RAYGA小ネタ集
GUYS編 その1 / その2 / その3 / その4
その他 シロウの周辺 / 生協編
ぶっちゃけ編 その1 / その2
GUYS編その1 畏るべし昭和の女
GUYSジャパン臨時司令室(ディレクション・ルーム)にて某日――
珍しく会議机にぐったり伏しているシノハラ・ミオの姿を、ヤマシロ・リョウコが発見。
リョーコ:「およ? ミオちゃん、なんかお疲れだね? 仕事きつい?」
ミ オ:「んー……そうじゃないのよ。仕事は別に……きついのはアフターなの」
リョーコ:「アフターって……そういえば、最近よくミサキさんと一緒みたいだけど……――あ! ひょっとして、ミサキさんて酒豪とか、酒乱の気が?」
ミ オ:「それはないわ。彼女、その辺の節制は私よりしっかりしてるもの。深酒なんて、考えられない。それに、彼女とは飲んでるわけじゃないから」
リョーコ:「飲んでないなら、何してんのさ?」
ミ オ:「……カラオケ」
リョーコ:「
えー!! ずるーい! それならあたしも誘ってよー! おしゃれなバーとかで飲んでるもんだと思ってたから、遠慮してたのにー!! ――ってか、カラオケなんかで、なんでそんな」
ミ オ:「それがねぇ……(大きなため息)」
リョーコ:「
わかったー!! 長いんだ! それこそ明け方の三時四時五時六時まで歌ってるとか!」
ミ オ:「彼女も私も、そんな翌日に響くようなバカな真似しません!
……(ボソボソ)無茶できる年でもなくなってきてるし……」
リョーコ:「ほえ?」
ミ オ:「なんでもない!!」
リョーコ:「じゃあ、なんなのさ」
ミ オ:「それが……ああ、でもミサキの個人情報になるから、うかつに話すわけには」
リョーコ:「言いかけてそれはないんじゃない!? んー…………(腕組みをして考え込む)…………そうだ! わかった! じゃあこうしよう!」
ミ オ:「?」
リョーコ:「(ドンと自らの胸を叩いて)今日はあたしがミサキさんに付き合うよ! あたしは謎が解けるし、ミオちゃんは休めるし、ミサキさんは予定キャンセルにならないし、(指三本立てて)これぞ
三方一両損!」
ミ オ:「……(可愛そうな子供に向けるような微笑を浮かべ)……使い方間違ってるし、多分損するのはあなただけだと思うけど……まあ、その気持ちはありがたくいただいておくわ。じゃあ、今日はヨロシクね〜(嬉しそう)」
リョーコ:「おうっ! G.I.Gだよ!!」(元気いっぱいのサムズアップでキメ)
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
翌日。
昨日のミオと逆にぐったり会議机に伏しているヤマシロ・リョウコ。口から何か白いものが漏れ出している。
ミ オ:「(こみ上げる笑みをこらえる表情で)あら、リョーコ。元気ないわね?」
リョーコ:
(ボソリ)「……ミオ……ちゃん……? …………あれは……あれは、ダメだよ……」
ミ オ:「ただでさえ、あなたとは相性悪そうなイベントだものねぇ」
リョーコ:
「だって……歌う歌歌う歌全部、悲しい恋とか、女が男をひたすら待つような曲ばっかりだもの。……さすがのあたしも、燃える曲では対抗し切れなかったや……」
ミ オ:「あなたはまだいいわよ、そんな曲歌える元気があるから。私なんかミサキとはちょっとキャラがかぶってるから……」
リョーコ:「てか、そんなことよりミサキさん、いったいどうしちゃったのさ!? なんかあったの!?」
ミ オ:「なんかあったの、って……わかりきってるじゃない。原因は」
リョーコ:「?」
ミ オ:「ほら(人差し指を立てて上を指す仕種)」
リョーコ:「上?」
ミ オ:「宇宙よ、宇宙。――総監がまだ帰ってきてないから」
リョーコ:「ああ……そっか。そういやそうだったや……」
そこへ、ミサキ総監代行がやってくる。
ミサキ :「あ、リョウコさん。昨日は楽しかったわ」
たちまち跳ね起きて敬礼をするヤマシロ・リョウコ。
リョーコ:「ミ、ミサキ総監代行! こ、こちらこそ! アリガトウゴザイマシタ!!」
ミサキ :「どうしたの? 何だか緊張しちゃって? まあいいわ。それでね? 今日も付き合ってくれる?(一片の悪気もない純粋無垢な笑顔)」
リョーコ:「……………………(ミオを見やる)」
ミ オ:「……………………(目をそらす)」
ミサキ :「どうしたの、二人とも?」
リョーコ:「あ、いえその……ミ、ミオちゃんが!」
ミ オ:
「!!??」
