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□ ._._._.NO.51 ._._._._.リフレイン._._._._._.2000 9 17_._._□



□今年の夏は異常に暑く 夏を二度経験したような熱気も終りに来て
いることは確かです 台風が持ち込んだ蒸し暑さは まだものを冷静
に考えることを難しくしています
読書は繰り返しによって 自分に必要な箇所を発見してゆきます そ
うしてはじめて読書は完成に向かいつつあると言えるのでしょう

 少しだけ再開します

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..



  T 暗闇に幼な児がひとり。恐くても、小声で歌をうたえば安心
 だ。子供は歌に導かれて歩き、立ちどまる。道に迷っても、なんと
 か自分で隠れ家を見つけ、おぼつかない歌をたよりにして、どうに
 か先に進んでいく。歌とは、いわば静かで安定した中心の前ぶれで
 あり、カオスのただなかに安定感や静けさをもたらすものだ。子供
 は歌うと同時に跳躍するかもしれないし、歩く速度を速めたり、緩
 めたりするかもしれない。だが、歌それ自体がすでに跳躍なのだ。
 歌はカオスから跳び出してカオスの中に秩序を作りはじめる。
  『千のプラトー』 <p359>

山で遭難しかけた子供たちがドラえもんの歌をうたって励まし合った
というニュースを聴いた事があります 実は私たちは常に混沌(カオ
ス)に囲まれて暮らしています それを意識しないのはいつもほぼ同
じテリトリーで活動しているからです 家 道路 交通手段 街……
シドニー五輪でもそうですが サッカーの国際試合やボクシング世界
戦で国歌が歌われたり演奏されたりします これも不安を取り除く為
にあるといっても過言ではありません 国歌はすでに聴きなれた曲の
リフレインです 初めてうたう歌では効果はありません
豪遊?沖縄サミットでの 安室奈美恵の歌は 国どうしを結び付ける
効果があったのでしょうか?
着信メロディやダイヤルアップの繰り返しの音も精神安定に 確実に
役立っているのでしょう

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..



  U 逆に今度はわが家にいる。もっとも、あらかじめわが家が存
 在するわけではない。わが家を得るには、もろくて不確実な中心を
 囲んで輪を描き、境界のはっきりした空間を整えなければならない
 からである。あらゆる種類の目印や符号など、きわめて多様な成分
 が介入してくる。……ここで問題になる成分は、一つの空間を整え
 る……こうして、カオスの諸力ができるかぎり外部に引きとめられ、
 内側の空間が、果すべき務めの、あるいはなすべき事業の胚種とな
 る諸力を保護するにいたる。ここでは選別、排除、抽出の活動がく
 りひろげられ、それによって大地の内密な諸力、大地の内部にある
 諸力が、埋没することなく抵抗し、さらに、成立した空間のフィル
 ターやふるいでカオスを選別して、カオスから何かを取り入れるこ
 ともできるようになる。声と音の成分は特に重要だ。それは音の壁
 であり、少なくとも壁の一部は音響的なものである。一人の子供が、
 学校の宿題をこなすため、力を集中しようとして小声で歌う。一人
 の主婦が鼻歌を口ずさんだり、ラジオをつけたりする。そうするこ
 とで自分の仕事に、カオスに対抗する力をもたせているのだ。ラジ
 オやテレビは、個々の家庭にとってはいわば音の壁であり、テリト
 リーを標示している(だから、音が大きすぎると近所から苦情が来る
 のだ)。都市の建造とか、ゴーレムの製造といった崇高な事業を起こ
 すときにも、やはり輪が描かれる。だが、とりわけ重要なのは、子
 供が輪になって踊るのと同じように、輪の周囲を歩き、子音や母音
 を組み合わせてリズムをとり、それを内に秘められた創造の力や、
 有機体の分化した部分に対応させるということである。速度やリズ
 ムやハーモニーに関する過失は破局をもたらすはずだ。それはカオ
 スの諸力を回復させ、創造者も被造物も破壊することになるからで
 ある。 <p359−360>

「大地の内密な諸力、大地の内部にある諸力」は我が家(内部)に属し
カオスと対立する諸力を指しています
国歌の役割はこちらの方が適切だったかもしれません サポーターた
ちの繰り返しの応援や声もそうです 悪しき例として南アフリカ戦で
の日本テレビ船越雅史アナウンサーのナルシシズムの怒鳴り声のリフ
レインは日本の勝利をしらけさせました 日本がさらに得点したら
自己満足の下品な繰り返しを聴かされるのか と想っただけで うん
ざりしてしまいました 不快の原因はカオスを復活させるリズムや
ハーモニーが含まれていたからでしょう 自己満足の他者への押し付
けとはそういうものです
ピアノ殺人や隣人どうしのいざこざはどこに住んでいても多かれ少な
かれ誰もが経験していることでしょう
建築 建設現場の囲いと地祭り 祝詞などもよく目にする光景です
ウォークマンを付けて歩くことだって テリトリーの確保や心の安定
と無関係ではありません 佐野元春を繰り返し聴く野茂英雄も……
ホームレスという言語が不適切なのは ダンボールハウスは立派なマ
イホームだからです 放浪者のバックだって立派な我が家です
(ウォークマンとそれらの距離は意外にもほとんどありません)
シドニー五輪開会式の歌と踊り これらも選手たちの不安と取り除き
大地の諸力を結集すべく 行われていましたが しかし商業主義的に
ショーアップされた芸能・文化祭はやり過ぎで しらけてしまったの
は見ている者だけだったでしょうか 選手たちには体力的にも負担
だったのではないでしょうか……
試合前 団体競技者たちが円陣を組んで声を掛け合うもの闘争力を高
める為には必要なことです
お祭りのかけ声も盆踊りの太鼓も……

