トルコへ行き損ねた酒樽



今度、出張先のトルコで開催される日本のレセプションで、
日本酒を振舞う場所に、酒樽をディスプレイすることになった。
「ダミー樽を調達して下さい。」と言われたものの、
探し始めるとなかなか見つからない。基本的に非売品なのだ。
ハンズのパーティグッズ辺りにでもあればと思ったが、残念ながら。

ではプロにお話を聞こう、と思い、
知り合いのお酒屋さんに電話してみたら、
なんと、お酒メーカーさんに掛け合い、無料で提供してくれた!やったー。
職場に届いた、立派なオブジェ?に大喜びしていたら、ご依頼元より、
「やっぱり本物の樽にお酒入れて竹杓でサーブしましょう。」。。。

今回頂いた樽、ダミーと言いつつ、どう思っても良い香りがする。
これはきっと、と、メーカーさんに聞いてみると、
やはり、現役時代はお酒を中に入れていた本物の樽で、
引退後、ディスプレイとして使われていたとの事。
「トルコでのパーティですよね。衛生的にちょっと。。。」
と渋るメーカーさんに、
あ、ではパーティではなく、
私が勝手に自分で飲みたくてお酒を入れる場合は、
どうすれば良いのかしらー、などとこじつけ
(自分で36リットル飲むかいな)、
使い方を教わってはみたが、やはり何かあったら大変。
持って行くのは断念、新しい樽を調達することにした。

さて、私の机の横にある大きな大きな引退樽。
その香りと言い、見た目と言い、
精神高揚グッズとして大いに役立ってくれたのだが、
2日程経ってから、
おりしも不要物破棄キャンペーンを行っていた総務部より、
破棄するか持って帰るか、いずれかの選択を、と指示が出た。
捨てるのは余りにも忍びない。かと言って1K自宅に置き場所はない。
そんなの使う人いないから捨てなよ、とか、
結婚式で鏡割りに使えば?予定があれば(こら)、とか、
周りの声があがる中、藁にもすがる思いで、母に電話してみた。
私「いらないと思うのだけれど。。。二斗酒樽。いかが?」
母「本当の杉の樽?いいじゃない。頂くわ。」
私「え?ちょっと虫湧いているの。今もありさんが歩いてる。」
母「お酒の香りがするからじゃない?
その内いなくなるでしょ(そういうもの?)。」
私「えええ?正面に大きく○○○(メーカー名)って書いてあるよ。
インテリアに合わなくない?」
母「素敵。それに、杉の樽に菰が巻いてあるのでしょう?
飽きたら菰を取ればいいわ。本当の木っていいのよねー。」

かくして、「藁にもすがる思い」」の割には
いまみっつアピールが控えめな申し出にもかかわらず、
引退樽は大歓迎され、実家へ向かうこととなった。めでたしめでたし。