ミサキ :「ああ。そうね。今日はシノハラさんと、三人で行きましょう。楽しみにしてるわ」
リョーコ:「G.I.G!」
ミ オ:「あ、あははは……はい……(リョ〜ウ〜コ〜……覚えてなさいよ!)」
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
さらに翌日。
会議机にぐったり伏せっている女性隊員二人。
リョーコ:
「……ミオちゃあん……うう……あたしって…………あたしって、こんなに……弱かったんだ……ね……」
ミ オ:「うう……陳情……陳情しかないわ……! 陳情するのよ! 総監に、一刻も早く戻ってきてくれるように! さもないと……さもないと、私達が……!!」
そこへ入室してくるセザキ・マサト。いつもどおり呑気に鼻歌交じり。
セザキ :「あっれー? ミオちゃんも、リョーコちゃんもどうしたのー? 朝からお疲れオーラ出しちゃってー? あはははは」
リョーコ:「あ、セッチー(きらりん)」
ミ オ:「(リョウコのアイコンタクトに頷く)――
ちょうどよかったわ、セザキ隊員」(頬に浮かぶ黒い笑み)
セザキ :「はい?」
ミ オ:「今夜、予定空いてる?」
たちまちセザキ・マサトの表情が輝く。
セザキ :
「ミッ――ミオさんのご要望とあらば、空いてなくても空けます!!」
ミ オ:「じゃあ空けておいてね? 詳細はあとで連絡しますから」
セザキ :「は〜〜〜い!! ――うわっはーい! ミーオさんに誘われた♪」
踊り去るセザキ・マサト。その背中を片手で拝むヤマシロ・リョウコ。
リョーコ:「……ごめん、セッチー」
ミ オ:「今回ばかりは少しだけ良心が咎めるわね。……
止めないけど」(再び頬に浮かぶ黒い笑み)
――おわる。
GUYS編その2 実は苦労人コンビ
リョーコ:「ところでセッチー」
セザキ :「なんだいリョーコちゃん」
リョーコ:「元気のいい、何事にも動じない昔ながらのお母さんって
『太っ腹母さん』でいいんだよね?」
セザキ :「う〜ん。昔ながらのイメージで言うと、
某国民的青ネコ型未来ロボットアニメのいじめっ子のお母さんの外見がそうだから、そこからの類推なんだろうけど……多分それは
『肝っ玉母さん』じゃないかな」
リョーコ:「ああ、それそれ。――あちゃー。レイガちゃんにそう突っ込んじゃったや」
セザキ :「ちなみに、本来の意味での『太っ腹』は、自分の資産や持ち物などをぱーっと遠慮なく他人のためにばらまいちゃう人に対して使うね」
リョーコ:「ははぁ。ってことは……GUYSの隊員の中にはいないかなぁ」
セザキ :「ミオさんは元秘書だけあってうるさそうだしね。ゴンさんは堅実そうだし。クモっちゃんはそもそも金で買える物にはあまり興味なさそうだし。隊長は――」
リョーコ:「仕事命だからねー。隊長もあんまりお金を使うことには興味なさそう」
セザキ :「ということは、ボクとリョーコちゃんだけ?」
リョーコ:「あたし? やだー、あたしは結構細かいよ?」
セザキ :「そうなんだ?」
リョーコ:「(ふっと遠い目をした表情に影が差す)……オリンピックに出るってさー、色んなとこからお金もらうんだよねー……だから、お金の管理は人一倍しっかりしないといけないんだよー。すぐ新聞記者とかが不正な使用だーとか、言いがかりつけてくるしー……。協会の方で出してくれる分は、向こうで管理してくれるからいいんだけど……」
セザキ :「ははぁ。お金の出し入れする人に、結構絞られてたんだ」
リョーコ:「ううん。違うよ?」
セザキ :「じゃあどうしたのさ?」
リョーコ:「人に頼むと雇い賃が要るから、あたしとコーチで管理してたよ?」
セザキ :「あー、なるほど。涙ぐましい努力だねぇ」
リョーコ:「おかげでお金に関しては細かくなるなる……。いまだにスーパーなんかでさー、1円単位の切り詰めとか考えてるとねー、ふと我に返って自己嫌悪になっちゃうよ……だって、自分のキャラに合ってないもん」
セザキ :「見えないところで苦労してるね、リョーコちゃんてば」
リョーコ:「そういうセッチーはどうなのさ? 防衛軍出身なんだから、そんなに使い道はないんじゃないの? ってか、あたし男の人のお金の使い道なんて知らないし」
セザキ :「あー、女の子ならおしゃれとかに金をつぎ込むもんね。僕の場合はそうだね、ゲームとか、マンガとか」
リョーコ:「……………………結構オタク趣味?」
セザキ :「でも、一番つぎ込んでるのはミオさんとのデートかな!
