護る者

 

「ねぇイルカ先生。オレの護衛もして下さいよ〜」
 イルカ宅での夕食後、畳でごろごろしていたカカシが唐突ににじり寄ってきた。
「……何バカなこと云ってんですか、アンタは」
 お茶を置きながら座ったイルカの真正面にカカシは陣取る。
「えーなんでですかー。カワイイ女の子じゃないとダメだってんなら、変化しますから〜」
 護衛、護衛〜と騒ぐカカシを、イルカは呆れたように見やる。
「そういう問題じゃないでしょう。だいたいアンタの護衛ができる忍がこの里に何人いるってんですか。それとも新手の嫌がらせですか?」
「違いますよぉ。ナルトにセンセの昔の任務の話を聞いたもんで」
「ああ、なるほど」
「オレだって、チャクラ切れおこしてる時は、そこいらのアカデミー生より使えませんよ。護ってくれたっていいじゃないですか〜」
「そんな機会があったら、そのときには任務として拝命いたしますよ」
「……冷たいなぁ。オレだって、イルカ先生に思いっきりワガママ云ってみたいんですよぉ〜」
「……アナタ、自覚ないんですか?」
「なんのです?」
 きょとん、とした視線を向けられて、イルカはがっくりと項垂れた。
「これ以上ワガママなアナタの面倒なんて見切れませんよ」
「えーそんな、切って捨てるように云わなくたっていいじゃないですか。ぐすん」
「…………」
「でもワガママとか云って、単にアナタが気に入っただけなんでしょ、その子は。アナタ誰にだって優しいひとだからね。過度に気に入られていいようにワガママ云われてたんでしょ」
 カカシがぴしりと決め付けるように指さすと、イルカは小さく苦笑して肯定した。
「……見てきたように云わんで下さい」
「当たってるでしょ?」
「……否定はしません。ただ、オレが一番年も近かったですしね。色々と話しやすかったんだろうとは思います」
「ま、でも『婿に来てくれ!』なんて云われなくてよかったですね」
「げほっ。婿って相手は大商人の娘さんですよ、何を言って」
「いやーわかりませんよ。そしたらオレなんかまったく相手にされないとこでしたよね、そうならなくてよかったよかった」
 イルカ先生真面目だから不倫なんて絶対駄目だろうしなぁ〜と恐ろしく話を飛躍させながらぼやく上忍を、イルカは宇宙人でも見つめるように眺めた。
「なーに云ってんですか、カカシ先生ぐらいですよ、俺なんかをそんなに買ってくれるのは」
「あと火影様もそうでしょ。イルカファンクラブナンバー1と2が上忍と火影様なんだからいいじゃないですか〜」
「ふぁ、ファンクラブって火影様に失礼ですよ」
 焦ったように顔を赤くしたイルカに、カカシは小さく笑った。
「見る目のある人間には、わかるんですよ。その子だって、アナタなら何があっても護ってくれるってわかってたんだと思いますよ」
「……さほど強い敵がいたわけじゃなかったんですよ。だからそんな大げさなことは全然なくて」
「でもきっと、敵がいたなら、それがたとえ見るからに己より強い相手であっても、アナタは全身で護るようにして立ち塞がる。任務の間中、アナタの意識は常に一人を追い続けるんですよ。アナタのその瞳に見つめられ、追われ続け、アナタに常に付き従われるのかと思ったら、どきどきしました。凄く、イイと思いません? ね、オレの護衛してくださいよ」
 黒目を覗き込むように近づきながら、カカシは笑いかけた。
「駕籠の中でアナタとイチャイチャしたら楽しいだろうなぁ〜」
「……護衛にならないじゃないですか、それじゃあ」
「護衛相手といつも一緒にいられたら一番安全でしょ。いーんですよ」
 しらっと云ってのけて、カカシはどさくさに紛れるようにイルカに口づけた。
 イルカは呆れながら開きかけた唇を閉ざした。否、口づけに声を奪われたのだ。


「……任務でなくても見てますよ」

 

            ENDE

 

UPDATE 20020612

 

 

 踊らされてるぜ、アホウ全開! と思いつつも、護衛ネタが一日中私の脳裏を支配してくれました(苦笑)
 で、色々私なりにイルカ先生の任務を作り上げて(笑)、それをもとにカカイルがアホ会話を始めちゃったのでちょっと載せてみました。小説未満の短文なので、10日ほどでおろす予定。
 余談ですが護衛任務は、イルカ17〜18歳ぐらいで、商人の娘14〜15歳って設定のつもり。
 実はエビス先生に愚痴、という点もポイント高くて、これでサスケと一ヶ月特訓の前の夜のネタがそのまま使える〜なんて思ってたんですが。エビス先生とイルカ先生の会話シーンを捏造してたもので(笑)、自然にお話してもOKなんですね、この二人も! と喜んでしまいました。
 でも護衛の話ならナルトにしていても全然不自然じゃないし、波の国へ行く前に護衛の心がけを説いてたりしてくれてもイルカ先生らしくていいなぁ、なんて思ってカカシ先生は、ナルトから話を聞いたってことにしてみました。
 って、そんな説明をここに書いてるあたりが情けない(^^;)
 実は駕籠(かご)の中でのイチャパラネタばかり妄想していたとは云うまい(笑) 

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