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公開日 2002.03.03/最終更新日 2009.03.22


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純金積立のページ

以前からずっと気になっていたのですが,ついに純金積立を始めることにしました。しかしWeb上でも,純金積立の情報はあまりないようです。それで何かの参考になるかも知れないということで私がいろいろと調べたことをここに書いておきます。例のごとく以下に記載された情報は正確でない可能性があります。また純金積立を推奨しているわけではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。なお文中に三菱マテリアルに関する記述がやや多く見られますが,これは私が三菱マテリアルの「マイ・ゴールドプラン」の利用者である,という特殊な事情によるもので他意はありません。


更新履歴など

ときどき内緒であちこち直していますが,大きな修正はなるべくここに載せることにします


Index


ゴールド投資への是非

実際には価格変動リスクがあるので,代替にはならないのですがペイオフ対策でゴールドの販売量が増えたそうです。その是非はともかくとして,値動きが株価の変動と逆の相関を示すとか過去インフレには強かったというデータもありますので,ポートフォリオのひとつとして外貨や債券とともにゴールドを考えるのは悪くない選択だと思います。ただし売買価格差が大きいとかゴールドそのものは利息を生まないというデメリットがあるというのも事実です。


ゴールドは「信用リスクとは無縁」は本当か?

ゴールドは「それ自身が価値を持つ,誰の債務でもない実物資産」であるために「信用リスクとは無縁」と言われていますが,それは本当でしょうか?
あとで触れますが,純金積立の場合「消費寄託による保護預り」という制度が採用されていることが多く,これだと販売会社が倒産した場合,保護預りのゴールドやプラチナが戻ってこない場合があります。また現在ではこのような事態になったときに投資家を保護する制度は見当たりません。一部の販売会社では顧客の購入分を金庫に混蔵保管しているところもありますが,これも場合によっては戻ってこない場合も想定できます。よってゴールド自身は「信用リスク」とは無縁だが,販売会社の信用リスクを考慮する必要があるというのが正解なのですが,巷のマネー雑誌などではなぜかこの点については触れられていません。じゃあ現物を持っていれば・・という話になりますが,現物を引き出すときにバーチャージが,売却時に鑑定料が必要となる場合があり,少量ではかなりのコスト高になってしまいます。それに保管場所をどうするかという問題もあります。ということで,ゴールドやプラチナも一般の投資商品と同じ程度の信用リスクがあると考えた方が良いのかも知れません。大証のゴールドETFはゴールドの現物ではなく,ロンドン渡しの金価格に連動した債券に投資するETFなので,当然発行者の信用リスクが問題になります。


ゴールド(プラチナ)を購入するには

ゴールド(プラチナ)を購入するには以下の方法があります

「バー/コインの現物購入」は地金商や商品取引員の会社で取り扱っています。手数料は販売会社によってまちまちです。ただし売却のときには購入した販売会社以外に売ろうとするとバーの鑑定料を取られます。先物取引にはまったく詳しくはないのですが「先物取引での現品受け」だと東京工業品取引所の価格で買うことができるので,通常よりは安く手に入ると言われています。ただし現物のバーを引き取る場合には,バーの手数料+送料+保険料あたりがかかると思います。またどこのブランドのバーが送られてくるかわかりませんので,売却の際に少々面倒なことになる可能性もあるでしょう。


純金積立(プラチナ積立)とは?

ということで,このページの本題である積立の話に入ります。各販売会社のWebに詳細が出ていますが,ゴールドやプラチナを毎日決められた金額分だけ買って行く,というものです。普通「積立定期」や「株式累積投資」(るいとう)とか投資信託の積立などは,月1回購入なのですが,ゴールド・プラチナ積立は毎営業日買い続ける仕組みになっています。具体的には,月の営業日が20日,毎月の積立金額が10000円とすると,毎営業日ごとに消費税込み500円分の金を買うことになります。少しデータが古いのですが,日鉱金属のページによればこのシステムの利用者は141万人もいるそうです。(2001.03.31現在,ワールドゴールドカウンシル発表)


