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コロラド無宿異聞〜赤き大地に風は走る〜

はじめに

 これは十年位前にある新人賞に投稿した作品です。(掲載にあたって、かなりリファインしてます)

 剣と魔法の世界とか、拳と魔法の世界とか、トンデモエンジンで星の世界をぶっ飛ぶとか、そういう話ばかり妄想していた私ですが、『ファンタジー耐性のない人にも読んでもらえる(わりと)まっとーな話』も書かなきゃなー、と考えた時、ふと頭に浮かんだのが 『時代劇』 。
 何しろ、『必屋稼業』とか『暴れん坊統治者』とか『水戸のじーさま徘徊記』とか、老若男女を問わず日本人なら通じるわけですよ。 『時代劇』 ってのは。ロボットアニメが衰退しても、刑事ドラマが消滅しても、 『時代劇』 だけは堂々とゴールデンタイムのどこかで放送してるわけですよ。やっぱ日本人の拠り所だね、 『時代劇』。

 しかし、わたしゃそんなものを書けるほど過去の日本文化に詳しくない(センター試験は世界史)。
 第一、誰でも知ってるということは、それに比してディープな知識をしこたま抱え込んでいる人が多くいる、ということ。まして、投稿を考えるなら最初の読み手(選者)がそれなりの知識のある日本人であることも考えに入れなければ。
 そういう意味では、『時代劇』 というのはそれなりの知識(特にその時代の常識――太刀と刀の違いとか)を把握してないと書けない。
 週間漫画のように、嘘っぱちだらけを絵と迫力だけでごまかせないのよ。文章の世界ってのは。
 だから、ウソを書いてもウソと見抜かれにくい舞台にしないとな。

 ……てなわけで、悩んだ末に選んだのが、アメリカの西部開拓時代。
 何で 『西部劇』 かというと――

 1.『ヤングガン』が好き。マカロニウエスタンも好き。
 2.『時代劇』 と 『西部劇』 は案外通じてる。(『用心棒』と『荒野の用心棒』とか)
 3.『西部劇』 の世界は日本人には近いようで遠い。遠いようで近い。ウソこいても、おおむね大丈夫。
  (西洋人が日本のイメージでゲイシャ、ハラキリ、チョンマゲ、ニンジャを思い浮かべるのと同じレベル)
 4.力が正義。銃をぶっ放しまくっても、それで即逮捕、ではない。
 5.悪党どもの巣。
 6.あるテーブルトークRPGの原書ルールブックが手に入った。それが西部時代用のルールブックだった。
 7.かつて漫画を描いていた時のネームが手元に。おお、丁度西部劇じゃないか。

 そんなわけで、大学の図書館から県の図書館に通いつめ、銃器の本を(立ち)読み漁り、辞書片手に原書を読み解いて、舞台を設定したわけです。

 時は1878年、場所はコロラド準州。
 起こる事件も歴史のまんま。え〜え、ここで語られている物語は実際にあった事件を題材にしています。
 出てくる人物もそのまんま。ただし、物語自体は嘘っぱちですけども。(当然、主人公も架空の存在です)
 こういう事件がここであって、関係者はこれこれというあっさりした記述から、私が膨らませただけです。
 よもや、こんな風に長編になるとは思いませんでしたが。予定ではもっと短いはずだったんだけど。

※北米先住民族関連の設定はおおむね嘘です。ナノ・ユートなんて部族はいません……いないはずです。
(ユート族という部族はありますが。ユタ州の名前の元になった部族です)
※当時の雰囲気を醸し出すため、あえて現代では使わないことになっている表記を使用しています。
具体的には『インディアン』という呼称等、です。これらは現代では『北米先住民族』、もしくは『ネイティブ・アメリカン』『ネイティブ』と呼ぶことになっています。

 え? 投稿の結果? もちろん落選でした。


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