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□女性最終聖火ランナーを「彼」と云ったNHKの工藤三郎アナと有働
由美子アナウンサー スキャンダル発覚もあってか 開会式をしらけ
させました 競技以外の外部の人間たちが 選手や試合をむしろ脇役
にしてしまっているようで残念に思います 民放のはしゃぎようも異
常です 柔道のカラー着衣も原色で違和感を覚えましたが 一本勝ち
が増えていて人気の秘密を垣間見た気がしました 国際柔道はすでに
日本のものではありませんが 日本選手もようやくそのルールに慣れ
てきたようです 田村 野村選手の決勝一本勝ちは価値があり 精神
を浄化してくれました その瞬間は <強度=事件> そのもので いっ
たいどちらが勝ったのか 何が起こったのかさえ不明であり 強い衝
撃がまず伝わってきました オリンピック <強度> 的な感動を満喫
しましょう


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は 半開きの家 を予定しています



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□ ._._._.NO.52 ._._._._.半開きの家._._._._._.2000 10 01._._□



□ 日本ソフト 大健闘「銀」 と新聞(産経9/27)の大見出し 日本製
のPCソフトが一泡吹かせたのかと思いましたら 女子ソフトボールの
ことでした ……確かに一泡吹かせたと言えます
柔道の篠原は原始人や野人を思わせてなかなか男らしく印象的です
ジャッジの問題は日本が世界中の審判を日頃から呼び集めて 講習と
もてなしを(サミットのように)するしかないでしょう しかしそれよ
りも重要なことは 武道家としての篠原はメダル以上の価値を持って
いたことです 審判でさえ<知覚出来ない>技を繰り出しました……
<知覚しえぬもの>への<生成変化>を篠原は成し遂げたことになります
最大級の<差異>の一瞬の生産です それはスポーツとしての柔道では
ない 武術としての柔道の実践と云えるからです 金銀の差を超えた
技の目撃は幸運であったと言えましょう

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□リトルネロ とは リフレイン のことです
 「リートは風景を描く音楽的技法」<p369>のこと

  V さて、今度は輪を半開きにして解放し、誰かを中に入れ、誰
 かに呼びかける。あるいは、自分が外に出ていき、駆け出す。輪を
 開く場所は、カオス本来の力が押し寄せてくる側にではなく、輪そ
 のものによって作られたもう一つの領域にある。それはあたかも輪
 そのものが、みずからの内部に収容した活動状態の力と連動して、
 未来に向けて自分を開こうとしているかのようだ。そして、いま目
 的となっているのは未来の力や宇宙的な力に合流することなのであ
 る。身を投げ出し、あえて即興を試みる。だが、即興することは、
 世界に合流し、世界と渾然一体になることなのだ。ささやかな歌に
 身をまかせて、わが家の外に出てみる。たぶん子供がたどっている
 道筋をあらわした運動や動作や音響の線に、「放浪の線」が接木さ
 れ、芽をふきはじめ、それまでと違う輪と結び目が、速度と運動が、
 動作と音響があらわれる。
  いままで述べたことは特定の進化における継続的な三つのモメン
 トではない。同一の事象における三つの局面なのである。そして同
 一の事象とはリトルネロのことだ。三つの局面は、ホラーにも、お
 とぎ話にも出てくるし、リートにもあらわれる。リトルネロは三つ
 の局面をもち、それを同時に示すこともあれば、混合することもあ
 る。さまざまな場合が考えられる。 『ミル・プラトー』<p360>

子供が歌を唄いながら家を飛び出してゆくさまが思い浮かびます
他人を家や自室に受け入れる行為は非常に重い出来事として考えねば
なりません 核家族化とは家の崩壊(カオス化)とマイルーム化をもた
らしましたが しかしマイルーム化は我々が日々行っているように内
部を外部化しました 半開きの部屋です WebサーフィンやE-Mailの
交信は自室を開けてデジタル情報を招聘していることになります 外
部が内部(PC)に食い込んでいるのです 電子メールやHomepageでの公
開 発信は自己を開き宇宙や未来に合流しようとしている行為に繋
がっています
ウィルス程ではないにしても半開きですから何時不快な情報(カオス)
が侵入してくるか解りません ハードディスクやリムーバブルディス
クの情報の9割は外部からやってきたもので占められているでしょう
内部にある外部 外部に出てゆく内部 プロバイダーへの日々繰り返
される機械的な接続音……リフレイン
家や部屋やPCでのことを取り上げていますが 人間自身も実は内部の
外部 外部の内部 で成り立っています 自己と思い込んでいる部分
のほとんどが内部化された外部であろうし 外部化しようとしている
内部も実は外部からの転送(素通り)に過ぎなかったり……オリジナル
な自己と思い込んでいるもののほとんどが外部から到来したものであ
ることを知るのは大事なことです 自作のコンテンツも外部の素材の
組み合わせがほとんどでしょうから 人間自身がアレンジメント(機
械的な組み合せ)で出来ていることになります 個性とは極端に云え
ば 組み合わせ方の<差異>にオリジナルがほんの少し含まれているこ
とを指します
戻りましょう
以下は絵画を例にしたのもです

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..