口座管理料と買付委託手数料

積立の場合,口座管理料と月々の買付委託手数料が必要となります。またゴールドやプラチナは普通の「商品」ですので,買うときに消費税がかかります。ただしここで払った消費税は売却の際に売却価格に上乗せされて戻ってくる(売却とは,販売会社が顧客からゴールドやプラチナを買うことなので,販売会社が消費税を支払うことになる)ため,実質的には負担はないことになります。個人の場合は消費税の納税義務はありませんので,受け取った消費税分を申告する必要はありません。口座管理料は販売会社にも拠りますが,年額840円から3150円に設定されていて,買付委託手数料は,無料のところもあれば,購入金額1000円あたり20--25円程度に設定されているところもあります。つまり月々の積立額が10000円で,購入手数料が1000円あたり25円の場合,銀行口座から引き落とされる金額は10250円となります。買付委託手数料が無料のところは,例外なく口座管理料が高めに設定されているおり,月々の積立額によってはどちらが有利なのかを判断しなければいけません。ただし手数料は変わる可能性もあるので手数料だけで販売会社を決めるというのはお勧めできません。なお「買値」と「売値」の差(スプレッド)が売却時の手数料に相当するため,売却時に支払う手数料はありませんが,販売会社によっては売却代金の振込手数料を顧客が負担するとなっているところがあります。またスプレッドは販売会社によって差があり,商品取引会社では1gあたり30円のところもありますが,ゴールドで1gあたり60円,プラチナで1gあたり120円程度が一般的なようです。
なお消費税に関しては,あたりまえの話ですが売買時点での消費税率が適用されます。ということは将来消費税率が上がった場合。今の消費税5%時代に購入した分も,売却のときには新しい消費税率が適用されるはずですので,利回りがよくなる・・ということが起こりそうです。先のことはわかりませんが,消費税率の見直しは毎年議論されていることなので,始めるには案外良い機会なのかも知れません。


スポット買いと積立額の臨時増額

金価格が安いときを狙って,月々の積立とは別に「スポット買い」ができるようになっています。これも2種類あって

の方法があります。前者は「スポット買い」ではなく「積立額の臨時増額」ですが,なぜかこれも「スポット買い」と呼んでいるようです。この場合は追加の「買付委託手数料」がかからない場合もあります。(ボーナス時の積立額増額も増額分にかかわる手数料はかからない場合があります)この制度をうまく使えば手数料を低く押さえることもできそうです。


売却益はほぼ非課税

売却益は「営利を目的とした継続的な売買」を行わない限り譲渡所得,「営利のため継続的に売買を行っている場合」は雑所得となります。譲渡所得の場合は年間の売却益が50万円以下なら非課税,それを超えると,他の譲渡所得とで損益通算をした上で他の所得と合わせて総合課税となります。また雑所得の場合,年間の売却益が20万円以下なら申告不要,それを超えると,他の雑所得で損益通算をした上で他の所得と合わせて総合課税ですので,ほとんどの場合売却益に関する税金はかからないと考えてよいと思います。三菱マテリアルから毎年年末に送られて来る満期ボーナスの報告書には,純金積立は「営利のため継続的に売買を行っている場合」に該当して雑所得となるという記載がある(ただし下のリンク先にはそのような記載がない)のですが,田中貴金属では譲渡所得になるという見解を公表しています。
金と税金に関するご質問(田中貴金属)
みんなが気になる金と税金の話(三菱ゴールドパーク)
金定額購入システムで取得した金地金を譲渡した場合の課税上の取扱いについて(東京国税局)


消費寄託と特定保管

購入したゴールドやプラチナは,多くの販売会社では「消費寄託」の方法で「保管」されることになっています。「消費寄託」というのは民法第666条で民法第587条の規則を準用すると定められています。以下その条文を引用しておきます

第五百八十七条 消費貸借ハ当事者ノ一方カ種類、品等及ヒ数量ノ同シキ物ヲ以テ返還ヲ為スコトヲ約シテ相手方ヨリ金銭其他ノ物ヲ受取ルニ因リテ其効力ヲ生ス

第六百六十六条 受寄者カ契約ニ依リ受寄物ヲ消費スルコトヲ得ル場合ニ於テハ消費貸借ニ関スル規定ヲ準用ス但契約ニ返還ノ時期ヲ定メサリシトキハ寄託者ハ何時ニテモ返還ヲ請求スルコトヲ得

口語体に直すとこんな感じでしょうか?

第五百八十七条 消費貸借は当事者の一方が種類、品等および数量が同一のものを返還してもらうこと約束した上で相手方より金銭その他の物を受取ることによって効力が生じる。

第六百六十六条 受寄者が契約により受寄物を消費する場合においては消費貸借に関する規定を準用する。ただし契約に返還の時期を定めているときは寄託者はいつでも返還の請求をすることができる。

というわけで,ゴールド・プラチナ積立の場合では以下のようになると思われます。

もちろん販売会社が経営破綻すると,返還請求に直ちに応じられない事態もあり得ますので,販売会社の信用リスクを考慮しなければならないわけです。ここで「消費」できるという規定があるため,「消費寄託」ではリース市場に出し「ゴールド・プラチナの運用益」を得ているので,その運用益を購入者に還元するようなのサービスも行われています。

