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□ ._._._.NO.66 ._._._._.武術・イチロー._._._.2001 7 30_._._□



□前回の題名は間違いでした 「美醜と強度」が正しいものです
□イチロー選手がタイトルとワールド・シリーズ・チャンピョンを取
れば(その可能性は大きい) セリエA優勝の中田英寿以上の快挙と言え
るでしょう <差異哲学>とスポーツの親和性は以前からたびたび引用
したり 取り上げてきましたので今更説明も要らないでしょうが イ
チローの活躍は現代哲学の概念にまで踏み込んだ事例を示しています
アメリカでのイチロー選手のニックネームは wizard ――魔法使い
天才 熟練者―― といった意味です
今回は日本的 東洋的な述語である <武術> から その活躍を見てみま
しょう

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□次のように書かれています

 アレンジメントは情念的であり、欲望の編成である。
 ……
 情念とは欲望の現実化したものであるが、それはアレンジメントに
 よって異なる仕方で現実化される――アレンジメントによって、正
 義も残酷も憐憫等々も異なるのである。<p455『千のプラトー』>

 戦争機械の体制は、むしろ情動の体制であり、情動は、動体そのも
 のに、つまりさまざまな速度と、諸要素間の速度の合成にのみかか
 わる。情動は感動の素早い放出であり、反撃であるのに対し、感情
 はつねに移動し、遅延し、抵抗する感動である。情動は武器と同様
 に投射されるものであるのに対し、感情は道具のように内向的なも
 のである。武器との情動的な関係というものが存在することを、さ
 まざまな神話だけでなく、武勲詩や騎士道物語や宮廷風恋愛物語が
 証言している。武器は情動であり、情動は武器である。この観点か
 ら見ると、絶対に動かないことや純粋状態のカタトニーも、速度ベ
 クトルの一部分であり、動作の化石化と迅速な運動を統一するこの
 ベクトルの上に乗っているのだ。騎士は馬の上で眠っている、そし
 て突然矢のように出発する。こうした突然のカタトニー、失神、宙
 吊り状態と戦争機械の最高速度を最も見事に組み合わせたのはクラ
 イストであった。そして彼はわれわれを、技術的要素の武器への生
 成変化と同時に、情念的要素の情動への生成変化に(ペンテジレアの
 等式に)立ち会わせるのである。武術はつねに武器を速度に、しかも
 まず精神の速度(絶対速度)に従属させてきた。そのためそれはまた
 宙吊り状態と不動状態の技術でもある。情動はこれらの両極端のあ
 いだを動き回るのである。それゆえ武術は、国家に関する事柄のよ
 うにコード(法規)を援用したりはしないで、情動の通路である道に
 ついて語るのである。こうした道において、人は武器の使い方を学
 ぶとともに、武器を「使わない」ことを学ぶのである。あたかも、
 武器は一時的な手段にすぎず、このアレンジメントの真の目的は情
 動の力の育成であるかのように。脱却すること、自己を解体するこ
 とを学ぶことは、戦争機械に属する事柄である。それは戦士が「行
 為しないこと」であり、主体を解体することである。脱コード化の
 運動が戦争機械を貫いているのに対し、超コード化は道具を労働と
 国家の組織に癒着させている(人は道具を使うことを忘れてしまうこ
 とはできない、ただ道具が不在の場合に他の何かで代わりをさせる
 ことができるだけだ)。武術がたえず重心とその移動の規則をやかま
 しく言うことは確かである。しかしそれは道というものがまだ究極
 のものではないからだ。道がどんなに遠くまで達していようと、道
 はまだ<存在>の領域に属していて、別な性質をもった絶対的運動を
 通常の空間に翻訳しているにすぎない――つまりそれは、虚無にお
 いてではなく<空>において、もはや目的などはなく、攻撃と反撃と
 「捨て身の」降下があるだけの<空>の平滑性において現実化される
 絶対的運動なのだ。<p455‐p456>