それこそ太っ腹に!」(自分の腹をポン、と叩く仕種)
リョーコ:「(切なそうな表情でセザキの肩に手を置き、ゆっくり首を振る)……セッチー。それはない。それはないんだよ……」
セザキ :「……いいじゃないか、こんな番外編でぐらい夢を
騙ったって……」
リョーコ:「ん? ……あたしが言うのもなんだけど、
『かたる』の字が違うんじゃない? なんか今、オリンピックメダリストの勘でぴぴっときたよ?」
セザキ :「……リョーコちゃん、結構容赦ないね……」
――おわる。
GUYS編その3 危険なスカウト
某日、大阪某所。
イサナ:「おい、あんた」
とあるメガネの防衛軍兵士:「ああん? なんや、われ」
イサナ:「オオサカ決戦の時は色々と世話になったな。改めて、GUYSオーシャンのイサナだ。よろしく♪(いつものハンドサイン)」
とあるメガネの防衛軍兵士:「おお、いつぞやのクジラ野郎か(意味不明のサムズダウン)」
イサナ:「……イサナだってーのに。それより、今日はあんたをスカウトしに来た。あの行動力、勇気、咄嗟の判断力――GUYSの人材に相応しいと思うんだよね。オレと一緒に海へ出ないか? 海は広いぜ?」
とあるメガネの防衛軍兵士:「興味あらへんな。それより、お前こそワシを手伝え」
イサナ:「なにをだ?」
とあるメガネの防衛軍兵士:
「GUYS大阪支部を作るンや」
イサナ:「……………………。いや、GUYS日本支部があるじゃねーの」
とあるメガネの防衛軍兵士:
「ワシは大阪支部がほしいンや! 百歩譲って関西支部や! なんで毎度毎度日本の主要な機関を関東ばっかりに配備しよるンや! 東京にあるなら大阪にも作らな公平やない!」
イサナ:「ほしいっつったって。そうは言っても相手は首都だしなぁ」
とあるメガネの防衛軍兵士:「アーホーンーダーラッ!! 首都が何ぼのもんじゃい! こっちかて安土桃山時代には太閤さんのおわす、事実上の首都やったんやど!! ……くっそー……やっぱり当初の計画通り、大阪を首都にせなアカンのやな」
イサナ:「ほんと、面白い奴だなあんた」
とあるメガネの防衛軍兵士:「ぬははははは、見ての通り、生まれも育ちもずっぶずぶの関西人やからな! おもろうてなんぼや!」
イサナ:「ともかく、それじゃあ海に出るつもりはない、っつーことで? いいのかな?」
とあるメガネの防衛軍兵士:「おう。せっかく誘ってもろて悪いんやがのー。――っと、そうや。大阪支部作る手伝いしてくれたら、大阪湾に潜水艦ドックとか造ったるさかいな! GUYSオーシャンのえらいさんにもよろしくゆうといてや!」
イサナ:「りょーかいりょーかい。それじゃ、またな」
敬礼をびっと切って、立ち去るイサナ。
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
GUYS潜水母艦ブルーウィール艦橋。
部 下:「隊長、スカウトの件どうなりました? 大阪の有望な防衛軍隊員てやつ」
イサナ:「ん? あれ? あれかぁ……あれは、やめとこう」
部 下:「でも、隊長かなり気に入ってたんじゃ」
イサナ:「ああ。面白い奴だぜ? お前らにも会わせてやりたかったね」
部 下:「では、なぜ?」
イサナ:「ん〜……オレが言うのもなんだけど、
クジラに首輪はつけられねえよ、ってな」(意味ありげに頬を緩める)
部 下:「????」
――おわる。
GUYS編その4 クレームは受け付けておりません
カラオケその後。
仲間を求めて声をかけまくるセザキ。
クモイ :「カラオケ? 興味ない」
イクノ :「カラオケですか……男二人でというのはさびしい――え? ミサキさんが? ああ……すみません、話は聞いているので、ちょっと……」
マ ル:「申し訳ありません。愛する妻がおいしい手料理を作って待ってるので、アフターはちょっと……」
トリヤマ:「カラオケ?(顔を輝かせる) ふっふっふ、日本支部の北○三郎と呼ばれたこの私を誘うとは、なかなか目が高いではないかセザキ隊員。しかし、男二人で行くのもなぁ。他の隊員はどうしたのかね? ……なに? ミサキ女史も来る?(顔色がさっと変わる) ……そ、それは……ああっ、いかん!! そうだった。今日は孫が待っとるんだった。はっはっは、すまんな、また今度にしてくれい(いそいそと立ち去る)」
