るろうに剣心 〜維新激闘編〜

機種 PS   ジャンル  平凡格闘   メーカー名  ソニー(SCE)

 

「るろうに剣心 −明治剣客浪漫譚−」は、「少年ジャンプ」に連載されたマンガであり、このゲームはそのキャラクターを使った、いわゆる「キャラゲー」です。

 原作の「るろうに剣心」は、サブタイトルが「明治剣客浪漫譚」で、実際には「明治超人列伝」が似合う様な、超人的な限界ギリギリバトルが「売り」です。 

また、「キャラゲー」と言うのは、原作のイメージを再現するのが使命であり、主人公の「緋村剣心」(かつての維新志士)が操る神速の剣術、「飛天御剣流」から繰り出される数々の極められた技、 それに対するは、新撰組の生き残り「斉藤一」が放つ「突き」を極限まで昇華させた「牙突」など、 究極の達人同士がせめぎ合うハイレベルな戦いを期待させます。

 

しかしこのゲームでは、それとは遙かにかけ離れた、低いレベルの戦いが繰り広げられます。 

 

「制作者様、 原作を理解していますか?」

 

 

 

まずは、説明書を見てみましょう。

まずは主人公「緋村剣心」の技説明。

筆頭の技が「飛天閃」となっていますが、この様な技は原作にはありません。

その他、原作には無い技がある反面、原作ではよく登場する「龍槌閃」「龍翔閃」と言った技がありません。

 

 

「制作者様、 原作を理解していますか?」

 

 

 

他のキャラでも、狂気の人斬り「鵜堂刃衛」の必殺技、「ひょうきの術」が金縛りと言うことになっていますが、本当の技名は「心の一方」であり、思いきり間違えていますが、その他でも間違いは多々あります。 

また細かい技の名前については、ゲーム独自でも良いとは思います。 しかし喧嘩闘法の「相楽左之助」のつかみ技の名前が「うりゃりゃ」となっていますが、これでは「左之助」は、ただのあぶない人です。

 

 

「制作者様、 原作を理解していますか?」

 

 

さて、ゲームの方で「剣心」を選んでプレイしてみましょう。

しかし、この「剣心」は何故か「居合い」の構えであり、攻撃の度に刀を納刀し、常に刀をしまった状態で構えます。 確かに「居合い」は「剣心」の得意技の一つではあります。 しかし「剣心」の基本的な構えは、自然体で構える「無形の位」であり、「居合い」は特別な時だけです。

これでは、「剣心」ではなくサムスピの「橘右京」です。

 

 

 

「制作者様、 原作を理解していますか?」

 

 

しかも、このゲームの中での剣心は、剣術格闘であるにも関わらず腕で防御します。 かつて「伝説の人斬り」と呼ばれただけあって大した余裕? というか、

これではただのバカです。

 

そしてこのゲームのストーリーモードでは、随所にアニメのムービーが流れます。 しかし、テレビアニメで放映されたものを無理矢理短縮したり、つなぎ合わせたりしているため、話が噛み合っていません

 

また、「剣心」は逆刃刀(刃と峰を逆にしてある刀)を振るい、殺さずの誓いにより 人を斬り殺す事を自らに禁じているのですが、 ゲーム中で「鵜堂刃衛」を倒した時に流れるムービーの 肝心の部分がカットされている為、 どう見ても剣心が「鵜堂刃衛」を殺した様にしか見えません。

 

あぁ、 剣心が殺さずの誓いを破ってしまいました

 

 

「制作者様、 原作を理解していますか?」

 

 

また、このゲームの致命的な欠点はキャラクター同士の能力差が殆ど無いと言う事です。

神速の「剣心」も、ふとっちょで動きの鈍い筈の「ひょっとこ」もスピードに差はありません。

 

また、 「剣心」や「鵜堂刃衛」等、武器のあるキャラは良いとして、「左之助」や「ひょっとこ」と言ったキャラはどうなるのでしょうか?

 

それは、素手で刀を防御しても大丈夫と言う、画期的なアイデアで解決されています。

攻撃力も特に差は無いようです。

 

つまり、キャラによるスピード、動き、攻撃力の差が特に無いわけで、技の見た目が違うだけです。

対戦格闘ゲームは、強さのバランスを取るのが重要と言ってもこれは明らかに違います。

 

まるで共産主義の理念に従った格闘ゲームの様です。

 

また、動き隙の大きい 刀を持ったキャラよりも、 隙の小さい素手のキャラの方が戦い易いくらいです。

 

 

「制作者様、 原作以前に格闘ゲームと言う物を理解していますか?」

 

 

色々理屈を書きましたが、結局言いたい事はただ一つで 「つまらない」 と言う事です。

 

また、このゲームは「原作を再現出来ていない」と言うよりも、 

 

本来日の目を見ない様な平凡な格闘ゲームを、 キャラクターだけ「るろうに剣心」の登場人物に置き換えただけ、 と言った方が真実に近い感じがします。


このゲームは極端なクソゲーと言う程では無いかもしれませんが、 やっぱり 「キャラゲーに名作無し」 もしくは 「キャラゲー=クソゲー」 の法則に従っています。

 

 そして、ソニー・コンピューター・エンターテインメントは、 名作かクソゲーのどちらかを作ると言う、素晴らしいまでの潔さを持っているようです(名作でもバグが多いですが・・・)

まぁこのゲームはクソゲーと分かっていて買ったわけですが、 純粋な気持ちで買った人は絶対に、後悔と怒りの念にかられていると思います。