帰ってきた物欲伍長延長戦「新たな刺客!SigmarionVを遅ればせながら使ってみる」
(2003年11月公開、2004年9月リニューアル再公開)

今回は、musea・CBB以来3ヶ月ぶりのPDA企画。SigmarionVの登場である。
ひょんなことカら(借金して)購入し、(半分不良債権化したものであるが)、現在もこよなく使っているLatitudeD600のサブ的マシンとして使っていこうかと考えていた・・・。約3週間使ってみての使用レポートを書いていくことにしよう。

今回は、PDAでありながらキーボードがついているということで、そこの部分から触れていこうと思う。
ぶっちゃけ、この文章は電車の中で書いてるわけで、案外このキーボードの威力には驚いている。
去年VAIO Uを使っていたこともあり、それとの対比でいえば、こっちのほうが無理なく打っていける。あっちはアプリケーションで携帯の文字入力ができる点が大きかったが、こっちは直で入力できることが大きい。無論フルピッチのキーボードではないので、タイピング速度は落ちるが、それでも上々であることは間違いない。また配列も自然である(それでもアルファベット部分のみで、他の部分ではかなり違うわけだが・・・。)のは、大きな救いだ。
なんといっても、、このサイズながらさくさくと文章が打てる(そんなのあたりまえとか考えているかもしれないが、以外に打てないものなんだよね。)こと、この程度のアプリケーションではまったくほかのPDAにあるような処理落ちなどはまったく感じさせない。むしろけいかいにことをこなしてくれることを考えると、必然的にノートというものは本当に必要ないと考えてしまう気さえ起こってしまう。しかしながらこれは高いスペックとこれまでのWindowsCEがあるからであって、もしこれがFull版のWindowsOSが入っていたらそこまでレスポンスは高くないものではないと思う。それゆえなのではないだろうか?
アプリケーションうんぬんでいえば、実はかなりこのCEが威力を発揮しているといった感じだろうか。かつて高木産業(パーパス)がつくったノートPCにCFを内蔵し、ほかは汎用のノート用パーツで作ったCEPCが存在していたが、その時代からさらに高性能になったCPUと大容量化の進むメモリーを考えると、実際はOSも重くなっているはずである。無論その時代のノートPCで動かしていたパーパスノートはかなり快適であっただろうと想像できる。ご存知のように俺はMuseaを持っているが、PocketPC自体は相当重い。それに比べると一世代あととはいえど、高性能でかつ、OSもたいした重さではないのであろうか?

それはさておき、本当にストレスがない。これまではメモリーのやり取りに四苦八苦し、ネットをしていたころとは大きな違い、今ならIEを立ち上げ、さらにこの文章を書いていても本当にストレスを感じないぐらいである。
だてに高い買い物。CF/SDスロットが別々にあるのはPDAの上位機種たる面目躍如といったところ。さすがにこのような筐体でなくともカシオのE-3000やHPのiPaqなどでもこの方式は取り入れており、特に珍しいことではないのである。
本体スペックに不満があるとすれば、液晶の感度が悪いあたり。野外で使う分には明るさも足らない気もする。大容量バッテリーがあれば、本当に1日つかっていても問題ないかも知れない。それだけハイエンドに位置しているのは間違いない。
また、オプションの中にはUSB変換(MiniUSB→USBオス)なども存在する。無論ドライバーは存在しないが、マウスやキーボードなどもドライバーが存在するので、平気で使っていける。製造元はあのモバイルギアで知られるNEC。ゆえにこのタイプはSigmarionの後継機種という肩書きを持ちながら、実際にはモバイルギアの血を色濃く残しているということなのだろう。確かにいわれてみればキーボード配列もジョルナダとは明らかな違いがあり、しかしながら打ちやすい配列・キーピッチである。これだけあればPDA最大の欠点といわれている入力周りで、リナザウと2強を名乗れるだけのことはありそうである。バックライトの調節も、案外極端なもので、これといってちょうどいいというのがないので、問題ではある。バックライトが原因で電源が切れてしまうというのもありうる話なので、もうちょっと低反射型の液晶があればと思う。まあ限られた値段の中で、このスペックを実現していることを考えると、それは致し方ない。(これは無論現状での考え。まあVAIO Uのような事例もあるので、今後この大きさで10万をきるWindowsXP搭載PCも登場すればありえないこともないわけだけど)
なんといってもたかだか0.5キロの重量で、VAIO U以上のレスポンス。普通にゲームは動作もしない(まあCEなので)が、事務的なことはすべて行える。しかもものすごく軽快な動作でだ。これは何度もいうようなCEならではの軽快さと、PDAとしてのスペックの高さがすべてを証明した感じだろう。はっきりいえばWindowsXP/2000などのOSより使ってるほうはストレスがない。それゆえにノートへの挑戦というのもうなづける。

