かおりんのモロッコレポ



先日ジュネーブ便りの第一弾を送ったところ、仕事で行っているとは思えないとのコメントが来、確かに自分でも読んでみると何をしているんだと言う感じです。わはは。同じ目的で行ったマラケシュ(モロッコ)でのお仕事を簡単にレポートした物が手元にあるので、送ります。これで雰囲気伝わるかな?


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私の役割は、会合の日本事務局スタッフだった。空港に着いたら来ているはずのホテルのバスがいなかった事、ホテルにあるはずの本会合専用の簡易チェックインカウンターがなかった事などに始まり、各業者さんたちのいい加減さには辟易した。その典型である、バウチャー(宿泊券のような物)関連トラブル対応を一例として、どんな事が起こったのかを書こうと思う。

最初に起こったトラブルが、大臣の帰国前に、彼の宿泊場所であるAホテルから入った、「宿泊料金未払い」の連絡であった。日本での旅行代理店C社には支払済みである。話を聞くと、宿泊者各人が会議場にある現地代理店D社の事務局まで行き、バウチャーを発行してもらい、それをチェックイン時にホテルに提出しなくてはならないとの事。その話は事前に聞いていない。急遽事実関係を調査し、本来、C社がD社に、バウチャーの作成、およびホテルへの引渡しを依頼しておかなければならなかったが、一切やっていなかったために起こったトラブルである事が判明した。早急に対応しないと、大臣チェックアウト時に料金が課され、二重払いになりかねないので、C社の担当者に事情を確認するのと同時に、D社と対応を話し合った。D社は今から各人でバウチャーを取得して来る様にと言うが、そんな時間はないため、全員の分を私がまとめて取りに行ける様に交渉した。こんな話が出ると、今の所問題が起きていないとは言え、日本事務局設置場所でもあるBホテルの宿泊者分もきちんと処理がされているかが気になったので、念のために両ホテル関係者分全てのバウチャーを、時間を指定して発行して欲しい、と依頼した。

約束の時間に、会議場内のD社事務局に行くと、まだ発行されていない。今すぐに発行するようにと言うとやっと取り掛かる。待っている間、会議場のピジョンホールを覗いてきて戻ってくると、やっと1枚目が出来上がっていた。2枚目。動きの緩慢なプリンタから吐き出されてくる。3枚目・・・。永遠に続きそうなので、もう一度、今度こそ何時に取りに来るからそれまでに発行してくれ、担当者がいなくても私が来れば入手出来るようにしておいて欲しい、と伝えた(担当者の携帯はかけてもかけても通じないのだ)。2回目の約束の時間、D社事務局に行くと、担当はいなく、他のスタッフも何も知らない。もう時間もない。さすがに私も怒り、もしこれが入手出来ずに二重払いになったら負担してくれるとでも言うのか、とにもかくにも今渡してくれ、と言うと、魔法の様にバウチャーが出てきた。それを持って急いでAホテルに行き、担当者に渡す。彼はぼそっと、”These are not what I want.” と言っていたが、小一時間待たされた後、これで良いとの事になった。しかしここまで来ると、渡して、はい終わり、という気分にはなれない。全てのバウチャーに受領済サインをしてもらった上、そのコピーを渡してもらい、Bホテルに戻る。Bホテル宿泊者分も同様の処置をする。大臣チェックアウト時も二重払いという事はなかった様で、これで一件落着、と言いたい所だが、そうはいかなかった。

C社のスタッフで、調査団の添乗員として来ていたK氏より、バウチャーの内容を再確認して欲しいと言われた。サイン済バウチャーコピーと、C社から渡されている宿泊者・宿泊期間のリストを照らし合わせてみると、なんと期間の異なる物がいくつもある。リスト掲載期間のほうが長ければ問題はない。既にその分の金額はC社に支払っているからである(まあ本当はその重複分を返金して欲しい所だが)。逆だと追加の支払が生じる。またC社に確認を取るが、そのリスト以外の情報を確かめようがないというので、こちらで1人1人チェックし、問題のあるバウチャーのみD社に再発行を依頼した。殆どは既にこちらに来ている人たちの物だったが、1人だけ、その日だったか翌日だったかに到着予定の人の分があったので、何となく気になり、ホテルに彼女の部屋が予約されているか聞いてみると、案の定されていない。全く気が抜けない。その場ですぐに予約を依頼し、予約されている事を確認し、事務局に戻った。

今度こそ一件落着と言いたいが、またAホテルから連絡が来た。あのバウチャーは必要な物と違うとの事。担当者の「ぼそっ」は本当だったのだ。事情を聞くと、D社で発行されるバウチャーには2種類あり、ホテル提出用のは私たちが出したのと別の方であった。C社、D社、Aホテルと再度交渉。さすがに今回はD社も取りに来いとは言わなかった。ホテルの言う本物のバウチャーのコピーをC社に送り、それをD社が再発行、ホテルに持って行くという事になった。やっと全てが解決した。