 あるときは、カオスが巨大なブラック・ホールとなり、人はカオス
 の内側に中心となるもろい一点を設けようとする。あるときは、一
 つの点のまわりに静かで安定した「外観」を作り上げる(形態では
 なく)。これによって、ブラック・ホールはわが家に変化したので
 ある。またあるときは、この外観に逃げ道を接ぎ木して、ブラック・
 ホールの外に出る。こうした三つの局面と、局面同士の関係に深い
 洞察を示したのはパウル・クレーである。クレーは、絵画にかかわ
 るさまざまな理由から、ブラック・ホールとは言わず、「灰色の点」
 と言っている。しかし、灰色の点とは、まず次元をもたず、位置決
 定が不可能なカオス以外の何ものでもなく、異様な線がもつれ、束
 となったカオスの力のことにほかならない。次に、点は「みずから
 の上に跳躍」し、次元をもつ空間を輝かせ、その水平方向の成層を、
 垂直方向の断面を、そして書かれざる日常の線をきわだたせ、大地
 が内に秘めた大いなる力を輝かせる(同じ力は、より解き放たれた
 形で、大気中にも水中にもあらわれる)。したがって灰色の点(ブラッ
 ク・ホール)は平常の状態からずれて、もはやカオスをあらわすの
 ではなく、住居あるいはわが家をあらわすことになるのだ。最後に
 灰色の点は、宇宙の領域にまで拡大してさまよう遠心的な力の作用
 を受け、勢いを得て、みずからの外部に出ていく。「人は大地から
 飛び立とうとして衝動的に試みをくりかえす。けれども、次の段階
 に移ると(……)重力に勝利した遠心的な力の圏内に入って、実際に
 大地から舞い上がっていくのだ(2)。」『ミル・プラトー』<p360>

*(2) Paul Klee, Theorie de l'art moderne, pp56, 27.

** リトルネロの章<p358>の口絵に パウル・クレー『さえずる機
械』,1992,coll.Museum of Modern Art,New York……
が載っていますので以上の文章はその絵の解説でしょう(口絵はモノ
クロ)

Infoseek USA 
http://www.infoseek.com/
の optionで Paul Klee と Museum of Modern Art を入力して検索
してみました

"1879 Paul Klee 1/2 1940"
http://ubmail.ubalt.edu/~pfitz/see/pk1/pk1_1_2.htm
Twittering Machine
41.3 x 30.5 cm, 1922
Museum of Modern Art
TA00049
http://ubmail.ubalt.edu/~pfitz/see/pk1/pk1TA00049m_.htm
26104 bytes
http://ubmail.ubalt.edu/~pfitz/see/pk1/pk1TA00049__.htm
(同じ絵ですが上は小さくて 下は大きいです カラー)
 鳥(機械)が四羽 空に向けて囀っています

一目瞭然ですので 解釈は省きます


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□前回からの 三つの局面は同時になされることも多く厳密には区別
出来ないでしょう マイルームは安らぎでも在るし 宇宙への起点で
もあるし また静か過ぎて心が揺れ続けてしまうことだってあると思
います 暴風雨の激しい音(カオス)に不安になったり しかし部屋の
中という安心感と また台風の雲の速い動きに胸がわくわくしたりと
……両義的なものです 三宅島の噴煙の映像もカオスそのものと 宇
宙や未来への<強度的>な力をも感じさせます
陸上跳躍選手が観衆に手拍子を要求し そのリズムで宇宙へ飛び立と
うとする姿はオリンピックでも何回か見られました
私たちの生活は(比重の置き方は人それぞれですが) 三つの局面を行
き来して成り立っています
続きます


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は 橋渡し を予定しています



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□ ._._._.NO.53 ._._._._._._橋渡し._._._._._.2000 10 17_._._□



□マイホームを拡大してゆくとやマイスクール マイカンパニーやマ
イタウン シドニー五輪で見られたようなマイカントリーになるで
しょう 縮小してゆくとマイルーム マイカー マイアクセサリー
マイファッション(ユニフォーム)やマイボディ になるでしょう

 領土とは、まず同一種に属する二個体間の臨界的距離のことであり、
 その距離を標示することである。<私>のものとは、まず<私>がもつ
 距離のことだ。<私>には距離しかないのだ。<私>は人に触れてもら
 いたくないし、他人が<私>の領土に入ってくるなら、苦情を述べ、
 立て札を立てる。臨界的距離は表現の質量に由来する一つの関係な
 のだ。間近にせまったカオスの力を遠ざけるために距離をとらなけ
 ればならないのだ。<p369 『千のプラトー』>
 表現の質量は、何よりもまず、ポスターないしは立札であるが、そ
 れにとどまるものではない。表現の質量はポスターや立札を経由す
 るにすぎないのだ。<p366>

臨界的距離を越えて侵入する者がストーカーであろうことが解ります
自己の身体を自分で傷つける人は 感情(マインド)と身体(ボディ)が
領土的に分離してしまっていると考えて良いのかもしれません
視覚的なものや動作だけでなく音響もまた表現の質量に含まれます

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□前二回のまとめを――

 あるとき人はカオスから領土的アレンジメントの閾に向かう。……
 またあるとき人はアレンジメントを組織する。……さらにまた、領
 土性のアレンジメントから出て他のアレンジメントに向かったり、
 別の場所を目指したりすることもある。ここには相互的アレンジメ
 ントが、そして移行の、あるいは逃走の成分すら含まれている。そ
 して三つの運動が一箇所に集中する。カオスの諸力、大地の諸力、
 そして宇宙的な諸力。これらがすべて、リトルネロの中で衝突し、
 競い合うのだ。 <p361>