WindowsCE.netは、WordやExcelといった系統のいわゆるOfficeに関するソフトは入っていないが、簡易版(とても簡易版とはいいがたいが)が存在する。Wordもそうだが、Excelがパッケージングされていないことが少々疑問だ。CEベースでは圧倒的にビジネスユースが使うことが多く、そういったユーザー向けであるツールなのだから、簡易版ではなくフル版をいれたほうがいいとは思う。もっともこれでバリバリ書類を作ろうとか、そういう感覚でいるユーザーは皆無だと思うが・・・。

レスポンスの問題を指摘されがちなPDAだが、CPUの負荷をあげることをいとわないユーザーには、PXA255用の便利なOCToolがあり、最大800MHz(そこまでいくとリセットがかかるが・・・)まで上げることができる。実用としてはせいぜい500前後が妥当なところ。ただしこれもUSBでのリンクができないなどの問題が若干あるようにも思える。逆にクロックさえ落とせば電池のもちにも影響する事柄だし、本音をいえば200MHzぐらいで動かしてみたいところだ。
その電池の持ち、やはりDocomo製品の宿命なのだろうか?通常に比べPXA255搭載機としては少ない7時間程度とされている。実際は5時間程度だが、これをそれだけつかっている時間はそれほど多くないし、ちょっとした出張の移動中にはずいぶん重宝する。欲をいえば前述の大容量バッテリーを購入すればOK。10時間前後まで伸ばすことができるので魅力的だ。こういった消耗品が、内臓オンリーではなく取り外しができるのが、すごくありがたいことである。長く使っていくには重要なポイントであるが、そこをクリアしているのは非常に大きい。

さて、ここでもう一度スペックの確認をしておこう。
CPU:Intel PXA255 400MHz(ARM互換)
ROM:32MB
RAM64MB(システム・データ共通)
液晶:5インチ半透過式液晶 800×480
スロット:CF TypeU×1/SD・MMCスロット×1(SDIO対応)
その他:赤外線ポート・MiniUSBポート×2(TypeA×1・TypeB×1)
重量:455g
OS:WindowsCE.net4.1(WindowCE系)
ハイエンドらしく、現在のPDA業界においてはこれ以上ないスペックである。それゆえのレスポンスのよさを持っているのだろうと思われる。たとえば現在(執筆中は2003年11月)のDTにたとえると、Athlon64FX-51とnForce3 150マザーにRADEON9800XT、容量限界までメモリーやHDDを載せる感じである。
これだけあれば、数年前のノートPCを軽く凌駕するだけのことはある。十分に凄みがでてくる。

しかしながら弱点がないわけでもない。(あたりまえだけど)
指摘しているとおり、他の半透過式液晶に比べると屋外・屋内問わず反射してしまう点。またバックライトの明るさ調整も7種類程度と普通だが、最大でも十分な明るさではないと思われる。(実際はそうではないのだろうが・・・。)
あえてWindowsCE.net4.1を搭載したことは素直に評価したいところだが、やはり現在互換するPDAソフトが専用となってしまうのが、買い替えユーザーには痛いところである。PocketPCのソフトもすべて使えるわけでもなく、10中8、9は使えない、またはインストール時にバイナリ書き換えが必要となるなど、仮に初心者が使う分にはまったくといっていいほどやさしくない。
InterlinkやPersonaといったCE3.0からのユーザーもソフトを入れなおすときには注意したい。
また、USBの変換コネクタを出したにもかかわらず対応した周辺機器がいまだに公式ではリリースされていない。(なお11/10日付けでUSBキーボード・USBストレージドライバがリリースされているが、ノンサポートのベータ版)このため、利用するには多少リスクを負うこと、(ちなみに非公式では、レジストリ書き換えでキーボード・マウス・ストレージすべて使えている。)オフシャルがこれでは本末転倒だろう。せめて公式リリースのマウスなどがあればどんなに楽だろうか。(そんなんだとPDAの意味があんまりない気も)
ちなみにMOやFDDもいけてしまうということは、マウスさえあれば本当にノート並の使い方ができてしまうので、これはこれでちょっと面白いなあと思う。
そして最大の弱点、それはPDAとしては高い5万円前後という実勢価格。@FreeDとの組み合わせでも本体価格が4.5万では、同等でキーボードがない分、最大17時間ものの駆動時間を誇るE-3000とほぼ同額、さらにはHPのiPAQ h2210はBluetooth内臓2スロットでありながら、驚愕の39,800円とずば抜けたコストパフォーマンスを誇る。キーボードこそないが、双方ともPocketPCを使用しているため、文字入力も手書きで行えるし、ソフトの互換性も取れておりこちらはレスポンスも良好だ。十分に考える価値はあるだろうと思う。
結局文字入力が多く液晶の解像度をとるならばSigmarion、文字入力よりバッテリーの持ちと携帯のしやすさをとるならばE-3000やiPAQだろう。こればっかりはユーザーの好みで左右されそうだ。