リュウ :「あ? カラオケだ? 野郎二人でかぁ? つうかよ、行くんならみんなで行こうぜ。なに? みんな行きたがらねえ? ああ? 言いだしっぺのお前まで? いや、オレ一人でカラオケ行けってか? 何の罰ゲームだそりゃ。…………ああ、なるほど。ミサキさんとな。――って、ミサキさんと二人でカラオケって、それこそどういう魂胆だ!?」
セザキ泣きながら状況説明。
リュウ :「あー、もう。男の癖にピーピー泣いてんじゃねえよ。……しかし、あれだな。こいつはちょっとしたGUYSジャパンの危機だな。わかった、ちょっと待ってろ」
メモリーディスプレイを取り出して通信回線を開く。
画面に出たのはアライソ整備班長。
アライソ:「(誘われて)カラオケだぁ? あんなもんは女子供の行くもんだ。俺は行かんぞ」
リュウ :「いやそれがおやっさん、ちょっと困った事態が起きててよ。助けてほしいんだ」
アライソ:「なにぃ? カラオケごときでなにが困っただ。わけのわからんことほざいてんじゃねえ」
リュウ :「いや、おやっさん。それがよぉ……かくかくしかじか……ってわけでよ」
アライソ:「……なんだそりゃ。まったく、若いくせにだらしねえな、どいつもこいつも。だったら、うってつけの奴がいるだろうが」
リュウ :「え? 誰だよ?」
アライソ:「フジサワ博士(※)だ。異次元物理学の。彼女はミサキ総監代行の親友だろう」(ウルトラマンメビウス第25、26、46話登場)
リュウ :「ああ! そういえば! その手があったか!」
というわけでフジサワ博士に相談。
フジサワ:「いいわよー。他ならぬユキのピンチだかんねー。その代わり、条件があるわよ?」
リュウ :「なんすか?」
フジサワ:
「あたしの出番よこせ」
リュウ :「は?」
フジサワ:
「あたしの出番だよ! あれだけの戦争やって、地球滅亡の瀬戸際なんてゆー大ピンチに陥っておきながら、あたしの出番無しってどういうことさね!? GUYS上層部のじーさん出すくらいなら、あたしを出せっつーのよ!!」
リュウ :「いや、それをオレに言われても……」
コ ノ ミ:
「そうですー! わたしも出番ありませんでしたー!!」
リュウ :「おわっ!? なんでコノミが!?」
ジョージ:「アミーゴ、せっかく新マンが帰ってきてるのになんで俺に出番がない?」
マ リ ナ:「そうよそうよ! 隊長ばっかりずるいわよ! この際ジョージとコンビでもガマンするから私も出せー!!」
ジョージ:「ちょ、ガマンて」
テッペイ:「まあまあ、皆さん。落ち着いて――」
フジサワ・コノミ・ジョージ・マリナ:
「出番のあった奴は黙ってろ!!!/なさい!!!」
その頃、世界の片隅で。
ハルザキ・カナタ他、オリジナルビデオ版「アーマード・ダークネス」にて登場した新GUYS隊員達の心の叫び。
「僕らの存在はどーなってるのー?(涙)」
――おわる。
シロウの周辺編 マキヤ×トオヤマ 或る日の会話
トオヤマ:「マキヤさんマキヤさん」
マキヤ :「あら、どうしたのトオヤマさん」
トオヤマ:「ちょっと子供と話してて、思い出せないことがあってさぁ」
マキヤ :「……私でわかることなの?」
トオヤマ:「ほら、日曜朝にやってたアニメでさ」
マキヤ :「ええと、松本○士作品の方? それともハ○ス世界名作劇場?」
トオヤマ:「んーと、違うと思う。二年前の話よ?」
マキヤ :「二年前というと……○○スピ、○○戦隊○○レンジャー、仮面○イダー○○○、○○○○プリ○ュア、ワ○ピース、ドラゴ○ボール改辺りかしら?」
トオヤマ:「えー……と。それの中で、女の子なのに男前に殴り合うやつ」
マキヤ :「じゃあ○○○○プリ○ュアね」
トオヤマ:「(即答!?)……私から聞いておいてなんだけど、凄いわねマキヤさん」
マキヤ :「(少し得意げに)あら? これくらい母親のたしなみよ? 子供の見る番組はきちんと一緒に見て、大事なことを学んでいるか、気にかけてあげないと。決して私が好きだから見てるわけじゃないのよ? もちろん、好きか嫌いかと言われれば好きだけれど? 中でも特に、今あなたが聞いた○○○○プリ○ュア、これは歴代プリ○ュアの中でも、特に凄い作品なのよ? どこが凄いってね、最終回の脚本が――」
トオヤマ:「ああ、そんなディープな話題はわからないからいいわ」
マキヤ :「あら、残念。それで? トオヤマさんちでは、子供と○○○○プリ○ュアの何を話してたの?」
トオヤマ:「それがね? 私が思い出す限りじゃあ、ヒロインが二人いたはずなんだけど……多分、どっちも敵方のラスボスを愛してたのよ」
マキヤ :「はぁ?」
