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自転車防犯登録の謎

自転車の防犯登録は「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」という法律で利用者(所有者ではない?)の義務とされています。(ただし罰則はありません)その法律とは以下のようなものです。

(自転車等の利用者の責務)
第十二条  自転車を利用する者は、道路交通法 その他の法令を遵守する等により歩行者に危害を及ぼさないようにする等自転車の安全な利用に努めなければならない。
2  自転車等を利用する者は、自転車等駐車場以外の場所に自転車を放置することのないように努めなければならない。
3  自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録(以下「防犯登録」という。)を受けなければならない。

と,書いてあるのはこれだけです。これを読むと廃棄するときや転居したときはどうするのかということについては一切触れられていません。この件については自転車防犯登録講座では以下のような解説がされています。

ご存知でしたか,こんなこと? 私は知りませんでしたし,自転車店から説明を受けたこともありません。それにこのルールでは,廃棄したとき,または転居したときに「異動届」や「廃止届」を出す仕組みがありません。ということは同じ車体番号の自転車に対して複数の防犯登録番号が与えられたり,存在しない自転車に対して防犯登録番号だけが残る,ということになります。有効期限10年というところで,一応問題が大きくならないようにはしているのだとは思いますが,制度を義務化するのであれば,このあたりに扱いも決めておかないといけないはずです。
私は埼玉県在住時に東京都内で自転車を購入して,防犯登録をするときに「住所が埼玉だが問題ないのか?」と聞くと「問題はない」と言われましたが,上の2. によると住所を管轄する警察署に登録されるようにしなければいけないようにも読めます。上に書いたように私もこの仕組みを知らなかったので,未だに「警視庁」のシールが貼ったままで防犯登録としては意味がない状況です。

一方,原動機付き自転車では,税金の関係もあって市役所などで登録(申告)することになっています。ナンバープレートの費用負担もありませんし,登録(申告)にかかる費用は無料です。つまり自転車は500円という高額の手数料を取っておきながら,それほど有効性があるとは思えない制度を義務づけられているわけです。これって変ですよね?。本当に防犯のため,というのなら原動機付き自転車の登録制度を準用して,登録・廃止などの申告を市役所などで行うようにして,住所変更などと連動させる必要があるような気がします。いずれにせよ今の制度ですら広報をまったくやらない行政は自転車の「防犯」に本気ではないのでしょう。ということで,みなさんムダな500円を払うのをやめましょう,と書くと違法行為を助長すると言われるので(笑),防犯登録をやって,カギを2つつけて自転車を守りましょう。


追記

この件について,地元の警察署に電話して確認したところ,以下のような回答が得られました

この回答,自転車防犯登録講座に書いてあることと全然違います。住所がなぜ参考程度なのかというと,盗難届が出ない限り警察は動くことができず,かつ盗難届には届け出た人の氏名・住所が必ずあるはずなので,見つかった場合は盗難届を出した人のところに連絡が行くことになっているので,という説明でした。登録者名と届け出た人の名前が違えば理由は聞かれるでしょうが,盗んだ人が盗難届を出すとは考えられないので,おそらく理由の説明(譲ってもらったなど)と身分証明書などの提示で済むのでしょう。
ということで,私が自転車を買ったお店の店員さんが「(住所が埼玉でも)問題ない」と言ったのは正しかったわけです。では自転車防犯登録講座には,なんでこんな「ウソ」が書いてあるのでしょうか??・・理由は分かりませんが「転居したら再登録」とすれば自転車屋の収入が増えますね(笑)。それを狙っているとすれば,あまりにも露骨です。
よって「通販業者が販売先が全国なので,を理由に防犯登録を行わない」のは理由になっていません。こういうところは「防犯登録所」の指定を受けていない可能性もあります。

余談

実は警察から以上のような回答を引き出すのが大変でした。そのときのやりとりを以下に書いておきます

私:(地元の警察署に電話)自転車の防犯登録のことでお伺いしたいことがあるのですが
警察官A:防犯登録ですか? 自転車屋さんが行うことになっているのですが・・どういうご用件でしょうか?
私: 最近府外から引っ越して来たのですが,防犯登録の住所を変更しなければいけないのでしょうか?
警察官A: ・・・そういうのは自転車屋さんで聞いてもらうほうが良いのですけど・・・少しお待ちいただけますか
警察官B: 防犯課の○○ですが,どういうご用件でしょうか?
私: 最近府外から引っ越して来たのですが,向こうで買った自転車の防犯登録の住所を変更届のようなものを出さなければいけないのでしょうか?
警察官B: ・・・すみません,ご質問は何でしょうか?
私: ・・・今,言ったとおりですが?
警察官B:・・自転車屋でやるんですよ。防犯登録は
私: だから買ったときに登録はしました。そのあと引っ越したんです。だから登録したときの住所と今の住所が違うんです。
警察官B: ・・・それで?
私; だから,登録されている住所と今の住所が違うので,それは何か届けを出すのですか?
警察官B: ・・・・防犯登録は別に義務ではないので,この場合はおそらく自転車屋で再登録になるので,お金がかかりますが,どうしてもやりたいのであればやってください。警察は関係ありません。
私: ・・・防犯登録は義務になったはずです。警察が関係ないということはないはずです
警察官B: ・・・いや,義務じゃありません。勝手にやってください。でもお金はかかりますよ

これ以上,この警察官Bと話をしていてもムダなのでここで電話を切りました。この警察官Bはあきらかなウソを2つもついていますし,これでは何の結論もでないので,大阪府警察本部の監査室(「警察相談」の担当窓口)に電話をかけて,今までのいきさつと「この警察官の説明内容はあきらかにウソで,話にならないので正確な回答が欲しい」ことを伝えると,約30分後,私が最初に電話をかけた地元の警察署の「防犯課長」という方から「府警本部から連絡があり,お問い合わせについて説明不足で本当に申し訳ない」と電話があり,上記のような内容を説明していただきました。「説明不足」ではなく,一切説明をしていない,というのが正しい表現だと思うのですが,それはともかく,府民にウソの情報を伝えた警察官Bは監査室から厳重注意を受けたことでしょう(笑)。しかし警察の認識があの程度であることもはっきりとわかりましたので,やはりこの制度,欠陥だらけのようです。


2006.04.25 公開/2006.05.02更新/2007.07.14 XHTML化

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