■西方漫遊戦記■

〜出発 バンコクへ〜


 

そして出発の時はやって来た。

目覚まし代わりの携帯が鳴らなかったり、家から空港までは、西村京太郎もびっくりの綱渡り的電車乗り継ぎ。

新宿駅構内を疾走し、小田急からJR山手線へ切符の購入も含めて2分の乗り継ぎに成功、そして次の難関がJR山手線から京成スカイライナーへの乗り継ぎである。

スカイライナーの発車1分前に京成ホームに到着し、臨時の特急券を入り口で買って乗り込むのに成功した。

先行きの不安を感じさせる旅立ちだった。

 

本日の行き先はバンコク(タイ)である。

ここを起点としてインドやネパール等の次の目的地へ行くつもりだ。いわばベースキャンプのようなものだ。

しかし空港の荷物チェックはいつもより厳しかった。

それをやっとパスし、今回乗る「エアインディア」の飛行機前の搭乗口にたどり着き、

いよいよ搭乗5分前となったところで5,6人程呼び出しがかかり、その中に自分の名前が・・・・

「全部OKのはずなのに今度は何!?」

とか思って行ってみると・・・

 

空港係員 「本日満席の為、お客様のビジネスクラスへの振り替えを・・・云々」

自分 「な、なんだってー!?」 (本当はこんな風に叫んでません、当然ですけど


狭くて満員のエコノミークラスで、長い時間乗るのは知っての通り非常にきつい。
特に通常は 隣の乗客との肘掛争奪戦と言う熱いバトル が繰り広げられる事になるのだが それからも開放される事になったのだ。


こうしてエコノミークラスの航空券を格安で買ったにも関わらず、思わぬ幸運で「ビジネスクラス」の乗客となったところでバンコクへ向けて飛行機は飛び立ったのであった。

 

いつも飛行機に乗るとその狭さから「早く着け!」と思ったりするのであるが、「降りたくない無い」と思ったのは初めてである。

少しエコノミークラスの方を覗いてみると、元々一人当たりの空間が狭い所に、満員で実に窮屈そうだった。

反対に自分のいる方は一人当たりの空間が遥かに広い上に、一人で2席使う贅沢な状況で同じエコノミーの料金を払ってこれなのだから、世の中の不条理を感じた。

「お前が言うな!」てな感じではある。

 

 

エアインディアのビジネスクラスのシート

こうして普段なら長く感じる7時間が無常にもあっと言う間に過ぎ、バンコク郊外のドンムアン空港に到着したのであった。

ビジネスクラスの乗客だけ優先して飛行機を降りる事が出来たために真っ先に入国審査の窓口に向かった。この入国審査は日本人の場合は形式的なものであり自分で記入済みの入国カードを差し出せば何も聞かれる事は無い・・・・

はずだったが・・・

 

審査官 「滞在先は?」

自分 「えー!?、以前は滞在先の欄を空欄で出してもこんな事聞かれなかったよなぁ〜、どうしよう、それじゃ適当に都市名の名前を使った ホテル バンコク と書いてみよう・・・・駅前にあったような気がしたし・・・ 

こ、これでいい?・・・」

審査官 「OK」

・・・

自分 「いいのかよ!それで!」

こうして適当に入国審査を通ったのだが、後で調べてみると駅前にあるホテルは「バンコクセンターホテル」であり、書類に書き加えたホテル名は架空の物であったのだ。

厳密に考えれば不法入国であるが、これも良しとしよう。

 

と言うか、旅行者は動き回るのが当然だから滞在先なんて決まってるはずがないし、何故か何処の国でもこの「滞在先の欄」は存在し、

何処の国の審査官や大使館職員も必ず適当に処理するのである。お役所的な適当ぶりは万国共通のようである。

 

 

今度は通関(税関通過)であるが、ここは挙動不審だったり、荷物が多い者だけが調べられるのでなんなくパス。

しかし本来一つの荷物を飛行機に乗る際に「手荷物」と「預ける荷物」の2つに分けた上に色々とごちゃごちゃになってしまったので、どこか整理する良い場所は無いかと思っていた所、税関の荷物検査の台の隅っこが開いているではないか。 それを勝手に使い使わせて貰って荷物の整理を済ませたのだった。

旅慣れと言うより なめきっている。

 

こうして空港を出て、市内へ向かうエアポートバスの乗り場に向かったのだった。

 


 

 

-RETURN-