純正ブレーキ

 アリストの足まわりで、最大のウィークポイントとなっているのがブレーキシステムだと思います。私自身大人5人乗せての急ブレーキで「もうだめか」という経験を何回かあじわいました。2トン近い車重があって、280PSのパワーもあるのにフロントブレーキのキャリパーは対向ピストンですらない片側2ポイントです。この片側2ポイントのキャリパーは、161ターボと160NA共通で、しかもアルテッサと同じ16インチ仕様です。


カスタマイズ

@フロントブレーキ

 私はアリストを発売開始とほぼ同時に購入したこともあって、当時市販のブレーキシステムは発売されていませんでした。しばらくして、雑誌で「80スープラのフロントブレーキシステムを移植できる」ことでにぎわっていました。どうにも我慢できないブレーキにスープラ用を付けようかと思っていたところ、ネッツトヨタから80スープラのブレーキシステムを流用したキットが発売されました。中身はスープラと同じブレーキシステムで、キャリパーがゴールド/ブルー/レッドに塗られ「ARISTO」の文字が入っていました。迷うことなく購入を決定しました。

 購入にあたって1つ問題がありました。当時履いていたホイールにスープラ用のビッグキャリパーが入るかと言うことでした。幸い取り付けをお願いしたネッツトヨタさんの社員の方が、アリストにスープラ用キャリパーを装備されているとのことで、私のホイールをその方の車で実車確認してくれました。結果ギリギリ収まったようです。そして晴れて注文となった訳ですが、またまた問題発生。セットになっているはずのプロジェクトμのローター(スリッド入り)が在庫不足で、届かずいつ入庫するかわからない状態でした。「穴あきスリツド入り」は在庫あるとのことで、値段的に+αとなりましたが見た目も格好良かったので「穴あきスリツド入り」のローターにしました。(このローターは現在発売中止になっています。)また、同時にブレーキホースをTRDのステンレスメッシュホースへ交換しました。

キャリパー ネッツシュポルトキャリパー( 80スープラ用対向4ポイント)
ローター プロジェクトμ穴あきスリツド入りの17インチ
ブレーキパッド ネッツスポーツ オリジナル
ブレーキホース TRDステンレスメッシュホース
ブレーキオイル TRD DOT4


Aリアブレーキ


 フロントブレーキをスープラ用に交換してから、ブレーキ性能は格段にUPしました。しかし人間と言う者は欲がでるもので、しばらくするとスープラのフロントブレーキにも慣れて、さらにリアブレーキの交換もしたくなってきました。しかし、当時はボルトオンで取り付けできる安価なリアブレーキはなくあきらめていました。
 それから数年、ネットで30セルシオ用のリアキャリパーを移植している記事をいくつか目にしました。当時EVCWとインタークーラーを取り付けることを検討していたこともあって、ブレーキ強化も同時に行う必要があると思い、セルシオ用のキャリパーへ交換することにしました。取り付け作業は、ネッツスポーツさんで行いました。

キャリパー ネッツシュポルトキャリパー(30セルシオ用モノブロック対向2ポイント)
ローター ネッツスポーツ オリジナル スリツド17インチ
ブレーキパッド ネッツスポーツ オリジナル
ブレーキホース TRDステンレスメッシュホース
ブレーキオイル TRD DOT4


Bブレーキ・マスターシリンダー・ストッパー


 リアブレーキの交換にあたって、気になることがありました。それはフロントブレーキを交換後ブレーキペダルの踏み込みが奥まで踏み込まないと固くならない、つまり本格的にブレーキが効くには奥まで踏み込まなくてはならなくなったことで、今回のリアブレーキ交換によって、さらに奥まで踏み込まないと効かなくなるのではないのかということでした。セルシオ用のキャリパーは、スープラ用より小さく、アリストのノーマル用と左程変わらないので、変化はないかも知れませんが。
 一番良い方法は、マスターシリンダーを後期型アリスト用に交換することですが、リアブレーキと同時に交換となると高価になってしまいます。そこで、ネッツスポーツさんの「ブレーキ・マスターシリンダー・ストッパー」を付けることにしました。実際にブレーキを掛けて、マスターシリンダーが動いているところを見せていただきましたが、かなり動いていました。このマスターシリンダーが動くことによって、逃げる油圧をブレーキへ伝えことで、ブレーキペダルの踏み込み位置が手前になるとのことでした。
 実際に走ってみるとブレーキペダルを踏んで硬くなる位置が、かなり手前から硬く踏み込めるようになりました。この効果が「ブレーキ・マスターシリンダー・ストッパー」によるものか、「2Lのブレーキオイルを使ってエア抜きをやった」ことによるものなのかわかりませんが、後期用のマスターシリンダーへの交換は、しばらく様子をみることにします。ちなみにネッツスポーツさんに聞いたところ、「フロントブレーキキャリパー」→「後期用のマスターシリンダー」→「リアブレーキキャリパー」の順番が実感できる交換順序だそうです。

←ブレーキ・マスターシリンダー・ストッパー


インプレ

<フロントブレーキ>
 交換直後のブレーキは、ローターとブレーキパッドの当たりがまだ付いておらず、「あれっこんなもんか」という感じでしたが、当りが付いた直後のブレーキテストでは、胃の中の物が出るくらい、強烈な減速Gを感じたことを覚えています。メッシュのブレーキホースのおかげで、ブレーキペダルを踏んだ感覚がダイレクトにブレーキに伝わり、踏むのが楽しいブレーキとなりました。今では慣れてやや不満も感じるようになっていますが・・・
 高速道路でも効果大で、純正ブレーキと比べて普通の車の後ろに付いて走って、前の車ブレーキランプを見てからブレーキ踏んでも全く余裕です。またある時オービスの存在に気づくのが遅く、急ブレーキを踏んで対応しましたが、間に合ったようで呼び出しが来ていません。車の中はパニックになっていましたが・・・
 キャリパーの容量が増えたことにより、ブレーキペダルの踏み込み方が、本格的にブレーキが効き始めるまで、つまり硬くなる位置は奥になりました。これはこれでコントロールしやすく個人的には好みな方です。


<リアブレーキ>
 リアブレーキシステムを交換して、まず気づいたことがブレーキを掛けた際の車の姿勢が安定したことでしょうか。フロントだけ交換した状態の時は、ブレーキを掛けた際どうしても車が前方に傾いて、車も人も前に「つんのめる」感じでしたが、それが減少しました。ちゃんとリアブレーキも効いている感じがしました。フロントキャリパーを交換した時のような感動的な減速Gは、感じないもののかなりの減速Gを感じました。制動距離も短くなって、ブレーキングの際に安心感がさらに持てるようになりました。18インチホイールの隙間から見えていた貧弱なローターから、スリット入りの大きいローターへ変わって、見た目だけでも120%満足しています。
 

ひと言
 
 ブレーキは、運動エネルギーを熱エネルギーへ変換させるシステムです。ですからよく冷えるものほど容量が大きくなります。そのためには、より大きなローターとパツド面積が必要です。ただパッドだけ大きくてもロータに押さえつける力がなくては意味がありません。
 アリストの純正の2ポイントキャリパーとローターは、ロータが小さいため(16インチ用)パッドも大きくできず、またキャリパーも2つのピストンが片側にしかないので押さえつける力が弱く、剛性も低くなっています。これを17インチの大径ローターと両サイドからパッドを押さえつける対向ピストン式のキャリパーに交換すれば、制動力、剛性感が大幅にアップします。


ブレーキシステム
フロント ブレーキ
リア ブーキ