小型ソーラパネル試用レポート
はじめに
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ヨットに搭載するバッテリーは充電をしないと自然放電により電圧が下がってしまう。 放電状態のまま放置するとバッテリーの寿命は著しく低下するので、乗らないときでも週一度くらいはエンジ ンを掛け補充電をしなければならない。 船中泊等で、長時間室内灯を点灯し、パソコン、ステレオ、TV、カラオケ等でバッテリーの電力消費量が増 えて充電率が50%以下に成った場合は早急に補充電しないとバッテリーが劣化する。 そこで、エンジンを掛けると発電機(オルタネーター)は14.5Vの電圧を発生しバッテリーを充電してくれる。 然し、最初の内はバッテリー側の電圧も低いので電流が流れ充電をしてくれるが、充電率が80%を超える 辺りから充電電流は200mA程度しか流れなくなり満充電にするには相当な時間が掛かる事が判った。 そこで、ある程度(80%)まではエンジンを掛けて充電し、残りを退船後、ソーラパネルや、風力発電等に任 せゆっくりと充電してやれば、補充電の時間を待たずして退船が出来るし、バッテリーにも優しい充電が出 来る事に成るので都合が良い!! 今回、秋葉原で手ごろな価格の小型ソーラパネルを見つけた。 早速購入し、OLIVEOILに取り付け試して見た処が予想以上のコストパフォーマンスを発揮してくれたので 報告いたします。 |
2006年5月10日情報
2006年5月以後、原油価格暴騰により上記商品は在庫切れとなり以下のソーラパネルに成りました。
SM160 160mA×18V 外形:200x250x20mm
3,480円
SM1086 250mA×18V 外形:249x249x19mm
4,700円
M- 1087 500mA×18V 9,800円
TGM1000 1000mA×18V 19,700円
秋月電子調べ
【仕様書】 @名称:大容量ソーラパネル Aアルミフレームに内臓されたソーラーモジュールで、6V系/12V系の鉛電池の充電(放電防止器)が即可能。 B18V150mA/9V300mAの2ウエーイ方式(裏面の配線を切り替える) C逆流防止ダイオード内蔵 Dガラスエポキシにシリコーン太陽電池を防水加工(ラミネート)した使い易いユニットです。 E表面がガラスではないので軽くて移動しやすい。 Fワニ口クリップ、シガーライターケーブル、各種DCプラグケーブル付属。 G最大電圧(開放時)18V H最大電流(短結時)160mA I外形:167mm×294mm×19mm J価格:3,400円 K購入店:秋葉原秋月電子 |
使用結果レポ
購入店&価格 |
@秋葉原秋月電子店頭で2基のソーラパネルを購入。価格は3,400円だが何故か2,980円に値下がりしていた。 A通販もしている。地方の方は下記URLで通販で購入が可能である。 B今回、紹介したものより大型のソーラパネルも発売される模様である。 http://akizukidenshi.com/ |
フレーム形態 |
@ケースはアルミフレームケースに太陽電池セル本体が入っている。 Aケースには取付板がビス止めで付いており、船体には4〜5mmのビスで即取付が可能である。 B取付板が錆びるのではと心配したが非磁性のステンレス製で確かなものであった。 |
発電素子の状態 |
@肝心の太陽電池のセルは発電効率が良いといわれるシリコーン素子(結晶ではない)を使用している。 A素子からの外部への導線巾が広くショックに強そうに見える。(今までのセルはここがよく断線した!) B素子はガラスエポキシ製基盤上に形成され、硬合成樹脂でラミネートされ防水性能は高いと思われる。 |
発電量・充電量 |
測定日:6月15日14:00頃 天候:うす曇 場所:OLIVEOIL/船橋港 @発電電圧(開放)⇒ 20V (電池に繋ぐと12.5V程度になる) A100AHバッテリーへの充電電流 ⇒ 150mA 充電状態80%程度(電池容量計使用) B 55AHバッテリーへの充電電流 ⇒ 150mA 〃 〃95%〃 (〃 〃 〃 ) C1セルから1バッテリーに直接接続し電流コントローラーは装着していない。 |
感 想 |
@80%充電時のアイドリング充電電流200mAと比べて遜色のない充電量でした。 A150mA程度の充電電流ではエンジンを掛けてオルタネーターの発電でレギュレターからの出力が14.5V時 の充電より少ないので電流コントローラーの装着は必要無いと判断していますが、計算上では 0.15A×8時間×30日=36AH ともなるので過充電の心配も出てくる。 もし、バッテリー液が早めに不足気味になったり、比重が上限になればコントローラー挿入の必要性も出るで しょう。もう少し継続検証し結果を報告します。 Bカーショップで販売されている市価6000円程度の車用ソーラ充電器を試したが、充電電流は30mA程度であ それらと比べても5倍も電流が流れるのです。価格が半分程度でなんと5倍の性能であり実にコストパフォー マンスに優れている。 C取付金具に関しても、実際に磁石を付けても付かない事を確認し非磁性体のステンレスを使用している事を 確認した。コンパスへの影響も無く安心できる。 |