トオヤマ:「そんでもって、仲間だなんだって共闘してたけど、あれは表面上のことで、実は内心お互いに嫉妬と怨嗟と懊悩の嵐の中にあったと思うわけよ。……ゾクゾクくるじゃない?」
マキヤ :「(そんな風に受け取れるような展開だったかしら……確か、あの時のラスボスって……)」
トオヤマ:「そしたら、子供はそんなんじゃないって泣き出して大喧嘩」
マキヤ :「待って、トオヤマさん。それ、ほんとにプリ○ュア? あれって、何代重ねても王道真っ直ぐどストレートよ? あなたが言ってるような展開とか演出、脚本には心当たりがないわ。私も全話見落としなしに見てたんだもの。なんならDVDもあるわよ? CM抜いて焼いたやつ。見る?」
トオヤマ:「だーかーら。確かに表面上はそう見えるんだけど、私にはわかったのよ!」
マキヤ :「でも、二年前のプリ○ュアのラスボスは、確か人間のマイナスイメージの集積体という設定だから、明確な人格なんかなくて――」
トオヤマ:「確かに、その時はそういう解釈で話を進めていたわ。でも、それはカモフラージュなのよ!!」
マキヤ :「(顔をしかめる)カモフラージュ? ええと……なんの? 誰に対しての?」
トオヤマ:「そもそも人格がないから愛情が存在しないなんて、誰に言えるの!? 人格なんてない相手でも愛を注げるのが、人間の凄いところじゃない!
はや○さとかは○ぶさとかはやぶ○とか」
マキヤ :「はぁ。わかるけど(でも、どうしておんなじ名前を三回?)」
トオヤマ:「そうそう、うちのとーへんぼくだって、車に異常なほどの愛情注いでるし! 私を放ったらかしで、私より手をかけてるのよ!? つまるところ、愛情って対象が必要なだけで、人格の有無なんて本来必要ないのよ!」
マキヤ :「はあ。また極論で来たわねぇ……」
トオヤマ:「でねでね? あの話を深く深く掘り下げて考えるとね、結局ラスボスの強大な力って父性そのものなのよ。そして戦うヒロインたちは、父に恋をした娘。エレクトラコンプレックスってやつね。だから、あの話の結末は、少女たちが自らの人生における抑圧の象徴たる父性の下から解放されて、自由な恋愛に旅立つということを暗示してるのよ!」
マキヤ :「すごいー。すごいわ、トオヤマさん(乾いた拍手と乾いた笑い)。プリ○ュアについては、私もオフ会とかで何人かと話し合ったことがあるけど、そこまでひねくれ――おふん。独自の解釈を強引に推し進めた人は初めてよ」
トオヤマ:「(おふかい? なにかしら)あはん。私にかかれば、この程度の考察はお茶の子さいさいだわよ。それより、子供が理解してくれないのよ、この話」
マキヤ :「そりゃそうでしょ」
トオヤマ:「どうして!?」
マキヤ :「あのね、トオヤマさん」
トオヤマ:「うんうん」
マキヤ :「プリ○ュアは夢と愛と希望を子供たちに届ける作品なの。企画書段階できちんとそううたってあるの。だから、あなたみたいなひねくれ――おふん。薄汚れた大人の見方を主張しても、誰も理解はしてくれないわ?」
トオヤマ:「(ハンカチをくわえて)ひ……ひどいわ、マキヤさん! 私のどこが薄汚れてるのよ!」
マキヤ :「(ジト目で)なにを今さら。あなた昔、テレビで生中継されてたウルトラマンメビウスと怪獣の取っ組み合い見て、私になんてった!?」
トオヤマ:「え〜? 覚えてなーい。何か言ったかしら?」
マキヤ :「痴情のもつれから二人は憎みあっただのなんだの、妙なアフレコ入れてたでしょ!!(大爆笑だったけど)」
トオヤマ:「ああー……そうだったかしら」
マキヤ :「一生懸命戦ってくれてる恩人にそんな失礼なことしておいて、今さら私は無垢な少女です!? それこそ
『ぶっちゃけありえな〜い』」
トオヤマ:「(目をぱちくりさせて)……なにそれ?」
マキヤ :「(はっと我に返って赤面)あ、いえ。プリ○ュアの話しだったし……つい」
トオヤマ:「え〜と。よくわかんないけど、ギャグなのね? それで、
私は笑えばいいの? 突っ込んだ方がいいの?」
マキヤ :「どっちもちがーう!!」
トオヤマ:「
『ぶっちゃけありえな〜い』……こうね!?」
マキヤ :「や、やめて〜! 私が悪かったから、そういう返し方だけはやめて〜! 心が、心がイタい! イタすぎるからぁ!」
トオヤマ:「わかったわ、じゃあ子供に教えてくる! 仲直りのきっかけにするわ! ――
『ぶっちゃけありえな〜い』、こうなのね!?」
マキヤ :「ちょ、トオヤマさん!? それ、それだけは、それだけはっ! 後生だから! お願いだからっ!! トオヤマさああああああんん!!!
やぁぁぁぁめぇぇぇてえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
家に駆け戻るトオヤマを必死で追いかけるマキヤ。
――おわる。
生協編 或るベテラン侵略者の日常
対星間機械文明戦争が終わってしばらく。
いつもの超高層ビルの社長室。
向かい合ってソファに座り、茶をすする宇宙人二人。
ミステラー星人:「しかし、流石だな。メトロン星人の智謀は」
メトロン星人 :「なんだ藪から棒に」
ミステラー星人:「今回の戦いのことだ。流石に無理じゃないかと思っていたが……まさか、本当に勝ってしまうとはな」
メトロン星人 :「私は状況に応じて、最も被害の少なくなる戦術を選んでいただけだ。それでも四割もの者達が亡くなったり、行方不明だ。流石、などと言われても、正直素直には喜べんよ」
ミステラー星人:「逆に言えば、あの圧倒的な戦力を前にして6割の者を守ったわけだろう。その指揮は、十分評価に値すると思うがね。………(茶を飲む手を止めて、じっとメトロン星人を見る)………」
メトロン星人 :「……? なんだ?」
ミステラー星人:「いや、あんたをミステラー・アテリア星間戦争のミステラー側参謀に据えたら、どうなるだろうと思ってな」
メトロン星人 :「(心底うんざりした様子で)やめてくれ。命の取り合いだけが目的の戦いなど、関わりたくもない。せいぜい地球で経済戦争の一翼を担っている方が気楽でいい」
ミステラー星人:「……そもそも地球を侵略に来た宇宙人のセリフとも思えんな」
メトロン星人 :「平和ボケしたとでも言いたいのか? ……まあ、別にそう思ってくれてもこちらは一向に構わんがな。――ん?」
その時、部屋の扉が勢いよく開けられて飛び込んでくる地球人。その強面、明らかにそのスジの者。手には拳銃。
そのスジの人:「うらあ、馬道龍!! スミ○シ会配下のアマノ組・鉄砲玉、カネモトじゃあっ!! 今日こそオンドレのタマ――(向かい合ってソファに座っている二人の星人の姿に、明らかに顔色が変わる)あ、ああ!? あれ!?」
メトロン星人:「あ、スマン。ちょっと頭を下げてくれ」
ミステラー星人:「?」
怪訝そうに顔をしかめながらも身を屈めると、何も言わずに触手状の円筒形の右手を相手に向け、発砲するメトロン星人。
そのスジの人:「ぐわっ」
メトロン星人 :「(倒れた組員を見やりつつ、右手を左右に振って一筋立っている白煙を散らす)……まったく、星人の姿ごときでうろたえおって。でかい口を叩く割に肝が座っとらんな、最近の鉄砲玉は」
ミステラー星人:「(ゆっくり頭を上げながら)……いや、普通の地球人なら驚くだろう」
メトロン星人 :「いや? 昔のヤクザってのはなかなか凄かったぞ。私のこの姿を見ても、怯みもせずにポン刀振り回してきたものだ。まあ、そういう奴だから、でかい組織の組長なんぞになれたんだろうがなぁ」
ミステラー星人:「というか、
それは普通に着ぐるみと勘違いされたのか、その場で義侠心に目覚めて宇宙人の侵略から地球を守ろうとしたのかもしれんぞ」
メトロン星人 :「まあいいさ。――さて、と。小物は小物なりに使い道がある」
メトロン星人が腕を振ると、サングラス黒服の異星人たちが現われ、倒れた男を引きずって姿を消す。
ミステラー星人:「まだ息はあったようだが……どうするつもりだ?」
メトロン星人 :「なに、ふっふっふ。頭の中をちょーっといじくって、こちらの手駒になってもらうだけだ」
ミステラー星人:「……ひどい話だな」
メトロン星人 :「何を言うか。一番穏当なやり方だぞ。戻ってきた鉄砲玉が幹部を射殺する。鉄砲玉はその場で殺されるだろう。人死にが出たとなれば、警察が動いて後は勝手に処理してくれよう? 組織抗争にもならず、一般市民に巻き添えを作ることもない。加えて、あいつだけにしか使わないから、宇宙警備隊に睨まれることもない」
ミステラー星人:「使う? なにをだ?」
メトロン星人 :「
ワイ星のケシから抽出した幻覚剤だ。セブンとウルトラ警備隊に見つかった頃より、ちょっと改良してあるがな」
ミステラー星人:「まだ持ってたのか……」
メトロン星人 :「ある物は有効に使わんとな」
ミステラー星人:「そうか。そうやって、あのボーズ星人もうまく使ったんだな?」