販売会社によっては,この「消費寄託」の方法を取らずに,保護預り分のゴールドやプラチナを金庫に入れて分別管理(「特定保管」と呼ぶそうです。)しているところもあります。この方法では販売会社が勝手に顧客のゴールドやプラチナを処分できないという契約(これを民法では「寄託契約」と呼ぶそうです)になっているそうですが,これも投資家の保護ということにはなりません。

ということで,こういうことが気になるというのであれば,適当な時期にバーやコインに換えて銀行の貸金庫にでも入れておくという方法もあります。相応の費用がかかりますが止むを得ないというところでしょう。あるいはゴールドETFを購入するという方法も選択肢に入るでしょう。


等価交換

貯まったゴールドは,売却して現金化する他にバーで引き出すか,金貨・ジュエリーなどと等価交換できます。販売会社がカタログを用意していますし,販売会社直営のジュエリー販売店もあります。積立会員の特典として,ときどき「掘り出し物」も用意されているようです。コスト的にはバーに換えるよりもコインの方が安くできそうです。ただしコインはバーとは違いますので,売買価格がゴールドとは別に決められています。1ozあたりのバーとコインではコインの方が売買価格とも高めになっています。またバーを引き出すときには,バーの種類によってバーチャージがかかる場合があります。バーやコインの梱包・送料・保険代は2100円程度になっています。三菱マテリアルではコインの場合に限って梱包・送料・保険代を負担してくれますが,他の販売会社ではこのようなサービスはやっていないようです。


プラチナ,その他の貴金属

ゴールドとプラチナはどちらを選べばよいのか,というのは実はよくわかっていません。プラチナは売買価格差がかなり大きく設定されているとか,採鉱している場所が限定されている(南アフリカとロシアが主)ということで,一般的に言えばゴールドよりは有利であるとは断言できません。ただし日本では宝飾品としての人気が高いという話もあります。この他の投資用の貴金属としては銀やパラジウムというのもあるのですが,積立で取り扱っているところはないようです。


貴金属で資産運用

積立の話題からは少し外れるのですが,貴金属には「リース市場」というものが存在しているのだそうです。詳しいことはよく知りませんが,リースというのは貴金属の貸し借りですので,需給関係に見合った金利が発生します。そこでまとまった量のゴールドやプラチナをリースしてこの金利分を「寄託料」として受け取るサービスというものが存在します。たとえば住友金属鉱山では,「住友の純金プラス」というサービスをやっていて,ゴールドを預けるだけで決められた率の寄託料が現金で支払われるというサービスです。仕組みとしては銀行預金とほとんど同じですね。販売会社によっては現金ではなくゴールドやプラチナの現物で支払われるところもあります。一般にゴールドよりもプラチナの方が寄託料率は高めになっており,また積立である程度まとまった量になればこのサービスに移行することもできるようです。ただし,銀行預金と違って寄託先の経営破綻があったときには何の保証もないということには十分注意する必要があるのは,積立と同じです。なお。三菱商事と三菱マテリアルでは積立でも1年ごとにこの「寄託料」(両社とも「ボーナス」と称しています)が現物で支払われます。なおこの「ボーナス」分に関しては雑所得となるとのことで,場合によっては確定申告の必要があるとのことです。

2005年4月に三菱マテリアルは,純金積立「マイゴールドプラン」において今までのリース市場による運用を見直して,金地金の「レンディング」など,一部を「当社が適切とする方法」で運用を行う,ということを約款に明記すると発表しました。他社に波及するかどうかはわかりませんが,先物を組み合わせた運用が始まることによって,今までの「純金積立」のイメージとは少し違う方向に進むのかも知れません。


金ミニ取引と金価格連動型上場投資信託など

これも積立の話題からは少し外れますが,2007年7月より東京工業品取引所で「金現金決済先物取引」(金ミニ取引)が始まりました。従来の「金現物先物取引」(金標準取引)とは違って,取引単位が100グラムからですが現品の受け渡しはできないようです。詳しくは東京工業品取引所の取引要綱を参照してください。
また2007年8月10日に「金価格連動型上場投資信託」が大阪証券取引所に上場しました。ロンドン渡しの金価格(円換算)に連動する投資信託で,取引単位は10口(1口=1グラム)から,運用は野村アセットマネジメントとなっていて,野村證券では「るいとう」(野村證券では「株式積立て」という商品名)で購入できるようになっています。詳細はリンク先を参照していただきたいのですが,現物ではなくゴールド価格に連動した債券に投資するファンドとなっているため,現品との交換はできないようです。
商品の内容に多少の違いがあるとは言え,取引単位も小さく設定されていますし,ETFだと売買時の手数料は株式と同じで,証券会社によっては一定の条件下で無料となる場合があるため,今の純金積立でのスプレッド60円/グラムでは手数料の点で見ると対抗できるとは思えません。「るいとう」での扱いが始まったこともあるため,今後純金積立側で手数料の見直しが行われる可能性に期待したいと思います。

