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ゲーム:ドキドキサバイバルのネタバレをしています。
『サバイバル・2』
「来たか」
コテージに入ると、海側のリーダーを自任する跡部が短く告げる。
暗に「遅い」と言いたいらしい。
木手は部屋にいる面々を見渡した。海側の集団だけでなく、山側に居を構えた連中も混ざっている。
手塚、跡部、橘、南、佐伯、観月、そして立海の幸村。
だが、いまいち何のための集まりかは、関東勢になじみの薄い木手には判別しがたかった。
無意識に、背後の危険がない部屋の隅に自分の場所を取る。
部屋にいる全員が、思い思いの場所に立っていたり座っていたり。全体的に空気は尖っている。
遭難中、という現状を考えればそれは当然なのだが、どうもそれとは違う雰囲気の、妙な居心地の悪さがあった。
「どーゆう人選ですかね? これは」
「基本的には部長だ」
跡部は端的に告げる。
「オレ、部長じゃないけど?」
六角の佐伯と、それからルドルフの観月が目配せして説明を促した。
跡部が深く溜息をつく。
「――――俺はこーゆーことはしたくなかったんだがな。手塚がどうしてもっつーんで」
「人のせいにするな」
「ならお前が言え」
「…俺よりお前の方が弁が立つ」
「ったく、仕方がねえな」
「つまりだ、諸君」
(諸君…?)
「別に疑っているわけじゃないんだが………と、このフレーズだけで、ここにいるメンバーには伝わると思うが」
「ああ、そういうことね」
「はいはい。面倒見ますよ」
「幸村。観月。一応最後まで言わせろよ。
………で、つまるところ。現状の男女構成比を考えると、いわゆる「事故」が起こらないとは言い切れないので、各自自分とこの部員に釘を刺しといてくれ。以上」
つまり、このメンバーを集めたのは、「事故」防止のためで、全員の前で宣言するには確かに波風が立つ内容だった。
各校の自治に任せるのは、間違いではない。
興味深いのは部長が外されたルドルフと六角だが、腹芸が出来ないという点で、トップでなく参謀が呼ばれたことは十分に納得できる。
「俺、大丈夫かなあ」
そう呟いたのは、山吹の南だ。
「あー山吹な。千石と亜久津か…。幸村、お前、海側の担当人数少ないから南のフォロー頼む。山側は柳に全権委任すれば問題ないだろ?」 ※1
「勿論いいけど…。でもさ、はっきりいって効率悪いよね」
「どういう事だ?」
尋ねたのは不動峰の橘。幸村は、思案顔を戸口の前に立つ橘に向けた。
「部員に言い含めて、かつ始終、部長クラスが彼女たちに気配りするのは、ロスが大きいよ。俺にはもっといいアイデアがあるけどな」
「へぇ。…どんな?」
周囲の視線が興味深げに幸村に集まる。
幸村は、にこにこと笑うことで、微塵も悪気はないよ、と主張してから持論を展開してみせた。
「要するに、不特定多数と接触があるから不安が残るわけで。ここは特定のメンバーにお任せしてしまうのはどうかな」
「………それはこっちからモーションかけに行くって意味か」
「むごい…」という声と、「いやーありなんじゃない?」という声が混じる。
「いい考えかもしれないな」
そう呟いたのは手塚で、
「いや、俺は非道な考えだと思うが…」
そうコメントしたのは跡部だ。
結局、「俺はそういうのはちょっと」と「そんなに暇ではありません」、と遠慮したのは橘と木手。
残りは全員、どちらかと言えば手塚派だった。
顔に「折角なら女の子と過ごしたいよなー夏なんだし」と書いてある奴もいるし、手塚は「うちの8人全員に気を配るよりも、一人を見ていた方が手間が掛からない」と計算を巡らせた顔付きだった。
「えー…? 収拾つかなくなったらどうする気だよお前ら」
「そこらへんはケジメが付けられるメンバーだと思うよ、ここにいるのは」
「まぁ、幸村の言うとおりではあるんだが、彼女らに悪いだろ」
「悪いと言えるほど深入りする気は、’今のところ’ない」
「’今のところ’ってわざわざ付けるのがお前らしいよ、ったく(気が向いたら本気って事だろ、質悪ぃ)」
跡部は、彼にしては珍しく眉間に深くを刻んで悩んでいたが、最終的にはこざっぱりした表情で告げる。
「まぁいいか、事故じゃない方の「何か」があったら各自で責任取れよ。大会前だけど」
もちろん、と頷いた面々に、まとめの言葉。
「じゃあ、ここにいるメンバー…海側は幸村と南と佐伯と観月が引っかけに行けよ。山側は手塚。皆せいぜい頑張れ」
「―――――――――――!?」
はたと気付いた顔で、手塚が硬直する。
「ちょ…ちょっと待て跡部」
「なんだよ、お前がいいっつったんだぞ」
「待て。それはよくないだろう」
「決まったことを今更蒸し返すなよ。らしくねえ」
うざい、と手塚をあしらう跡部に対し、幸村が呼びかける。
「跡部、通訳してあげようかー?」
「何だよ、通訳って」
「…手塚はさ、「気付かなかったのは悪かったが、そういうときは恋人のお前はもうちょっと気を回してくれてもいいんじゃないか?」って言いたいわけ」
「加えて言えば、「ちょっとくらい嫉妬してくれてもいいんじゃないか」という意味も含まれてますねぇ」
観月が意地が悪く笑いながらコメントする。
「はぁ?」
「はぁ? じゃないだろう跡部…。お前は本当に鈍感だな」
「テメエに「鈍い」言われるほど落ちぶれちゃいねえよ!!」
跡部の鉄拳が手塚のみぞおちにきっちりと入った。
「むごい…」
「どっちもどっちだなー」
初めて見る寸劇にうっかり時間を止めてしまった木手の肩を、山吹の南が叩いて励ます。
「…あまり気にしない方がいいぞ。始終の話だから」
「面白いもの見れてよかったね。あ、眼鏡ズレてるよ」
佐伯のさばけた一言で、その場は終わった。
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余談
24時間監視されていたという王子様方の名誉を守るためにこういう設定を入れてみました。
ちょっとわかりにくかったんですが、要するに、「誰かがちょっかい出すのが危険だというならこっちから落としに行けばいいんじゃない?(勿論、本気じゃないけど、本気になったらそれはそれ)」
…うん。むごい設定だと思う。
他にも女性陣には発信器を付けるとか色々考えたのですが、この設定が一番彼女らの身が安全だと判断しましたのでこれです。
(Q.そんなにも皆を信用していないのか)
(A.信用するとかしないとかそういう問題じゃないよこれは。…でも手塚はわりと本気で自チームを信じ切れていない(苦笑)。自分の手綱で押さえきれる連中じゃない、と思っているので)
書いているうちに塚跡になったのは仕様です。
ちなみに、ここでの設定は赤観(クローズ)、真幸(オープン)、塚跡(オープン)、千南(未成立)、不二乾(未成立)。
…最後の一個は要らないな。(でも書きたかった)
※注釈1 ここで、山側の責任者が真田ではないところがポイント
タカムラ氏による出題解答
『ここで跡部が山側の秩序維持者(色んな意味で女の子を守護するメンバー)に真田を指名しない理由を30文字以内で答えよ』
>模範解答 「立海の山側全権委任を真田にしたら、跡部は幸村に殺されるため」
>許容解 「真田が本気になった場合の惨状が想像でき、それは避けたいため」
個人的には、海側の主人公は木手さんとラブラブしてればいいと思います。
(でも、それってモーション掛けにいった海側の部長連中、全滅したってことですね…)
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