**クライスト KLEIST, Heinrich von (1777-1811) ドイツの作家,劇
作家.


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□イチロー選手は相手投手の投球に合わせてヒットを打っている 自
在なバッティングと言われたり書かれたりしています 自己解体とは
それを指しているでしょう 「行為しないこと」 打たないこと つ
まり相手に合わせられること パワー・ヒッター 例えばマグワイアー
(怪力のホームラン・バッター 年間70本の記録保持者)は自己解体せ
ず 自分のバッティングを貫きます 強引にボールを叩いています
□「武器」としてのバット その速度 バッターボックスでの静止状
態 打つこと 走ること 投げること 守備……走攻守・投での一流
選手 ここで重要なのは <空>の平滑性 でしょう ボールとバットが
当たるピン・ポイント 速度を持ったボールに対して <空>の空間 つ
まり<どこでもない場所> からバットが出てくるように当てること
(現ダイエーの王監督に比べてバットの出るスピードが2倍 イチロー
は バットを動かしはじめる時間を遅らせることが可能で ボールを
引きつけて打っているというデータを見たことがあります 球筋を正
確に捉えてから打てるということです 小学生イチローが時速110キロ
のボールを打つことが出来たというエピソードも伝えられています)
(サッカーでのボールの静止 動作の化石化は オランダに移籍した小
野伸二が抜群に上手かったのですが……これから何処に蹴られるのか
宙吊りの状態 真下に止まったボールの蹴られる方角のもっとも広
かった選手はジーコだったかもしれません 蹴る足は 360度の方向に
動くように見えましたから……)
□特異点から始まったとされるビッグ・バン 特別の点(ピン・ポイン
ト)は <空>の平滑性 から始まったと言えます プラトー 通常の平滑
空間とは海や氷原や草原などの フラットな平面が想い浮かべられる
でしょうが <空>の平滑性 は宇宙がかけらも無かった 空間すらない
状態 <どこでもない場所> を指しています 投手の投球に合わせる 合
わせられる とは投げたボール に対する特異点 ピン・ポイントに
バットを当てられることです ボールの中心とバットの重心が一点で
重ねられること 投げたボールに振ったバットが当たるのではなく
ボールの中心にバットが突然出現すること バットは別の空間を通っ
て唐突にボールを捉えたように見える……<絶対的運動>と呼ばれてい
るものはそういうことでしょう 絶対的運動 <空>の平滑性 はバット
(武器)の動き以上に <知覚しえぬもの> です <空>に身を置くこと
□魔法使い は走塁も韋駄天のようでなくてはなりません ファイン・
プレーもごく自然に レーザー・ビームのような返球もまた……内野
安打は見ていてあまり面白いものではありませんが イチロー選手の
内野安打は スタートを切りながら(バットを投げつつ 重心を移動さ
せつつ)球を捉えています 忍者のように見えるかもしれません 「武
器を使わない」 バットはボールを打つのではなく ボールの速度を
殺すために使う -->「捨て身の」降下
ボールの速度を (打球にではなく) 走る速度に転化させてゆく……
--> <速度>への別の生成変化
□戦争機械として様々な戦術を内包していること 例えば内野安打は
走力 身体を速度の武器に変化させています 犠牲フライで3塁走者を
確実に加点させる為に 一塁走者のイチローが自ら塁を飛び出して
相手を惑わせたこと……自己犠牲の地味なチーム・プレーだったかも
しれませんが 監督はプロとして高い評価を与えていました 生成変
化=変化(へんげ)とは 打つ自在性から 戦術の自在性へと続いてゆ
く道でしょう wizard-Ichiro

□オールスター ファン投票第一位選出 日本に居る私たちでも予想
出来なかったことです その後の彼のスランプは人気や注目によるプ
レッシャーから来た 自己解体の不全 精神的なものだったでしょう
武術家の <空>の心境から (情動ですらない) 期待に応えたいという
欲望の<情念>に支配されてしまった……

□イチロー選手は日本野球でも体は小さい方でした メジャーでは子
供のように見えても不思議ではありません 柔よく剛を征す……子供
たちの人気は小さな体でも工夫次第ではスーパー・スターになれると
いうアメリカン・ドリームの体現にあるのかもしれません
顔付きも他の選手のイカツさにくらべて 少年のように見えます 監
督はブラット・ピットと言っていましたが 髭を剃ると ジュリア・
ロバーツ ? にも似ているようです

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□リチャード・ギア ? の小泉……
参議院選挙の低い投票率 これほどシラけた選挙は無かった……とい
うのが実感でしょう 争点もヒドイものでした 国際政治学者以外の
タレント候補がいまだに当選するという不思議な国です その政治学
者も選挙後は首相に相手にされない?……といった懸念もあります
外交の要職に付ければシンクタンクの力を発揮するでしょう……
首相ともどもイチローくらいの戦術を実行して欲しいものです


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 次回は未定です



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□ ._._._.NO.67 ._._._._. Plateaux ._._._._._.2001 10 5_._._□



□ソフトを開発していて遅くなりました 本来の内容は次回からとし
て色々な事件が起き 起りつつあるこの数ヶ月です スポーツでは良
いニュースもありましたが テロ撲滅への戦争が始められつつあるよ
うです 対岸の出来事としか受け取れないという感覚は不謹慎でもあ
りますが 国会などで堂々と不戦を主張している議員やコメンテーター
の平和ボケぶりにも憤りを感じたりします どちらにしろ先行きが見
えなく 不安定な 落ち着かない日々を何年か 強いられそうです


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□10/3 に Plateaux というソフトを公開しました 初め哲学ソフト
(差異哲学の視覚化)を目指していたのですが 途中からテキスト・
ビューワに変身し 哲学の部分は付属のようになってしまいましたが
自分ではビューワも差異哲学に基づいて作っていましたので すべて
が哲学ソフトだと思っています 試用期間3ヶ月付けてありますので興
味ある方は試してみてください 3ヶ月後 ご要望が多数ありましたら
哲学の部分だけ切り出して 別ソフトとして FREE で公開します
メールマガジンの読者には 動く画像の意味がよく理解できることと
思います
http://hp.vector.co.jp/authors/VA020725/download.htm
Plateaux はまだテスト段階を出ていないのかもしれません 不具合
や操作性 感想などご報告していただけると 完成に向け 助かりま
す お世辞でなく本音でよろしくお願い申し上げます
sigeyosim@geocities.co.jp へ CPUクロック数(550MHZなど)も明記
してもらえると有難いです


