物欲伍長「史上最高の実用PC・VAIO PCG-GR90E」編

考えてみると、伍長はどんな現場にもPCを持ち歩くことが近年多くなった。理由は特にないんだけど、持ち運べるならなんにでもなるからね。ノート然り、メモ帳然り、インターネット端末然り・・・。まあよくも色々と使えてくれるものである。伍長も毎日ThinkPadを持ち歩き、何かと色々使っているわけだが、最近もとのコンセプトをしばしば思い出すようになった。
「持ち運んでも、デスクトップと同じ環境があればなあ・・・。」
持ち運びユーザーの大半をこの悩みで蹴散らしてくれている最近のモバイルは、これだからダメなのである。しかしながらCrusoeならともかくとして、現在は不自由がないはずである。
ThinkPadが2002年6月当時最強のモバイルPCだったのだが、その半年前、A4ノートにそのシステムは組み込まれており、何不自由なく使っていたはず!そこで今回はそのThinkPadとの比較をしながら、かつての愛機VAIO PCG-GR90Eをレビューしてみようと思う。

<さて、カタログには載ってないPCですが・・・?>
VAIOマニアなら、すでに気づいていると思うが、当時VAIOには2桁の数字の入る型番は基本的にデスクトップのみで、ノートには存在しなかったのである。
これはSONYSTYLEのオリジナルモデルで、唯一BTOできるモデルとして作られていたものである。実際にこのPCは第2世代GRであり、スペックの変化が生じていた頃のモデルなので、それに合わせたサイズが作られていたのである。
この当時は
PentiumV-Mの933MHz/1.0GHz/1.2GHz
メモリーは256/512MB
HDDは30/40GB
液晶は14.1SXGA+/15SXGA+/15UXGA
より選択の出来るPCであった。なお、筐体のサイズが一番小さいモデルは、2.9キロ(14.1液晶)。大きいサイズは3.5キロと若干重い。据え置き型は否めない。
当時のGRコンセプトでは持ち運べる高性能ということを売りにしていたはずだが、見事に現在では世界最大の液晶搭載マシンに変貌している。コンセプトはV505が受け継いでいるものだが、1年ちょいでクロックが約2倍の世界なのだから、性能は当然高い。だが、やっぱり液晶サイズは12.1止まりとなっており、惜しい。
世界で14.1液晶でSXGA+の解像度、さらにCPUがPentium4-Mであり、なおかつ2.5キロ以内のPCは今のところ日本サムソンのP25しか思い浮かばないが、奴は発売されてないので、割愛する。
まあ、当時はまだPentiumVがハイエンドの時代。少々現在とは事情が異なる。
にしても、当時はまだめずらしい2スピンドルのマシンとして、なおかつ解像度のおいしいモデルとして登場したわけである。
スペックを軽く参照しよう。
PentiumV-M 1.0GHz
メモリー 512MB
HDD 30GB
VRAM Mobility-RADEON 16MB
液晶 14.1型SXGA+
である。少々いじっているものの、CPU以外では死角はまずない。おまけに3キロを切る軽さ。(決して軽くないよ)
これだけのノートPCはこれまでどこにも存在しなかった。(しいて言えばDELL)
はっきりいって俺はこのサイズのPCを「史上最強の実用PC」と位置づけている。なぜならこのサイズならば、多少のことでは操作性・作業性はデスクトップに劣らず、なおかつ若干軽めに出来ており持ち運びにも耐えられる重さであると思うからである。根拠には乏しいが、FDDやレガシーインターフェイスを全部省くとノートPCは割と軽く出来るのである。
話を元に戻そう。このGRがなぜSONYのなかでハイエンドを名乗れるのか?理由はただひとつ、安っぽく出来ていないところである。次項で詳しく説明しよう。

<ハイエンドであるべきノートの姿>
さて、安っぽくないつくりとはどういうものか?ここで定義してみよう。 があげられる。丈夫でしっかりとしていて、長く使えるいい商品がこの定義である。IBMやPanasonicユーザーにはもうすでにわかるはずである。これらメーカーには企業用であるがゆえに、地味ながらもしっかりとした、しかもユーザーフレンドリーなものになっているはずなのである。細部にわたり研究した結果の出来なのだろう。これはどのメーカーでも一緒だが、最近はそれを研究する傾向にある。これを出来るだけしてもらわないことにはユーザー離れが深刻になると思っているのだろう。それは正しい選択だろう。
で、このGRはそれを価格との兼ね合いで、しっかしと一蹴している。まずは入力デバイスである。フルピッチなので非常に使いやすい。当時はまだメカニカルキーボードの採用がされていなかったものの、イイタイプが出来る。(IBMのキーボードにも近い)さらに液晶解像度や基本性能の充実。そして驚くべきことにプラスチックの筐体ながら、高級感を漂わせるシルバーコーティングがされている。見た目にもいいだろう。
そして無音。HDDのアクセス音以外はまったく聞こえないため、恐ろしくなってしまう。
これだけの仕掛けが備わっているが、インパクトには当時からかけている。なぜならこのPCが、あのXRの後継機であるが故なのである。