相互とは二つ以上のアレンジメント(や領土)の間の関係性を指します
今回は相互関係について見て行きます
オーストラリアのアトリ科の鳥についてこう書かれています

 「草の切れ端」という表現の質量は、領土的アレンジメントと求愛
 のアレンジメントのあいだの橋渡しをする移行の成分として作用す
 る。……草の切れ端は脱領土化した、あるいは脱領土化した、ある
 いは脱領土化の途上にある成分なのである。……草の切れ端は操作
 子であり、ベクトルなのである。要するにアレンジメントの変換器
 なのである。草の切れ端は、アレンジメントからアレンジメントへ
 の橋渡しをおこなう移行の成分として働き、消滅する。そして、こ
 の見方に確証を与えてくれるのは、移行の成分にとって代わる中継
 の成分があらわれ、しだいにその勢力を増していくのでなければ、
 草の切れ端は消滅に向かうことがないという事実だ。中継の成分と
 はすなわちリトルネロのことである。ただ単に領土にかかわるだけ
 でなく、恋愛や社会にもかかわり、それに応じて変化するリトルネ
 ロのことである。……今のところ重要なのは、領土的アレンジメン
 トの内部に新たなアレンジメントが形成されるという事実を確認し、
 内部的アレンジメントから相互的アレンジメントに移行する動きが
 存在し、この動きは移行と中継の成分をともなうという事実を確認
 することである。<p374−375>

アトリ科は「草の切れ端」をはじめに標識として使い リトルネロは
ここでは求愛の囀りと考えて下さい 人間社会でのその役割は例えば
PCのインターネット接続ボタン(表現の質量=立札=橋渡し=移行の
成分) 接続音(中継の成分=リトルネロ)と考えてみれば解り易いで
しょう マイルーム(領土的アレンジメントの内部)から新たなイン
ターネットアレンジメント(仕組み)の形成です
また眠りのアレンジメントと雨戸を開ける音(リトルネロ)による活動
のアレンジメントへの移行を思い起こしてもよいですし 学校での休
憩のアレンジメントからチャイムによる授業への移行 会社の朝礼時
の社歌の日々の反復も アラーム機能を備えたPCソフトの役割りも…
…相互アレンジメントの例として上げられるでしょう
ドラマやTV番組のオープニングテーマソングもそうです 除夜の鐘の
音 いつもの駅員の同じしゃべり口調のアナウンス etc
領土的アレンジメントから別の新しいアレンジメントだけでなく (領
土化した)機能的なアレンジメントから別の機能のアレンジメントへの
移行も当然同じように考えられます
相互アレンジメント(仕組み)はアレンジメントとアレンジメント(ある
いは領土と領土)の間に考えられるのですが それ自体も独立した 例
えば運送業だとかNTTとかプロバイダーの仕事の機能を領土化したもの
としても成り立つでしょう

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..


 リトルネロの分類……
 (1)領土を求め、領土を標示し、領土をアレンジする領土的リトルネ
 ロ。(2)アレンジメントの中で特別の機能をになう、領土化した機能
 のリトルネロ(眠りや子供を領土化する子守歌、性愛と恋人を領土化
 する恋歌、職業と労働を領土化する仕事の歌、製品とその分配を領
 土化する商いの歌……)。(3)同じリトルネロが新たなアレンジメン
 トを標示し、脱領土化と再領土化によって新たなアレンジメントに
 移行する場合(はやし歌はきわめて複雑な事例といえるだろう。領土
 的リトルネロでありながら、その歌い方は街によって違い、ときに
 は通りごとに違ってくる。はやし歌は遊戯上の役割と機能を領土的
 アレンジメントの中に分配するだけでなく、領土を遊戯のアレンジ
 メントに移行させる。このとき遊戯のアレンジメント自体は自立性
 に向かう)。(4)領土の内部で、あるいは外に出るために力を寄せ集
 め、結集させるリトルネロ(これは対決、ないしは出発のリトルネロ
 であり、絶対的脱領土化の運動を誘発することがある。「さらば、
 振り向かずに行くよ。」はるか彼方で、このリトルネロは分子の歌
 と合流し、ミリカンの言うように、生まれたばかりの基本要素がた
 てる泣き声に合流する。大地を離れ、宇宙的になるのだ。宗教的な
 領土区分が開花し、分子状の汎神論的宇宙に溶け込むとき、あるい
 は鳥の歌と入れ代わりに、水と風、雲と霧の組み合わせがあらわれ
 るとき。「外は風と雨……」。脱領土化した巨大なリトルネロとし
 ての宇宙)。<p377>
 *ミリカン MILLIKAN,Robert Andrews (1868−1953)アメリカの
  物理学者.1906年 電子の電化の測定に成功,プランク定数の値
  を求めた. <巻末 人名索引 X ページ>