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□東京や都会人だけの感覚かもしれませんが 今回のアメリカに対す
る宗教的テロより 石原慎太郎の言うように日常の不法外国人の日本
人市民への信じられないような残酷な犯罪の方がテロとして身近に感
じられます 目的が政治や信条だとテロになり お金目当てだと単な
る犯罪というのでは済まされないでしょう 発生件数は急激に増加し
ています
□ <戦争機械>については前回もイチローを例に考えました 実際に武
器その他で戦場になることは <戦闘機械> としてドゥルーズは分けて
います(戦争機械は肯定) 世界規模の経済戦争と呼ばれているものや
冷戦は <戦争機械> そのものです そればかりでなく 個人の人間関
係 例えば <恋愛-戦争機械> チャンネル権争奪-戦争機械 受験-戦
争機械 議論-戦争機械 視聴率-戦争機械……どんな国の何時いかな
る時も <戦争機械> は常に作動しています そのような自覚の欠如が
平和ボケの正体でしょう
社民党の「総理、総理……」と連呼した非武装中立(他国が攻めて来た
ら抵抗せず すぐに降伏するという)を信条としている女性議員 ある
エリアでのみ通用する <議論-戦争機械> としては立派なものでしょう
外交にかんしては <降伏-機械> = <戦争-放棄-機械> でしかなく
武力を (<戦闘機械> ではなく) <戦争機械> の一部の要素として使う
という発想がないのは残念です……

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□今回は短い内容でした
アフガニスタンの山岳地帯は 敵を補足しにくいと言われています し
かし 追い込めることは 一般人に対する影響が少なく 時間はかかり
ますが 有利な気もします そんなことを次回に


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□ ._._._.NO.68 ._._._._.歴史を生きる._._._._.2001 12 18._._□



□21世紀の始まりの年だった分けですが 同時多発テロ アフガン 
外務省 狂牛病や抵抗勢力 失業率増加 不景気や倒産のニュースで
困惑している年末の世相と云えるかもしれません 今回は歴史からそ
のような様相を眺めてみたいと思います すべての学問は哲学と歴史
に収束されるという言い方は間違っていません 哲学(認識論)や歴史
観を持たない知識人?(コメンテーター)には気をつけるべきです
前半は穴居民について 後半は歴史について考えてみます

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□インドの鍛冶師について書かれています アフガンのテロ組織に置
き換えて読んで下さい 鍛冶師は武器を制作しますが 彼らは武器を
独占し使用する者たちです

 鍛冶師たちは生まれつきではなく、必要と技術に迫られて穴居生活
 をしている者である。
 ……
 冶金術的インド。山によじ登るのではなく山に穴を穿ち、大地を条
 里化するのではなく大地を掘抜き、空間を平滑として保持するので
 はなく空間に穴を開け、大地をグリュイエルチーズのように穴だら
 けにすること。
 ……
 身体的かつ情動的な地下の徴であり、定住民的空間の条里化された
 大地も平滑空間の遊牧的土地も横断し、どちらにも停止することが
 ない。それは移動に属する放浪の徴であって、農業と牧畜から顔を
 そむけるという意味で、二重の窃盗あるいは二重の裏切りを示す。
  <p469‐470 『千のプラトー』>

 定住民と遊牧民のどちらとも交渉するのは、このような雑種的な冶
 金術師、武器と道具の製造者でもある冶金術師なのである。多孔空
 間はそれ自身、平滑空間と条里空間に通じるのである。
  <p470‐471>

 遊牧的アレンジメントと戦争機械の側では、それは一種のリゾーム
 となって、飛躍し、迂回し、地下を通過し、また空中に茎を伸ばし、
 さまざまな出口、軌跡、穴をもつ。しかしもう一方の側では定住的
 アレンジメントと国家装置が系統流を捕獲して、表現の緒特徴を形
 相あるいはコードのなかに取り込み、穴の全体を一緒に共鳴させる
 ことによって、逃走線を塞いでしまい、技術的操作を労働モデルに
 従属させて、さまざまな連結に樹木状結合の体制を押しつけてしま
 うのである。<p471>

用語の補足としては リゾームは「根茎」 系統流は「物質‐流れ」

イスラム原理主義が樹木状の規律・体制を国民に厳格に押しつけてい
たことは報道でも流れていました 中世ヨーロッパの条里化された都
市ではなく近代の雑多な大都会もリゾーム状で 穴居民(テロリスト)
たちにとっても住み易かった筈です アフガン空爆から2ヶ月以上が経
ち 穴居民が敗走しだした背景には 世界で最も都市化された国家
つまり山岳地帯以上にリゾーム化された大都市をいくつも持っている
国を相手にしている という認識が欠けていたのではないかと思われ
ます 大都市のネットワークの重層的複雑さに比べればアフガンの山
岳地帯は単純すぎた……

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□『千のプラトー』がマス・メディアに取り上げられていたので引用
します

