白2段バネ

   第21図

井口「白が6で二段バネすると、黒は7で左上三三にキり、白8ツギで第28図になります。
第28図で考えられる黒の打ち方としては、Aのカカエ、Bからのカカエ、Cのオサエ、Dのサガリなどが提案されました。Eサガリも考えられます。
島谷さんならどの手を選びますか。」
島谷「!」
井口「すぐ答えが出ないのが正解です。
実は、どの手でもその後、双方が最善を尽くすと盤面黒9目勝ちに至るというのが今日現在の結論なのです。
まず、Aカカエの変化は第21図で盤面黒9目になることをお示ししました。
この変化で白10・白12の前に白が13のところにアテルのは悪手とされます。

  第29図

Bカカエ以下の進行は第29図で盤面黒9目となります。
なお、黒1116のところにサガル変化も検討されましたが、結果は同じ盤面黒9目でした。

  第30図

Cオサエからは第30図が考えられ、結果は盤面黒9目です。
この進行で、白1213のところをオサエル変化も考えられますがこれは白にとって得にならないとされています。
  第31図


Dのサガリでも、第31図の進行で盤面黒9目の結果になります。
黒が1314のところにオサエル変化も考えられますが、それは黒の得にならないとされました。

   第32図

第28図で左側にEとサガル手は、工藤先生を交えての検討の際は取り上げられなかったのですが、調べてみると、第32図のようなことになって同じ盤面黒9目になりそうです。」
島谷「七路盤は双方が最善を尽くすと盤面で黒が9目勝ちになるという結論ですね。」
井口「はいそうです。
しかし、これが絶対正しいとは言い切れません。
誰かが、ここでの説明に出てこなかった新しい手を発見して、その結果、黒9目説が否定されるという可能性もないではありません。
たとえば、黒のいい手が発見され、黒が10目以上勝つ図になるとか、あるいは、逆に、白のいい手が発見されて、黒が盤面では9目は残せないとかです。」
島谷「でも、いまのところの結論では、七路盤での正しいコミは9目ですか。」
井口「そうです。
8目半では黒が有利、9目半では白が有利です。
もっとも、このことは十九路盤でも同じことが言え、コミ5目半では白か黒かどちらかが有利です。
ただ、十九路盤は解明が進んでないので5目半という不合理なコミで、みな不平を言わず打っているわけです。」