結論をしてみよう。はっきりいってSigmarionVは買いなのだろうか?
まず用途によって異なること。バリバリ文章を入力するとか、書類を処理するとか、そういった使い方であるならば十分に使える。これはヘビーなビジネスマンや、よほど俺のような物好きでもない限りは購入するメリットはあまり大きくないと思われる。
実際手書きでも認識が十分できるため、誤字となる可能性がそれほど大きくないからである。こうなるとPXA255搭載機ならばアドバンテージはこのキーボードと高解像度の液晶だけになってしまう。
しかしその2つこそが実はSigmarionVの大きな武器であり、これを必要としないのであればE-3000やH2210のほうがPDAらしい用途をすべてまかなえるからだ。それだけに、SigmarionVはこの2つに魅力を感じなければ、まったく選択肢にならない。それだけ対象が違いすぎるということであり、PDAのくくりとしては難しいのだ。
それとは別に、ノートPCとの比較でいえば、これも左右されるようにHDDがないという絶対的な問題がある。大容量データはSigmarionでもやり取りできるとはいえども、はっきりいえば無理に近いといわざるを得ない。また、WinCEとWinXPなど現状のOSの差もある。これも埋めるには結構苦労しそうだ。それでも限りなくWindowOS互換として使い方も同じことから、それほど苦労はしない。
価格の面をいとわないこと、対応ソフトが少ないこと、それと周辺機器の対応がオフシャルで本当に少ないこと。こればっかりに尽きると思うが、これさえ何とかなるなら、間違いなくSigmarionVは携帯PCとして役に立ってくれるはずである。それだけの価値が十分にあると思うのだが・・・。

もうこうなりゃ周辺機器を作るしかない。
というわけで、MiniUSB(TypeBを無理やり変換)で、PC周辺機器はどこまで使えるものなのかを試してみた。

マウス・・・トラックボール系はすべてOK。通常のタイプは認識しないものがある。一般的にMicrosoftやLogitech系は認識率が高く、バルク(メーカー不詳)のものほど、難しい。また、電源が100mAしか取れないため、余裕をもって電源を取るマウスはおおよそ使えない。
USBサウンドデバイス・・・ドライバーがない。無論ソレまでだが、もしかしてUSBHIDドライバーでいけるかな〜と思ってやってみた。無論失敗。
FDD・・・これも電源の問題か?TEAC製USBFDDでは認識せず。
キーボード・・・純正ドライバーでOK、ただし利用する意味あるのかなあ・・・。
USBもっとはいーるKIT(ノバック)・・・massドライバーでいけるかなと思ったが、無理らしい。
ゲームパット・・・一部情報では動くとの話もあったが、まったく駄目。双方共にエレコム製。
SDメモリーカードリーダー・・・認識せず。これもいけるとの話があるが、少なくとも無理らしい。
CFカードリーダー・・・認識せず。電源の問題がある限り、使えるデバイスあるかちょっと不安。

以上のものにおいて確認してみた。実用性の高いものは、やはりマウス、それからストレージ系なのだろうが、果たして何種類認識するか今のところ公式で出ている10種類あまりらしい。

トラックボールと無線LANカードでご家庭でも安心してPCとして使えますの図。www


さて、今回も動画テストを行った。(今回は容量の関係上、動画をそのまま載せることはできませんので)
まずは非常に無謀、ハイスペックPCサイズの640×480、MPEG2の15MbpsをDivXのQBで85%に圧縮した30fps・音声128Kbpsで試した。結果はいわずともわかるとおり、表示すらできない。
前回Museaで行った176×144、DVD→DivX(QB、70%程度)15fps、音声64Kbpsでは余裕。前にためしに作っておいた30fps版も動いている。十分観賞できる範囲で、非常に滑らかである。
最適サイズである320×240、MPEG2(15Mbps)→DivX(QB、70%程度)、音声128Kpbsでもなんと動いてしまう。これならば十分にPCでも共有できるサイズのファイルである。ただし25分(実質の30分アニメ)では60MB程度となり、前回Museaで作った30分アニメのおよそ2倍となってしまう。まああたりまえだだけどね。
これがおそらくは限界のレベルだと思われる。転送速度の問題も絡んでくるので、映像・音声の合計が1Mbpsぐらいが限界ではないかと思われる。あとは時間と容量の戦い。この分ではCF512MBでもなければつらいかも知れない。

<再編集をして>
実際はそのままで再公開に踏み切りました。特に理由は無いのだがそれほど差し替える部分がこのあたりではなかったので、そのままです。
USBデバイスに関していくつか追加しておくので、参考までにw
I/Oデータ、USB-CDMA 認識せず、通信ももちろんできない。
N/B、USB2.0HDDケース USB-HIDDriverで認識、単体では電力不足なので、別途電源を取る必要あり。
ダイソー、携帯USB充電ケーブル 充電可能w意外とできてしまうのが驚きw

あと、サイズに関しても分かる画像を最後に載せておきます。

(これはSolo9300との比較。)