2001/11/26 産経新聞 「遮断機」
  戦争「肯定」の試行実験

  こんな時代だからか、戦争とは何かという議論が盛んである。ク
 ラウゼヴィッツやカール・シュミットが援用され、林房雄の『大東
 亜戦争肯定論』(夏目書房)が久方ぶりに復刊された。最終戦争論
 で知られる石原莞爾論を論じた福田和也の大冊『地ひらく』(文芸
 春秋)も出た。フランシス・フクヤマをはじめ内外の論考を集めた
 「これは戦争か」(「現代思想」十月臨時増刊)もある。
  しかし、これら左右の論客のものを通読するに、何だかんだいっ
 ても。結局、戦争は悪であるという思考がベースにあるのではない
 かと疑われる。戦争を肯定するにしても、悪としての戦争を撲滅す
 るための、必要悪としての戦争のみが許されるばかりなのだ。戦争
 は、そんなに忌むべきものなのか。思考実験としてで良い、戦争を
 肯定する思想はないものなのだろうか。
  ここで思いだされるのが、八〇年代ポストモダニズムをリードし
 た、ドゥルーズとガタリの、『千のプラトー』における「戦争機械」
 概念である。そこにおいて彼らは、国家装置に対抗するものとして、
 戦争機械を積極的に肯定してみせた。戦争機械は「全体主義的」な
 国家装置の「外部」にあって不断にそれに対抗する「遊牧的」なも
 のだというのだ。戦争機械のモデルとされるのは、チンギス・ハー
 ンであった。
  このような思考は、今やポストモダニズムの迷妄としてかえりみ
 られること少ない。先述「現代思想」臨増では、スロベニアの哲学
 者・ジジェックのみがそう言っている様子だが、かつてドゥルーズ/
 ガタリをもてはやした人たちには戦争機械について何の言及もない。
  時あたかも、チンギス・ハーンこそ「世界氏の舞台を準備した」
 とする、碩学の歴史家・岡田英弘の『モンゴル帝国の興亡』(ちく
 ま新書)が出た。これを読むと、岡田が言うように、今日の世界は、
 いまだ「偉大な」チンギス・ハーンによって引かれた版図のなかに
 あると思えてくる。
文芸評論家 糸圭 秀美
         (スガ ヒデミ)
注:スガという漢字がありません 「糸」偏に「圭」で一文字です

□『千のプラトー』が未翻訳なまま80年代のポストモダニズムをリー
ドしていたということ自体が不可思議だった分けですが 私は <戦争
機械> をもっと身近な射程で考えるべきだと思っています 一対一の
関係にまで因数分解可能だからです
穴居民との文章で言えば遊牧的な <戦争機械> が <戦闘機械> (実際の
戦争)へと展開して行くのではなく 定住民と遊牧民の間に居る テロ
リスト<穴居民> が <戦闘機械> を担っているという構図が見て取れる
でしょう 初めから遊牧民を裏切っていた者たちが国家を支配し 多
くの遊牧民 <戦争機械> は戦闘の合間を右往左往する難民の象徴と化
しています 遊牧民たちの争いに見えるアフガン内乱は <穴居民>どう
しの闘いでしかなかったのでしょう
□イスラム圏は今回の同時テロで更にG8の介入を受け容れざるを得な
い状況に追い込まれたと云えます イスラム圏の内部で過激テロリス
トを追放できないというところに すでに世界から取り残された地域
の特徴が見て取れます(サリン事件での日本のオウムへの対応もお粗末
なものでしたが……) アフガンはアルカイーダなどの外人部隊の所業
によって結果的には崩壊し また富裕なテロリスト指導者のバックに
はサウジアラビアの資金が 原油で潤うサウジにはG8や先進国?と呼
ばれる国々からのマネーが……アルカイーダの金脈もめぐりめぐって
日本からも流れていたでしょう
新しいエネルギー源が発見・開発され(その時点でも大量のオイルマ
ネーは残るでしょうが) イスラム圏は世界経済からも忘れ去られて
行く運命にあるのかもしれません その <暗き先触れ> が心理的に原
理主義テロリストに加担することを強いたのかもしれません オイル
マネー消尽後 拠り所としての宗教的な色彩がさらに濃くなって行く
可能性もあります 唯一の強固なアイデンティティとして
□イスラムのような固有な文化の 強固な固持とは西洋近代化を拒否
し不幸にもそういう過激派テロリズムという結果を引き起こしました
日本は宗教的にはお盆もクリスマスも取り入れてしまう無節操な国で
す 和洋折衷にさして矛盾を感じない文化意識が 近代化をた易く推
し進め 経済大国へと上手く機能してきました テロや戦争という捨
て身の方法ではなく 経済力によって一時期 アメリカに対抗しうる
までになりました 歴史の教訓として <経済戦争機械> の有効性も
テロリズムとの対比で記憶されてゆくでしょう
□国家の近代化と固有文化のアイデンティティとの両立しにくい平衡
は依然として21世紀も世界的な課題として継承されてゆくことでしょ
う 

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□日本の戦国時代を武将たちの犯罪行為と裁く人はほとんどいません
戦争を歴史として評価しているからです 現代史 今 目の前で起り
つつある出来事を 政治がらみではなく 歴史として評価しうること
は至難の技です 概略だけでも知っておくことはプラスになるでしょ