この件を始め、日本では想像出来ないような事への対応は多々あった(と言いつつ、上記トラブルは日本代理店C社の不手際による所がとても大きいが)。つくづく、一度依頼したら安心ではなく、放っておけばトラブルは起こるもの、全て先に何が起こりうるか予想し対策を取る事で、安心快適な業務が進められると実感した。

そして何よりも、在モロッコ日本大使館の方々、事務局の皆様のご協力で、無事会合を終えられた事に感謝、感謝である。

トラブルの事ばかり書くとどんな出張だったのだと言う感じだが、実際には楽しい事やびっくりすることもたくさんあったので、雰囲気をお伝えするため、友人に送った報告をコピーする↓

・ 往きの飛行機で綺麗なお姉さんに「かおりさんですよね?」と声を掛けられる。とてもびっくりして、「待って、思い出します!」と頑張ってみたが分からない。ギブアップすると、何と小学校の同級生だとの事。びっくり。「わぁ、かおりさん変わらないよね〜^-^」・・・。彼女は添乗員だそうだ。

・ びっくりその2。モロッコ主催のレセプションに行く。巨大レストラン貸切で会合の関係者1000名以上が参加の中、適当な席に座り、隣のアメリカ人と話をすると、何と以前から仕事でメールのやり取りをしている方だった。すごい確率。

・ 男女一緒にいる光景はあまり見かけない。男は男、女は女のかたまり。街中でよく見かけるのは男の人たちで、仲がいい。手をつないで歩いている。2人で入ったカフェに4人がけのテーブルがあったら、向かい合わせではなく隣に並んで座ってパフェとかを食べている。バイクの2人乗りと言えば腰に手を回すのは普通の光景だけれど、それを彼らがしているとなんだかすごい。あと、まったくの他人同士(男性と男性ね、念のため)がぶつかっただけでも、まずはお互いの体にゆっくりと両腕を巻きつけてからそれをほどき、何事もなかったかのように去る。

・ そんな彼らも女の人の事は大好き。観光客と見ると色々な所を触ってこようとする。

・ メディナ(旧市街)の屋台が面白い。羊の頭がいっぱい並んでいる屋台がいくつもあり、食用になりたての羊の脳みそなどが食べられる。食感はお豆腐か白子みたい。見たところ普通にゆでて、ソースをかけていたよう。おしょうゆやかぼすとかがあればまた素敵だったと思う。胸の部分のお肉はとても柔らかい。店員が絞るようなジェスチャーをしてみせたから、めすオンリーか。頭の皮をはいだ裏部分はゼラチン質。ちょっと毛が残っているのもご愛嬌。炭焼きされたレバーははさみで器用にみじん切りにされたものを、辛目のソースと一緒に頂くとおいしい。同じく炭焼きのソーセージも絶品。

・ 恐れていたほどミーノの出来ない場所ではない。上記のような屋台などでは駄目なので、味の余韻で他で飲むか、買って持ち帰ってホテルの部屋で飲むかという感じだけれど、普通のレストランやスーパーにはいっぱい売っている。地ワインのメダイオンや地ビールのカサブランカなんてのもあり、おいしい。

・ 休日にアトラス山脈越えをした。車中9時間。滞在していた所が会議場とホテル群なのもあってアフリカを感じにくいものの、山の斜面にはりついたような集落とそこの人々を見ると、じわじわとそれを感じる。ロバと女性と子供が良く働く。

・ 帰国はパリ経由。空港はオルリーからシャルル・ド・ゴールへのトランジットで、間6時間ほどあったため、どこかへ寄ろうかと空港でマップをもらって眺める。行きは凱旋門やエッフェル塔の辺りを歩いたので、今度は違う所を、と、モンパルナスに行ってみる。楽しいお散歩だったのだけれど、週末には庭のプールで泳いでいたマラケシュと違い、寒い!コートに革ブーツの人々が身をすくめる中、薄着のまま素足にミュールでスーツケースをごろごろしながら一人歩く私を、さすがのフランス人も見て見ぬ振りをしてくれない。

・ 帰国後のお話。9日夜日本着。念願の味噌ラーメンを食べる。10日朝。出勤。前日1時間しか眠れない。夜、焼鳥と純米吟醸酒をデジカメで撮ってまだモロッコにいる人に送る。とても悔しがるメールが届く。11日朝。眠れない。朝5時ごろからトマトソースのパスタと赤ワインがすごく欲しくなる(確かに飲んだくれていた時間帯)。悶々としていたけれど我慢できなくなり、6時過ぎにチーズとワイン片手にパスタを茹で始める。出勤までに覚まさなくては。12日朝。5時起きで新幹線に乗り、神戸ジャズストリートへ。




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