メトロン星人 :「? ……なんの話だ?」
ミステラー星人:「あんたが陣頭指揮に出た後の話だ。聞きかじりだが、ボーズ星人のおかげで意思統一が出来たとかどうとか」
メトロン星人 :「初耳だな。……あいつにそんな才能があったのか。そもそもなぜあいつがあそこにいたのか、私もいまだにわからんのだが」
ミステラー星人:「なに? あんたが副官に任命したんじゃなかったのか!?」
メトロン星人 :「知らんよ。気がついたら傍にいた」
ミステラー星人:「気がついたらって……」
メトロン星人 :「陣頭指揮を執る際に置いていったのも、あいつは宇宙に出られん身体だったからだ。だからと言って、私の代わりに指揮を執れなどと命じてはいないし、あんな奴に命じるわけもない。それがなぜそんな高評価を得ているのか、そもそもあの艦橋で私がいない間に何があったのか……何にも知らんのだ」
ミステラー星人:「……………………」
メトロン星人 :「……………………」
ミステラー星人:「……………………(ため息)」
メトロン星人 :「なんだ、そのため息は」
ミステラー星人:「いや……昔の話だが、極地を歩いていてな」
メトロン星人 :「?」
ミステラー星人:「氷の上を渡り終えた後で、その氷がいかに薄いものだったかを知って背筋が寒くなったことがある」
メトロン星人 :「……………………」
ミステラー星人:「今回もそうだったのだな、と思うと……急に怖さがこみ上げてきた」
メトロン星人 :「……なんだか判らんが、失礼なことを言われている気がするな」
ミステラー星人:「まあ、今の話は俺の胸の中にとどめておくことにするよ」
メトロン星人 :「勝手にしたまえ。(立ち上がる)……それでは、私は鉄砲玉をいじくってくるので、しばし失礼するよ」
ミステラー星人:「どうぞどうぞ」
部屋から出てゆくメトロン星人。
5分ほどして、どこからともなくかすかに聞こえてくる野太い悲鳴。
お茶の残りをすするミステラー星人。
ミステラー星人:「……あー……今日も地球は平和だ」
窓ガラスの向こうは真っ黒な雲。
叩きつけるゲリラ豪雨に水煙る都市。
遙か海上で不気味に腰を振る竜巻。
ミステラー星人:「……うん。至極、平和だ」
――おわる。
ぶっちゃけ編その1 ヤマシロ・リョウコ×チカモチ・エミ
リョウコ:「それにしても、あたしたちキャラかぶってるよねー」
エ ミ:「一人称もお互い
【あたし】ですもんねー」
リョウコ:「おまけに元気娘で、頭も悪いと来たもんだ」
エ ミ:「え? ……大学進学ヤバげなあたしはともかく、ヤマシロ隊員、大学行ってたんじゃ?」
リョウコ:「(ふと遠い目をして)エミちゃん……後学のために聞いておきなさい」
エ ミ:「は、はい! 拝聴に与ります! どぞ!」
リョウコ:「大学ってのはね……
入ったからと言って、出られるとは限らないのよー!!」
エ ミ:「
なるほど! ……って、ええっ? じゃあ、ヤマシロ隊員って、大学中退!?」
リョウコ:「やめてないっ! ……とはいえ、アーチェリー代表辞めちゃったんで、特待生扱いじゃなくなって退学勧奨受けたけど」
エ ミ:「うわ、ひどっ!! ――で、どうなったんですか、それ!?」
リョウコ:「GUYS入ったんでとりあえず凍結中。うう……大学に戻りたいような戻りたくないような」
エ ミ:「オリンピックメダル候補に対する扱いとは思えませんね……」
リョウコ:「世の中そんなものだよ。アーチェリーは日本じゃどっちかって言うとマイナーだしねぇ……。エミちゃん、だから大学は実力で入らないとダメだよ。あたしみたいな切ない思いすることになるから」
エ ミ:「あ、それなら大丈夫です!」
リョウコ:「え? どうしてさ」
エ ミ:「最初に言いましたけど、そもそも大学に行く学力が足りませんから!」
リョウコ:「おおっ! それは盲点だった! なるほどぉ」
エ ミ:「あはははははー……」
リョウコ:「あはははははー……」
リョウコ&エ ミ:「はあ〜あ〜……」
――おわる。
ぶっちゃけ編その2 アキヤマ・ユミ×オオクマ・シロウ×『夢民』(夢魔)の女
ユ ミ:
「シロウさん、好きです!」
シロウ:「(面食らって)……なんだ、藪から棒に」
ユ ミ:「わたし引っ込み思案だし、恥ずかしがり屋だし、