電圧制御に付いて |
バッテリー液の減少が早くなったり、充電電圧を14.5Vにしたい場合は電圧制御装置を付けることで解決します。 秋月電子のお奨めは、「太陽電池の発電量は天候等で不安定なので定電圧回路を挿入して電圧の安定化を図 ると良いですよ」と定電圧回路の使用を推奨されました。 自作キットの定電圧回路(価格700円)は、ソーラパネル2基を直列に繋ぎ40Vの入力電圧を定電圧回路に入力。 出力を14.5Vにセットして安定した電圧で充電することが出来る。また、発電量の下がる時刻や曇りでも比較的長 時間安定した電圧が得られる事になり、過充電も防げ、バッテリー液減少の防止になります。 http://akizukidenshi.com/catalog/items2.php?c=power&s=popularity&p=1&r=1&page=#K-00073 汎用の高価なコントロール器を買わずとも僅か700円也で作ることが出来ます。 ^o^v |
30日間使用報告 |
上記の通り取り付けたところで夏風邪をこじらせ寝込んでしまいOliveOilに行けなくなった。結果的に30日間の 使用テストが出来ました。 期 間:平成17年5月14日〜6月15日 方 法:・接続方法はソーラ出力端子からダイレクトにバッテリーに接続した。 ・測定器はバッテリー船外モーター用の米国製バッテリー容量計を使用した。 ・ソーラパネルは南向きに置き太陽光に向く様に置いた。 開始値:@100AHのバッテリーは80%の充電率 A55AHのバッテリーは95%の充電率 終了値:@100AHは100%の充電率と成った。 A55AHの方は100%目盛を超え過充電に成っていた。 この結果から、充電効率は予想を超える成果が認められたが過充電の心配も生じてきたので定電圧装置の必 要があると感じた。 |
船体に取付 |
コンパニオンハッチカバーの邪魔にならぬ場所に2基の発電素子を取り付けた。 配線は4芯の塩ビ皮膜のケーブルを使用しデッキからキャビンの中を通してアイソレーター@A端子に接続した。 |
取付後の結果 |
若干取り回しが長く成ったので電圧降下があるかも知れない。 また、取付土台の面が緩やかなカーブをしているので太陽光の入射角度が異なり、当然充電電流も違ってくるの で発電量の大きい左舷側のソーラパネルを100AHのバッテリーに接続した。 期 間 平成17年11月5日 方 法 ・接続方法はソーラ出力端子からアイソレーター端子にそれぞれの+側を接続した。 ・測定器はアナログテスターを使用した。 結 果 時 刻 09:45 10:00 13:00 【100AHバッテリー側】 気温 未測定 無負荷発電圧 20.0V 21.0V 21.0V 電池接続電圧 13.0V 12.5V 12.5V 充電電流 55mA 100mA 105mA 【55AHバッテリー側】 気温 無負荷発電圧 20.0V 21.0V 21.0V 電池電圧 14.0V 13.0V 13.0V 充電電流 25mA 55mA 85mA 取りつけ後、一週間後に計った結果であるが電圧は14V程度保っており充電効果は充分期待できる。 考 察 前回5月に測定した時より充電電流が小さいのは、ソーラパネルと太陽傾斜角度の差が原因と思わ れる。ソーラパネルと太陽光の入射角度が重要であるが運行中は太陽の方向に関係なく走るので 水平に置くのが一般的であろう。 |
設置一年後の報告 |
2006年8月28日測定 ソーラパネルを取り付けて一年を経た。そこで、経年変化、と充電状況、バッテーリーの状況を簡単に報告しませう。 1.パネルの外枠 劣化はほとんど新品と変わらぬ状態を保っており、錆等は一切発生していない。 2.パネルの状態 紫外線による劣化は見られない。ヒビ、水漏れ等は一切発生していない。 3.充電状況 初期の充電量を発電しており問題は無いかった。 4.バッテリー状態 メイン・サブ共に所定の電圧を保っている。 5.端子部分状態 まだ点検していないが正常に発電しているので大丈夫と思う。 この間、退船時にバッテリーのメインスイッチの切り忘れが2回ほどあった。 以前にスイッチの切り忘れでバッテリーが過放電しオシャカにした経験があったので心配したが電圧は13Vを保ち バッテリーは全く健全で、スターターも通常と変わらず確りとエンジンが掛かった。 |
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