□構造改革に始まる 日本で現在表面化している変化の兆しが意味す
るものは 平成維新(明治維新に匹敵すること)以上だろうと思います
日本の官僚制度は 江戸時代から断絶したものではなく 幕藩体制の
名残であり 明治以後 氏族復活の意味あいが色濃く残っていました
(敗者復活制度) 外務省などの行政改革はその幕藩体制(家来?制度)
の崩壊をも意味している筈ですし そこまでゆかなければ表層だけの
改革に終わってしまうでしょう 西洋の近代科学 プラス 幕藩体制的
官僚制度 そして古来からの物作りの巧みな技術が 日本固有のロー
カルな近代化路線を形作りました ごく最近まで世界のトップクラス
として君臨していたし よく機能していました 伝統をことごとく破
壊することなしにある程度残したまま比較的スムースに近代工業化し
ました 第三世界から注目された所以もそこにあります トヨタ城下
町と云われるような終身雇用や家父長的な社員制度は会社員というよ
り 全人格を帰属させる家来のようなものだったでしょう 外務官僚
や外務大臣の錯誤的な時代感覚は江戸時代の人間関係から類推すると
よく理解出来ます
「三方一両損」というような譬えを持ち出して誤魔化すことが出来る
小泉総理の(構造改革の)感性は 政治家的であるし (今や夢物語の
強い自民党に固執する)明治維新のような日本の復活を望んでいるだけ
なのかもしれません 未だに未知数なところに人気の秘密があるので
しょう
□イスラム圏を見ても分かることですが 固有な伝統文化を固持する
地域ほど近代化と反比例します 概観すれば ヨーロッパよりも移民
国アメリカは伝統が初めから欠落していました(星条旗という合衆国の
象徴に対する忠誠心は伝統の穴埋めの役割もあっただろうし 軍事・
産業・金融など国家戦略的な政策や行動が取りやすい利点も) 常に
新しい国 高度な資本主義の時代にはアメリカのような 移民の国が
活きやすいという懸念がグローバル・スタンダードの受け容れという
踏絵になって世界各地に迫っているのでしょう
江戸時代や社会主義を思わせる官僚国家ではとても21世紀の世界では
通用しないだろうし 実際そうなっている状況です

□田中直毅は書いています
 2001/11/16 キッシンジャーとの会話
 ……
  つい最近、ヘンリー・キッシンジャーと会いました。彼は日本で
 いろいろな人と議論しています。日本を訪問するということで、ア
 メリカのエコノミスト経済学者にも随分会ってきたようです。日本
 経済についていろいろな意見を彼は聞いてきたわけです。その彼が
 言うには、この2、3年のアメリカにおける最大の特徴は、日本の
 ことを議論しなくなっているそうです。dismissal という言葉を使っ
 ていましたけれども、視野から抜け出るという感じ、あるいはもう
 棄却してしまうという感じです。要するに日本でなにが起きていて
 ももう驚かないし、議論の対象ともしない、という態度が極めて強
 くなっているのが現状だというわけです。
 ……
  
http://www.e-demo.org/hitokoto/tanaka41.html

世界レベルから見た日本の今の実力とはそんなものでしょう
グローバル・スタンダードを日本は日本再生の条件としてかなりの部
分受け容れざるを得ないでしょう 日本的なものが政治体制からは退
場し そうなった時に日本人のアイデンティティは経済大国意識から
個人レベルでの固有の文化に求められて行く筈です

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□個人レベルで対応するしかない日本人の未来の状況 未対応の軟弱
な日本人の排出は(憶測の閾を出ませんが) 戦後アメリカの日本政策
の仕上げだろうと思われます 以前はアメリカ文化の広告塔と思われ
ていた大橋巨泉などの軽い進歩派?も 日の丸 君が代を目の敵にす
る市民派?も アメリカに無意識に協力している自覚がありません
方向性 歴史認識が歪んでいるか 歴史観が無いことから来ているの
でしょう 自衛隊派遣は どちらに転んでもアメリカにとっては良
かったのだと思います
□ <差異哲学> は共通性や同一性が喪失した社会でこそ威力を発揮す
るものです 他人と違うところから始めること 不安や動揺を伴うで
しょうが 他に依存することなく快適に過ごすために <差異> の原理
を知っていることは多少のアドバンテージになると思います
□スポーツの多くは野外で行なわれるため スポーツマンは外交的と
思われがちです しかし練習は山に篭もったり 篭もれる能力がない
とモノにはなりません 車での移動もウォークマンも 外で化粧する
女性たちも外部と自己を遮断していることになりますから 篭もって
いると云えます
□日本で進行しつつある個人主義は <自己に篭もること> <篭もれる
こと> を意味しています 欧米人の姿形 独りで居る時の険しい厳し
い表情や顔つき 頻繁にパーティーを開く一見社交的な慣習はその反
動でしょう 一人からの強制解放と そうしなければ生きられないこ
とを教えるという意味があっただろうと思われます
□本来プライベート(個人的)な生活は 歴史から漏れる出来事です
しかし歴史を動かす単位として近代化の鍵になっているという捻れ現
象があります 個人の幸福追求が社会の向上・発展のパトス(原動力)
になっていることは 教義を第一にするイスラム圏と比べてみれば良
く理解できることです 個人を活かすことが歴史的な行為となり 個
人の完成が歴史を生きることに繋がる この循環が近代=合理(理性)
主義の時代といわれる所以です