(1)は略します
(2)が機能についての説明です カオスを退け 大地の力を結集する目
的で領土が必要なのですが その領土も機能によって区分されます と
いっても一つの領土の中での機能の変化も考慮すれば<家>には様々な
種類の機能が詰まっています リトルネロや標識などによって 移行
を繰り返します 家の機能はアクティブなものです しかし<家>と<工
場> <学校>と<病院>とでは役割は大きく違っているでしょう それら
の間にもまた<相互のアレンジメント> 移行(橋渡しや中継の成分)の
活動を観ることが出来ます
(3)のはやし歌はフランス特有のものかもしれませんが 日本のわらべ
歌 例えば「はないちもんめ」「かごめかごめ」「とおりゃんせ」な
ど思い浮かべると領土的であるし 境界という標識も現れてきます…
…多分当て嵌まるでしょう 鞠つきや縄跳びもそうかもしれません
(4)はシンフォニーを連想します 芸術の領域で 西洋的かもしれませ
んが 分子的 宇宙的 宗教的 な音楽 ハッブル宇宙望遠鏡よりも地上
から観た宇宙の星星の瞬きは リフレイン(パルス)そのものでしょう
鳥(ソプラノ)よりも無機的な現代音楽 「水と風、雲と霧」を表現す
る無機物の音響 分子的なリフレインや不協和音……

 芸術家は宇宙に向けておのれを開き、「作品」に宇宙の諸力を注ぎ
 入れようとする <p388>

現代音楽は恐怖映画の効果音としてしか日常的には聴けませんし 知
識を持っている人も少ないでしょう ポピュラーなものではありませ
ん しかし音楽はヒット曲でも哀しい曲でも日常の自己の世界を解放
してくれます <脱‐領土化>してくれます そのように感じるものを
振りかえって考えてみることです 領土の外への出方と その先にあ
るだろうものが見つけられるかもしれません

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□相互関係の橋渡し 視覚要素の標識・立札よりも 音響のリトルネ
ロ(リフレイン 囀りetc)は中継の成分としてより効果的です
しかしリトルネロは音楽だけではありません
つづきます


..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

 次回は 強化 を予定しています



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□ ._._._.NO.54 ._._._._._._.強 化._._._._._.2000 11 05_._._□



□大家族からマイホーム主義が生まれ マイホームから育った子供た
ちは核家族 マイルーム(マイカー)に拠り所を求め その次の世代
はどうなってゆくのでしょうか マイルーム主義はどんな子供たちを
生みだしてゆくのでしょうか……流れは既に始まっています 携帯
ウォークマンは身体の付属品として十分に機能しています マイボ
ディー主義と呼んでおきましょう 移動する領土です PCもデスク
トップから離陸して身体の一部となるでしょう i-modeはその先駆け
と云えます

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□強化についてこう語っています

 哲学者ウジェーヌ・デュプレエルは強化の理論を提供し、生命は中
 枢から外部に向けて動くのではなく、外から内へ、あるいはむしろ
 曖昧集合や離散集合から集合の強化に向かうということを証明した
 のだった。強化は三つのことを意味する。まず、何らかの<はじまり>
 があって、そこから線形的な連続が派生してくるのではなく、濃密
 化、強度化、補強、注入、そして詰め込みが、挿入行為として機能
 するということ(「挿入によらないかぎり成長はない」)。二番目は、
 インターバルを整え、不均衡なものを配分する必要が高じた結果、
 強化するためには穴をあけなければならない場合すらあるというこ
 と。三番目は、不揃いなリズムを重ね合わせ、相互リズム性を内的
 に配置し、拍子やテンポの強制を避けるということ。強化は事後的
 に到来することに甘んじるのではなく、むしろ創造をおこなうのだ。
 <はじまり>は二つのもののあいだで、つまりインテルメッツォで始
 まるからである。存立性とはまさに強化のことにほかならない。そ
 れは継起するものだろうと、共存するものだろうと、すべて強化の
 凝集体に変えてしまう行為であり、そこには挿入、インターバル、
 重ね合わせ−分節という三通りの要因がともなう。これは、住居と
 領土にかかわる技法としての建築が端的にあらわしていることだ。
 事後的におこなわれる強化があるかと思えば、アートの要石のよう
 に、全体の構成要素として働く強化もある。ところが最近は、鉄筋
 コンクリートのような素材によって、柱と樹木、梁と枝、穹窿と葉
 など、いずれも対応による樹木状モデルから、建築全体が抜け出る
 可能性も出てきた。コンクリートは、混合する要素に応じて堅さ(存
 立性)の度合が変化する不均質な素材である。だがそこに、なんらか
 のリズムにしたがって鉄骨が差し込まれる。こうして鉄骨は、自己
 支持式の表面に複雑な<リズムの人物>を形成するのだ。そこでは
 「茎」が、捕獲すべき力の強度と方向によって異なる断面を、変化
 するインターバルをもつことになるのだ(これは骨組みであって、構
 造ではない)。同じ意味で、音楽作品や文学作品も建築的な構成をも
 つといえる。 <p378‐p379 『千のプラトー』>

 *ウジェーヌ・デュプレエル DUPREEL, Eugene フランスの哲学者 
 (人名索引 V)
 *インテルメッツォ〔間奏曲〕<p341>
 *きゅうりゅう【穹(×)窿(×)】
  @半球形またはそれに近い形。
  A天。大空。
  ▽その形が伏せた半球のように見えるから。(岩波国語辞典)

具体的な鉄筋コンクリートから見てみましょう 存立性とは前にも説
明しましたが 融けたり雑然としたままの 材料としての素材が物に
生成する場面です ここでは砂利と砂とセメントとそれから鉄筋が主
な資材です それらの配合や混ぜ方によってコンクリートが出来 更
に鉄筋の間隔を調整しつつ配置することによって非常に強度の高いも
のが出来上がります 捕獲のマジックです 間隔=インターバル=リ
フレインが物を存立させていることに注目して下さい

