シベェーのドラショー。

 本日は「シベェーのドラショー」について、その詳細を報告します(「シベェーのドラショー」とは、街の洋食屋「シベェー」の定番メニュー「ドライカレーしょうが焼きのせ」のことです)。

 シベェーは西新橋の第3森ビル地下飲食街にあります。この飲食「街」というのが謎で、このビルの地下には、なんとシベェーしかありません。階段を降りたときには、マスターの少し野太い「ぅーい。いらっしゃーぃ」に迎えられ、無条件で店内に着席せざるを得なくなります。

 このマスターは、フジテレビのめざましテレビ等、主として民放の報道番組で御意見番として和装で登場し辛口の政治解説をする森田実さんに極似で、白い帽子に白衣と極めて正しいコックさんのスタイルを頑なに守り、調理専門として君臨されているところからみても、古き良き日本風の職人気質のかなり真面目なかたと見受けられます。

 スタッフは、ご家族でやっている雰囲気があります。もっぱらホール担当でマイペースなお母さん、盛り付け、片付け、配達(お弁当の出前があるのです)とオールマイティーに働くお兄さん、ライス盛りとホールを手伝う少しシャイなお姉さん、忙しいときにいきなり登場して直ちに戦力となるおばさんからなっている模様です。

 店内は、カウンターが4、5席、4人掛テーブルが4つ(このうち1つは店の構造上少し陰になっていて、マスターはスーパーシートと呼んでVIP席扱いしているものの、お母さんが注文をとるのを忘れられがちなので、常連客にはあまり好まれていない)、6人掛が1つ、真ん中の小さなテーブルに2、3人ぐらいで狭いながらも随分たくさんの客が座れます。

 メニューは、前述の「ドライカレーしょうが焼きのせ」を筆頭に文字数の多いものが続くのですが、常連客たちは短めの注文を次々します。ドラショー、ドラバー、ドラギュー、カニコロ、ホンバ、トクセン、エル・・。

 ちなみに、客の半数が注文するドラショーの他は、ドライカレーにジャンボハンバーグのせのドラバー、牛肉辛子炒のせのドラギュー、カニコロッケ、本場カツカレー(少々汁っぽい、美味)、本日の特選(その日の特別限定メニュー、売りきれになりやすい、例えば「メンチ天ぷらとポークしょうが焼」)、Lサービス(通常のメニューの組み合わせでお得、例えば「ドラギュー目玉のせ」、目玉のせは「目玉焼きのせ」、LはランチのLであって特に大盛りというわけではないので、エルエル(大盛りのLサービス)もある)です。

 他には、アジフライ、メンチカツなど多様にあるのですが短縮注文法は不明です。お母さんなどは、しばしば謎な短縮形で注文をいれては、真面目に働いているマスターを悶絶させています。

 多くのメニューには、きれいな温野菜サラダとコンソメスープが添えられています。どのメニューを頼むにせよ、懐かしい雰囲気にひたれ、美味しいものにありつけます。

 お昼時に行くと、多少待たされるのですが、常に炒めもの系の香ばしいかおりが漂ってくるので、一段と空腹感を増大させてしまう程度で、大した問題にはなりません。

 お会計をするときに、マスターが初めて振り向いて、にこやかに、しかしやはり野太く「ぅーい。ぉまたせしましたぁ。ぁーりがとぅございまぁすぅ」といわれて(この間、お母さんが懸命にお釣りの計算をしています)、送り出されます。

 う〜む。シベェー、また行かねば。・・・ちなみに、シベェーとは何語でどう綴り、どんな意味であるかについては、いまだ不明であるところです。

(文責やまと、長文読了感謝感謝)


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