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□スポーツという限定性はあるものの 高橋尚子とイチロー(国民栄誉
賞とその辞退者)は歴史の分岐点を示しています 日本文化継承の伝
統的人間関係=家元制度(武家や職人や商家 名主‐小作制度でも同
じ仕組み)=監督 親方日の丸的な庇護の元で頭角を現したQちゃんが
最後の日本的成功者(このタイプは今後ももちろん引き続いて現われて
くるでしょう) ジャパン・アズ・ナンバー・ワンの輝きであるならば
イチローはこれからの日本人を象徴しています 我々の目からは日本
人離れして見えるイチローも アメリカ人からは異質な <禅> や <武
術>の流れを持つ 日本人メジャー・リーガーとして認められました
イチローはメジャーに学びに行ったというより すでに完成し自立し
た選手として乗り込んで行きました 彼にコーチは不要です 自分で
工夫し 自分で考えてプレーします(日本人特有のパワー不足も 内野
安打のスリルとスピードで総合的にカバーしています) 彼の個性的な
仕草は紛れもなく日本人特有のそれを含んでいるでしょう 碁や盆栽
が趣味というところにも個人レベルでの固有文化 日本人のアイデン
ティティ(差異)をクールに保持しています 保持しつつグローバル・
スタンダードとして通用する……新しい(タイプの)日本人
□個人の幸福(欲望)の追求が個人消費へ繋がり 生産力を高め 経済
成長に寄与していたことは 例えばクリスマスやバレンタイン商戦の
ようなマス・メディアからの号令が 家元の指図と同じような働きを
していた分けですが 不況・デフレ時代になってそれらが崩れてきた
ことは個人にとって良い兆しに思えます ありきたりな消費以外の充
実を考えるきっかけにもなるだろうし 自己と対話しての購買は今ま
での日本総中流意識からは外れるだろうけれど(売り手にとっては予測
しにくい状況だろうけれど) 新しく歴史を生きることに繋がってゆく
はずです 歴史の末端であり・中心でもある <個人の構造改革> とは
そういうことです
□ここでは <差異哲学> をテーマにしていますから当然イチローに比
重がかかってきます 実際には高橋尚子タイプも増えてゆくのではな
いかと思われます 二極化し 中間が減ってゆく……個人の資質にも
よるので無理をしてイチローを指向する必要はありません ケイス・
バイ・ケース 見極めが大事でしょう
□マイナー(差異 他との違い)から始めること マイナー(固有なもの)
になること マイナー(分子としての存在)を恐れないこと そして差
異としてのアイデンティティを持つこと 脱-家元制度の文化を作り出
してゆくこと

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は未定です

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□ ._._._.NO.69 ._._._._.限界の記号._._._._._2002 03 09_._._□



□NO.64 でも取り上げた「限界」 実質的に日本は既に超えてしまっ
ているのでしょう ダイエー救済 実はメガ・バンクの支援 のよう
に 政府の介入によってようやく破綻せずに成り立っている奇妙なゾ
ンビのような金融システムが 作動したまま いつ果てるともなく横
たわっています 実際破綻したらどうなるのか については誰も詳細
に語ろうとしません 非常に重苦しい春を日本は迎えようとしていま
す アメリカの景気上昇とともに日本もつられて上向くという楽観論
もあるようですが……
それらにも関連しているでしょうが 記号として小泉総理を考えてみ
ましょう

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□ 一部 NO.64 と重複しますが こう書かれています

 「最後」もしくは「限界」という言葉は、もっとも新しいとか最終
 という意味ではない。むしろペニュルティエーム、最後の手前、つ
 まり見掛け上の交換が交換を行う者に利益を与えなくなる手前、別
 の言い方をすれば、交換する者同士がそれぞれのアレンジメントの
 変更を余儀なくされ、別のアレンジメントに移らねばならなくなる
 一歩手前という意味である。……
 「限界」とはペニュルティエールを指し、必然的な再開をしるすも
 のであり、「閾」とは不可避となった変更をしるすものとしての最
 終を指すのである。
 <『千のプラトー』p494>

 交換とは見かけだけのものである。二人または二集団のそれぞれが、
 受け取りうる最後のもの(限界のもの)の値を評価し、見かけ上の等
 価性がそれに付随して生まれてくる。等置は、二つに異質な系列か
 ら生まれ、交換またはコミュニケーションは、二つの独白(長口舌)
 から発生する。交換価値や使用価値があるのではなく、それぞれの
 側に、最後のものに対する評価(限界を超えることにともなうリスク
 の計算)がある。<p495> 『千のプラトー』

最近の大手PCメーカーの価格の割高感はこういうことでしょう
家電の方が更に分かりやすいのでしょうが PCの売り値は系列の販売
店の標準的な家族が快適に生活できなくなる(限界)リスクから逆算
して決められています そのような不文律が護送船団方式と呼ばれた
り日本的な(横並び)社会主義を作ってきました ダイエーなどの薄利
多売方式 価格破壊は企業としての存立リスクから算出されているの
で 街の販売店の生活事情など無視して成長してきました それが流
通革命(民間での構造改革)でした 大手PCメーカーの生産ラインはCPU
などの値のリアルな下落に即座に対応しにくいシステムになっている
ことも重なって(短期に対応出来るような方式をDELLは採用しTOPに
なっています)どうしても販売店を見捨てられない販売網を持つ大手
メーカーは WEB直販でも売値を上乗せし 顧客の意向を無視してまで
販売店を守ろうとしていると云われています(農家保護のセーフガード
も 10年間人員が10万人近くも過剰であったNTTの高額通信料金も そ
のように算出されていたようです)
余談ですが ダイエーの苦境はそのような価格破壊・流通革命路線が
長い間成功してきたことによる 売り手の驕り(低価格 更に徹底し
たセルフサービス化 アメリカ合理主義のモデル だけ)による 日
本人顧客特有の感性を見失ったからだという 奇妙な逆転現象すら起
きています スーパー・マーケットというグローバル・スタンダード
(実はアメリカ型合理主義)が ローカルな日本人の購買意欲とズレ
てきていることを 創業オーナーが気づかず しかもそのことを誰も
止められなかったというお粗末なものでしたが ダイエー危機が証明
するのは グローバル・スタンダードという地域の差異の解消はロー
カルな地域の生命力(ここでは購買力)をも奪いかねないということ
日本人固有の感性(購買パターン)という差異の再評価が グローバル・
スタンダードの限界と揺れを顕在化させたこと 両者の折り合いの必
要性など……
電気メーカーの系列店のリスク(限界)から 量販店のリスクへの移行
(流通革命)が価格破壊 デフレと言われているものの正体だとしたら
マイナス・イメージのデフレは赤字国債で膨らんだ政府や不良債権を
抱える銀行や借入金で膨らむ企業救済の指向性を暗に含んでいる概念
なのでしょう
赤字国債が生まれる原理は 江戸時代の大名の収入を無視した必要経
費の絶対的な使用と似ているところもありますが 江戸時代より更に
ヒドイと思われるのは ツケをすべて納税者にまわすところかもしれ
ません 春の憂鬱の原因はそこにもあるのでしょう いずれも 庶民
や購買者や預金者や納税者の意向は視界から落ちていて なかなか反
映されないということ その不満が買い控えを更に促進させているの
でしょう