 モチーフは、人物や風景からは独立し、それ自体で<メロディーの風
 景>や<リズムの人物>となり、モチーフ相互の内的関係を豊かなもの
 にしていく。<p368>

<リズムの人物>は説明しにくいのですが 音楽モチーフは二つに分類で
き メロディーは風景をリズムは人物を……実はこの分け方が妥当かど
うか判断はつきません 音楽も文学も 人物と風景からなりたっている
ことは分かります むしろメロディーが風景と関わっていることの方が
了解しやすいのでしょうが……
鉄筋の配列がリズムまではいいとして人物とは 変な言い方ですが人柱
に似ている形態から人物と理解しておきましょう

料理の過程は前にも書きましたが その存立性はコンポーネントステレ
オや自作PCを組みたてるように考えられます 不均質な素材=離散集合
を配合して組みたてて行く 素材を刻み 煮込んだり挿入したりして仕
上げて行く この場合にもリフレイン 塩や他の調味料 人参などの素
材の分量が 例えばハンバーグステーキや餃子の断面に見られる微小な
材料のインターバル 鉄筋コンクリートの断面模様のようにリズムを形
作っているのが分かるでしょう リフレインは音楽だけでなく 建築や
文学 それ以外でもその真価を発揮しています 
リフレイン 継ぎ目のない壁紙のようです

  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□身体領土と<リズムの人物>について更に見てみましょう

 必要なら、<私>は自分自身の体に領土を引き受け、<私>の体を領土化
 しよう。亀の甲羅や甲殻類の殻がそうだし、身体を領土に変える入れ
 墨だって同じことだ。臨界的距離は……リズムなのである。しかし、
 リズムはまさに人物相互間の距離を取りはらう生成変化にとらえられ、
 その距離を<リズムの人物>に変化させる。<リズムの人物>そのものは
 大小の距離をもち、緊密に、あるいはゆるやかに組み合わさる(これが
 「隔たり」である)。 <p369>

簡易入れ墨としてのガングロやピアスや茶髪も視野に入れられるでしょ
う 領土のマイボディ化です 臨界的距離(ここまでなら近づいてもよい
という距離)を経てそこから関係性を抽出し <リズムの人物>とする 厳
密にいえば 人物と人物との間のリズム を<リズムの人物>と云ってい
るようです 鉄筋と鉄筋の間にもあるそのような空虚な<リズムの人物>
がしかし強度の度合の調整 強化として重要になっていること <リズム
の人物>は<差異>とも言い換えられます <差異>が強化の秘密 鍵を握っ
ているとも言えるのです

人と人との間にもそのようなリズムがあり リズムが人と人との間の結
び付きの度合(隔たり)を決定しています
私たちの一対一の人間関係にも当て嵌まり <リズムの人物>の変化が人
間関係の動的生成を司っています 友だち関係 や 仕事関係 カップ
ル など特定の関係として <リズムの人物>を抽出できるだろうし ま
たそれらが人々を結び付けている強化の度合に換算できるのです 具体
的には <リズムの人物> 人と人との関係とは 波長が合う 合わない
という言い方で象徴されるようにリズム的なものが確かに介在していま
す 気が合う でもいいです 雑談仲間としての波長と人生について語
れる親友との波長はリズムが違っているし このチュウーニングの破
壊された状態がストーカーでしょう ストーカー本人は波長が合ってい
ると思い込んでいるからやっかいなのです このように<リズムの人物>
は動的に絶えず変化し むしろその揺れやズレが波長のキャッチボール
を音楽的にし リズムを生み出していると考えてもいいのです そして
一つの<リズムの人物> 波長は一本ではなく何本もの不揃いな波長・リ
ズムが複雑に組み合わされて成り立っているのです(食の味覚は合うけ
ど旅行の行き先の嗜好は違っている あるいは服のセンスは一致するけ
ど映画の好みは別とか 巨人ファンだけど貴ノ浪は嫌だとか……まるで
グラフィック・イコライザーやデジタル・アナライザーのように分析で
きるでしょう)
人と人との隔たりとしての<差異>の総体が 特定の人の人間関係のネッ
トワークです それは鉄筋コンクリートのインターバルと同じように骨
組み全体をつくり上げています
俗な言い方をすれば 一族に警察と弁護士と医者と有力な政治家が居る
れば そうでない人に比べてより安全に暮らせるでしょう またその獲
得 ネットワーク作りは鉄筋コンクリート並みの人間関係の強化と言え
るでしょう(悪しきコネクションでもあるわけですが……)
サッカーのスリーバックを考えるとわかりやすいかもしれません 一人
の選手とそれ以外のすべての選手との間にそれぞれ<リズムの人物> 適
度な隔たりと強化の度合が生み出され 試合中刻々とその関係は複雑に
変化しつつ ディフェンス全体の<強度>を形成します 強くしたり弱く
したり 攻撃的にしたり守備的にしたり…… 野球のシフトもそうです
バントシフト 中間守備 前進守備 などの陣形は<リズムの人物>の複
雑な絡み合いです 或る場面での守備の強化です 陣容 連携プレーに
<リズムの人物>は不可欠です