本編ではこんなはっきり言えないですから!」
シロウ:「そ、そうか」
ユ ミ:「シロウさん、シロウさんはわたしのこと好きですか!?」
シロウ:
「……うぜぇ」
ユ ミ:「
あうっ(殴られてないのに殴られたようにのけぞる)」
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
がばっと跳ね起きるアキヤマ・ユミ。
ユ ミ:「う……あ……と。……夢? ――ああ〜ん。なんでわたしの告白シーン、いつも夢なのよぉ」
『夢民』(夢魔)の女:「いやでも、今のは夢でよかったんじゃない?」
ユ ミ:「だ、誰!?」
『夢民』(夢魔)の女:「あなたが楽しい夢を見てくれないから、出てきちゃった。ウフ♪」(なぜかウィンクして舌を出す)
ユ ミ:「だから、誰なんですか!?」
『夢民』(夢魔)の女:「面倒くさいんで、これも夢にしておくわね」(ぱちんと指を鳴らす)
ユ ミ:「え? ええ?」
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
がばっと跳ね起きるアキヤマ・ユミ。
ユ ミ:「……夢……今の夢、なんだったのかしら」
シロウ:
「ユミ、好きだっ!!」
ユ ミ:「え!? ええっ!? シロウさん、ここわたしの、どこから? って言うか、今なにを!?」
シロウ:
「お前が好きだ、ユミ! お前が……ほしぃぃぃぃぃぃ!!!」(叫びつつ、ユミをその腕に抱きしめる)
ユ ミ:「きゃっ……シロウさん……。(シロウの腕に身を委ね)……ああ……積極的なシロウさんもス・テ・キ(うっとり)」
シロウ:「さあ、ユミ。星の海を超えた熱い口づけを!」
ユ ミ:「ああ……シロウさん……」(目を閉じる)
―――――― ※ ―――― ※ ――――――
がばっと跳ね起きるオオクマ・シロウ。
シロウ:「……な、なんだ今の夢は。俺が、ユミに……?」
『夢民』(夢魔)の女:「あらぁ? なんか呆けてるけど、楽しくなかった?」
シロウ:「…………………………(ジト目で睨みつけ)なんだ、お前」
『夢民』(夢魔)の女:「あらやだ。言ったじゃない。ハッピーな夢でも見てちょうだいって。……楽しくなかった?」
シロウ:「楽しいわけあるかー!! びっくりしたわっ、驚いたわっ、混乱したわっ!」
『夢民』(夢魔)の女:「ん、もう。素直じゃないんだから、チェリーボーイは」
シロウ:「これ以上茶番を続けるなら、潰すぞ」
『夢民』(夢魔)の女:「(唇を尖らせて)じゃあ教えなさいよ。あなたにとってハッピーな夢ってなんなのよ。それを見てくれたら、ちょっと力をいただいて、すぐ帰るわよ」
シロウ:「俺のハッピーな夢? ……………………ええと。(真剣そのものの表情でしばし考え込む)……んー……
ウルトラ兄弟を蹴散らして、宇宙で一番強い奴になる夢? とか?」
『夢民』(夢魔)の女:「……………………(呆れ顔で)ひょっとしてあんた、大宇宙の支配者とかになりたいクチ?」
シロウ:「なんでそうなる」
『夢民』(夢魔)の女:「ウルトラ兄弟を蹴散らして、宇宙で一番強い奴になる――なんて、
侵略宇宙人のセリフ以外のなにものでもないじゃないの。まあでもいいわ。じゃ、これね」(とあるDVDケースをどこからともなく取り出す)
シロウ:「……DVD?
ウルトラマンタロウ?」
『夢民』(夢魔)の女:「そう。その第40話。あなたは強大な大怪獣となり、ウルトラ兄弟を超えてゆくのよ!(ビシ、と指差す)」
シロウ:「はあ? 俺が怪獣になって? ウルトラ兄弟を? なに言ってんだ? 俺はウルトラ族の――」
『夢民』(夢魔)の女:「じゃ、お休み〜。今度こそハッピーな夢を」
『夢民』(夢魔)の女、シロウに皆まで言わせずDVDのケースを開き、中の円盤を八つ裂き光輪よろしくシロウの頭にさくっと突き立てる。
シロウ:「ぐわ――(崩れ落ちるように眠りにつく)―― zzzzzz」
――ウルトラマンタロウ第40話へつづく。
…
……
………
…………
……………
………………
……………………
がばっと跳ね起きるオオクマ・シロウ。
シロウ:「――
だああああっっ!!! 結局ウルトラマンタロウにやられてんじゃねーか! どこがハッピーだ!」
――今度こそおわる。