022: 無邪気

ポーン!
ぼくが小枝を投げる。
お前は一生懸命走っていってぼくのところへ持ってくる。
飛べ!
お前は高く飛び跳ねる。
見上げる先にはどこまでも抜けるような青空。
ぼくの褐色の髪は日に透けて輝いている。
お前のひげもきらきら光る。

楽しい、
とっても楽しいよ。
こんな日々は久しぶりだ。
お前がぼくのところへ来てくれてから、
ぼくはこんなに無邪気になれた。

ぼくが悲しいとき、おまえは頬を舐めてくれる。
ぼくがわらうとお前もはしゃぐ。
ぼくはただの少年に戻る。


そして季節は過ぎ行き、お前も一人前になって…

パアン!

ぼくの銃から立ち上る煙

ぼくとお前の無邪気は死んだ。

あんなに青かったあの空から、
真っ白な雪がいつまでもいつまでも
ぼくらの上に降りそそぐ。


                                                      
−原作まぼろしの犬編より− (2004年12月15日)


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