新規上場の承認(ETF)について(大阪証券取引所/PDFファイル)
プレスリリース・金価格連動型上場投資信託(金連動ETF)の上場について(野村アセットマネジメント)
株式積立て(野村證券:口座開設は口座管理料が無料のほっとダイレクト部で開設した方が有利)

上記のほか,カバードワラントに金価格連動債券を原資産とした「金eワラント」が販売されています

ゴールドの話とは直接は関係ありませんが,大阪証券取引所は今後も商品のETFの上場を行っていくという方針だそうでで,次は原油などとも言われています。また東京証券取引所では2008年6月30日に「SPDR(R)ゴールド・シェア」(コード:1326)が上場します。今後プラチナその他の貴金属ETFの上場も期待できそうです。

金の価格に連動する商品現物型ETF「SPDR(R)ゴールド・シェア」の上場を承認しました(東京証券取引所)



販売会社

取扱は鉱山会社,貴金属地金商,商社,銀行,証券会社,商品取引員などです。鉱山会社は「製造直販」ということで手数料が安めだと言われています。銀行,証券などは商社と業務提携していて販売窓口のみの役割を果たしているということになっているようです。Webで情報が掲載されているものを適当にリストアップしてみました。商品取引員はどこでも取扱しているようなので省略しました。三井住友銀行以外の都市銀行についてはみずほ銀行,りそな銀行に関してはWebに情報が掲載されておらず,三菱東京UFJ銀行は合併後に新規受付を終了してしまいました。地方銀行での取り扱いの詳細はよくわかりませんので検索結果を掲載しておきます。詳細はリンク先のページでご確認ください。

積立ではなく,まとまった量のゴールドやプラチナを寄託して,寄託料をもらうというサービスもリストアップしておきます。これも商品取引員は省略しました

その他に単に購入したゴールドを保管する,というサービスもあります


双日のゴールド・プラチナ積立

JCBカードではかつて,ニチメン=現在は双日=と提携したゴールド・プラチナ積立のサービスを提供していて,私もプラチナの積立をしていたのですが,上記のように提携先を三菱商事に変更することになり,その時点での積立会員は

  1. 残高を三菱商事に移管した上でJCB・三菱商事が提供するサービスで積立を継続
  2. 残高を双日に残して,双日が提供するサービスで積立を継続(JCBは購入金額の引き落としのみに関与)
  3. 残高をすべて売却

のいずれかを選ぶことになりました。このとき双日での積立を継続すると「メイプルリーフ金貨プレゼント」というキャンペーンがついていたので,迷うことなく(笑)2.の双日で積立を継続する,と選択しました。当初は会費や買付手数料が従前通り(会費1050円/年,買付手数料1000円あたり25円)だったのですが,しばらくして買付手数料が無料となりました。さらに特定保管ということもあって,上記のリストのどこよりも有利な条件なのですが,残念ながらJCBカードからの引き落としでの新規会員は募集していませんし,その他のルートでも同じ条件の積立会員の募集は行っていないと思われます。商品取引会社が提供する純金積立で双日と提携しているところがいくつかありますが,残念ながらこのような条件にはなっていないようです。
なおその時いただいたメイプルリーフ金貨は評価額が1.5倍になりました(笑)

(追記:2008.03.22)JCBカードのWebサイトから三菱商事との提携による純金積立の情報が削除されています。現在,新規会員の募集が行われているかどうかは不明です


Link

ゴールドやプラチナについての情報が掲載されているサイトです(順不同)

SUMITOMO GOLD NEWS
住友金属鉱山が発行するメールマガジン。積立会員でなくても購読可能
知っておきたい金投資の基礎知識
三菱マテリアルによる金投資入門
三菱商事・市況見通し
日経マネーDIGITAL金投資の情報コーナー
東京工業品取引所
ゴールド・プラチナともにここの上場商品です。受渡供用品の一覧はこちら
New York Mercantile ExchangeのGOLDのページ
最初に利用規約に同意する必要があります。(英語)
International Platinum Association (英語)
StreetTracks Gold shares
ニューヨーク証券取引所に上場しているゴールドETFの運用会社:TickerはGLD
iShares
インデックスファンドのETFでおなじみのiSharesもゴールドETF (Ticker:IAU)とシルバーETF (Ticker:SLV)を上場させています
野村アセットマネジメント
大阪証券取引所の金価格連動型上場投資信託(コード1328)を運用しています
日本金地金流通協会
Investing in Gold
World Gold Councilの投資家向けページ (英語)

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