99年の夏にMobilie PentiumV搭載を連想させるボディーとギミック。そしてノートでは初めてAV編集やCD書き込みの出来るスペックのPCとして、世のハイエンドユーザーを魅了してきたのが、この前モデルVAIO XRであった。メカニカルキーボード・早くからのWin2000搭載・標準CD-RWドライブなどほめていくときりがない。そして一番のギミックであるインタークーラーの搭載。本体を開くと後方にチルドアップするのは画期的な機能であった。
惜しまれつつも2001年の2月に廃盤。まさにハイエンドにふさわしい装備を持ち、進化を続けてきたPCである。
このコンセプトを受け継ぎつつも、持ち運びまで視野に入れたことで使い勝手はさらに向上した。が、派手さはない。いぶし銀ともいえそうなPCである。何より目立たない巨人的な存在であるともいえる。
文字通りの最強。そしてすべてにおいてのハイエンド条件をこのPCは持っているのである。

<GRシリーズでは、唯一のコンセプト筐体PC>
これだけどうこう書いて、もはや自分では文句はほとんどないが、ここでいろいろおさらいをしておこう。
このPC、最大の売りはまず「持ち運べるデスクトップ」である。
PentiumV-Mの1GHzは、今となっては処理能力に不足があるかもしれないが、それでもゲームや動画処理をやらないのであれば、現在でもそのパワーを生かせる。下手な高クロックのCeleronより早い。
14.1インチの液晶は、SXGA+の解像度とともに、使いやすさと広いデスクトップ領域を与えてくれるし、輝度も不足はない。グラフィックにM-RADEONの16MBを搭載しており、表示にもストレスはまったくない。
8×DVD・8×CD-R・4×CD-RWのコンボドライブは、速度は遅いものの、一応の作業はすべてできるドライブである。DVD鑑賞にも問題はない。
キーボードも、前述のとおり、フルピッチキーボード。若干SONY配列ともいえる特殊な部分はあるが、GR用に特別に開発されたキーボードには、不満を感じることはない。長時間の使用にも耐えうるだろう。
そして、センタージョグもあるものの、これはまったく使えない。あってもなくてもそれほどの違いはない。
これで2.9キロ。若干重いが、A4ノートとしては軽量の部類であり、実際に使っていた時期には持ち運びをしていたものの、そこまでのつらさはなかった。(それでも毎日はしなかったけど)
難点は、やはりACアダプターの大きさ。バッテリーも公証値3時間とはいえ、2時間程度と考えるべき。ここが唯一の問題点であるが、こればっかりは仕方がない。

<正直、このPCは買いなのか?>
これを書いているのが、手放してすでに半年たっていることを考慮して欲しい。このPCに変わるようなラインナップとしてGRシリーズは巨大ノートのGRVとフルサイズA4のGRZ/GRSになっている。現在は当初のコンセプトを丸まる無視した仕様となっているのは残念なところである。
が、この大きさのPCはいろいろな用途に使えるため、便利であることは間違いない。
この14.1型シリーズは常にローエンドの位置となり、さらにSXGA+ともなるとタマが少ない。お奨めできるのは今でも在庫処分で並んでいるかもしれない。(もしくはアウトレット)のPCG-GR3N/BPである。
性能はPentiumV-Mの1.13GHz、メモリーは256MBそしてHDDは40GB。コンボドライブの性能アップにより、何とCD-R書き込みは16倍になるなど、GRシリーズのコンセプトを締めるのにはイイスペックである。
買って損はない。間違いなくこれはいい。が、重さが2.9キロと結構あるので、今購入する場合はもしかするとVAIOのFRを買ったほうが得かもしれない。(てかそっち買え)
ちなみにGRとFRの違いは・・・?
であろうか。FRはまだいじったことがないので、正直なところ評価には?を押すところが多いです。
ただ、FDD内臓で3.2キロだそうで。300g程度なら納得はいくと思いますけど。
多分新し物好きはFR。そうでない場合はGRでも問題はないでしょう。価格はそんなに違わないが、中古ならGRは避けたほうがいいだろう。ちなみに本当に安いと思われるのはFRなので、よほど美品でなければFRを買ったほうが得策だろう。
ちなみに現在は、やはりFRとV505がコンセプトを持ち逃げしており、結集して軽い14.1型SXGA+2スピンドルVAIOの登場を望みたいものである。


そしてこのコンセプトはとうとうPCG-Z1/Pというマシンで具体化することになった。(すげ〜)