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□ 一部 NO.64 と重複しますが こうも書かれています

 最後のものは、アレンジメントが再開されるべき点、次の活動もし
 くは周期が開始されるべき点、次の領土落ち着くべき点を示すので
 あり、それを越えれば、アレンジメントは今まで通りのものとして
 は存続しえない。このように、最終の手前にかかわるものであるこ
 とから、まさしく一歩手前、ペニュルティエールなのである。最終
 とは、アレンジメントがその性質を変えなければならないときであ
 る。
 <『千のプラトー』p494>

 夫婦喧嘩というアレンジメントにおいては、最後の一言というもの
 がある。最初から二人のうちのおのおのが、口論を自分に有利に終
 わらせる最後の一言をいうため、声の大きさや重さを計っている。
 最後の一言は、アレンジメントの活動、または周期の終わりをしる
 し、これによってすべてがまた新たに繰り返されるのである。それ
 ぞれが最後の一言を基準にして、自分のいうことと、最後の一言に
 到達するまでに適当とされる時間を漠然と計っている。そしてこの
 最後の一言(ペニュルティエール)を超えれば、別の言葉、今度は最
 終の言葉が現われる。「度を超した」のだから、それは別のアレン
 ジメント、例えば離婚というアレンジメントにわれわれを導くこと
 になる。<同上 p495>

<小泉純一郎>とはこの「最後の一言」を記号論的に表現したものだと
考えられます 自民党というアレンジメントであれ 聖域なき構造改
革を担う内閣であれ 彼は<最後の一言>の役割を果たしています 前
外務大臣やムネオ・ハウスの揉め事は夫婦喧嘩の原理でも作用し ス
カートを踏まれた……や 自分は古い体質の政治家 居直り発言にお
そらく度を超えた<最終の言葉>が潜んでいたのでしょう 例え小泉首
相自身が抵抗勢力になろうと 彼に代わる総理が見当たらない現状で
は 彼が記号論的な<最後の一言>であることに変わりはありません
記号として彼を活用し 旧態依然の構造を蔭に温存させ 利益誘導型
自民党体質の継続が抵抗勢力の最大の旨味でしょう 支持率低下が
反って記号<小泉純一郎>の更なる存続を可能にしていると見るのは決
して過言では在りません 小泉降ろしという<最終の言葉> 離婚・新
たなアレンジメント(解散総選挙・自民分裂・政界再編) 彼らに
とって断崖として働く暗き先触れの威力が 記号<小泉純一郎>の最大
の武器 支持率低下現象は皮肉にも抵抗勢力にとっての危機にも繋
がっているのです

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□日本の構造的限界は おそらく10年前からすでに何時越えても良い
状態のものだったのでしょう この10年 ひたすら限界を隠す為に官
僚と政治家は奔走していた そしてその流れは未だに継続され 抵抗
勢力として残っています
構造改革 新たなアレンジメント(機械的仕組み)の再編 その果て
は遥か先にあるようです



..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は 未定です


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□ ._._._.NO.70 ._._._._.春はあけぼの_._._._.2002 05 29_._._□



□「春はあけぼの」は枕草子でも有名な箇所 季節について 初めに
考えてみましょう 次に人権と身体について……

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□日本の風土では <夏> と <冬> ははっきりしていて 確かに存在し
ていると云えます しかし <春> と <秋> は曖昧です 冬でも 夏で
もない季節を 便宜的に <春> や <秋> と名付けていると云っても過
言ではありません 歳時記のように 植物や風物で季節感を出し あ
たかも春や秋が存在しているかのように見せかけることは可能です
<見せかけ> というと否定的に聞こえるでしょうが ここではその真偽
を判断している分けではありません 中間を表現することの難しさを
見逃さないように…… <差異> は中間にひそんでいます だからより
<春> や <秋> を注視せねばなりません 連続変化の途上 をです
「秋は夕暮」もそうです <禅> が朝(あけぼの)と夕に奨励されるの
も そこに不分明なトワイライト・ゾーン 自他の行き来の出来る世
界(差異のある横断)が垣間見られるからです