以下のようにも書かれています

 もはや質量に形相を与えるのではなく、素材を洗練して豊かなものに
 変え、存立性の度合を高めなければならないのだ。それによってます
 ます強度の力を捕獲することができる。素材をますます豊かにする要
 素は、非等質なものを共存させながらも非等質性を失わせることのな
 い要素と同じである。そしてこんなふうに共存させる要素とは振動子
 であり、最低限二個のヘッドを持つ挿入用のシンセサイザーである。
 それはインターバルを解析するアナライザーであり、複数のリズムを
 同調させるシンクロナイザーである(「シンクロナイザー」という言
 葉は曖昧だ。分子状のシンクロナイザーは均等化や等質化をもたらす
 拍子をもとにして作動するのではなく、内側から、二つのリズムの合
 間で作動するからだ)。すると、強化とは、存立性が大地にかかわる
 場合の呼名だといえるのではないか。領土的アレンジメントとは、共
 存と継続の相のもとに環境を、時−空を強化した状態である。そして
 リトルネロは、これら三つの要因を駆使するのである。 <p379>

身体の領土化 ガングロのデザインも新たな領土の存立性 強化と言え
るでしょう 強化は一般に大地を領土・領土的アレンジメントに変化さ
れせる重要要素ともなっているのです

..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…

□物理にも社交にもスポーツにも 越境するジャンルを同じように思考
するのが<差異>哲学の特徴です
ダンボールの空洞が箱の強化に役立っていることは言うまでも無いで
しょう
本文の詳細な説明は省きましたが 必要なポイントは押さえたつもりで

つづきます


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 次回は 生まれ故郷の両義性 を予定しています



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□ ._._._.NO.55 ._._._.生まれ故郷の両義性._._..2000 11 19_._□



□前回の補足を

 カオスとリズムに共通しているのは、<中間状態>、つまり二つの環
 境のあいだである。<リズム‐カオス>あるいはカオスモス(カオス‐
 宇宙)。……
 カオスがリズムになる場所はこの<中間状態>にある……
 たがいに異質な時-空が連動すれば、たちまちリズムが生まれる
 <p362 『千のプラトー』>

個人と個人の間についてよりも 日米 日中 日露関係など考えると解
りやすいかもしれません 貿易や文化 学術 スポーツなどの国と国
との間のリズムを……
日米が軍事的に歩調を合わせれば極東の安全は高まる といった論調
は良く聞かれることです 地域安全保障の強化です 対して歩調が乱
れるとリズムがカオスになってゆきます 自民党の内部分裂やアメリ
カ大統領戦選挙結果の混乱は 内部アレンジメントのカオスのリズム
化と云えるでしょう 混沌‐先の見えない混迷のリズムです


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..

□では本題です

 リトルネロは必ず大地の一部をともない、たとえそれが精神的な意
 味の大地であったとしても、常に一つの大地を相伴物としてもつ。
 リトルネロは、本質的に、<生まれ故郷>や<生来のもの>に関係して
 いるのだ。<p361>

大地イコール領土ではありません 領土は大地の力を捕獲しつつ一つ
のアレンジメント(機械的仕組み)として成り立っています

 領土が、さまざまな環境に含まれたすべての力を結集し、大地の諸
 力をまとめた一つの束を作り上げるということ。散乱していたすべ
 ての力が、容器あるいは土台としての大地に帰属するのは、個々の
 領土が最も深まった場合にかぎられる。「周囲の環境は一つの単位
 として生きられているから、素朴な直感にとって、厳密な意味で大
 地に所属するものと、山や森や湖水や植物のように大地を媒介にし
 てあらわれるものとを区別するのは困難だといわざるをえない。」
 大気や水の力、そして鳥や魚は、こうして大地の力に変貌する。そ
 のうえ、外延としての領土は大地の内的諸力とカオスの外的諸力と
 を切り離すとしても、「強度の内包量」の深みでは事情が一変する。
 そこでは二つのタイプの力が抱き合い、結び合いながら戦いをくろ
 ひろげているからだ。そしてこの戦いにとっては、力を振り分ける
 ものとしては大地しかないし、戦いが目指しているものも大地のほ
 かにないからだ。領土には、すべての力が合流してエネルギーの格
 闘をくりひろげる、そんな樹木か茂みのような場所が必ず存在する。
 大地とはこのような格闘なのである。強度の中心は、領土の中に位
 置することもあれば、途方もない遍歴の旅を終えたいくつかの領土
 が収斂してくるにもかかわらず、領土の外に位置することもある(だ
 からこそ、「生まれ故郷」は両義的なのだ)。外であろうと、内であ
 ろうと、領土は必ず強度の中心につながっている。そしてまだ見ぬ
 祖国にも似た強度の中心は、友好的な、あるいは敵対的なすべての
 力を産む大地の源泉となり、そこですべてが決定される(16)。だか
 らここでもまた、人間と動物に共通の宗教が領土を占拠するための
 条件は、領土化をおこなうむきだしの美学的要因への依存をおいて
 ほかにないということを認めなくてはならない。……カオスの諸力
 を結びつけて儀式と宗教に、そして大地の諸力に転化させるのも領
 土化の力をもつ美学的要因なのである。 <p371>

*16 Mircea Eliade, Traite d'histoire des religions, Payot
 〔邦訳『宗教学概論』全三巻、せりか書房〕。「宗教形態たりうる
 大地の根源的直感」について(pp.213 sq.)。領土の中心について
 (pp.324 sq)。エリアーデが指摘しているように、領土の中心は領土
 外に位置し、到達しがたいものであると同時に、領土内部の、すぐ
 に手の届くところにも位置づけられる。<p608>原注

