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天羽 アナタに掴まれた、手首が痛い。 指の痕もないのに。骨の芯が疼くように痛む。 あまやかな、その痛みが。 オレを、静かに微笑ませる。
しばらく、右手首を見つめてしまっていた。 外から見ても何も変わらない手首の持つ疼きに、どうしようもなく胸が騒ぐ。 どれだけオレが手首を見つめていても、誰にも何もわからない。 アナタ以外には。
アナタだけが、識ってる。 僅かに痛みだけ、残すように。 アナタの存在を、刻み付けるように。 そうしてつけた、見えない傷痕。
こんなにも簡単に、自分は踊らされている。 アナタのねらい通りですよ、カカシ先生。 たったこれだけで、胸がざわめいて止まらない。 身体の奥から、ねつが、呼び覚まされるようでたまらない。
いまは少しだけ忘れさせてくださいよ。 仕事にならないじゃないですか。 小さく苦笑して、想いを振り切るように微かに首を振った。
左手にペンを持ち替えて、書きかけの書類を完成させていく。 右手首に残る炎を、極力刺激しないようにしなくては。 こんなにも簡単に甦る熾火は、危険すぎるから……
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