統にしました。電源を別系統の子ブレーカから引くために、家中から電源を引きました。サンプ小屋専用のブレーカが欲しいところです。
 停電後の回復を考えると、一斉に電源がONになる訳ですから、ポンプ,クーラー等の起動電流によって、子ブレーカが落ちてしまうことも考えられます。メイン電源が落ちてしまうと最悪、電力会社と容量UPの契約が必要になるかもしれません。このため、停電後の回復を実際にシミュレーションして、確認しました。

 ←配管・配線を行う穴です。


 こんな感じになりました。換気扇が元から付いているようにフィットしていませんか?(^^)

 ←組み立てを終えたサンプ小屋です。

   


<アクア機器の設置>
 サンプ小屋の組み立てが完了したので、中にアクア機器を入れました。機器の設置は、器機を購入した
ナチュラルへお願いしまた。私の書いた図面から、正確にサンプ水槽やスキマーを乗せる台などが出来上がっていました。下の写真を見ればわかるように、スキマーの排水口の高さとサンプ水槽側面に開けた穴の位置がピッタリ、何も高さ調整せずに置けました。さすが金井さんです。
 この日の作業の様子は2003/6/14の奮闘日誌を参照下さい。、




 こんな感じになりました。見事にサンプ小屋に全ての機器・器具が収まりました。

5.最後に
 マリンアクアリウムを趣味に持つ人にとって、海水水槽と言う欲しい物が手に入った訳ですから、騒音・排熱なんか我慢できると思います。それが、まったく興味のない人にとっては、今まで静だった場所へ、騒音源の他何者でもないモノが置かれた程度しか思えないかも知れません。そんな水槽を理解して欲しいと言っても中々理解されないと思います。家族が何かしら我慢しなければならない趣味は、どこか受け入れられないのではないのでしょうか。
 サンプ小屋設置後、リビングは元の静けさを取り戻しました。と同時に海水水槽への家族の接し方が変わったように思えます。今では、「次、どんな魚を入れるの?」っと、嫁さん。以前に比べて、かなり興味を持って接してくれるようになりました。さすがにサンゴと魚の本当の値段を聞いたら、どうなるかわかりませんが・・・