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□ニュースで騒がれていた 瀋陽の日本領事館事件 その行く着く先
にはマイクロソフトの戦略も見え隠れしています 中国に人権はない
とかつて(天安門事件へのコメントで)栗本慎一郎は書きましたが 人
権意識がそのまま著作権という知的所有権や肖像権に跳ね反って来る
からです 音楽の海賊版の度合を見れば その国の基本的な人権の在
り様もまたはっきり顕在化しています 人道的という言葉は綺麗です
が その裏には経済戦略もひかえていること (何故日本はアフリカ
の国々に援助する必要があるのか? その理由が人道的ではないこと
は外務省・外交官の態度からも明らかでしょう トヨタ自動車が最高
の利益を出しましたが 日本政府からの見返り的な経済援助が全世界
に人道の名の元に行われているのを見逃してはなりません) アメリ
カの中国に対する人権無視発言の裏にも(イスラエルに好意的で ア
ラブ諸国を敵視することの根にも) マイクロソフトが居ること 人権
や民主主義の浸透は アメリカの未来の世界戦略・ビジョンに不可欠
のものであることも忘れてはならないでしょう
実は中国や東南アジアなどの著作権無視の社会の方が 人権意識の出
鱈目振りから <平滑空間> に近く 自由の度合も高いという皮肉な結
果もここでは指摘しておきます
型に嵌った動きしか出来ない <条理空間> と 自由運動が可能な <平滑
空間> は交互に交錯し 絡み合っています 自由にみえるインター
ネットよりも ローカルなPCの方が 著作権を考慮する必要がなく
平滑空間に近い場合もあるからです 初めから人権がない国と 人権
を超えたところに 別の自由を見出そうとしている社会には確かに差
異があります 著作権による適度な検閲と 自由の供給の微妙なバラ
ンスが未来社会といえるでしょう
サッカー・ワールド・カップ期間中に多く見られるだろう ルールの
範囲内でイエローやレッド・カードを受けず ディフェンスの強固な
条理空間の隙間に僅かなスペース(CsO)を作り出し 芸術的・神業的な
Goalを決める選手が現れる という情景を!
日本のフォワードは点を取る役目からは免除されているようです ス
ペース確保の為のおとりのように監督は考えて作戦を立てているよう
に思えます ノー・ゴールのフォワードを使い続けていることがその
証明だと思えるのですが……果たして

日本は戦略的にはアメリカ追随で 今回の事件では人道的でもなく
(何をいったい考えていたのか) 事件は急展開し 結果に追随し い
かにもそのように装っている見苦しさは 救いようのない姿でした

辻元清美前議員のワークシェアリングは 他の秘書疑惑に較べ それ
自体 清々しい美談に見えます しかし本来のグローバルな人権から
すれば 能力や実績の差を評価せず公平に分配することは 個人の尊
厳を認めていないことになり そういう意味では人権無視と言えます
アメリカの未来追随型にはそのような集団主義的な個人無視の人間観
も構造改革の対象になってゆくでしょう
日本における能力の差異の正当な評価が 大学受験にしかないのだっ
たとしたら なんと皮肉なことでしょう


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□こう書かれています

 種々の<器官機械>の到来に抵抗するために、器官なき身体はすべす
 べした不透明な引締った自分の表面をこれらの器官に対抗させる。
   <p21『アンチ。オイディプス』>
 パラノイア機械は、<器官なき身体に対して欲望する諸機械が侵入し
 てゆく作用>と、<これらの欲望する諸機械に対して器官なき身体が反
 撥する作用>とを意味している
   <p22『アンチ。オイディプス』>

<器官なき身体> <充実した身体> は資本主義社会に置き換えられ <器官
機械> は官僚組織 あるいは橋本派でも鈴木宗男でも良いでしょう

 <器官なき身体>〔Corps sans Organes 以下CsOと略される〕
   <p173『千のプラトー』>
 虫けらのように地を匍い、盲人のように手探りし、砂漠の旅人や大草
 原の遊牧民や、狂人のようにさまようとき、人はもうCsOの上にいる。
   <p173 同上>
 CsOは器官に対立するのではなく、有機体と呼ばれる器官の組織化に対
 立するのだ。……身体は身体である。それはただそれ自身であり、器
 官を必要とはしない。身体は決して有機体ではない。有機体は身体の
 敵だ。CsOは、器官に対立するのではなく、編成され、場所を与えられ
 ねばならない「真の器官」と連帯して、有機体に、つまり器官の有機
 的な組織に対立するのだ。  <p182 同上>
 CsOは卵である。……つまり卵は、いつもこの強度的現実を示していて
 決して未分化ではなく、この中では物や器官が、ただ勾配や移動や、
 近傍域によってのみ区別される  <p188 同上> --> *注1

有機体は古くなった構造と云い換えられます 日本の迷走振りはパラノ
イア機械と考えられます それとは別の次元で日本人自身も迷走し 自
信喪失し さ迷っていると見て間違いないでしょう 手探りは苦し紛れ
の当てにならない もがきと考えらるでしょうが 捨てたものではあり
ません <器官なき身体> がすでに作動している あるいは発動しよう
としている証拠なのですから……
有機体が滅び去っても身体は生き残ります(政府が滅び去っても日本は
残ります) むしろ有機体(構造・システム)は腐敗しきった方が 希望
が持てるのではないかと思います 政府与党も官僚組織も上辺だけの改
革で辻褄合わをしていますが(小泉首相も懸命になっている)偽の延命な
どせず 徹底して放って置き 自壊・自滅を早めるべきでしょう
かなり乱暴な論ですが 身体論からは十分に成り立つことです 身体は
有機体や器官の集まりではなく 有機体以前にすでに存在しているもの
だからです


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は 未定 です


*注1 Plateau103 を起動し Devenir をチェックしてから plan de arts
  を押すと エンドレスに充実した身体のモデルを目撃出来るでしょう

  [プラトー用ソフト]
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