前半の闘いまでは宮崎駿の『もののけ姫』のすぐれた解説として読め
るでしょう 『風の谷のナウシカ』でもいいですし 『トトロの森』
の意味的考察にも十分になっているでしょう 私は未体験ですがRPG
やスペースファンタジーや多くの闘いのGAMEはそのように作られてい
るでしょう
放浪は生まれ故郷を去るものだと思われるでしょうが 実は<生まれ
故郷>を探しに出る旅と言った方がよいのです 生まれ故郷‐自己の
根源‐ルーツはここにありそうでない 『グレイト・ジャーニー』
の人類DNAの根源の旅はアフリカを目指していますけど そこに到達
しても<生まれ故郷>は逃げ水のように先送りされてしまうのだろうと
思います

 われわれが美学的と呼ぶ表現の質は、明らかに「純粋な」質ではな
 く、象徴的な質でもない。そしてこれが固有の質、つまり所有にか
 かわる質として、環境の成分から領土の成分への橋渡しをおこなう
 のだ。 <p372>

エルサレムの聖地(キリスト教 ユダヤ教 イスラム教)紛争はまだ記憶
に新しい光景でしょう あの聖地・領土・巡礼地を巡る争いもまた<生
まれ故郷>と密接に関連しています <強度の中心>です 聖地‐美学的
要因による領土の闘い 3宗教の強度の中心と外部化されたカオスの力
がめまぐるしく転化し 入れ替わって攻防を繰り広げています カオ
スのリズムが吹き荒れています 解決は本質的にはありません 折り
合いを付けるのみです
精神的な<生まれ故郷>としての万葉集や あるいは考古学的な出土品-
偽出土品問題にひそむ<生まれ故郷>への憧れは 原人探求への足掛か
りでもあります それらも美学的要因 領土的な観点を含んでいます
リトルネロ(リフレイン)は出土品のインターバル(点在状況)や繰り返
される萬葉調の歌いぶりや短歌瑶としての抑揚の反復にも活かされて
いるでしょう


  ..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..…..


 領土と脱領土化のあいだにある両義性は、<生まれ故郷>のもつ両義
 性と同じものである。この両義性は、領土が自己のいちばん深いと
 ころにある強度の中心につながることを考えあわせるなら、十分理
 解できるだろう。しかし、すでに見ておいたように、強度の中心は
 領土の外に位置し、たがいに非常に異なり、遠くへだたった領土が
 収束する地点に位置することもある。<生まれ故郷>は外にあるのだ。
  <p375−376>

<生まれ故郷>の両義性は 領土化と脱領土化という述語でも理解可能
でしょう

 <生まれ故郷>は生得そのものだとしても、それは脱コード化した生
 得であり、また獲得そのものだとしても、それは領土化した獲得な
 のである。<生まれ故郷>とは、領土的アレンジメントの中で生得と
 獲得をしるしづける新たな相貌のことなのである。そこから、リー
 トに聞かれるような、たえず失われ、見出される、あるいはいまだ
 見ぬ祖国に向かうという<生まれ故郷>に固有の情動があらわれる。
 <生まれ故郷>では、生得性が移動する傾向を示すのだ。リュイエが
 言うように、生得性はいってみれば行為の先にあり、行為の下流に
 位置するのである。……
 <生まれ故郷>は生得性の脱コード化と学習の領土化によって成立し、
 その一方がもう一方に重なり、両者が組み合わさることになるのだ。
 <生まれ故郷>には生得と獲得の混在では説明のつかない存立性があ
 る。<生まれ故郷>の方が、逆に領土的アレンジメントや相互アレン
 ジメントにおける混在を説明するものだからである。要するに行動
 の観念は不十分であることが明らかになるわけだが、それはアレン
 ジメントの観念に比べて線形性が強すぎるからにほかならない。<生
 まれ故郷>は内部的アレンジメントに生起する事象から、外に投射さ
 れる中枢にたどりつき、相互的アレンジメントを一つ残らず通り抜
 け、ついには宇宙の扉に達するのである。 <p383>

 注:リュイエ RUYER, Raymond (1902-1987) フランスの哲学者
 リートは歌曲 <p562>のことです

生得と獲得・学習は 先天性と後天性とも言いかえられます それら
は区別されるもののように見えて 両義的にクロスして絡み合ってい
ると云っています 行為の下流とは逃げ水です 行動の線形性 例え
ばアフリカに辿り着いたグレイト・ジャーニーはそこで旅の目的を終
え 旅は終らる筈なのですがそこでも<生まれ故郷>の情動に駆られて
ついには宇宙への旅に出発せざるを得ないことになるでしょう 銀河
の中心=強度の中心 脱領土化の極地 ビッグバン宇宙の特異点‐無
そこに辿り着くと今度はまた実在の大地へと果てしない旅が繰り返さ
れるのです RPGも宇宙ファンタジーも宇宙的音楽もみな不滅であり
永久運動の徒労さもそこには見出されるかもしれません 果てのない
魅力もまた 芸術・表現もまた


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□<生まれ故郷>の両義性は 強度の中心=領土の内か外か 領土化と
脱領土化 生得と獲得 の両義性として見ることが出来るでしょう
<生まれ故郷>をいったい何処に見付けたら良いのか……私にも答え
られません もちろんドゥルーズ=ガタリにも……不確定なもの 余
分なもの(差異)=ここではないもの を常に含んでいるからです
<生まれ故郷の両義性>を現代風に言いかえればアイデンティティの探
求と云えるかもしれません 私の根源探しは何時も両義的でとどまる
ところを知りません 今の私と在るべき私 過去の私と未来の(非在の)
私 内部からの見た私と外部から評価される私 両義性を認めつつ生
きるのは常に不安定でいることに繋がって行きますが そのことを
知っているだけでも心強いことかもしれません



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 次回は フリートーク を予定しています



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